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転職は何歳までが上限?「35歳転職限界説」と転職で気をつけたいポイントを解説

転職は何歳までが上限?「35歳転職限界説」と転職で気をつけたいポイントを解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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転職活動では、40代や50代よりも20代〜30代の若い世代の方が有利といわれています。「35歳転職限界説」という言葉もあるほどで、キャリア形成を考えるのであれば40代以降の転職は厳しいといわれる時代もありました。しかし労働人口の減少により人手不足が叫ばれている現代では、このような転職年齢の上限は当てはまらなくなっています。

むしろ現代では、部下の育成やプロジェクトの推進を手がけた経験が豊富な、40代以降のハイクラス人材が求められる傾向にあり、求人によっては若い世代よりもミドル世代の方が有利となるケースもあります。本記事では、転職活動は何歳までできるのか、35歳転職限界説の由来や根拠はどこにあるのかをご紹介しながら、ミドル世代の転職における注意点について解説します。

1.転職できるのは何歳まで?40代では難しい?

転職できるのは何歳まで?40代では難しい?

30代以降になって転職活動を始めるか迷っている方の中には、何歳まで転職が可能なのか気になっている方も多いでしょう。法律上は転職できる年齢に上限はないとされていますが、35歳以上になると応募できる求人の数が減少するのが実情です。ここでは具体的に何歳まで転職できるのか、正社員になれる年齢とともに解説します。

1-1.法律上制限はないが若い人ほど有利

前提として、日本では「雇用対策法」により、求人・採用において年齢制限をかけることや、年齢を理由として不採用とすることが禁止されています。そのため転職できる年齢には、法律上の制限はないといって良いでしょう。

ただし会社側の心理として、若い世代を採用して教育コストをかけて、長期にわたり自社で活躍してもらうためにも、年齢が若い人を採用するモチベーションが高いのも事実です。実際にハローワークなどでは、「長期勤続によるキャリア形成を図るため」という理由で、例外的に35歳未満の年齢制限をかけられる仕組みを利用している求人が多く見受けられます。豊富なスキル・経験を持った即戦力となりうる人材であれば転職活動で不利になることはありませんが、未経験の分野に挑戦する場合などは、若い人の方が有利になる傾向があるでしょう。

1-2.転職経験者の年齢分布

総務省が発表している「労働力調査」では、 年齢別の転職者の総数が公表されています。こちらのデータによれば、転職経験者の年齢分布は、下記の通りとなっています。

年齢階級転職者転職者比率
総数303万人4.5%
15歳〜24歳50万人9.2%
25歳〜34歳75万人6.8%
35歳〜44歳56万人4.3%
45歳〜54歳54万人3.3%
55歳〜64歳45万人3.7%
65歳以上21万人2.3%

引用元:労働力調査(詳細集計) 2022年(令和 4年)平均結果(第5表)

「転職者比率」とは、就業者数に対する転職者数の割合を示したものです。上記の結果から、転職者数が最も多いのは25歳〜34歳の年齢層であり、転職者比率が高いのは15歳〜24歳と、若い世代の方が転職活動を積極的に行っていることがわかります。

一方で、55歳〜64歳のシニア世代での転職者数も多くなっており、転職者比率も高水準にあります。そのため年齢が上がるにつれて転職者数や転職者比率は低下する傾向にはありますが、年齢を理由に転職が困難となるケースは少ないと考えられます。

1-3.正社員になれる年齢は低めの傾向

転職において正社員採用を目指す場合には、年齢に関係なく早めに行動を起こすことが大切です。というのも、年齢が上がるほど会社側も応募者に対する期待値が高くなり、相応のスキルや経験を持った人材を重視するためです。若い世代であればポテンシャル採用として、将来性を見込んでの正社員採用も難しくありませんが、35歳以上になるとご自身のスキル・経験を武器として正社員採用を狙うことが求められます。

2.「35歳転職限界説」「35歳定年説」の真偽は?

「35歳転職限界説」「35歳定年説」の真偽は?

転職経験者や転職メディアでよく取り上げられる「35歳転職限界説」「35歳定年説」について、真偽が気になっている方も多いでしょう。結論からいえば、現代においてこれらの説は当てはまることが少なく、気にすることなく転職活動を始めても問題ありません。ここでは35歳転職限界説が叫ばれるようになった背景や根拠について解説しましょう。

2-1.35歳転職限界説とは?

35歳転職限界説は、新卒で入社した会社に定年まで勤め上げるという終身雇用・年功序列の仕組みが存在していた時代の名残りです。同じ会社で定年まで勤め続けるという前提の中では、35歳以下で転職しなければ、定年までに出世・昇進することが困難になることから、35歳転職限界説が唱えられるようになりました。

2-2.現代では35歳以上の転職も一般的

少子高齢化が進み、労働人口が減り続けている現代では、終身雇用・年功序列の仕組みは当たり前ではなくなっています。35歳以上の方が転職活動を始めて、より良い条件・待遇の職場に移るケースも珍しくないですし、「即戦力採用」「ハイクラス転職」として、40代以降の経験豊富な人材を求める会社も増加傾向にあります。

2-3.30代以降の転職ではスキル・経験が重視

ただし30代以降の転職では、20代までのポテンシャル採用ではなく、スキル・経験を重視する選考を受けることとなります。やる気や体力があるだけでは内定獲得は難しく、「なぜあなたのスキルが当社に貢献できるのか」「あなたの強みを活かしてどう活躍できるのか」といった会社の要求に対して、的確に回答することが求められるでしょう。

3.異業種・異職種へのキャリアチェンジは年齢が若い方が有利

異業種・異職種へのキャリアチェンジは年齢が若い方が有利

ここまで紹介してきた通り、転職活動では若い人が有利な傾向はありますが、35歳以上の方でもスキル・経験次第ではより良い条件・待遇の求人で内定を獲得することが可能です。ただし注意しておきたいのが、異業種・異職種へのキャリアチェンジを希望する場合には、年齢が若いほど大きく有利になるという事実です。

その分野に対してまったくの未経験から異業種・異職種に挑戦するのであれば、これまでご自身が築いてきたスキル・経験を活かすことが難しく、20代〜30代の若い世代と同じ評価軸で選考に挑むこととなります。会社側も未経験の人材を採用するのであれば、40代以降の人材よりも20代の人材を優先したいと考える心理が働き、年齢が高いほど狭き門となってしまうでしょう。

IT業界から介護業界、または営業職からITエンジニアなど、異業種・異職種へのキャリアチェンジを叶えたい場合には、できるだけ早めに行動を起こすことが重要です。

4.業種・職種によって転職の適正年齢は異なる

業種・職種によって転職の適正年齢は異なる

何歳まで転職が可能なのかを決める要素として、転職先の業種・職種も挙げられます。例えば、慢性的な人手不足が続いているIT業界や介護業界などは、未経験でも好条件で転職できる可能性が高まります。事務職や営業職などの経験・専門性を必要としない職種では20代の転職者が多く、企画・マネジメント職といった職種では40代の転職者が多い傾向にあります。

業種・職種ごとの適正年齢は、転職サイトに掲載されている表現が参考になるでしょう。例えば「20代が活躍しやすい職場」「40代スタッフが活躍中」などの表現がある場合には、これらの年代からの応募者を集めていると判断できます。転職の際に求人を探す際には、これらの文言にも注目してみることをおすすめします。

5.35歳以降の転職で気をつけたい5つのポイント

35歳以降の転職で気をつけたい5つのポイント

最後に、35歳以降の転職や40代以降の転職で注意したいポイントについて、以下の5つをご紹介します。

  • マネジメント経験を積んでおく
  • ポータブルスキルを身につける
  • 人手不足の職種を選ぶ
  • 思い立ったらすぐ行動に移す
  • 転職サイト・エージェントを活用する

それぞれの注意点を押さえた上で転職活動を始めましょう。

5-1.マネジメント経験を積んでおく

35歳以上の転職では、やる気や体力よりもスキル・経験が重視されます。特に部下の育成経験やマネジメント経験があると、即戦力や管理職を求める会社から選ばれやすくなるでしょう。好条件・高待遇の求人に応募できる可能性も高まります。そのため現職で志願することによりマネジメント業務を任せてもらえる環境にいる方は、積極的にマネジメントに携わることをおすすめします。

5-2.ポータブルスキルを身につける

ポータブルスキルとは、業種・職種が変わっても活かせるスキルのことを指します。特定の業界・仕事に囚われることなく評価されるため、転職活動では有利に働く可能性が高いです。具体的なスキルには、以下のようなものが挙げられます。

  • 論理的思考力
  • 対人折衝力・コミュニケーション力
  • 情報収集力
  • マネジメント力
  • プレゼンスキル

こうしたスキルはどんな職場でも評価される普遍的な能力のため、これまでのスキル・経験を活かしにくい未経験分野の転職では、特に役立つでしょう。

5-3.人手不足の職種を選ぶ

年齢に関係なく採用されやすい条件として、人手不足が続いている職種であることが挙げられます。職種ごとにどのくらい人手が不足しているのかを調べる際には、厚生労働省が発表している「有効求人倍率」が参考になります。有効求人倍率とは、転職希望者ひとりあたりの求人件数のことを指し、数字が大きいほど転職者に有利な売り手市場であるとされます。

例えば令和5年2月時点での、すべての職種における有効求人倍率は1.34倍でした。同時期において有効求人倍率が高い職種として、以下が挙げられます。

  • 建設躯体工事の職業(10.23倍)
  • 土木の職業(6.16倍)
  • 建築・土木・測量技術者(6.01倍)
  • 機械整備・修理の職業(4.27倍)
  • 介護サービスの職業(3.58倍)

参照元:一般職業紹介状況(令和5年2月分)について | 厚生労働省

未経験の業種・職種を視野に入れて転職活動を行っている場合には、こうした有効求人倍率も参考にしながら求人を探してみましょう。

5-4.思い立ったらすぐ行動に移す

転職活動では、年齢が上がるにつれてスキル・経験や専門性が求められ、未経験での転職が難しくなる傾向にあります。例えば、現在34歳の方が、半年後に誕生日を迎えて35歳になるというケースでは、半年間の遅れで転職活動のハードルが一気に高まることも考えられます。今すぐに会社を辞めなくとも、転職を見据えて経験を積んだり資格取得を目指したりすることも有効なので、仕事を辞めたいと感じた際には早めに行動に移すことをおすすめします。

5-5.転職サイト・エージェントを活用する

年齢を重ねても有利な条件で転職したい方は、転職サイト・エージェントを積極的に活用すると良いでしょう。特に豊富な転職支援サービスを提供している転職エージェントを利用すると、応募書類の添削や面接対策に加えて、ご自身の年齢や希望条件をもとに最適な求人を紹介してもらうことができます。専任のキャリアエージェントと面談することで、ご自身の強みを洗い出し、市場価値を高めるサポートを受けることも可能なため、まずは無料登録してみると良いでしょう。

おわりに

転職できる年齢には上限は存在せず、何歳まででも転職活動に取り組むことが可能です。これまで積み上げてきたスキル・経験を活かせる転職先であれば、好条件・高待遇の内定を早い段階で獲得できるでしょう。しかし未経験の分野に挑戦する場合、ご自身よりも若い世代と同じような評価軸で選考を受けるため、採用されにくくなるのも現実です。

それでも「35歳転職限界説」や「35歳定年説」といった通説は、現代では当てはまることはなく、何歳になっても転職に挑戦することは可能です。特に部下の育成やマネジメント経験があると、即戦力の管理職として採用されやすくなるため、年齢を重ねてからはスキル・経験を活かして転職活動を始めることをおすすめします。

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