突然、背中に激痛が走り身動きが取れなくなる、そんな経験はありませんか?忙しい日常の中で「ぎっくり背中」に悩まされる人が増えています。何気ない動作や長時間の悪い姿勢が引き金となり、急な背中の痛みや筋肉の痙攣が起きてしまうこともあるようです。本記事では、「ぎっくり背中」の原因から、痛みを和らげるための応急処置と治し方、そして再発を防ぐための予防策まで、詳しく解説します。
ぎっくり背中ってなに?

「ぎっくり背中」という言葉、聞いたことがあるでしょうか。突然、背中がズキッと痛くなり、身動きが取れなくなるあの痛みです。ぎっくり背中というのは、一般的に使われている言葉で、背部痛とも呼ばれています。ぎっくり背中は、背中の筋肉やその周りの組織が、軽い肉離れのような状態になることを指します。
イメージとしては、筋肉が引っ張られて小さな傷がつき、炎症を起こしている状態です。この炎症が痛みを引き起こし、動作や呼吸をするたびに痛みが強まることがあります。通常、この痛みは5日から2週間程度続きます。
ぎっくり背中は、長時間同じ姿勢で過ごすデスクワーカーや、運動不足の人、姿勢の悪い人に多い症状です。肩甲骨の可動域が狭く、筋肉が凝り固まっているところに、筋肉を無理に引っ張ると、筋肉が炎症を起こして強い痛みが発生します。
ぎっくり背中が起きる原因
まるで背中を捻挫したような痛みが走るぎっくり背中、一体なぜ起こってしまうのでしょうか?
ぎっくり背中になる原因はさまざまですが、大きく分けて以下の5つが考えられます。
1. 突然の動きが原因
重いものを持ち上げたり、不自然な姿勢をとったりするなど、普段しないような動きをしたときに、背中の筋肉が急に引っ張られ、傷ついてしまうことがあります。
2. 筋肉が硬い
運動不足やストレッチ不足で筋肉が硬くなっていると、ちょっとした動きでも筋肉が傷つきやすくなります。まるでゴムが硬い状態で急に引っ張られたように、何かの動きがきっかけでぎっくり背中を誘発します。
3. 姿勢が悪い
長時間同じ姿勢でいると、筋肉が硬くなり血行が悪くなってしまいます。猫背など、悪い姿勢は筋肉に負担をかけ、ぎっくり背中を引き起こす原因となります。
4. 体が疲れている
体が疲れていると、筋肉が緊張しやすくなり、痛みを感じやすくなります。疲労が蓄積すると、ちょっとした刺激でもぎっくり背中になりやすくなります。
5. 体が冷えている
体が冷えると筋肉が硬くなり、ぎっくり背中になりやすくなります。特に冬場や冷房が効いている場所では注意が必要です。
ぎっくり背中はこれらの原因が組み合わさることで起こることが多いです。普段から運動不足だったり、猫背や姿勢が悪いという人は特に注意が必要です。
整体師が解説!ぎっくり背中の治し方

ぎっくり背中の治し方には、症状の段階に応じた適切な対処が必要です。
今回は、整体師の佐藤さんに適切な対処法を症状の段階別に解説していただきます。
炎症期の対処法
ぎっくり背中になった直後は、背中に炎症が起きている状態です。この状態を「炎症期(急性期)」と呼びます。炎症期は通常1~3日ほど続きます。この炎症期で大切なのは「アイシング」と「安静」です。冷やすことで、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。うつぶせになり、背中に保冷剤やアイスパックをタオルに包んだものを載せ、15~20分程度安静にしましょう。
痛みがひどい場合は無理に動かさず、体を休めましょう。シャワーや運転など、体勢を大きく変える行動は避けるべきです。また、炎症期は患部を冷やすことが大切なので、入浴など体を温める行為は控えましょう。
回復期の治療法
痛みが和らいできたら、入浴などで体を温めましょう。温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が緩和されます。湯船に浸かったり、温湿布を貼ったりするのも良いでしょう。また、痛みがなければ、再発防止のためにも少しずつストレッチを行うこともおすすめです。特に、背中の筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチが効果的です。ただし、痛みが出たり、しびれがある場合はすぐに中止し、無理のない範囲で行うようにしましょう。
痛みが落ち着いてきたら、整体院で施術を受けることもおすすめです。整体師は、患部の状態に合わせて、適切な施術を行います。筋肉のバランスを整えたり、患部周辺の血行を促進しながら、痛みの改善を促していきます。
ぎっくり背中は安静が不可欠
筋肉が傷ついている状態なので、無理に動かすとさらに悪化してしまう可能性があります。安静にすることで、筋肉が休まり、治癒を早めます。ぎっくり背中を放置すると、慢性的な痛みや、可動域の制限に繋がることがあります。また、再発のリスクも高まります。ぎっくり背中になった時は、症状の段階に合わせて適切な対処を行いましょう。
再発を防ぐ!ぎっくり背中の予防策

突然の激痛で身動きが取れなくなる「ぎっくり背中」。一度経験すると、その辛さは忘れがたいものです。しかし、正しい知識と日々のケアで、ぎっくり背中を予防することは可能です。ここからは、ぎっくり背中の予防策について解説していきます。
正しい姿勢を意識する
ぎっくり背中を引き起こす要因のひとつが、「姿勢の悪さ」です。長時間同じ姿勢でいると、筋肉が硬くなり、血行が悪くなってしまいます。特にデスクワークが多い方は、猫背になりがちです。猫背は、背骨に負担をかけ、ぎっくり背中を引き起こす原因となります。また、反り腰の方もぎっくり背中になりやすいと言われています。意識して背筋を伸ばし、肩の力を抜くようにしましょう。
背骨は本来、緩やかなS字の湾曲を持つことで体の動きをサポートしています。この自然なカーブが崩れると、体の動きに制限がかかりやすくなり、背中の痛みや不調を引き起こすことがあります。特に、猫背や反り腰の姿勢が原因で、胸椎の動きが制限され、寝返りを打つ、物を拾う、体をひねるといった動作がスムーズにできなくなり、不自然な力が体にかかることで疲労や痛みが生じやすくなります。日常生活の中で、正しい姿勢を意識しましょう。
運動で心身をリフレッシュ
適度な運動は、筋肉を強化し、柔軟性を高めるだけでなく、ストレス解消にもつながります。運動に慣れていない場合や怪我のリスクが心配な場合は、運動の負荷を調整することが大切です。ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で続けられる運動を選びましょう。
背中、特に胸椎を痛める大きな要因として「回旋運動の不足」が挙げられます。胸椎は体をひねる動作、つまり回旋運動を主に担う関節の一つです。加えて、股関節や腰椎も同じく回旋運動に関わります。これらの部位が十分に動いていないと、背中に負担がかかりやすくなります。背中のこりを解消するには、胸椎と股関節を動かすことがポイントです。1日5分程度のランニングでも胸椎を動かす運動になります。ランニングでは腕を振るため、自然と胸椎も動きます。
ストレッチで筋肉を柔軟に
筋肉の凝りもまた、ぎっくり背中の原因として挙げられます。ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。特に、肩甲骨周りのストレッチは、ぎっくり背中予防に効果的です。毎日少しの時間でも良いので、ストレッチを習慣化しましょう。
佐藤さん:長時間同じ姿勢を続けたり、睡眠不足になったりすると、体は疲れてしまい、ぎっくり背中を引き起こしやすくなります。規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとりましょう。ぎっくり背中を予防するためには、日々の積み重ねが大切です。正しい姿勢を保ち、ストレッチや運動を習慣化させましょう。
【ぎっくり背中予防】腕のストレッチ
- 腕を前に伸ばし、指先を下に向け、反対の手で指を内側に引っ張るようにします。
- 指から前腕までをしっかりと伸ばすイメージで行ってください。
手を使う作業やデスクワークが多い方におすすめの簡単なストレッチです。ポイントは伸ばしている側の肘をしっかり伸ばすこと。少し痛いと感じる程度に伸ばすことで効果が高まります。指を使う筋肉をしっかり伸ばすことで、肩や腕のこり解消につながります。1回30秒を目安に行い、可能な限り何度でも行って大丈夫です。
【ぎっくり背中予防】肩甲骨を寄せて上下に動かす運動
- 腕を曲げ、両肘を体の後方に少し引き、肩甲骨を寄せます。
- その状態を保ちながら、肘をゆっくり上下に動かします。
肘の位置は体より後ろをキープし、肩甲骨が寄った状態を意識しましょう。動作中は肘を伸ばさず、軽く曲げたまま行うのがコツです。動作中にゴリゴリと音がする場合は、肩甲骨の動きが硬い証拠です。継続して行うことで改善が期待できます。無理のない範囲で、痛みを感じたら中断してください。1回の運動は、背中が疲れるまでを目安に実施しましょう。
【ぎっくり背中予防】肘をつけた状態で持ち上げる運動
- 両肘を胸の前でつけます。
- 肘をつけたまま、腕全体を持ち上げていきます。
- 上げられるところまで肘を持ち上げたら、ゆっくり戻します。
この運動では、肩甲骨を外側に動かすことにより、普段使われにくい筋肉を刺激します。肘が離れないように意識しましょう。手の形は自由ですが、肘をしっかりつけておくことが大切です。初めて行うときは、肘が離れたり動作がつらく感じる場合があります。無理せずできる範囲で行いましょう。
ぎっくり背中にまつわるQ&A

ここでは、ぎっくり背中に関するよくある疑問にお答えします。日常生活で役立つ情報や適切な対処法を知って、痛みへの不安を軽減しましょう。
ぎっくり背中でお悩みの方の中には、市販薬で痛みを和らげている方もいらっしゃるでしょう。市販薬は、適切な使い方をすることで、症状の緩和に役立つことがあります。アセトアミノフェンなどの成分が含まれた市販薬は、痛みを抑える効果が期待できます。しかし、用法用量を必ず守り、長時間の服用は避けましょう。 また、他の薬を服用している場合は、薬剤師にご相談ください。
湿布薬には、鎮痛成分が含まれており、痛みを和らげる効果があります。ただし、冷湿布は、時間とともに温まってしまうため、アイシングの効果はありません。冷やす目的で使用する場合は、氷や冷却パックを使用しましょう。
しびれが出る、安静にしていても痛みが治まらないなど、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、医療機関を受診しましょう。病院では、レントゲンなどの画像検査を行い、骨や関節に異常がないかを確認し、痛み止めや湿布の処方、リハビリテーションの指導などを受けることができます。整骨院・整体院では筋肉や関節の歪みを整え、痛みを緩和します。どちらを選ぶか迷った場合は、かかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう。大切なのは、早期に適切な治療を受けることです。
まとめ:ぎっくり背中を理解し、日常生活を快適に

「ぎっくり背中」とは、背中の突然の強い痛みに悩まされる、多くの人が経験する症状です。ぎっくり背中を予防し、快適な生活を送るためには、日頃から正しい姿勢を心がけ、適度な運動を行うことが大切です。この記事では、ぎっくり背中の原因と、痛みを和らげるための応急処置や治し方についてご紹介しました。もし、ぎっくり背中になってしまった場合は、まずはアイシングと安静で応急処置を行い、早めに適切な治療を受けましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。