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【医師監修】尿漏れに悩む女性必見!原因やトレーニング、対策アイテムを大公開

尿漏れに悩む女性
鈴木 幸雄 医師・医学博士

監修者

医師・医学博士

鈴木 幸雄

産婦人科専門医・指導医、婦人科腫瘍専門医。旭川医科大学医学部卒業。横浜市立大学産婦人科学講座所属。現在、コロンビア大学産婦人科・婦人科腫瘍部門の博士研究員として研究に従事。これまで多くの子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん患者における手術、化学療法を担当。また、公衆衛生、医療政策、医療経営などにおける知見も持つ。女性ヘルスケア専門医、細胞診専門医、腹腔鏡技術認定医でもある。

くしゃみをした時に、「あっ!漏れた?!」または、急な尿意でトイレに間に合わず「ショーツを濡らしてしまった」などの経験がある女性は意外と多いのではないでしょうか。尿漏れが心配で外出やファッションが楽しめないなど、誰にも相談できない悩みに前向きに向き合ってみましょう。

尿漏れの悩みを解消すべく、今回は女性の尿漏れにスポットを当て、原因や対策方法などをまとめました。尿漏れの軽減を目指すトレーニングや対策アイテムも紹介しているので、ぜひ取り入れてみてください。

女性の尿漏れの原因とタイプ

骨盤底筋

女性の尿漏れには、どんな原因があるのでしょうか。まずは、女性に起こりやすい尿漏れの原因とタイプを紹介していきます。

女性の尿漏れに関わる3つの要因とは

女性の尿漏れにかかわる原因には、以下の3つが考えられます。

【女性の尿漏れに関わる3つの要因】

  • 尿道の長さと形状
  • 妊娠・出産による骨盤の開き
  • 加齢や更年期による骨盤底筋の緩み

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

尿道の長さと形状

女性の尿道は、短くて直線的な形状のため、男性の長くS字状尿道に比べて、尿漏れしやすい形状です。男性より女性の方が尿漏れに悩む方が多いのは、尿道の長さや形状が一因となっています。

妊娠・出産による骨盤の変化

妊娠や出産を経験した女性は、膀胱の圧迫により尿漏れしやすい傾向があります。出産により産道と共に骨盤が広がり、内臓や子宮、膀胱などを支えている骨盤底筋がダメージを負い臓器を支えにくくなります。膀胱は子宮の下にあるので、お腹に少し力を入れただけで圧迫され、尿漏れが起こってしまうのです。

加齢や更年期による骨盤底筋の緩み

歳を重ね、更年期に差し掛かるとエストロゲン(女性ホルモン)が減少し、骨盤底筋が緩んできます。本来であれば、腹圧がかかっても骨盤底筋がとっさに尿道口を締め尿漏れを防止しますが、骨盤底筋が緩んでいると、うまく力が入らず尿漏れが起こってしまいます。骨盤底筋の緩みは尿漏れの大きな原因となるのです。

女性に多い4つの尿漏れタイプ

女性の尿漏れには、主に4つのタイプが挙げられます。

【女性に多い尿漏れタイプ】

  • 腹圧性尿失禁
  • 切迫性尿失禁
  • 溢流性尿失禁
  • 機能性尿失禁

それぞれの尿漏れタイプについて、解説していきます。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、くしゃみが出たときや重い荷物を持ったときなど、お腹に力がかかると失禁してしまうタイプです。妊娠や出産、肥満、加齢などによる骨盤底筋の緩みが原因となります。

女性の尿漏れは腹圧性尿失禁タイプが多く、特に40歳以上の方に起こりやすくなっています。

参照元:尿漏れ予防 | 健康長寿ネット

切迫性尿失禁

突然尿意を催し、トイレまで間に合わずに漏れてしまうタイプが、切迫性尿失禁です。切迫性尿失禁は、過活動膀胱や排尿をコントロールする神経のトラブル(脳や神経の病気による)が一因となります。しかし、特に原因がなく膀胱が勝手に収縮して、我慢できずに尿漏れしてしまうケースも。切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の症状が同時に起こる、「混合型尿失禁」の方もいます。

溢流性尿失禁

溢流(いつりゅう)性尿失禁は、ちょろちょろと尿が漏れてしまうタイプです。尿を出す力の衰えや尿道が狭くなることで、尿を出したいのに思うように出せなくなることが要因です。このような排尿障害によって膀胱に尿がたまり、少しずつ溢れ出てしまうのです。

機能性尿失禁

機能性尿失禁は、身体の機能の低下や認知症などによって尿漏れしてしまうタイプです。排尿に関する機能に問題がなくとも、歩行障害があってトイレにたどり着く前に漏れてしまう、認知症のためトイレで排尿できないといったケースが該当します。

男性の尿漏れについて知りたい方はこちらのコラムをチェック

尿漏れは男性にも多い悩み!原因や対策方法などをおすすめ商品と合わせてご紹介

尿漏れ予防には骨盤底筋や膀胱を鍛えよう

尿漏れ予防には骨盤底筋や膀胱を鍛えよう

女性の尿漏れの原因はさまざまですが、なかでも骨盤底筋の衰えによるものが多くなっています。そのため、尿漏れ予防には骨盤底筋のトレーニングが効果的です。また、骨盤底筋だけでなく膀胱を鍛える方法もあります。

続いて、尿漏れ予防のためのトレーニングを3種類紹介します。

盤底筋 仰向けでトレーニング

  1. 仰向けになって、足を肩幅に広げる
  2. 両膝を曲げて立て、身体をリラックスさせる
  3. そのままの体勢で息を吐きながら肛門や尿道、膣など陰部全体を引き上げるように締める(5秒程度)
  4. 力を抜いてリラックスする
  5. 3(陰部全体を締める)と4(リラックス)を繰り返す

回数は、1分間に1回のペースで10回(10分間)が目安です。就寝時や起床時の習慣にすると、取り組みやすいかもしれません。

骨盤底筋 座ってトレーニング

  1. 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばして背もたれに背中や腰を預ずける
  2. 両足を肩幅に開き、肩の力を抜く
  3. 肛門や尿道、膣など陰部全体を引き上げるように締める(5秒程度)
  4. 力を抜いてリラックスする
  5. 3(陰部全体を締める)と4(リラックス)を繰り返す

仰向けのトレーニングと同様に、1分間に1回のペースで10回(10分間)行ってください。電車での移動中やテレビを見ているときなど、ちょっとした時間でもトレーニング可能です。

膀胱トレーニング

膀胱トレーニングは、簡潔にいうと少しトイレを我慢して膀胱を鍛える方法です。尿意を感じたら、トイレに行かずに我慢します。まずは5分間を目標にしましょう。我慢できない場合は、無理のない時間設定でかまいません。

我慢していると、どうしても尿意が強くなるタイミングがあります。そんなときは、違うことを考えたり、深呼吸したりと、焦らずにやり過ごしましょう。椅子に座る、足をクロスするなど、尿道口を物理的に押さえて尿意を抑制する方法もあります。

設定時間が我慢できるようになったら、徐々に時間を延ばしていきます。膀胱を鍛えることで、ご自身の意思で排尿をコントロールしやすくなるでしょう。

膀胱トレーニングを行うにあたって、あらかじめトイレに行ったり水分補給を控えたりする必要はありません。特に水分補給を制限してしまうと、熱中症や脱水症状の原因ともなり得るので、注意しましょう。

ただし、精神疾患や骨盤内の手術などが原因の尿漏れの場合、事前に医師に相談してください。また、膀胱トレーニングをある程度行っても改善傾向が見られないときは、ほかの病気が潜んでいるかもしれません。そういった場合には、恥ずかしがらずに医療機関を受診しましょう。

生活習慣の見直しも尿漏れ対策に

骨盤底筋や膀胱を鍛えるだけでなく、生活習慣を見直すことも尿漏れ対策につながります。ついつい甘いものやコーヒーなどの嗜好品を口にしてしまう方や、肥満傾向がある方は生活習慣を見直してみましょう。

では、具体的な対策方法をお伝えします。

利尿作用が高い食品を控える

尿漏れ対策には、利尿作用が高い食べ物や飲み物の摂取をなるべく控えることが有効です。利尿作用が高い食品を覚えておきましょう。

【利尿作用が高い食品】

  • カフェインが多く含まれる飲み物(コーヒー、玉露茶、エナジードリンクなど)
  • アルコール(酒類)
  • 香辛料を含む食べ物
  • 柑橘系のフルーツ
  • チョコレート など

これらの食品は膀胱を刺激するため、過剰摂取は控えましょう。喉が渇いたら、コーヒーやお茶ではなく、常温のお水を飲むことをおすすめします。

肥満を予防する

肥満気味の方は、尿漏れを起こしやすい傾向があります。というのも、太っていると腹圧が高まりやすく、腹圧性尿失禁のリスクが上がってしまうのです。減量することで尿漏れの軽減が望めるでしょう。食生活の見直しに適度な運動をプラスすることで、適切な体重コントロールを心掛けてください。

水分補給をコントロールする

水分をたくさん摂取するとその分膀胱にたまる尿の量が多くなり、尿漏れしやすくなります。水分を多く摂りがちな方は、少し控えてみましょう。とはいえ、水分補給自体を控える必要はありません。尿漏れを気にして水分補給を控えると、熱中症などの原因となるばかりか、尿が濃くなるため膀胱が刺激され、逆効果になってしまいます。

水分補給で重要なのは、メリハリです。日中は1.5〜2Lを目安にしっかり水分補給し、夜間は控えめにしましょう。就寝する2時間前からは、コップ1杯程度に留めます。ただし、病気などで水分摂取の制限がある方は、医師の指示に従ってください。

尿漏れ対策アイテムにはどんなものがある? 

トレーニングや生活習慣の見直しなどに励んでも、尿漏れの不安が拭いきれない方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、尿漏れ対策アイテムを活用してみてください。尿漏れ対策アイテムには、紙製のものと布製のものがあります。それぞれのアイテムの特徴を解説するとともに、具体的な商品を1点ずつピックアップして紹介します。

吸水パッド

紙製の吸水パッドは、生理用ナプキンのようにショーツに付けて使用するアイテムです。吸水量が異なる商品がたくさん販売されているため、ご自身の状況に合わせて選ぶことができます。さらに、消臭ポリマーなどの配合で、尿の吸水だけでなく消臭効果も期待できます。

また、吸水パッドはスリムタイプや立体構造タイプなど、形や構造にもいくつか種類があります。スリムタイプは薄くて洋服に響きにくいので、ピタッとしたファッションの時でも気になりません。立体構造タイプは、身体にフィットしスピード吸収してくれるので、一度にどっと漏れてしまったときでも安心です。サイドにもギャザーや吸収体が施されているので、横漏れもガードしてくれます。

ウィスパー うすさらエアリー+

何も着けていないかのような感覚で使用できる吸水パッドです。薄さが最大の特徴ですが、吸水力が劣るわけではありません。ヨレにくくしっかり身体にフィットすることで、漏れやニオイを防止。極上の着け心地と吸水力を兼ね備えています。

「ウィスパー うすさらエアリー+」の詳細はこちら

ショーツタイプ

「長時間の移動が不安」「ハイキングなどアウトドアはトイレが心配」といった方におすすめなのが、紙製の吸水ショーツです。しっかり吸収し、足回りにもピッタリとフィットするので、長時間着けていても漏れにくいです。いわゆる大人用のおむつなので抵抗がある方もいらっしゃるとは思いますが、ヒップラインがきれいに見える工夫や、おしゃれなデザインの商品もあり、使い捨ての下着と割り切って使用してはいかがでしょう。

unicharm ライフリー すっきりスタイルパンツ

排尿2回分(およそ300cc)の吸水力がある吸水ショーツです。シワができにくい素材のためごわつきにくく、パンツスタイルのヒップラインに響きません。さらに、アンモニアや硫化水素などに対する消臭効果が期待できる、AG+を配合。ニオイ対策も万全です。

「unicharm ライフリー すっきりスタイルパンツ」の詳細はこちら

肌への優しさを求めるなら布製パッド

布製の尿漏れパッドは、紙製の吸水パッドと同じようにショーツに付けて使用します。オーガニックコットンなどを使用している製品が多く、肌への優しさに配慮されています。洗って繰り返し使えるので、お財布や環境にも優しいでしょう。ただし、布製パッドは吸水量があまり多くありません。そのため、ごく軽い尿漏れにお悩みの方におすすめです。

nunona 布でできた肌にやさしい 軽失禁 尿モレ  パッド

世界基準GOTS認定のオーガニックコットンを使用し、ふわふわな着け心地が特徴の尿漏れパッドです。幅広の設計と防水布が漏れをガード。水を逃さず、湿気を逃がして蒸れにくい構造となっています。パッドと使用ガイド冊子がセットになっているので、布製パッドの初心者でもトライしやすいでしょう。

「nunona 布でできた肌にやさしい 軽失禁  尿モレパッド」の詳細はこちら

自然な履き心地を重視したい方は吸水ショーツ

布製の吸水ショーツは、保水素材や防水素材を重ね、吸水に特化した構造で尿漏れをカバーします。違和感なく履きたい方や、紙おむつにどうしても抵抗がある方におすすめです。洗濯可能なため、繰り返し使用できます。

しかしながら、布製の吸水ショーツは紙おむつではないため、過信は禁物です。どの程度の尿漏れに対応しているのか把握するとともに、尿漏れが起きたらすぐ履き替えた方が良いでしょう。

Kuai おしりまですっぽり安心ショーツ

メッシュ素材・保水素材・通気性防水素材・コットンの4層構造で尿漏れを防ぐショーツです。伸縮性に優れ、履きやすさも文句なし!お尻まですっぽり覆ってくれるので、安心感が高まります。

「Kuai おしりまですっぽり安心ショーツ」の詳細はこちら

生活に支障が出るようなら受診を

生活に支障が出るようなら受診を

トレーニングや生活習慣の見直しをしたりしても改善が見られない場合や、尿漏れ対策アイテムを使用しても日常生活で支障がある場合には、病院の受診を検討してください。病院を受診する目安は、日常生活に支障があるかどうかです。いろいろ手を尽くしても生活のしにくさを感じたら、恥ずかしがらずに受診してみましょう。受診する科は、泌尿器科または産婦人科がベターです。

ここからは、尿漏れで病院を受診した場合の検査や治療について説明します。

尿漏れの検査

まずは、尿検査やパッドテスト、ストレステストなどさまざまな角度から検査や診察を行い、尿漏れの原因や状態、程度を把握します。加えて、排尿記録を求められることもあるでしょう。

尿検査 尿の成分から膀胱炎や尿路感染症などの可能性を探ります。
パッドテスト水分摂取後に階段の昇り降りのような尿漏れしやすい運動を行い、
テスト前後のパッドの重量から尿漏れの重症度を判断する検査です。
ストレステスト内診台で腹圧をかけ(咳、いきむなど)尿漏れの量や尿道の動きをチェック。
同時に、骨盤臓器脱があるかどうかも確認します。

排尿記録から日常の状態を把握すると共に、これらの検査で尿漏れの診察を行います。

薬による治療

尿漏れの治療には、薬が用いられることもあります。腹圧性尿失禁の場合はβ2刺激薬、切迫性尿失禁の場合は抗コリン薬などが有効とされています。

尿漏れの治療には、西洋医学からだけでなく東洋医学からもアプローチが可能です。そのため、漢方薬が治療薬として用いられるケースもあります。骨盤底筋の働きをサポートする補中益気湯(ホチュウエッキトウ)、膀胱の収縮を抑える効果を期待して猪苓湯(チョレイトウ)と芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を合わせた漢方薬などが処方されます。

手術で治療するケースも

トレーニングや生活習慣の見直し、薬物療法を施してもあまり改善されないようであれば、手術も視野に入れなければなりません。

女性の尿漏れでは、尿道スリング手術であるTVT手術、またはTOT手術が適用されます。双方ともに、テープ状の医療用人工繊維を尿道の裏に留置し、腹圧をかけたときの尿道のぐらつきを抑える手術です。

TVT手術とTOT手術の違いは、テープをとおす場所です。TVT手術は尿道の下側から恥骨の裏側、TOT手術は大腿の内側にテープをとおします。これらの手術は傷が小さく、手術時間も30分程度で終了するため、身体に負担が掛かりにくいのが特徴です。

おわりに

尿漏れは女性が抱える悩みのひとつで、デリケートな問題です。女性の尿漏れにはどのような原因があるのかを頭に入れ、骨盤底筋や膀胱を鍛えて尿漏れしにくい身体を目指しましょう。尿漏れ対策アイテムもうまく活用してください。

ただし、どんなに対策しても日常生活に支障があるようなら、早めに医療機関を受診しましょう。尿漏れの原因を詳しく検査し、効果的な治療が期待できます。今回の記事を参考に、尿漏れと向き合って快適な毎日を手に入れましょう。

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