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イマドキの子育て事情「子育て世代」に必要なサポートとは?

イマドキの子育て事情「子育て世代」に必要なサポートとは?
峯田昌 助産師

執筆者
峯田昌 助産師

母乳育児支援を専門とする助産師、BSケアプレゼンター、日本助産評価機構認証アドバンス助産師、看護師、保健師。 これまでの母乳育児相談・育児相談は、延べ10,000人。専門家向けの母乳育児支援・育児に関する講義、保護者向け講座を開催し、わかりやすい、育児を楽しめるようになると定評がある。夫と3人の子どもたちと沖縄県に移住して活動中。 「困ったお母さんを絶対に一人にしない」気持ちでとことん寄り添い、心も身体も癒されるとお母さんたちから信頼が厚い。 著書:「泣いてもいいんだよの育児」 自由国民社 

今の若い親たち、また娘さん、息子さんを見ていて、今の子育ては、昔と違うなと思うことが多いのではないでしょうか?育児の環境もママ・パパの意識も、ご自身が親になってから、いろいろ変わってきています。イマドキの子育て事情を知って、若いママやパパ、お孫さんと関わると喜ばれるでしょう。イマドキの良いところも活用していくと楽しいです。

社会全体が赤ちゃんに、そしてママとパパに優しくなると良いと思います。未来ある赤ちゃん、希望が詰まった赤ちゃんに優しい世の中を目指しましょう。今回は、「子育て世代」への理解を深めるためのイマドキの子育て事情についてまとめました。

1.核家族で子育ての現状

核家族で子育ての現状

1-1.夫婦でバタバタの毎日

核家族の増加で、夫婦二人で育児を担うことが増えてきています。内閣府の「男女共同参画白書 令和4年版」(2022年)によると、夫婦のいる世帯全体の約7割が共働き世帯です。経済的には、平均世帯収入は増えていますが、生活や子育てにかかる費用も明らかに増えているので、決して経済的な余裕があるとは実感していないでしょう。

他の月齢のような「持ち上がり」がないため、0歳児のほうが保育園に入りやすいことから、早めに0歳児を保育園に入園させて仕事復帰する方がいます。本当は、「もう少し育児に専念したいのに」という声も聞こえることがあります。また、母親のワンオペ育児と家庭保育が大変過ぎて、早期に仕事復帰を選ぶ方、また経済的なことを考えて復職される方もいます。それでも保育料の負担で、どうするのが最適なのか悩んでいる方もいます。いずれにしろ、赤ちゃんを育てながらのお仕事は、本当に大変そうです。

赤ちゃんや子どもたちに対して「早く、早く」が口癖になることで、「こんな生活でいいのか」「本当はどうしたいのか」など悩んでいるママも少なくありません。家族にとって何が良いかは、ママの気持ちや家族の状況で違います。お仕事をしている方も、家庭保育をしている方も、いろいろな悩みを持ちながらも日々一生懸命子どもを育てているのは、すごいことだと社会全体で理解したいです。

1-2.「子育て」は「孤育て」?

コロナ禍で、人と関わる機会が減っています。新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行後も、影響はまだまだ残っています。「子育て」を「孤育て」と表現する方がいるくらい孤独感を感じて育児している人たちがいます。家庭保育をしている時期には、特にそのような気持ちになりやすいです。「ひとつのいのちを育てる」ということは、何にも変えられない素晴らしい仕事なのです。しかし、ご本人がそう感じる余裕がない方もいます。

ぜひ、「子育て」の価値を、今の日常がどんなにすごいことをしているかを周りの方から機会があるごとに繰り返し伝えてほしいと思います。買い物中に「赤ちゃん、可愛いね」や「お母さん、頑張ってるね」と言われたり、電車に乗るときに、ちょっとした配慮をしてもらえたり、全くの他人からの言動であっても、ほんの少しのことでも、涙が出るほど嬉しいと聞きます。

1-3.責任の重圧に押しつぶされそうになる

夫婦で子育て、本当に頑張っています。特に、子どもと多く向き合う時間の多いママは、「いのちを育てる」ことがプレッシャーになっていることがあります。「子どもを育てる責任の重圧に押しつぶされそうになる」こんな言葉が聞かれます。自分が立派な完璧な母親でないことに自信を無くしていることがあります。

実際に、完璧な母親はいるのでしょうか。赤ちゃんと日々過ごしているだけで、素晴らしいことですよね。赤ちゃんが大切過ぎて心配な気持ちが表れているのでしょう。

そのようなママには、「あなたは、頑張っているから大丈夫」「一生懸命やっているから大丈夫」「赤ちゃんは、ママのそんな気持ちをわかっているから大丈夫」と、今、この瞬間を認めることを繰り返し伝えてあげてくださいね。

病院に行くほどではないけれど、ちょっとした気になることを聞く機会が、現在はとても少ないです。気になることをすぐに聞ける人がいるといいですね。親や姉妹、親しい友人がいれば安心です。身内がいなければ、行政の保健師や地域の助産師につながるのをおすすめします。リアルに相談できる人を持っているかどうかで、育児を楽しめるかが随分変わってきます。

2.子育て情報はSNS・インターネットから

子育て情報はSNS・インターネットから

子育て中の情報は、SNSからが多くを占めます。スマホを見れば、誰でも最新のあらゆる情報が得られます。便利な商品は、日々開発され、使用した人の口コミも参考にできます。インターネットで数多くの商品を比較し、そして自宅からすぐに購入し、数日後には手にすることができます。これは、数十年前には、考えられなかった便利な世の中です。わからないこと、困ったことがあれば、すぐに検索して答えを探すことができるのが、イマドキの育児です。

2-1.SNS・インターネットの情報過多が大問題

SNS・インターネットの情報過多が大問題

SNS・インターネットは、情報を得るのに便利ではありますが、情報の多さに翻弄されている人も実は多いのです。商品を買い求めようとしても、あまりに種類が多く少しでも楽になればと、似た機能の多くの商品を買い求めていることがあります。

赤ちゃんの安眠のためのグッズを数多く持っている方にたびたびお会いします。赤ちゃんの寝かしつけにどれだけ苦労しているのでしょう。赤ちゃんが寝ないことを大問題に考えていますが、私は、ママの睡眠不足と精神状態が心配です。

2-2.子育ての疑問は、ネットでは解決しないかも

子育ての疑問は、ネットでは解決しないかも

疑問があれば、インターネットですぐに答えを見つけて解決できる時代です。でも子育ての疑問は、そうはいきません。答えがない子育てについては、ネット検索を続けることで、さらに迷いが深くなってしまうことも多いです。心配事について複数のサイトを検索すると、異なる答えが出てくることもあり、どうしたら良いかわからなくなってしまいます。

赤ちゃんの発達のことや、身体のことで心配事を検索して、自分の赤ちゃんがまるで異常かのような、何か病気であるような気持ちになってきてしまう方も多くいらっしゃいます。検索することにより安心できたり、必要な支援に結びついたりするのなら良いのですが、かえって心配が増えていることもあります。

いろいろな人と出会えるリアルな機会があれば解決できることかもしれません。近所の人に「大丈夫よ〜」と言われる機会があったり、泣いている赤ちゃんを見て「元気だね〜」と言われたり、同じ月齢でも成長発達の個人差が多くあることがわかれば、少々の発達の遅れは気にならなくなるかもしれません。リアルな出会い、触れ合いが圧倒的に少ないのがイマドキです。インターネットでさらに不安が募ると自覚を持ったママは、「インターネットの検索魔は、やめました」と言っています。

2-3.目指すは「キラキラ子育て」?

SNSを見ると若くてきれいなママが笑顔で発信されています。離乳食の写真もとっても可愛く凝ったものが出てきます。イマドキのママは、そんな「キラキラした子育て」に憧れているかもしれません。子育てしていても若くて綺麗なママ。子育ても楽しみ、自分の時間も楽しみ、素敵ですよね。

それができるママは良いのですが、「自分にはできない」とプレッシャーになっているママもいます。自分のありのままで、自分のできる方法で、自分らしく目の前の子どもに向かっていけば良いのです。

SNSなどで、周りと比べてしまったり、平均と同じでないことに心配になることもあります。しかし、成長発達も個人差が多くあります。赤ちゃんの性質も、ママの性格も違います。目の前の赤ちゃんを見ながら育児をすれば良いのだという視点をお伝えできたらいいですね。「いのちを育てる」という大変に思えることも、面白がれたり、赤ちゃんのすごさや赤ちゃんの育つ力を感じられたりしたら素敵です。そのようなことを、人生の先輩から、機会あるごとにお伝えしてもらえたらと思います。

3.パパも自分事の育児を

パパも自分事の育児を

3-1.パパの育児休業取得

厚生労働省の実施した「2022年度雇用均等基本調査」によると、2022年度の女性の育児休業取得率は80.2%、男性は、17.13%。男性の取得率は、2025年の目標50%を考えると、まだまだですが、年々上昇しています。短期間ではなく、3ヵ月、1年育休を取る男性も出てきています。長く取得しているパパに聞いてみると、ママに頼まれたからではなく、自分が育児をしたいという気持ちで取得しているように見受けられます。とても良いことです。育児のスタート、赤ちゃんの成長を見られることは、なんとも素晴らしいことです。

また、大変な時期に夫婦で試行錯誤しながら乗り切ったことは、夫婦にとってかけがえのない経験になります。育児休業の制度が改正されたことで、経済的なことなど夫婦の不安が減ることを今後期待したいです。夫婦が、育休を取ることを検討していたら、ぜひすすめてあげてほしいと思います。

3-2.パパの育児休業の注意点

ただ注意点があります。夫の育児の様子に満足しているママがいる一方、もっと育児してほしいとパパに不満を持つママも実は多くいます。パパは、授乳以外のことは、何でもできるという気持ちで関わっていかなければなりません。ママの手伝いではなく、まさに自分事とパパが捉えることが必要となってくるでしょう。当たり前ですが、育児休業が終わっても、育児は決して終わりません。

「育児休業」という言葉ですが、東京都では「育児休業」ではなく「未来を育む大切な仕事」として、愛称を「育業」としています。育児は「休み」ではなく、育児の時間を「尊い大切な時間である」という認識を誰もが持てる社会になることを望みます。夫婦で、子育てに集中した期間は、長い目で見ると、夫婦のためだけではなく、会社のためにも、社会のためにも意義のあることでしょう。社会で支え、助け合えたらと思います。

4.イマドキ子育てのサポート

ここからはイマドキ子育てをサポートするサービスや商品をご紹介いたします。

4-1.行政の子育て支援

子育て支援の状況は、イマドキの育児の事情を考えるとまだ充分とはいえません。2019年12月に産後ケア事業が法制化※し、2025年までに全ての市町村で産後ケア事業を実施することが努力義務となっています。市町村の取り組みには、地域格差があるのが現状です。申請しないと利用できないのでお住まいの市町村に確認すると良いでしょう。行政の支援ではなくても、民間のベビーシッター、家事代行サービス、食事の宅配サービスなども積極的に活用したいものです。

※「母子保健法の一部を改正する法律」により、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女性及び乳児に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てをできる支援体制を確保するもの。宿泊型、通所型、訪問型があります。

4-2.育児に便利なおすすめ家電3選

赤ちゃんと向き合うことは、なかなか時短でとはいきませんが、家事にかかる時間をとことん時短するのに便利な家電が活躍します。思い切ってそろえると家事分担のストレスがぐっと減ります。苦手な家事を家電にやってもらうことをおすすめします。

①食器洗い乾燥機

忙しい時に流しに洗い物がたまっているのを見ると、ストレスですね。洗い物、食器拭きをしなくていい解放感は実に大切です。高温のお湯で洗えるので、清潔を保てます。

②乾燥機付き洗濯機

小さな赤ちゃんや子どもがいるだけで、驚くほど洗濯物が増えます。乾燥までできると重宝します。スペースなどが許すなら、ガス乾燥機は、多くの洗濯物をふわふわに乾燥できるのでさらにおすすめです。外干しできない時にも部屋干しの手間がなくなります。

③お掃除ロボット

外出中に掃除ができているという効率は快適です。赤ちゃんがハイハイするようになると、床には、何も置けないので、赤ちゃんの安全のためにも便利ですね。

④加湿空気清浄機

赤ちゃんのお肌は、繊細で乾燥に弱いです。またお部屋が乾燥していると風邪もひきやすくなります。赤ちゃんの健康を保つために必須ですね。

⑤温度設定付き電気ポット

ミルクを作るにも身体に優しい白湯を飲むためにも70度の設定があると便利です。

⑥圧力鍋

調理の時短として有効です。火をつけている時間はごく短時間となり、その後は、そのまま調理されるので便利で安全、省エネです。

おわりに

便利な家電、育児用品、情報にも溢れているのがイマドキの子育てです。わからなかったらすぐ検索して答えを探すのが当たり前の世の中ですが、子育てについての答えは、簡単には見つかりません。

この便利な世の中で育ったイマドキの新米ママとパパは、親になってから、自分の子を見て感じ、考えるという視点を育てている最中なのでしょう。親としての自分の感覚を信じて、試行錯誤をしながら子育てする、このような子育てを温かい目で見守り、温かい声をかけていただきたいです。必要な時には上手に頼ることができるのがイマドキ子育てに大切なスキルです。行政などの子育てサポートにも便利な家電にも上手に頼って楽しく育児ができると幸せな子育てになるでしょう。

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