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【研究者執筆】気になる汗のにおい。体臭や加齢臭の原因と解消方法について

【研究者執筆】気になる汗のにおい。体臭や加齢臭の原因と解消方法について
久加 亜由美

監修者

株式会社マンダム 先端技術研究所 ライフサイエンス研究グループ

久加 亜由美

2008年入社 製品開発(ヘアスタイリング剤やスキンケア)を4年経験。2012年より体臭研究に携わり、デオドラントの基礎研究として、汗・におい、殺菌や消臭などについて研究を進めている。臭気判定士資格を2015年に取得し、体臭研究に生かしており、発汗やにおいのメカニズムから、対処法まで幅広く語れる。脇汗をリアルタイムで測定できる評価系を確立したことで、制汗研究を拡張させた。

ジメジメと蒸し暑い季節は、汗の臭いや体臭が特に気になるもの。周囲に不快感を与えないためのエチケットとしてはもちろん、コンプレックスの解消や、他者とのコミュニケーションを円滑にするために体臭ケアは必要です。「汗とにおいに関する研究」を続ける、株式会社マンダムの研究員、久加亜由美さんに体臭のメカニズムや種類、体臭対策について伺いました。

汗はにおう?体臭の発生メカニズム

汗はにおう?体臭の発生メカニズム

実は汗や皮脂は分泌された直後にはにおいません。しかし、時間が経つにつれて皮膚上で汗が皮脂と混ざり合い、さらにその汗や皮脂を細菌が分解したり、大気中の酸素や過酸化脂質による酸化によってにおい物質が発生します。

身体のにおい(体臭)の元となるのは、主に身体から分泌される汗と皮脂、そして皮膚上の常在細菌です。皮膚に存在する汗腺からは2種類の汗(エクリン汗・アポクリン汗)と、皮脂腺からは2種類の皮脂(皮脂腺から出る皮脂・角質層の中にある脂質)が分泌され、それぞれが「においの材料」となります。

体の部位によってもにおいは異なる

体の部位によってもにおいは異なる

身体の部位によってにおいが違うということをご存知でしょうか。それは身体の部位によって「臭いの材料」が違うために起こります。「臭いの材料」とは、2種類の汗(エクリン汗・アポクリン汗)と2種類の皮脂(皮脂腺から出る皮脂・角質層の中にある脂質)で、それらの組み合わせによって、発生するにおい物質も変わるためです。

頭部

首の後ろ、耳の後ろを含む頭皮は皮脂が多く、油っぽいにおいを発生します。特に、首の後ろは男性の30代半ばから50代にかけて発生する「ミドル脂臭」が発生しやすい部位です。使い古した油のようなにおいが特徴です。

よく首や耳の後ろから加齢臭が出やすい、と思われていますが、耳や首から発生していると思われている体臭は後頭部付近から発生する年齢特有のミドル脂臭の可能性があります。

ワキ

ワキには2種類の汗(エクリン汗・アポクリン汗)が発生し、かつ、蒸れやすいこともあり強いにおいになりやすい部位です。ミルクのようなにおい、お酢のようなすっぱいにおい、スパイスのようなにおいなど、7タイプのにおいの種類から構成されており、9割以上の方が他人が気づく程度のワキのにおいを持っているといわれています。

胴体

胸や背中などの胴体部分は皮脂の酸化により枯れ草のような加齢臭が発生しやすい部位です。

足は靴や靴下によって蒸れやすいこともあり、においが発生しやすい部位です。納豆のようなにおいがするとされています。足用のデオドラント剤を使用したり、入浴時には指と指の間や爪周りなども入念に洗うことがおすすめです。

体臭のポイント

体臭のポイント

体臭は個人差がありますので、一概に男女で分けられるものではありません。ただし、ワキ臭は一般的に男性の方が強い傾向にあり、年齢とともににおいの強さは落ちていきます。一方で女性は男性よりにおいの強さは低いものの、年齢によって強さの変化はみられません。

また、頭皮臭は男女で異なる傾向があり、男性は30代半ば~50代半ばに「ミドル脂臭」が、女性は40代に水っぽい蒸れたようなにおいの「汗様臭」が発生することが明らかになっています。

男性の身体から発生する臭いは、大きく「汗臭(ワキ)」「ミドル脂臭」「加齢臭」の3種類あります。それぞれの臭いは、年代によって強さのピークが違います。また、それぞれ臭いの原因や発生部位が異なるため、においの種類ごとに効果的な対策をとる必要があります。

汗臭(ワキ臭)とその対策

古くなった角層(垢)と、エクリン汗、アポクリン汗、皮脂が皮膚上で混ざり合い、皮膚上の常在細菌がそれをエサに増殖し、代謝・分解することで発生するのが汗臭(ワキ臭)です。汗をかきやすいワキを中心に発生し、酸っぱい臭いが特徴です。新陳代謝が活発な10代半ば~20代半ばに強く感じます。

  • 代謝の活発な10代半ば~20代半ばに強くなる
  • 皮脂と汗を、常在細菌が代謝・分解することで発生
  • ワキを中心に発生する
  • 酸っぱい臭いが特徴

汗臭の対策のポイントはデオドラント剤を「汗をかく前に使うこと」です。汗をかいた後にデオドラント剤を使用している方もいらっしゃるかと思いますが、仕込みのケアこそ大切です。においの発生原因は「汗・皮脂」と「常在細菌の増殖」なので、その二つを抑えるために汗をかく前にロールオンタイプやスティックタイプなど密着力の高いデオドラント剤を使用し、汗を抑え、肌の表面を殺菌することで体臭を予防できます。またそれでも汗をかいてしまった場合には、汗拭きシートや濡れたタオルなどで汗をこまめに拭き取り、可能であれば気になる箇所にはデオドラント剤を塗り直してください。

ミドル脂臭とその対策

皮膚上の常在細菌が皮脂・エクリン汗をエサに増殖し、代謝・分解することで中鎖脂肪酸・ジアセチルが生成され、その中鎖脂肪酸とジアセチルの臭いが混ざり合うことで発生するのが「ミドル脂臭」です。使い古した油のような臭いで、加齢臭より広がりやすく、臭いの強さは40代でピークを迎える傾向にあります。特に女性の多くが不快に感じるという特徴を持っています。

  • 30代半ば~50代半ばが強い
  • 汗中の乳酸を、常在細菌(ブドウ球菌)が代謝することでジアセチルが発生
  • 皮脂由来の中鎖脂肪酸と混じって「ミドル脂臭」に
  • 後頭部を中心に発生する
  • 使い古した油のような臭いが特徴
  • 枕が臭う原因にもなっている

ミドル脂臭は頭頂部から後頭部から発生しやすい体臭です。そのため、毎日の洗髪がにおいを予防するポイントになります。洗髪で気を付けていただきたいのは、しっかりと頭皮の脂を落とすことです。シャンプーをつける前に予洗いを1分程度しっかり行う、また「頭皮を洗う」という意識で頭皮を優しくマッサージするように洗います。においが気になる方は二度洗いも効果的です。洗った後はドライヤーで頭皮までしっかり乾かしましょう。

加齢臭とその対策

加齢により皮脂中の脂肪酸(パルミトレイン酸)が増加し、大気中の酸素や過酸化脂質より皮膚上の脂質が酸化され、脂肪酸が2-ノネナールに変化して発生するのが「加齢臭」です。40歳以降に少しずつ出始め、50歳以降に本格化するのが特徴です。皮脂成分が酸化されることで、胸や背中などの体幹部を中心に発生し、枯草のような臭いが特徴です。

  • 50代半ば以降から本格化
  • 皮脂成分が酸化されて発生
  • 胸や背中などの体幹部を中心に発生
  • 枯草のような臭いが特徴

加齢臭は汗臭やミドル脂臭と異なり「皮脂の酸化」が原因です。そのため、皮脂が酸化する前に拭き取りを行うことで対策ができます。においが発生しやすい胸や背中のあたりをこまめに汗拭きシートなどで皮脂を拭き取ってください。また、においが発生しやすい胸や背中から衣服に皮脂がついてしまうこともあります。そういった場合には衣服ににおいが蓄積してしまうこともありますので、衣服用の消臭スプレーなどを使用するのもおすすめです。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)
  • 体臭を防ぐ方法にはどんなものがある?
    • デオドラント剤の使用や汗をこまめに拭き取ること、毎日入浴してにおいが気になる箇所を入念に洗うことも体臭対策になります。
  • デオドラント剤やデオドラント製品の効果的な使い方は?
    • デオドラント剤は「汗をかく前」に使用することで体臭の予防になります。ロールオンやスティックタイプのデオドラント剤は密着力が高く、直接塗りこめることから、特ににおいが気になるワキのケアにおすすめです。胸や背中など広範囲に使用したい場合や、汗対策だけでなくガスによる冷却効果も感じたい方にはスプレータイプのデオドラント剤がおすすめです。また、汗拭きシートは外出先などでの汗をかいた後のリセットケアとしておすすめです。においが特に気になる方は汗拭きシートで汗を拭き取った後に、ロールオンやスティックタイプ、スプレータイプなどのデオドラント剤を塗りなおすと効果的なケアができます。
  • 生活習慣で体臭を抑えることはできる?
    • 入浴は毎日することがおすすめです。夏場は特にその日にかいた汗をしっかり流すことが翌日のにおい対策の基本になります。入浴時に身体をしっかりと洗い、肌を清潔な状態に保つことが体臭を抑えるケアの基本です。特に汗をかきやすいワキ、背中、胸、頭皮などは念入りに洗い、足は指の間や爪周りまでしっかりと洗うことが大切です。

まとめ 気になるにおいの原因を知って体臭を解消 

まとめ 気になるにおいの原因を知って体臭を解消 

体臭対策の話をしてきましたが、体臭は個性の一つでもあります。決して体臭が「悪」というわけではありません。しかし、体臭による不安で人とのコミュニケーションを躊躇してしまったり、自分らしいパフォーマンスが出せない、ということは誰しも避けたいことだと思います。汗とにおいはタイミングや悩みに合わせたアイテムを使用することでケアできますので、お伝えしたケアを実践していただき、自分らしく日常生活を過ごしてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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