「50代に入ってから、急に体力が低下したように感じる」
「運動習慣をつけたいけど、三日坊主になりそうで不安」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。老年医学会の調査によれば、日本人の筋肉量は50歳前後を境に急激に低下してしまう傾向があるとわかっています。 筋肉量が低下すれば、それだけケガや病気にもつながりやすくなりますので、できるだけ毎日の運動習慣で体力をつけておきたいところです。
そこでこのコラムでは、50代から運動習慣をつけるための、おすすめの運動メニューを5つ紹介します。 特に毎日続けやすい難易度の低いものを中心に取り上げますので、これまで運動がなかなか続かなかった方にもおすすめです。
今日から始められる!習慣化しやすいおすすめ運動メニュー5選
難しい理論的なところは後回しにして、早速具体的な運動メニューについて見ていきましょう。 これまであまり運動する習慣がなかった50代の方にもおすすめなのは、こちらの5つの運動です。 それぞれの具体的なやり方について解説しましょう。
- スクワット
- 踏み台昇降
- プランク
- 腕立て伏せ
- ウォーキング
スクワット
人の筋肉は、全体の7割が下半身に集中しているとされています。そこで下半身を重点的に鍛えることで、全体の筋肉量が増えて体力低下を効果的に抑えることが可能になります。「スクワット」は広い場所も器具も使いませんから、テレビを見ながらでも気軽に行えるのもメリットです。
ただし、スクワットは間違ったやり方や間違った姿勢でやってしまうと、膝を痛める原因になってしまいます。それを防ぐためには、お尻を落とすときに膝がつま先よりも前に出ないように意識しながらトレーニングするようにしてください。 もしくは、スポーツジムなどでインストラクターの方に指導を受けながら始めるのもおすすめです。
<スクワットの手順>
- 足を肩幅に開き、「八」の字ではなく「二」の字で並行に立つ
- お尻を後ろに引く感覚で、上半身をそのまま下に落とす
- 太ももと床が並行になるまでお尻を落とし、ゆっくり戻す
- 上記の動作を10回程度繰り返す
踏み台昇降
スクワットが大変に感じたり、膝を痛めるのが不安に感じたりするようであれば、「踏み台昇降」にチャレンジしてみましょう。 踏み台昇降は、段差のある踏み台に上がって下がることを繰り返すだけのシンプルなトレーニングですが、意外と負荷がかかって筋トレ効果も高いのが特徴です。
踏み台にするものは、10〜20cmくらいの高さの安定した段差が作れるものであれば、どんなものでも構いません。踏み台昇降用の台も売られているのでそれを利用しても良いですし、ご自宅に階段があるなら、階段の1段目を利用してエクササイズするのもおすすめです。
テレビを見ながら踏み台昇降したいのであれば、専用の踏み台を用意すると安心です。
<踏み台昇降の手順>
- 背筋を伸ばして踏み台の前に立ち、視線は下がらないように真っ直ぐ前を向く
- 右足を踏み台に乗せて、左足を踏み台に乗せる
- 右足を踏み台から下ろし、左足を踏み台から下ろす
- 20〜30分程度を目安に上下運動を繰り返す
プランク
ブレずにしっかりした体の軸を維持するためには、体幹を鍛えることが大切です。体幹を鍛えるためのトレーニングとして鉄板なのが、「プランク」です。プランクは、腕立て伏せに近い姿勢のまま、お尻が下がってしまわないように体勢をキープするのがポイント。
同じ体勢をキープするだけなので簡単かと思いきや、意外と腹筋に負荷がかかってプルプル震えてしまうことも多いでしょう。こちらも間違ったやり方で続けてしまうと、腰痛の原因になってしまうのでご注意ください。 具体的には、腰の位置が高すぎたり低すぎたりしないように、肩から足首まで一直線になるのが理想です。
<プランクの手順>
- うつ伏せになって、肘を直角に立てる
- 足は肩幅に開き、足首が直角になるようにつま先を立てる
- 肩から足首まで一直線になるよう意識しながら、お尻を持ち上げる
- 10〜20秒キープする
腕立て伏せ
腕を鍛えるイメージのある「腕立て伏せ」ですが、実は鍛えられるのは胸の筋肉です。また、体幹を鍛えることにもつながるので、50代以上の方にもおすすめのエクササイズのひとつです。しかし、筋肉量が落ちていると普通の腕立て伏せは難しいでしょう。 その場合は、まずは膝をついた状態で負荷を小さくして、腕立て伏せをしてみましょう。
<腕立て伏せの手順>
- 肩幅より少し広めに手をつき、膝を床につける
- 背中を丸めないように注意しながら、肘を外側に曲げて体を下に落とす
- 肘を伸ばしながら元の姿勢に戻す
- 10回程度繰り返す
ウォーキング
楽しく運動習慣を身につけるなら、家族や友人と一緒に「ウォーキング」を楽しむのもおすすめです。筋トレをして運動不足を解消しようと思ってしまうと、どうしても続けにくくなってしまうでしょう。それよりも家族や友人と楽しむことを目的にウォーキングを始めれば、三日坊主にならずに継続できるはず。
自然に囲まれた場所を散歩するだけでも気分がリフレッシュされますし、ストレス解消効果も得られるでしょう。ウォーキングも有酸素運動のひとつですから、心肺機能が高まるメリットも考えられます。 まずは毎朝決まった時間に家を出るところからスタートして、運動を習慣化していきましょう。
50代からは運動不足で大きく体力低下。その理由は?
50代になってから体力の低下を実感する方は多いですが、その理由のひとつと考えられるのが筋肉量の低下です。老年医学会の論文によると、日本人は男性も女性も35〜44歳が筋肉量のピークを迎えますが、その後は年齢を重ねるごとに筋肉量が落ちていくことが分かっています。 特に50代、60代、70代と歳を重ねるにつれて筋肉量は大きく落ち込み、これが体力低下につながってケガや病気の原因となってしまうのです。
だからこそ必要になるのが、運動習慣を身につけて筋肉量を維持し、ケガや病気に強い体を作ることです。全身の筋肉量が落ちると、どんどん姿勢も悪化して腰が曲がってしまいやすくなります。 しっかりと運動習慣を身につけて筋トレにも取り組むことで、美しい姿勢を維持することができて年齢よりも若くみられる可能性も上がるでしょう。
運動にはそれ以外にも、生活習慣病の予防やストレス解消、睡眠の質を改善する効果があることもよく知られていますから、ぜひ運動を毎日の生活スタイルに組み込んでおきたいところです。
参照元:日本人筋肉量の加齢による特徴
50代から運動習慣を始めるときの注意点
習慣とは毎日の継続によって作られるものですから、なんとなくの思いつきで運動を始めたとしても、最終的にはなんとなく辞めてしまう結果になるでしょう。 それでは三日坊主の繰り返しで、結局はこれまでの生活となんら変わらなくなってしまいます。そうならないためには、習慣化のコツを押さえながら運動をスタートすることがおすすめです。ここからは習慣化のコツも含めた、50代から運動習慣を始める時の注意点について解説します。
5分ずつでも毎日続ける
何か新しいことを始める際には、週に2〜3回のペースではなく、毎日コツコツと続けることがおすすめです。 例えばウォーキングの習慣も、週に2〜3回、1時間ずつやるのではなく、5分でも良いので毎日続けることが大切です。というのも、毎日同じ時間に同じことを繰り返していけば、自然と体が勝手に動くようになるからです。
逆に週に2〜3回のペースだと、どうしても運動するのを忘れたり後回しにしたりして、途中で挫折してしまう可能性が高まります。そのため、1回当たりの回数や時間は少なくても良いので、毎日必ず同じ時間に取り組むようにしてみてください。
正しいトレーニングはプロから教わる
本格的に筋トレして筋肉量を増やしたいと思うのであれば、一度正しいやり方をプロに教わることをおすすめします。特に負荷の強いトレーニングになるほど、間違った姿勢のままでは関節や腰に悪影響を及ぼしかねません。
最近ではテレビやYouTubeでもトレーニング方法を指導してくれることがありますが、やはり1対1で見てもらうのがベストでしょう。もし近くにスポーツジムがあるなら、お試し入会などを利用して一度プロの方に指導してもらいましょう。
食事の改善もセットで取り組む
人の体の筋肉は、たんぱく質からできています。たとえ運動や筋トレをしっかり行ったとしても、日々の食事にたんぱく質がほとんど含まれていなければ、原料が足りずに筋肉が作られないのです。たんぱく質が多く含まれる食材には、肉や魚、卵や大豆製品などがあります。こうした食品を日頃から多く食事メニューに加えながら、運動習慣を身につけていきましょう。
犬の散歩から始めるのもおすすめ
「一緒に散歩に行く相手もいないし、私にはやっぱり難しそう…」そう感じるなら、生活に彩りを加えるという意味も兼ねて、犬をお迎えしてみるのはいかがでしょうか?犬を飼うとなれば、毎日の散歩は必須です。
自然とウォーキングの習慣が身について運動不足が解消され、地域のコミュニティにも参加しやすくなるのではないでしょうか。60代以降になると、ご自身や犬の寿命を考えれば新しい家族を迎えるのも難しくなるでしょう。その意味では、この先の人生で犬を飼ってみたいと思うなら、今がベストなタイミングともいえます。
具体的に犬を飼う際のメリットやデメリット、かかる費用などは別のコラムでもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
おわりに
筋肉量が落ち始める50代は、今後の人生を考えると運動習慣を身につける重要性が高まるタイミングです。ここで紹介したスクワットや踏み台昇降、ウォーキングなどのメニューを参考に、日々の生活に運動を取り入れてみましょう。ただし、正しいトレーニングはプロから教わるようにして、食事の改善にもセットで取り組むことも忘れないようにしてください。