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生ゴミが堆肥になる「コンポスト」とは?その基本と活用術

生ゴミが堆肥になる「コンポスト」とは?その基本と活用術
たいら 由以子

監修者

LFCコンポスト

たいら 由以子

ローカルフードサイクリング株式会社代表取締役。自身の父親の病気をきっかけに、健康に配慮した無農薬野菜を育てることをはじめ、平成9年コンポスト活動を開始。平成16年、NPO法人循環生活研究所を設立、国内外にコンポストを普及させる。生ごみ資源100研究会を主宰、循環生活研究所理事、コンポストトレーナー、NPO法人日本環境保全ボランティアネットワーク理事など務める。

「生ごみをそのまま捨てるのではなく、何かに活用できないだろうか?」そう考えたことはありませんか?実は家庭で出る生ごみは堆肥に変え、植物を育てることができます。その方法が「コンポスト」です。コンポストは、生ごみを減らすだけでなく、地球環境にも優しいサステナブルな取り組みとして注目を集めています。

本記事では、コンポストとは何か、そのメリットや注意点、そして具体的な活用方法について「LFCコンポスト」のたいら由以子さんにわかりやすく解説していただきました。ごみを減らしたい方や家庭菜園を始めたい方には、ぜひ参考にしてみて下さい。

コンポストとは?

コンポストとは?

コンポストとは、家庭から出る生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の働きで発酵・分解し、堆肥に変える仕組みや、そのための容器のことを指します。有機物を分解することで、植物が効率よく吸収できる栄養素となり、土壌改良に大きく役立てられます。堆肥化のプロセスは、微生物が有機物を分解して増殖する際に発生するエネルギーを利用しており、適切な水分や空気の供給が重要です。

コンポストの種類について知ろう

コンポストの種類について知ろう

コンポストには、庭付き家庭で使いやすい大型の堆肥箱、マンションのベランダにも置けるコンパクトなもの、そして通気性に優れたダンボールコンポストなど、さまざまなタイプがあります。

設置型コンポスト

庭の地面を掘り、その中にコンポスターの底部を埋め込むタイプです。上部にはふたがあり、家庭の生ごみだけでなく、落ち葉や雑草なども投入できます。満杯になった後は、約2~3か月間熟成させることで堆肥が完成します。

回転式コンポスト

生ごみや落ち葉を容器に入れ、回転させることで内部に酸素を取り込み、分解を促進するタイプです。効率的に堆肥化できますが、取っ手などのパーツが壊れやすいため、取り扱いには注意が必要です。

密閉型コンポスト

密閉容器に生ごみと米ぬかや発酵促進剤(ぼかし)を入れて発酵させる方式です。生ごみ自体は完全には分解されないため、発酵後に土に埋めて1か月ほど分解を進める必要があります。上からのガス抜きと、下から水分を抜かないと発酵臭が強く感じられることがあり、特にマンションなどでは使用環境に注意が必要です。

ダンボールコンポスト

ダンボール箱を活用したコンポストで、基材(腐葉土やくん炭など)を入れて生ごみを分解させます。通気性が良く発酵がスムーズに進む一方、湿度管理が必要で、適切に管理しないと虫が発生することもあります。ベランダで手軽に始められ、初心者向けの方法です。

バイオ式電動生ごみ処理機

電力を利用して生ごみを処理する装置で、温風による乾燥式や、資材とともに自動攪拌するタイプがあります。室内で手軽に使用できますが、本体価格が高く、電気代や動作音が発生する点に注意が必要です。

ミミズコンポスト

ミミズを利用して生ごみを分解する方式です。ミミズが生ごみを食べて排出することで堆肥が作られますが、柑橘類など特定の食品は適さないため、投入する生ごみの種類を選ぶ必要があります。

バッグ型コンポスト

バッグ型コンポスト

軽量で持ち運びができ、手軽に生ごみを堆肥化できるのがバッグ型の特徴です。コンパクトなので、都心のベランダなど、省スペースで利用可能です。

私たちが提供しているバッグ型コンポスト「LFCコンポスト」は、生ごみを効率よく分解し、悪臭を抑える独自の基材や、水や虫の侵入を防ぐ特注ファスナーを採用しています。初心者から経験者まで使いやすい工夫が施されており、1日400gの生ごみを約1.5~2か月間投入可能です。その後、約1ヶ月で栄養価の高い堆肥が完成します。LINEのサポートも付いているのでいざという時に安心です。
LFCコンポスト

参照:https://lfc-compost.jp/about

選び方のポイント

このようにたくさんの種類があるコンポストですが、選び方のポイントは、ご家庭のゴミの量や置き場所のスペース、日常的な使いやすさが自身のライフスタイルに合っているか?です。

小規模な家庭菜園を楽しむ方や住宅スペースが限られている場合は、ダンボールコンポストやバッグ型のような小型で手軽なタイプがおすすめです。
また、コンポストのタイプによって、入れていいもの・入れてはいけないものが異なります。事前にしっかりと確認した上で購入、使用するようにしてくださいね

コンポストのメリットと注意点

コンポストのメリットと注意点

コンポストは、生ごみの減量や環境負荷の低減に貢献するだけでなく、家庭菜園やガーデニングにも役立つ栄養満点の堆肥を作ることができ、私たちの生活へのメリットがたくさんあります。しかし、いくつかの注意点も知っておく必要があります。

メリット

コンポストを始めることで、ご自身の暮らしに大きな変化をもたらしてくれるはずです。

生ごみを捨てる負担を減らすことができる

毎日の料理で出る生ごみは、量が多く、臭いも気になるものです。コンポストを利用すれば、生ごみを堆肥に変えることができるため、捨てる手間を減らすことができます。また、生ゴミを都度コンポストに投入すれば、キッチンで嫌な匂いに悩まされることもありません。

集合住宅に住んでいる場合や、生ごみ収集日が少ない地域では、コンポストのメリットは大きいはずです。

ごみが減るので、ごみ袋代を節約できる

コンポストを活用して生ごみの量が減ることで、ごみ袋の使用頻度も低下します。これにより、ごみ袋代の節約や重量制限への対応が容易になり、長期的に見て家計の負担を軽減できるでしょう。

家庭で気軽にエコな取り組みができる

環境問題への取り組みというと、専門的な知識が必要と思われがちですが、コンポストは家庭でも手軽に始められるのが魅力です。ごみの減少や堆肥の完成が目に見えるため、達成感があり、家族や子どもと一緒に取り組めば環境教育にもつながります

できた堆肥は家庭菜園や花の栽培に活用できる

コンポストで作った堆肥は、家庭菜園やガーデニングに活用でき、土壌の栄養バランスを整えます。野菜や花の成長を促し、保水性や通気性を改善し、化学肥料の使用を減らせる環境に優しい肥料です。

環境へのメリット

自分たちだけでなく、環境へのメリットも期待できます。

ごみが減り、自治体が焼却処分するための負担や費用を減らせる

家庭で生ごみをコンポスト化することで、可燃ごみとして出される量が大幅に減少します。日本では家庭ごみの約30~40%が生ごみといわれており、これを各家庭で堆肥化すれば、自治体が回収・処分する必要のあるごみの量を減らすことができます

ごみの焼却が減るため、二酸化炭素の排出量を削減できる

生ごみの焼却には多くのエネルギーが必要でCO₂を排出しますが、コンポストを活用すればこれを削減できます。焼却処理や収集・運搬に伴う化石燃料の使用を抑え、さらに有機物を土壌に固定することで、大気中のCO₂増加を防ぐ効果が期待できます。

堆肥を農家や地域などに還元することで地域内資源循環ができる

コンポストで作った堆肥を農家や地域の緑化活動に活用することで、資源を地域内で循環させることができます。これによって、化学肥料の削減や環境負荷の少ない農業が可能になり、地域コミュニティの活性化や食の安全・環境保全にもつながる、持続可能な循環が生まれます

知っておきたい注意点

注意点として、悪臭の発生や虫の発生を防ぐために、大きなサイズの生ゴミはある程度のサイズに切ることや、水分量を適切に管理することが必要です。

例えば、厚いみかんの皮などを丸ごと入れると混ぜにくくなるため、扱いやすいサイズにカットすると良いでしょう。また、生ごみは軽く水切りする程度で十分で、乾燥させる必要はありません。適度な水分は分解に必要ですが、多すぎると虫が発生しやすくなるため注意が必要ですね。
動物性食品も投入可能ですが、メーカーによっては禁止されている場合があるため、事前に確認しましょう。一方、プラスチックは入れないようにするのが望ましいです。

コンポストでできた堆肥を使いこなそう

コンポストでできた堆肥を使いこなそう

コンポストで作った堆肥は、家庭菜園やガーデニングに活用することで、野菜や植物を元気に育てる力強い土壌を作れます。栄養豊富な堆肥を適切に使うことで、土の保水性や通気性が向上し、健康な作物が育ちやすくなります。しかし、使い方を間違えると根を傷めたり、効果が十分に発揮されなかったりすることも。ここからは、堆肥の活用方法や注意点を詳しく解説し、家庭での土づくりをより効果的にするポイントを紹介します。

完成した堆肥の活用方法

完成した堆肥は、家庭菜園や観葉植物の土壌改良に最適です。堆肥は、微生物による分解を経て、有機物が植物に吸収されやすい形に変化しています。

堆肥は追肥や元肥として活用し、土と混ぜて使うのが基本です。
もし古い土を使用する場合は、日光消毒をして再利用するとよいでしょう。できあがった堆肥には、1~3倍の土を混ぜるのが適切ですが、コンポストの種類によって堆肥の濃度は異なります。
例えば、設置型コンポストは庭の落ち葉や雑草を多く含むため、それほど濃厚にはなりません。適切に調整しながら、植物の成長をサポートしましょう。

植物が元気になる堆肥にするには?

コンポストの堆肥で植物を元気に育てるためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。

まず、しっかり熟成させることが重要ですね。未熟な堆肥を使うと分解が途中で止まり、土壌のバランスが崩れたり、悪臭や害虫の原因になることがあります。発酵が十分に進み、土のような香りになったら使用のタイミングです。
次に、土と均等に混ぜ合わせることがポイントです。堆肥の栄養を植物が吸収しやすくするため、1~3倍の土としっかり混ぜ、土壌全体に栄養を行き渡らせます。
また、生ごみの種類を偏らせず、バランスよく投入することも大切です。野菜くずや果物の皮だけでなく、茶殻や卵の殻など多様な有機物を混ぜることで、栄養のバランスが整い、より良い堆肥になります。
これらのポイントを意識することで、植物が元気に育つ質の高い堆肥を作ることができますよ。

余った堆肥の保管方法は?

作りすぎてしまった堆肥は、乾燥させて保管するのがおすすめです。完成した堆肥をしっかり乾燥させた状態でポリ袋や密閉できる容器に入れれば、2~3年ほど保存が可能です。余った堆肥を地域のコミュニティや近隣の家庭菜園をしている方にシェアするのもいいでしょう。他にも、花壇や樹木の根元にまくことで、不要な堆肥を有効に活用できます。

バッグタイプのものは、そのまま入れておけばすぐに乾燥してくれるのもメリット。バッグなので持ち運びもしやすく、そのまま庭や畑に持っていきやすいのも楽ですよ。

まとめ:コンポストを取り入れてエコな生活を

まとめ:コンポストを取り入れてエコな生活を

コンポストは、家庭で手軽に実践できるサステナブルな取り組みです。生ごみを堆肥にすることで、環境への意識を高めるとともに、食品ロスの削減にもつながります。こうした日々の工夫を積み重ねることで、持続可能な暮らしを実現し、より良い未来を築く一歩となるかもしれません。

コンポストは思ったよりも楽しく、みんな「もっと早く始めればよかった」と口を揃えておっしゃいます。
また、コンポストは移動することなく、自分の手で資源を循環させられるんです。ほかのごみ処理方法と比べても、非常にエコな取り組みですよね。小さなプランターで育てた野菜でも、驚くほど美味しく育つので、ぜひコンポストを通じて新しいエコ活動を始めてみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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