毎日食卓に並ぶことも多い和食の定番料理、味噌汁。「毎日作っているけれど、味噌の量はこれでいいの?」と、ふと考えることはありませんか?そこで今回は、味噌の基本的な量や作り方、美味しく作るコツなどを改めて解説していきます。また健康のために減塩している方向けに、減塩しながら美味しく味噌汁を飲むための方法にも触れていくので、ぜひチェックしてみてください。
まずは基本的な味噌汁の作り方をおさらい
まずは基本的な味噌汁の作り方をおさらいしておきましょう。
具材を用意する
まず味噌汁に入れる具材を用意します。野菜は食べやすい大きさに切る、豆腐はさいの目状に切る、わかめは水で戻して水気を切るなど、具材をだし汁に入れられる状態にしておきましょう。
だし汁を用意し、具材を入れる
次にだし汁に具材を入れていきます。火が通りにくい具材を入れたい場合には、火が通りにくいものを先に入れるようにしてください。手軽に使える顆粒だしの場合は沸騰したお湯に溶かし入れるだけですが、煮干しやかつお節、昆布からだしを取る場合には、具材を切る前にだしを取っておきましょう。シンプルな具材の美味しさを引き立ててくれるかつお節と昆布の合わせだしは、以下の手順で作ります。なお、分量はおよそ4人分です。
- 4.5カップの水に10cm角の昆布を入れ、フタをせず火にかける。
- 弱火に20分ほどかけ、沸騰する前(鍋や昆布に小さな泡が出てくるのが合図)に昆布を取り出す。
- 昆布を取り出したお湯を沸騰させてかつお節1カップを入れ、かつお節が全部沈み切ったら火を止める。
- あくを取り、再度沸騰させたら火を止めて置いておく。かつお節が沈んだらだし汁をこして完成。
だしを取ったあとの昆布やかつお節は、炊き込みご飯やふりかけとして使いましょう。
味噌を溶き入れる
だしが沸騰して具材に火が通ったら、いったん火を止めます。沸騰が収まってきたら味噌こしなどを使ってダマにならないように菜箸で味噌を溶かし、再び沸騰する寸前で火を止めて完成です。ねぎなど生でも食べられるような具材を入れるときには、最後の火を止める直前に入れましょう。
味噌汁における味噌の基本的な量
味噌汁に入れる味噌の量は、一般的に水分量の7〜8%が適正量とされています。この数値を基本として、味噌汁を作るときの味噌はどれくらいの量を使用すれば良いのか、作る人数毎にまとめていきましょう。
参照元:ウーマンエキサイト 味噌汁に入れる味噌の量はどれくらい?計算方法やおいしく作るコツも解説
1~4人分の味噌汁における味噌の量の目安
ここからは、1人分から4人分に分け、1人前を200mlとした場合の味噌汁における味噌の量を具体的に解説していきます。あくまでも目安ですので、完成した味噌汁を飲んでみて濃いと感じたり薄いと感じたりしたら、適宜調整するようにしましょう。
1人分(200ml)の場合
1人分の味噌汁における味噌の量の目安は大さじ1程度で、重さに換算すると約17gです。薄い味を好む場合には、小さじ2程度を目安にすると良いでしょう。
2人分(400ml)の場合
2人分の味噌汁における味噌の量の目安は、大さじ1×2人分になるため大さじ2程度になります。薄い味が好みであれば、小さじ4程度を目安としましょう。
3人分(600ml)の場合
3人分の味噌汁における味噌の量の目安は大さじ1×3人分で計算すると、大さじ3程度になります。薄い味に仕上げたければ、大さじ2程度で作ってみましょう。
4人分(800ml)の場合
4人分の場合には、まずは大さじ3程度の味噌を入れてから、味を見つつ調整するのが良いでしょう。というのも、4人分よりも多い量の味噌汁を作る場合には単純に人数分、つまり大さじ4を入れてしまうと塩辛く感じる可能性があるためです。
味が濃くなってしまうと水を足すことになりますが、想定より多い量になってしまうと飲み切れないかもしれません。まずは薄めにし、少しずつ味噌を加えていくことで無駄なく味噌汁を作ることができます。
味噌の種類や具によって適正な味噌の量は異なる
先ほど味噌の基本的な量を説明しましたが、実は使う味噌の種類や入れる具材によって適正な味噌の量は異なってきます。詳しく見ていきましょう。
味噌の種類ごとの味噌の量は?
味噌汁に使う味噌の種類は地域ごとに大きく異なりますが、味噌の原料によって米味噌・豆味噌・麦みその3種類に分けることができます。味噌の種類で、味噌の量はどのように変わるのでしょうか?
米味噌
最も一般的とされる米味噌を使って味噌汁を作るときには、先ほどの目安と同じ1人分大さじ1程度を目安としましょう。米味噌は米麹・大豆・塩を原料とした味噌で、一般的な淡色味噌から白味噌、赤味噌などさまざまなタイプがある味噌です。全国で生産されており、流通量の8割程度を占めるとされます。味のバランスが良く、さまざまな料理で使用できるのが特徴です。
参照元:全国味噌工業協同組合連合会 みその種類別出荷数量<全味工連集計>
八丁味噌(豆味噌)
豆味噌の代表的な種類である八丁味噌の場合も、目安は大さじ1程度です。八丁味噌は濃厚さと酸味、渋みなどの独特な風味が特徴的で、中京地方でよく使われます。豆味噌は大豆を主原料とし、濃い色の見た目から味も濃いように感じるかもしれませんが、塩気は米味噌とあまり変わりません。原料は大豆のみでコクが強いので、水気の多い食材に合います。
麦味噌
甘い味わいが特徴的な麦味噌は他の味噌に比べてあっさりと淡白な味わいなので、味噌汁に入れる場合は大さじ1よりも多めに入れると良いでしょう。麦味噌は麦麹・大豆・塩から作られ、主に中国・四国・九州地方で生産されており、豚汁や甘みのある野菜をたっぷりと入れた味噌汁などに合わせるのがおすすめです。
具材ごとの味噌の量は?
続いて、具材によって味噌の量をどのように調節するか見ていきます。
味や旨味がある具材の場合
わかめやつみれといったあらかじめ味のついている具材や、油あげなど旨味の多い具材を使う場合には、目安量の味噌だと味が濃くなってしまう可能性があります。味噌の量を少なめにして味を見てから足していくと良いでしょう。
水気が多い具材の場合
野菜や豆腐など、水気が多い具材を入れて味噌汁を作るときには、具材から水分が出るため味噌を目安量よりも少し多めに入れてみましょう。
ほとんどの野菜は90%以上が水分とされ、かぼちゃやにんじんなど一見すると水分が少ないと感じる野菜でも、75%以上が水分といわれています。野菜を多めに入れた場合には、気持ち味噌を多めに入れるようにすると良いかもしれません。
参照元:アスレシピ 野菜の「健康神話」、実は大半が水分 – 管理栄養士・川端理香:アスレシピ
味噌はどうやって量る?
ここでは、味噌汁に使う味噌の量をどのように量れば良いのかまとめます。
計量スプーン
味噌の目安量の部分で大さじを使用していたように、味噌汁づくりに慣れるまでは計量スプーンを使うのがおすすめです。味噌と水の量を毎回量って作れば、一定の味の濃さの味噌汁を作ることができます。
おたま
味噌汁作りに慣れてきたら、おたまを使ってみましょう。いきなり計量スプーンからおたまに変えるのが不安という場合には、計量スプーンで量ったものをおたまに移してみてどれくらいの量になるのか把握してからおたまを使うようにするとスムーズです。
おたまで味噌を量れるようになれば、味噌をすくうところから味噌汁を注ぐところまですべておたまでできるので、洗い物削減や時間の短縮につなげることもできますよ。
キッチンスケール
多めの人数の味噌汁が作りたい場合には、キッチンスケールを使っても味噌を量ることができます。味噌大さじ1は17g程度なので、作りたい味噌汁の量に合わせた分量をキッチンスケールで量ってくださいね。こちらも同じく慣れてきたらおたまを使うと良いでしょう。
味噌汁は塩分が多い?
一般的な味噌汁1杯当たりの食塩摂取量は、1.2〜1.5g程度です。厚生労働省による健康な日本人の成人男女の食塩摂取目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされているため、味噌汁1杯で食塩摂取目標量の2割以上を占める換算になります。しかしこの数値は他の料理と比べても特別塩分量が多いわけではないため、一概に味噌汁は塩分が多いとはいえません。
また味噌汁は同じ濃度の食塩水に比べて高血圧や心不全を起こしにくく、腎臓が傷みにくいとの研究結果があります。さらに味噌には抗動脈硬化作用のある成分が含まれる可能性もあるとされるなど、塩分は含まれていても健康にプラスになる要素のあることが分かってきたのです。
とはいえ成人女性が毎食味噌汁を飲んだ場合には、1日の食塩摂取量の半分以上を味噌汁が占めることになってしまうため、たくさん飲めば良いというわけではありません。味噌汁は1日1杯程度を目安に飲むようにしましょう。
参照元:栄養・食生活と高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
糖尿病や高血圧が気になる方も安心して味噌汁を飲むには?
味噌汁は身体に良いといわれても、高血圧が気になって味噌汁を飲むことをためらっているという方もいるかもしれません。どうすれば安心して味噌汁が飲めるのでしょうか?
通常よりも味噌の量を減らし、塩分を調節
塩分を調節する最も分かりやすい方法が、味噌汁の塩分の元となる味噌の量を減らすことです。大さじ1を1人分の味噌の目安量としていましたが、小さじ1.5〜2杯程度を目安量にすると減塩につなげることができます。また通常の味噌よりも食塩相当量を減らした減塩味噌も市販されているので、こういった商品を活用するのもひとつの方法です。減塩味噌であれば、これまでと同じ量の味噌を使ったとしても自然と減塩につなげられるでしょう。
旨味を活用するのも減塩のポイント
味噌の量を減らしたり減塩味噌を使用したりすると、「なんだか物足りない」と感じる場合もあると思います。そこで活用して欲しいのが、旨味のつまっただしです。先にご紹介したかつお節と昆布の合わせだしのようにうまみ成分が異なる食品を組み合わせると相乗効果が起き、より旨味が強く感じられるとされます。
できあがった味噌汁に物足りなさを感じたときにはかつお節をひとつまみ加えるだけでも、満足いく味になるでしょう。なお顆粒だしは手軽である一方、塩分を含んでいるため、減塩を考えるのであればだしを取るのが良いでしょう。
旨味以外で減塩したい場合には、塩分などを体外へ排出する作用のある「カリウム」を含むほうれん草や小松菜、里いも、じゃがいも、わかめ、キノコ類などを具材として使用するのもおすすめです。また具だくさんの味噌汁にすることでもカサが増して味噌の摂取量自体が減り、減塩につなげられます。
美味しい味噌汁を作るコツ
最後に、美味しい味噌汁を作るためのコツをまとめていきます。
味噌は溶かしてから鍋に入れる
味噌が溶け残って味にムラが出ないよう、だし汁を器に取って味噌を溶かしてから鍋に入れるようにしましょう。鍋に入れたおたまの中で味噌を溶かす方も多いと思いますが、このひと手間を加えるだけで味噌汁の味が変わってくるので、面倒かもしれませんがぜひお試しください。
味噌を入れたら煮立たせない
味噌汁が最も美味しいのは「煮えばな」だといわれています。煮えばなは汁物が煮立ち始めるタイミングを指しており、香りや風味が際立つとされているのです。味噌の香りや風味を存分に楽しむため、味噌を入れたあとは煮立たせないことを心がけましょう。
味噌は低温で保存する
味噌の保存方法も、美味しい味噌汁を作るうえで重要なポイントです。開封後はもちろん、開封前であっても常温ではなく、冷蔵庫などで保存するのが良いでしょう。味噌は塩分濃度が高い食品であり凍らないため、冷凍庫での保存も可能です。開封後は空気に触れると品質が落ちてしまうので、キッチリとラップをしてからフタをするようにしましょう。
また味噌を使っているため味噌汁自体も傷みやすくなっています。作ったらその日のうちに食べきるようにしてください。食べるまでに少しでも時間を置く場合には、冷蔵庫に入れておきましょう。
味噌をブレンドする
味噌をブレンドすることでも、味噌汁の美味しさをアップさせることができます。先ほど紹介したように、味噌の味わいは種類によってさまざま。種類の異なる味噌を合わせると、風味や旨味が増してより美味しくなるとされているのです。味噌をブレンドするときには、色が反対の味噌や、甘めの味噌と甘みの少ない味噌をブレンドすると美味しくなる場合が多いといわれています。逆に色や味が近い味噌を合わせると、深みがアップするでしょう。
「ブレンドしてみたいけれど、いくつも味噌を買うのはちょっと…」という場合には、米味噌・麦味噌・豆味噌がバランスよくブレンドされた、市販の合わせ味噌がおすすめです。合わせ味噌にはさまざまな種類がありますが、原材料名に記載されている以下のポイントを押さえておくと、好みの味噌が選びやすいでしょう。
- 米や麦が大豆よりも先に表示されている→甘みがある
- 生産地が九州→甘め
- 生産地が東北→甘みが少ない
- 産地表記が細かい→素材にこだわりがある
具材として根菜を使う場合は、水から煮る
ニンジンやごぼう、大根などの根菜を大きめに切って味噌汁に入れる場合には、お湯から煮てしまうと中心部まで火が通らないうちに煮崩れてしまうため、水から煮てください。また煮ている途中にアクが出た場合には丁寧に取り除きましょう。
逆に火が通りやすい食材は短時間で火を通すことで、食感や風味を損なわずにより美味しく仕上げることができます。
おわりに
毎日のように口にするものだからこそ、適切な量の味噌を知っておくことは大切です。高血圧などが気になる方の場合には、味噌の量を控えながらだしなどの旨味を上手に使うことで、減塩しながら美味しい味噌汁を飲むことができます。適切な味噌の量や、今回ご紹介した美味しい味噌汁を作るコツを踏まえながら、毎日の味噌汁をワンランクアップさせてみませんか?