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【医師監修】帯状疱疹でしてはいけない事とは?50代からできる予防法も紹介!

帯状疱疹でしてはいけない事とは?50代からできる予防法も紹介!
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

監修者
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。東京女子医科大学卒、同大学病院東医療センター、都内クリニック勤務を経て、2021年9月に飯田橋駅西口すぐに「富士見スキンクリニック飯田橋」を開院。 皮膚科専門医として患者さまの悩みやご希望をお伺いし、保険診療/美容自費治療の両面から最適な治療方法をご提案しています。

50代から発症のリスクが上がる帯状疱疹という病気をご存知でしょうか。思い当たる事がないのに、身体の一部に痛みを感じたり赤いブツブツが見られたりする場合、ひょっとしたら帯状疱疹かもしれません。

このコラムでは、帯状疱疹がどのような病気であるか、帯状疱疹でしてはいけない事を紹介していきます。あわせて治療方法や予防方法もお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

帯状疱疹とはどんな病気なの?

1.帯状疱疹とはどんな病気なの?

そもそも帯状疱疹とはどのような病気なのでしょうか。ここでは、帯状疱疹の原因となるウイルスや、発症のメカニズムを解説していきます。

帯状疱疹の原因となるウイルスは?

帯状疱疹を引き起こす原因となるウイルスは「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。日本の成人90%以上は、体内にこのウイルスが潜伏しているといわれています。

ヘルペスウイルスの一種であり、ヒトヘルペスウイルス3型(HHV-3)とも称されます。そのため帯状疱疹の事を帯状ヘルペスと呼ぶケースもあります。

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した事がないと、主に発症している方の水ぶくれを触る事によって、水ぼうそうとしてうつる事があります。うつされた方が、最初から帯状疱疹を発症する事はありません。

帯状疱疹発症のメカニズム

多くの方が、子どもの頃に水ぼうそうにかかった経験があるでしょう。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜伏しています。

水ぼうそうと同じウイルスが原因ですが、形を変えて発症するのが帯状疱疹です。通常は、免疫の働きによって抑え込まれているため帯状疱疹は発症しません。

ところが、加齢や疲れ、病気といった免疫力を低下させる要因の重なりでウイルスが再活性化し、神経で炎症が起きて帯状疱疹を発症します。一般的に、高齢になるとともに免疫力が低下するので、ウイルスが再活性化されやすくなります。

50代から発症率が高まり、80歳までにおよそ3人に1人が帯状疱疹を経験するといわれています。そのため帯状疱疹を発症しないように、日頃から体調管理や免疫力低下を防ぐ意識を持っておく事が大切です。

帯状疱疹の症状は?

2.帯状疱疹の症状は?

ここでは、帯状疱疹の症状について解説していきます。

赤い斑点・水ぶくれなどの皮膚症状

帯状疱疹では、時間とともに変化する皮膚症状が見られます。最初に小さな赤い斑点や盛り上がりが数個集まって出現し、次第に水ぶくれへと変わっていきます。

水ぶくれは次第に数が増え、帯状に集まって生じます。その後、水ぶくれは黒ずんだ色や黄色の膿疱(のうほう)になり、6~8日でそれらが潰れ、ただれのようになります。

これらは最終的に乾燥し、かさぶたになっていきます。重症の場合は、水ぶくれが潰れた跡がじゅくじゅくとしたり、膿が溜まったりしてなかなかかさぶたにならない事もあります。

ただし皮膚症状に関しては、一般的には2週間~1ヵ月程度で治癒するといわれています。色素沈着や傷跡が残る場合もあります。

痛みやかゆみ 

帯状疱疹は、皮膚症状として赤い斑点が出現する前に「前駆痛(ぜんくつう)」と称される痛みが数日~1週間ほど続きます。前駆痛の痛みの程度には、刺すような痛みやピリピリ・ビリビリとした痛み、ズーンとした重苦しい痛みなどがあるようです。

その一方で、モゾモゾとした違和感やかゆみ程度で本人も帯状疱疹に気が付かないケースもあります。そして前駆痛の後に赤い発疹が現れると、痛みはさらに強くなる事が多いです。

後遺症 

帯状疱疹の合併症の中でも頻度の高い後遺症として皮膚症状が治った後に起こる「帯状疱疹後神経痛」があります。ウイルスにより傷付けられた神経が過剰に興奮し、痛覚過敏や小さな刺激でも痛みに感じるアロディニアが生じると考えられている病気です。

訴えられる痛みの種類もさまざまで、焼けるような持続性のある痛みやズキンズキンと疼く痛みなどがあります。アロディニアの場合、「シャツが擦れて痛い」「顔が痛くて洗えない」といった日常生活に影響が出る事もあります。

帯状疱疹は身体のどこで発症する?

3.帯状疱疹は身体のどこで発症する?

ここでは、帯状疱疹の発症がみられる身体の部位を解説していきます。

頭や顔面

帯状疱疹は、頭や顔面にも発症します。頭に発疹が現れても髪の毛に隠れてなかなか気付かず、重症化してしまうケースもあるので注意が必要です。顔面の帯状疱疹は、片側の前額部にできる事が多いです。

このとき、鼻の先端部に水疱ができると「眼症状」が生じるリスクがあるため、必ず眼科を受診しましょう。また、外耳道に小さな水疱ができた場合は、顔面神経麻痺やめまい、難聴などの恐れもあるので、耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

帯状疱疹が首に発症した場合は、肩から首筋に激しい痛みが出る事があります。もしくは腕が上がらないなどの運動麻痺の症状が出る場合もあります。首の左右どちらかに出る事がほとんどであり、疱疹は帯のように細長い範囲でできます。

「首が痛い」と感じ、筋骨格系の痛みと間違え整骨院や整形外科、マッサージへ行って治療を始めてしまうケースもあります。帯状疱疹の治療が遅れてしまう事もあるので、痛みがある場合は疱疹の有無を注意深く観察しましょう。

帯状疱疹の症状は腕にも現れ、片側の神経に沿って症状が出るため、左右どちらかの腕や手、肩に痛み・かゆみが生じます。それらに続いて帯状に発疹と水ぶくれが見られ、二の腕の内側がピリピリと痛むといったケースもあります。痛みが続くようであれば放置せず、早めに医療機関で相談しましょう。

背中

背中の片側がピリピリと痛んだりかゆみを感じたりした場合、帯状疱疹の可能性があります。肋間神経痛だと思って治療していたら、発疹が出て帯状疱疹だと気付くケースもあるようです。

背中に帯状疱疹が発症した場合、自身で皮膚の変化が見られないため発見が遅れてしまう事もあります。痛みを感じた時は、家族に皮膚状態に変化が無いかを確認してもらいましょう。

また、帯状疱疹から肋間神経痛が引き起こされる場合もあるので、早めに医療機関を受診するなど対処しましょう。

その他

帯状疱疹は、基本的には身体の左右どちらかに現れますが、まれに両側に発症する事もあります。症例として、帯状の皮膚病変に加え、少し離れたところに水ぶくれなどの発疹ができるケースもあります。

これを、「汎発性帯状疱疹」といいます。ステロイド剤や免疫抑制剤の服用、基礎疾患を有するといった免疫力が低下状態の方に出現する傾向にあるようです。

帯状疱疹でしてはいけない事や注意点は?

4.帯状疱疹でしてはいけない事や注意点は?

続いて、帯状疱疹になった時にしてはいけない事と注意点を紹介します。

患部を冷やし過ぎる

患部を冷やし過ぎると、痛みがひどくなる場合があります。患部は冷やさずに、なるべく温めて血行を良くしてください。しかし、温湿布や使い捨てカイロなどは、かぶれやヤケドの原因にもなるため注意して使用しましょう。

入浴できるようであれば、入浴して身体を温めると良いです。入浴可能かどうかは病状により異なるため、主治医に相談しましょう。

水ぶくれを触る・破る

帯状疱疹の水ぶくれを触っただけでも感染する場合があるので、なるべく触らないようにしましょう。触った時には、手をしっかりと洗うようにしてください。また、水ぶくれが破れると、細菌感染が起き、悪化する可能性があります。

医療機関では、溜まった膿を出すために処置として水ぶくれを潰すケースもありますが、自身で行うのは厳禁です。破れてしまった場合には発疹部をガーゼなどできちんと覆い、他の方への感染を防ぎましょう。

無理をする 

帯状疱疹になってしまった時には、疲労やストレスとなるような無理は禁物です。免疫力の低下が原因で発症する病気ですので、充分な栄養と睡眠を取り、肉体的・精神的な安静を心掛けてください。また、疲労が溜まるような運動もなるべく避けるようにしましょう。

赤ちゃんや高齢者、妊娠中の方との接触

赤ちゃんや高齢者など感染しやすい方との接触は避けましょう。赤ちゃんが帯状疱疹の患者と接触し、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した場合、水ぼうそうになるリスクがあります。

1歳未満の赤ちゃんは水痘ワクチンの2回接種が終わっていないので、特に注意が必要です。高齢者は、免疫力が低下しているため感染リスクが高い状態にあります。

また、妊娠中の方が水ぼうそうにかかると、胎児が新生児水痘(しんせいじすいとう)や先天性水痘症候群(せんてんせいすいとうしょうこうぐん)となる危険性もあります。

帯状疱疹になった時には、妊娠中の方にも近付かないようにしましょう。

自己判断で市販薬を使用する 

痛みやかゆみなど帯状疱疹の症状が出ている場合に、自己判断で市販薬を使用すると副作用が出たり、症状が悪化したりする恐れがあります。

まずは、医療機関へ受診し適切な薬の処方をしてもらいましょう。症状の原因が帯状疱疹ではなく、他の病気である可能性もあるので、自己判断で治療しないようにしましょう。

同居家族とのタオルの共有 

同居家族がいる場合、患部に触れるタオルの共用は避けましょう。帯状疱疹の患者が触った物には、ウイルスが付着している恐れがあります。念のため、タオルなどは別々にしておきましょう。

コンタクトレンズの使用 

顔に帯状疱疹ができた時には、目にウイルスが付着して炎症を起こす危険性があります。主な眼球の症状には、角膜炎(かくまくえん)や虹彩炎(こうさいえん)、強膜炎(きょうまくえん)などがあります。特に、目の充血や痛みがある場合はコンタクトレンズの使用は避けてください。

自然治癒できる? 

5.自然治癒できる?

帯状疱疹は、ごく軽症であれば2~3週間で自然治癒するケースもあります。しかし、早期に治療を開始しないと後遺症が残ったり全身の状態が悪くなったりする恐れもあります。

また、高齢者だけではなく免疫力が落ちている方も要注意です。重症化する事も多く、いつまで経っても強い痛みが残り、深刻な皮膚潰瘍(ひふかいよう)を患うリスクがあります。後遺症を残さないためにも、できる限り早めの医療機関の受診が望ましいでしょう。

帯状疱疹の治療方法

6.帯状疱疹の治療方法

帯状疱疹の治療は、薬物治療が中心となります。一般的に抗ヘルペスウイルス薬や非ステロイド系消炎鎮痛剤などが使われています。水疱ができて72時間以内に抗ウイルス薬を投与すれば、皮膚の病変や痛みの軽減が期待できます。

帯状疱疹に掛かる治療費は、代表的な抗ウイルス薬であるバルトレックスを1週間使った場合、健康保険の3割負担でおよそ7,500円の計算です。どの薬を使うかによって負担額に差は出てきますが、初診料を含めて大体10,000円が目安となります。

最近ではリーズナブルな価格のジェネリック薬も出ており、治療費を抑えられるようになりました。しかし治療の開始が遅く、後遺症で痛みが残れば通院を続けなければならず、治療費の負担はかさみます。

そうならないためにも、早期治療を心掛け、早めに皮膚科を受診しましょう。

帯状疱疹を予防するには?

7.帯状疱疹を予防するには?

ここでは、帯状疱疹の予防方法を紹介していきます。

ワクチンの接種

50代以上は、ワクチンの接種で帯状疱疹を予防する事が可能です。子どもの頃に水ぼうそうを経験した方は、水痘・帯状疱疹ウイルスへの免疫を持っています。しかし年齢とともに獲得した免疫が弱まり、帯状疱疹のリスクが高まっていくのです。

したがって、ワクチン接種により免疫の強化を図る事が望ましいでしょう。帯状疱疹のワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。ワクチンの接種費用の目安は、生ワクチン8,250円、不活性化ワクチン24,200円×2回です。

病院によって価格設定が異なるため、かかりつけの病院へ問い合わせてみましょう。また、お住まいの地方自治体によっては、助成金が出る場合もあります。WEBサイトなどで事前に確認しておきましょう。

免疫力をアップする

帯状疱疹の発症には、免疫力の低下が大きく影響します。元々健康に自信がある方でも、加齢により免疫は低下していくものです。免疫力を高めるためにも、バランスの取れた食事や早寝早起き、充分な睡眠を取るといった健康的な生活習慣を心掛けましょう。

また、適度に身体を動かし、リラックスした時間を過ごすなどストレスが溜まらないようにする事も大切です。忙しい日々が続くと、心身ともに健康的な生活習慣を送る事は難しいですが、そのようなときこそご自身の健康に目を向け、病気を未然に防ぎましょう。

おわりに 

帯状疱疹は、加齢やストレス、疲れなどで免疫力が低下する事により、発症のリスクが高まります。帯状疱疹が重症化すると、後遺症が残り身体の痛みが続く恐れもあるのです。

そうならないためにも、日頃から心身ともに健康でいられる生活を送り、免疫力が下がらないように意識しましょう。また、50代以上はワクチンの接種で帯状疱疹を予防できます。助成金が出る地域もあるので、チェックしてみましょう。

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