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実は塩分不足のサインかも。正しい塩分の摂り方を身につけよう

セゾンのくらし大研究 編集部

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健康な身体を維持するために塩分は欠かすことができません。中高年になると、塩分を摂り過ぎないよう注意している方は多いかと思いますが、厳しい暑さが続く真夏などでは、逆に塩分が不足することもあります。塩分不足の状態を長引かせて、重篤な症状が出る可能性もあります。本記事では、塩分不足の原因と症状、正しい対処法についてご紹介します。

塩分は身体でどんな働きをする?

塩分は身体でどんな働きをする?

人間が日常的に摂取している塩分は、塩化ナトリウムを主成分とする物質です。体内でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれて吸収されますが、どちらも健康を維持するために重要な働きをしています。

細胞に酸素や栄養を届ける

人間の細胞は、細胞外液という液に囲まれています。塩分(ナトリウムイオン、塩化物イオン)は細胞外液に多く含まれいて、細胞外液の量を維持しており、これにより全身の細胞に酸素や栄養分が運ばれ、また細胞でできた二酸化炭素や老廃物が肺や腎臓に運ばれて排出されます。

体内のミネラルバランスを整える

塩は細胞外液の濃度を維持し、細胞が正常に働くのを助けています。 人間の体液に溶け込む塩分の濃度は、生理食塩水と同じ約0.85%。細胞外液の塩分濃度が低くなると骨の中に存在するナトリウムイオンが放出され、また反対に細胞外液の塩分濃度が高くなるとナトリウムイオンが骨に吸収されることで体液の塩分濃度の調整をしています。

栄養の消化吸収のサポート

 身体の中に存在するカリウムイオンは胃酸のもとになって胃で食べ物を消化したり殺菌したりします。また、ナトリウムイオンは、小腸で、アミノ酸やブドウ糖などの栄養を吸収するために必要です。 

脳や体に情報を伝える

 温かいものや冷たいものを触ったときなど、その刺激を脳に伝えたり、脳から手や足を動かすように筋肉に命令を伝えたりするのが神経細胞です。ナトリウムイオンは、神経細胞が刺激や命令を伝えるときに必要です。

塩分不足が起こる原因とは?

H塩分不足が起こる原因とは?

実際問題、体内の塩分は腎臓の働きにより一定に保たれているため、通常の食生活を送っている場合、塩分不足に陥ることはほとんどありません。しかし、食事摂取量の減少、暑い環境下での作業やスポーツによって大量の汗をかいたとき、下痢や嘔吐、熱中症など原因塩分不足陥ってしまうことがあるので注意が必要です。

塩分不足の症状をチェック!

塩分が多少不足するくらいでは自覚症状はありませんが、不足が進むと、さまざまな不調を感じるようになります。主な症状は以下になります。

・頭痛

塩分不足の症状の代表例が頭痛です。塩分が不足すると血流が悪くなり、身体のすみずみに必要な栄養素が行き届かなくなるため、身体がSOSのサインを出すのです。 

 ・倦怠感

塩分不足の症状による倦怠感は、ナトリウムが不足すると起こる症状の一つです。この状態が続くと身体の水分が適切に調整されず、脱水症状や体力の低下を引き起こす可能性があります。

・吐き気

塩分が不足すると、ナトリウムが不足し、吐き気などの症状が出ることがあります。 

・痙攣

塩分不足が深刻化すると筋肉の収縮を調整する機能が落ちるため、足がつったり、筋肉が痙攣するなどの症状が現われます。 

・意識障害

塩分不足による意識障害は、水を大量に飲んで体内の塩分濃度が一気に下がることで起こるとされています。神経伝達が正常に働かなくなるため、注意が必要です。

塩分と上手に付き合うためにできること

塩分と上手に付き合うためにできること

多くの場合摂り過ぎに注意が必要な塩分ですが、不足に陥らないことも大切です。まずは自分が必要な塩分摂取量を知り、上手な摂り方を学びましょう。

塩分の必要摂取量を知る

厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、塩分は摂取量減少を目指すものと位置づけられています。目標量(食塩相当量として)は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」よりもさらに減少し、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満、高血圧及び慢性腎臓病の重症化予防のためには、男女とも1日当たり6.0g未満と設定されました。

近年における日本人の成人1人1日当たりの摂取量は、食塩相当量として男性11g程度、女性9g程度であり、以前に比べ減少しています。しかし、WHO(世界保健機関)が成人の目標量としている1日5g未満と比較すると、依然として高いレベルにあるのが現状です。

出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」
出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要
食塩摂取量の平均値の年次推移(20歳以上)(平成19~29年)

出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要

熱中症対策時の塩分の摂り方

私たちが日常生活のなかで、塩分不足に気をつけなくてはならないのは主に大量の汗をかいたときです。高温多湿の屋内外で長時間の労働やスポーツなどにより汗を大量にかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまいます。その状態で水分補給だけを行うと、体内の水分やミネラルのバランスが崩れて体温が上昇し、さまざまな熱中症の症状が出現します。

汗を大量にかいたときは、水分とともに塩分を補給しましょう。厚生労働省では、熱中症対策として100mlあたりのナトリウム量が40〜80mg(食塩相当量が0.1〜0.2g)の飲料を推奨しています。

水分とミネラルを効率よく補えるという点で、スポーツドリンクは最適です。また、医学的知見から水にナトリウムやカリウムなどの塩分と糖分を一定の割合で配合設計されたは経口補水液は、スポーツドリンクに比べて糖分は少なく塩分が多く配合されており、より素早く水分・塩分を補給することができます。

夏の外出時には、梅干しや塩あめ、塩分入りタブレットを持ち歩き、熱中症にならないよう適切な塩分補給をおすすめします。

塩分の摂り過ぎにも要注意!

塩分の摂り過ぎにも要注意!

塩分の摂取量を年齢階級別にみると、男性では20〜30歳代、女性では20代が最も少なく、男女とも60代が最も高くなっています。

出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」
出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要
食塩摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢階級別)

その原因として、生活習慣の変化により加工食品を食べたり外食をする機会が増えたこと、味噌や醤油をはじめとする調味料や漬物や干物などの加工食品など、日本人は食塩を多く摂る食習慣が根づいていることが考えられています。

 塩分を摂り過ぎるとむくみや口の渇きのほか、高血圧を始めとするさまざまな疾患のリスクを高めるため、塩分の摂り過ぎにはくれぐれも注意するようにしましょう。

まとめ 適量の塩分を効率的な方法で摂取し、熱中症を予防しよう

まとめ 適量の塩分を効率的な方法で摂取し、熱中症を予防しよう

現代の日本人の一般的な食習慣では、塩分不足よりも摂りすぎの方が問題となりやすいので、老若男女問わず日頃は減塩を意識して生活することが大切です。ただし、近年は地球温暖化による気候変化から、熱中症になる人が急増しており、予防の一貫として塩分と上手な付き合い方を身につける必要があります。

特に夏場に汗を多くかいたときは、水分だけではなく塩分も補給が不可欠。自分の年齢やライフスタイルに合わせて上手に塩分を摂取することで熱中症はもちろん、夏バテや不調を回避しましょう。

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