商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」が誕生し、新たな賑わいを見せている亀戸。前編では、カメイドクロック及び、周辺の新店グルメに注目しました。後編では、亀戸をより深く知るため、その歴史や定番スポット、グルメを紹介します!
1.亀戸はなぜ「かめいど」と読む?
江東区の資料『ゆこう あるこう こうとう文化財まっぷ』(編集発行:江東区 地域振興部 文化観光課 文化財係)によると、亀戸は区内で最も古い地域で、古代・中世は砂洲(さす)状の微高地や入り江が入り組んだ「小さな亀の形をした島」だったそう。
そこから「亀島(かめじま)」と呼ばれ、「海浜に面し津(船着き場)の役割を果たしていたこと」から「亀津(かめづ)」「亀津島(かめづしま)」とも呼ばれたそう。
そして、「飲料用の井戸もあったこと」から、「亀井戸(かめいど)」に。その後、「亀井戸」から「井」が省略されて、「亀戸」になったようです。ちなみに「飲料用の井戸」は、「亀ヶ井」という名前だったそうで、いまは亀戸の「香取神社」に復元されています。
次の章では、この「香取神社」と、そのすぐ近くの「亀戸天神社」について紹介します。
2.文武両道の縁起の良い街
香取神社は、「スポーツ振興の神」として、スポーツ大会・試合の勝利を願う方々が多く訪れる場所。水泳の池江璃花子選手も、かつて練習拠点のスイミングスクールが亀戸にあったことから訪れていたことでも有名です。
また、境内で存在感を示しているのが大きな「亀戸大根の碑」。「亀戸大根」とは、文久年間(1861年〜1864年)から明治時代まで、香取神社周辺で栽培されていた大根で、根が30cmほどと短く、先がクサビ状に尖っていたため、「おかめ大根」「お多福大根」ともいわれていたそう。そんな亀戸大根を使った料理で有名なお店が「亀戸升本」。こちらは後ほど紹介します。
香取神社は「スポーツ振興の神」として有名ですが、そこから徒歩5分の場所には、「学問の神様」として知られる菅原道真公を祀る「亀戸天神社」があります。「学問」と「スポーツ」の神が互いに近い場所に祀られていて亀戸は文武両道の道が開けそうな、とても縁起の良い街です。
亀戸天神社は、なんといってもロケーションも素敵です。大鳥居をくぐり、太鼓橋の男橋、女橋へと渡っていくうちに、どんどん大きく見えてくる正面の本殿。橋から見る心字池(しんじいけ)、藤の木、スカイツリーも壮観です。4月下旬からは、境内に50株以上ある藤の花が一斉に咲き始めるため、都内随一の藤の名所として、新東京百景のひとつにもなっています。また、近くには日本における発酵くず餅発祥の店「元祖くず餅 船橋屋 亀戸天神本店」もあるので、合わせて足を運ぶのも良さそうです。
3.亀戸の冠が付いた代表的グルメ
亀戸の歴史や名所に触れたところで、次は、亀戸ならではの亀戸の冠が付いたグルメを紹介します。
3-1.亀戸升本 本店
亀戸升本 本店は、JR総武線「亀戸駅」北口から徒歩7分。前出の香取神社で紹介した、亀戸大根を使った料理の名店です。創業は明治38年(1963年)。
江戸伝統野菜である亀戸大根を現代に甦らせ、オリジナルの亀戸大根料理を提供しています。亀戸の大根農家は、昭和の経済成長とともに農地が宅地や工業用地へと変わり、減少。その復活に成功したのが亀戸升本であり、今では全国各地の契約農家とともに守り続けています。
名物は『亀戸大根あさり鍋』ということで、昼の膳『亀戸あさり鍋めし』(1,980円)でいただくことに。あさり鍋の中身は、北海道産厚岸産あさり・亀戸大根・旬野菜・太鼓橋うどん・餅巾着など、盛りだくさん。おひつから麦茶飯をお椀に入れ、その上に鍋の具やだし汁をかけて食べます。
大根のしっかりとした歯ごたえ、あさりの肉厚な身の弾力と食感も楽しく、この2つの素材が味噌仕立ての汁と合わさることで、濃厚さもありながら軽やかな後味を表現しています。ほかにも、亀戸大根3種盛り、季節の小鉢、甘味付きで、大満足のお膳です。
3-2.亀戸餃子 本店
亀戸餃子 本店は、JR総武線「亀戸駅」北口から徒歩1分。亀戸といえば「餃子」が思い浮かぶ人も多いでしょう。創業1953年、餃子一筋の専門店ということで、本当に餃子だけ。フードメニューは『焼き餃子』(300円)しかありません。平日の昼過ぎはスムーズに入店できましたが、ランチ時や休日は並びそうです。
そして、注文は必ず1人2皿から。1皿食べ終えると、自動的にお店の方がもう1皿持ってきてくれます。2皿目を食べ終えようとすると、もう1皿追加するか聞かれ、思わず追加。ストップといわないと終わらない、わんこそばのような感覚です。
この日は、3皿でストップ。野菜も豚肉も全て国産でニンニクは青森産。皮はパリパリで中身も当然ジューシー。野菜の食感と甘みも楽しめます。餃子のお供は、お店オススメのビール(大瓶600円)にしましたが、小瓶(350円)、デンキブラン(200円)、ソフトドリンクのサイダー(200円)など、ドリンクは数種類あるのでお好みでどうぞ。
3-3.亀戸ホルモン 本店
亀戸ホルモン本店は、JR総武線「亀戸駅」北口から徒歩1分。亀戸餃子と双璧をなす、亀戸名物の「亀戸ホルモン」。予約不可のため、平日のオープン17時に来店。平日のオープン直後ということもあり、並ばずスムーズに入店できました。
初訪問につき、『ホルモン入門塩焼三点盛』(1,480円)と『自家製キムチ』(450円)、『下町酎ハイ』(450円)を注文。この日の三点盛りは、豚タン、塩ホルモン、ハツ。カウンターに置かれた七輪の網にのせて、自分で焼いていきます。どれも下味がしっかりしていて、とくに豚タンは噛んだ瞬間からタレと肉の旨みが口に広がり、コリコリ食感がクセになります。カウンターには1人客が多く、じっくり焼き加減を見ながらのんびり過ごすのもオツなものです。
4.飲み屋街、商業施設、寺社がコンパクトにまとまっている
亀戸駅北口(=写真)から徒歩1分の場所には、亀戸餃子や亀戸ホルモンをはじめ、他にもたくさんの飲み屋が密集しています。亀戸ホルモンと同じく人気の「ホルモン青木」などのホルモン専門店や焼肉店、フィリピン居酒屋やネパール料理店、焼き鳥店、ラーメン店が1フロアに並ぶ「亀戸横丁」など。
ちなみに、この飲み屋街と商店街を抜けて大通り(蔵前橋通り)に出た場所に、亀戸升本 本店があり、そこを渡ったエリアに亀戸天神社や香取神社といった寺社が点在しています。
また、亀戸駅北口エリアの反対側となる、東口から出て1分の南側のエリアにも飲み屋の通りが1本あり、このあたりの焼きとん屋や立ち飲み居酒屋も賑わっています。そして、その先の大通り(京葉道路)を渡ると、前編で紹介したカメイドクロックの「カメクロ横丁」が見えてきます。
このように多彩な飲み屋や飲食店、カメイドクロックや亀戸駅直結の「アトレ亀戸」といった便利な商業施設、歴史の残る寺社、商店街がコンパクトにまとまっているところが亀戸の魅力。駅を起点に、北へ南へ。ぜひ、散策してみてください。