暑い季節に冷たい食べ物や飲み物を摂取して、体温を下げようとする方は多いのではないでしょうか。しかし、これらの行動は夏バテの原因となり得ます。この記事では、健康的に体温を下げる食べ物やレシピについて解説します。
体温を下げる食べ物とは?
体温を下げる働きがある食べ物としては、主に「夏野菜・果物」や「温暖な地域で採れる野菜・果物」が挙げられます。また、貝類・海藻類も含まれます。
具体的には、以下のような食べ物に体温を下げる効果があるとされます。
<体温を下げる食べ物の例>
夏野菜・果物 | きゅうり なす トマト レタス ピーマン オクラ とうもろこし ズッキーニ セロリ 枝豆 スイカ ナシ ブドウ など |
温暖な地域で採れる果物・野菜 | ゴーヤ バナナ パイナップル マンゴー アボカド など |
その他 | 小松菜 ほうれん草 キャベツ 白菜 豆腐 貝類 海藻類 |
東洋医学では、体を温める食べ物を「陽性」、体を冷やす食べ物を「陰性」の2つに分類します。「陰性」は、主に暑い時期や温暖な地域で採れる野菜・果物、を指します。
陰性の食べ物を摂取することで体温が下がる理由は、「カリウム」や「水分」が多く含まれているためです。カリウムや水分が多い食べ物には利尿作用があり、尿を排出することで体にこもった熱を体外に逃がせるため、体温を下げられるのです。
コンビニで購入できる体温を下げる食べ物とは?
先ほど紹介した体温を下げる食べ物を材料とした食品は、コンビニなどでも販売しています。特に夏場にかけて、多く出回るので、手軽に体温を下げる食べ物を摂取することができます。ぜひ確認してください。
<コンビニで買える体温を下げる食品の例>
調理済み | もずく酢 ひじきの煮物 なす料理(漬物・煮物など) ゴーヤチャンプルー 冷凍枝豆 野菜スティック 野菜サラダ トマトパスタ スムージー など |
素材 | バナナ カットパイナップル とうもろこし 豆腐 など |
コンビニ商品のメリットは、調理する手間が必要なく、そのまま食べられることです。特にバナナやパイナップル、とうもろこしといった手軽に食べられる食品は、おやつにもなるのでおすすめです。
ただし、アイスクリームや氷など冷たい物ばかりを食べるのはおすすめできません。暑さが厳しい時は、つい冷たい商品を食べたくなりますが、身体の中が冷えてしまうと胃腸の働きが悪くなってしまいます。胃腸の働きの低下により栄養が吸収されにくくなり、夏バテを引き起こす原因となります。暑いからといって、冷たい食べ物ばかりを食べて夏バテにならないよう注意が必要です。
体温を下げる食べ物を使った管理栄養士おすすめのレシピ3選
ここからは、体温を下げる食べ物を使用した、簡単に作れるレシピを3つ紹介します。暑い時期でも食べやすい料理ばかりですので、ぜひお試しください。
豚しゃぶと夏野菜のサラダうどん
<材料>(2人分)
- うどん(乾麺):200g
- 豚しゃぶしゃぶ肉:160g
- トマト:1個
- レタス:3枚
- きゅうり:1/2本
- 大葉:3枚
- ★めんつゆ(2倍希釈):100ml
- ★水:80ml
- ★マヨネーズ:大さじ2
- ★すりおろしにんにく:少々
<作り方>
- 鍋に湯を沸かし、うどんを表示時間通りに茹でて冷水でしめる。
- トマトはくし切りにし、レタスは食べやすい大きさにちぎる。
- きゅうりは斜め薄切りにし、大葉は千切りにする。
- ★を混ぜておく。
- 小鍋に湯を沸かし、沸騰したら料理酒(分量外)を大さじ2加えて弱火にし、豚肉を色が変わるまで茹でる。
- 皿にうどん、野菜、豚肉を乗せ、★を回しかける。
<ポイント>
- よりさっぱり食べたい場合は、★からマヨネーズを抜いてごま油とレモン汁を小さじ1ずつ加えるとよいでしょう
- 手軽に作りたい場合は、カット野菜を利用するのもおすすめです
もずくと夏野菜のさっぱり和え
<材料>(2人分)
- もずく酢:2カップ
- オクラ:1パック
- トマト:1個
- ミョウガ:1本
<作り方>
- オクラは板ずりし、湯を沸かした鍋で1分茹でてから、5mm幅に切る。トマトは1cmの角切りにする。ミョウガは縦半分に切ってから斜め薄切りにする。
- ボウルに1ともずく酢を入れ、混ぜる。
<ポイント>
- 千切りにしたショウガを入れると、よりさっぱりとした風味を味わえます
- ビタミンやたんぱく質を含む枝豆を入れると、より多くの栄養素を摂取できます
枝豆とコーンの豆腐焼き
<材料>(2人分)
- 木綿豆腐:1丁
- 枝豆:20さや(茹でたもの)
- 冷凍コーン:20g
- すりおろしショウガ:少々
- ★片栗粉:大さじ2
- ★しょうゆ:小さじ1/2
- ★鶏ガラスープの素:小さじ1/2
- 油:大さじ1
<作り方>
- ボウルに豆腐を入れ、泡立て器などでよく混ぜる。そこにさやから出した枝豆、コーン、ショウガ、★を加えてさらに混ぜる。
- 中火で熱したフライパンにサラダ油をひき、1をスプーンで落とす。両面を2~3分焼き、焼き目がついたら皿に盛る。
<ポイント>
- 崩れやすいのでそっと裏返しましょう
- 油切りしたツナや、割いたカニカマ、細かく刻んだエビなどを加えると、風味が豊かになります
- 味が物足りない場合、お好みでポン酢をつけることをおすすめします
- 洗い物を減らしたい場合は、油以外の材料をすべてポリ袋に入れて揉み込み、袋の端を切ってフライパンに落とすとよいでしょう
夏バテの症状とは
そもそも夏バテは、夏特有の環境による自律神経の乱れや体力の消耗から引き起こされます。特に、室内と屋外の気温差や運動不足、睡眠不足、冷たい物の食べすぎなどは夏バテを引き起こす要因となるため、注意しましょう。
夏バテになると、体に以下のような不調が現れます。
- 疲労感や倦怠感
- 食欲不振
- 頭痛やめまい など
夏バテによる疲労感や倦怠感の症状が現れると、仕事や勉強のパフォーマンスが上がりません。また、プライベートの時間を十分に楽しむことも難しくなります。また、食欲不振でビタミンB1などの必要な栄養素を摂取できない場合、夏バテを助長することになります。
夏バテの状態が長く続くと、頭痛やめまいなどの症状につながる可能性もあります。これらは、熱中症のサインのひとつです。夏バテと熱中症は、一見無関係に見えますが、夏バテが進むと自律神経の乱れから体温調整が難しくなり、熱中症にかかるリスクが高くなります。熱中症は命にも関わる危険な症状となるため、夏場はこまめに水分を補給しましょう。
先述した通り、「体温を下げる食べ物=冷たい食べ物」ではありません。冷たい食べ物を過度に摂取すると、胃腸の機能が低下し、夏バテを引き起こす原因となります。こうした事態を防ぐため、夏場でも温かい食べ物をほどよく摂取するとよいでしょう。
食事以外の夏バテ解消法
夏バテ解消には食事も大切ですが、「生活習慣の改善」も必要です。基本的な生活を整えることで、夏バテのリスクを軽減できます。以下では、食事以外で行える夏バテ解消のポイントを紹介します。
適度な運動を行う
そもそも夏バテは、暑さによる体力消耗が原因で起こります。習慣的に運動を行い、体力をつけることが夏バテ予防につながります。
ランニングなどのハードな運動は必要なく、ウォーキングやストレッチなどできることから始めるとよいでしょう。運動は自律神経のバランスを整え、適度な疲労感により入眠しやすくなります。特に、有酸素運動であるウォーキングは体力向上に効果的なだけでなく、血流が促されて体の冷え改善にもつながります。
ウォーキングは、有酸素運動により汗をかくことで、発汗機能のトレーニングになるというメリットもあります。発汗機能が上手く働かないと、暑い屋外に出た際に一気に大量の汗をかき、多くのミネラルを失います。ミネラル不足は夏バテの原因となるため、有酸素運動で発汗機能も鍛えることをおすすめします。
十分な睡眠をとる
十分な睡眠も夏バテ解消には効果的です。日本の夏は蒸し暑く、夜間でも気温が下がらず熱帯夜になることが多くあります。寝苦しいと睡眠の質が悪くなり、交感神経が優位な状態が続くため、自律神経が乱れてしまいます。
自律神経の乱れは、夏バテを引き起こす可能性を高めます。夏場は、ぐっすり眠れるよう、室内を快適な温度に保つようにしましょう。エアコンを適温(一般的には26℃)に設定して稼働させたり、氷枕などのアイテムを使用することをおすすめします。
栄養バランスを考慮しつつ、体温を下げる食べ物を摂取しよう
夏バテ対策の要は、「体温を下げる食べ物の摂取」と「生活習慣の改善」にあります。
カリウムや水分を多く含む夏野菜や果物を積極的に取り入れつつ、栄養バランスにも注意を払いましょう。また、体を冷やしすぎないよう、温かい食事も適度に摂取し、食事全体のバランスを保つことが大切です。
同時に、適度な運動と十分な睡眠も確保することが大切です。日頃から、ウォーキングなどの有酸素運動により汗をかくことで発汗機能を鍛え、夜はエアコンなどを上手に利用し、良質な睡眠をとることを心掛けましょう。
本記事で紹介したレシピや夏バテ予防のポイントを日々の生活に取り入れることで、元気に夏を乗り切りましょう。健康的な食生活と生活習慣は、夏だけでなく1年を通じてあなたの健康をサポートしてくれるはずです。ぜひ今日から取り入れてみましょう。