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そうめん研究家直伝! ヘルシーで美味しい食べ方&ご当地そうめんの魅力
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そうめん研究家直伝! ヘルシーで美味しい食べ方&ご当地そうめんの魅力

夏の風物詩としてはもちろん、年間を通して楽しめる「そうめん」。温かい出汁で食べる時は「にゅうめん」として、冷・温どちらでも食欲がない時にもサラッと食べられるのも魅力です。

見た目や味、食感がシンプルなだけに、ヘルシーなイメージがありますが実際はどうなのか。さらに、各地で作られているそうめんにはどんな違いがあるのか。テレビやラジオ、雑誌等のメディアで活躍するそうめん研究家・ソーメン二郎さんにお聞きするとともに、今注目のそうめんやおすすめレシピも教えていただきました。

ソーメン二郎さん

ソーメン二郎さん

そうめん研究家。そうめん発祥の地といわれる、奈良県桜井市の三輪そうめん製麺所の家系に生まれる。一年中そうめんが流通し楽しめるよう、全国の手延そうめんをマルチメディアで紹介し、新しいそうめんレシピを考案する活動を行う。著書『ラク旨!無限そうめんレシピ』(扶桑社ムック)、そうめん絵本『そうめんソータロー』(ポプラ社/作:岡田やすたか、原案:ソーメン二郎)。

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1.そうめんをもっとヘルシーに食べるコツ

――そうめんの原料は基本的に「小麦粉」「塩」「水」で、麺の太さによって「そうめん」「ひやむぎ」「きしめん」「うどん」に分類されます。そうめんは細い分、やはりカロリーも低いのでしょうか?

量や食べ方にもよりますが、同じ麺類で比較すると、どれもパスタよりは糖質もカロリーも低く、腹持ちもいいです。ただ、そうめんの場合は、細く延ばすために植物性油を使っているので(「ひやむぎ」「きしめん」「うどん」は油を使わず、生地を薄く延ばして切る)、食べる前にその油を洗い落とすことが大切です。

――油を洗い落とす?

作る時のポイントとして、茹でた後にザルに移したら、水をかけながらゴシゴシとしっかり「もみ洗い」をします。油だけでなく、余計な塩味も取れて、さっぱりとした味わいと喉をサラリと流れていくような“喉走り(=喉越し)”が楽しめます。ほとんどの方が「もみ洗い」をしていないと思うのでぜひ試してほしいです。

また、そうめんを長時間氷水につけて食べるのはコシがなくなるのでNGです。冷やしたい時は、「もみ洗い」の後に氷水を入れたボウルに移して軽く洗ってから、ザルで水分を十分に切って盛り付けましょう。

――油と塩はあくまでそうめんを作る過程で必要であって、食べる時は取り除いていいと。

はい。それに、今はヘルシー志向の方のために、最初から植物性油を使っていないそうめんや、油の代わりに天然の葛粉を使ったご当地そうめんもあります。それはこの後、ご紹介します。

2.製麺所の数は全国に約900軒

ソーメン二郎さんによると、そうめんの歴史は1200年ほど前、出身地の奈良県桜井市「三輪そうめん」が発祥で、播州(兵庫県)、小豆島、島原へと伝わり、東北や沖縄にも広がっていったそう。そして現在、全国の素麺協同組合に加盟している製麺所は約800軒あり、大きく5つのブランドに分かれるとか。

5ブランドのトップシェアは、兵庫県「揖保乃糸(いぼのいと)」(約400軒)。次に香川県「小豆島そうめん」(150軒)、長崎県「島原そうめん」(150軒)と並び、奈良県「三輪そうめん」(約50軒)、徳島県「半田そうめん」(約30軒)、その他(約10軒)という順番。さらに、近年は組織に属さない独立系の製麺所も約100軒あるそうで、全国に約900軒の製麺所が存在します。

3.ご当地そうめんの特徴と魅力

ご当地そうめんの特徴と魅力

各地で作られているそうめんはご当地そうめんと呼ばれ、それぞれの土地の風土や製法により、コシの強さや風味も違うそう。ソーメン二郎さんに、押さえておきたい定番の13種類のそうめんを教えていただきました。

①秋田県『いなにわそうめん』(寛文古年堂)

稲庭うどんの製法を生かし、油を使わずに細く長く延ばすことで小麦本来の風味を残している。塩分も少なく、コシが強く食べ応えがある。

秋田県『いなにわそうめん』(寛文古年堂)
参照元:秋田県『いなにわそうめん』(寛文古年堂)

②宮城県『白石温麺(うーめん)』(白石興産)

寒さの厳しい地域のため、温かい汁に入れて食べることを前提に麺が細くなっているそう。油を使っていなくてコシも強い。冷やしても美味しい。

宮城県『白石温麺(うーめん)』(白石興産)
参照元:だるまマークの白石興産 | しろいし旅カタログ

③富山県『大門素麺(おおかどそうめん)』(砺波市農業公社)

地元・清涼庄川の水を使用。細く延ばした麺を手作業で丸くたたみ、和紙で包むという独特な販売スタイル。締まりがあり、喉越し滑らか。

富山県『大門素麺(おおかどそうめん)』(砺波市農業公社)
参照元:大門素麺 (となみ野農業協同組合)

④奈良県『吉野葛入り一筋縄そうめん』(三輪山勝)

試行錯誤の末に開発された職人こだわりの逸品。油の代わりに吉野葛をつなぎとして使用。茹で上がった麺は光沢があり、喉走りも快適。

奈良県『吉野葛入り一筋縄そうめん』(三輪山勝)
参照元:商品のご案内(自宅用そうめん)

⑤奈良県『白龍』(三輪山本)

前出した5ブランドの中で一番の細さといわれる三輪そうめん。「白龍」は直径約0.6ミリの超細麺。口あたりは絹のように滑らか。

奈良県『白龍』(三輪山本)
参照元:三輪山本 手延べそうめん公式オンラインショップ

⑥兵庫県淡路島『御陵糸』(森崎製麺所)

三輪そうめんの製法を受け継ぐブランド。倉庫で1年間寝かせて熟成させた“古(ひね)”のそうめんは、深い旨みも感じさせる。

兵庫県淡路島『御陵糸』(森崎製麺所)
参照元:淡路島手延べそうめん 御陵糸【黒帯】

⑦兵庫県『播州 揖保乃糸』(兵庫県手延素麺共同組合)

播州地方に600年前から続く伝統的な製法“ねかし(熟成)”と“延ばし”を繰り返すことで、コシの強さと喉越しの良さが生まれている。

兵庫県『播州 揖保乃糸』(兵庫県手延素麺共同組合)
参照元:手延そうめん 揖保乃糸 上級300g | 兵庫県手延素麺協同組合

⑧岡山県『清流そうめん』(小山製麺)

古来より伝わる天日乾燥(門干し)により麺が締まり、小麦本来の風味豊かな味わいが口の中に広がる。塩は瀬戸内海の天然並塩を使用。

岡山県『清流そうめん』(小山製麺)
参照元:小山製麺 | 清流そうめん

⑨香川県小豆島『島の光』(小豆島手延素麺協同組合)

こちらも室内乾燥ではなく天日干しで、瀬戸内海の塩を採用。地元発祥『かどや醤油』の素麺用に加工されたごま油を使用している。

香川県小豆島『島の光』(小豆島手延素麺協同組合)
参照元:手延そうめん- 小豆島手延素麺協同組合

⑩徳島県『手延半田めん』(小野製麺)

前出した5ブランドの中で一番の太さの「半田そうめん」。庭干し(天日干し)により1〜3月に乾燥した冷風に干された“寒ぞうめん”は、もちもちとした食感が特徴的。

徳島県『手延半田めん』(小野製麺)
参照元:半田そうめん

⑪愛媛県『手延五色そうめん』(森川)

色鮮やかな色彩が美しく、贈答用にも喜ばれる逸品。もち麦・蜜柑・梅・抹茶と全て人工着色料不使用。コシが強く、食感は滑らか。

愛媛県『手延五色そうめん』(森川)
参照元:手延五色そうめん 色束別

⑫長崎県『島原の細糸』(島原そうめん販売)

雲仙普賢岳の伏流水を使用。製造して1年間、低温倉庫で熟成させる“蔵囲い”によって、より強いコシと旨みを生み出している。

長崎県『島原の細糸』(島原そうめん販売)
参照元:長崎県産品データベース

⑬熊本県『南関(なんかん)そうめん』(南関町役場)

小豆島から伝わったといわれるそうめん。コシの強さとシコシコした歯触りが特徴。町内で9割の製麺所が伝統の製法で作り続けているそう。

熊本県『南関(なんかん)そうめん』(南関町役場)
参照元:南関そうめん | 観光スポット | 【公式】熊本県観光サイト もっと、もーっと!くまもっと。

4.まだまだある! 注目のそうめん

まだまだある! 注目のそうめん

ご当地そうめん13種類を紹介しましたが、今回、他にもソーメン二郎さん注目の個性的なそうめんがあるということで、持参いただきました。ソーメン二郎さんのコメントを添えてご紹介します。

①長崎県『あごだしスープで食べる手延べのふし麺』(たなか物産)

ふし麺とは、そうめんを製造する際に2本の棒に掛け、引き伸ばした時に出来るフックのような棒ぎわの一部。コシが強く、つるりとした食感。「僕にとってはソウルフード。幼い頃から味噌汁や豚汁に入れて食べています」。

②群馬県『中華そうめん』(星野物産)

ソーメン二郎さんが監修している、ラーメンの風味を加えたハイブリッドなそうめん。中華そばで使うかん水を麺にそうめんに入れることで、歯切れ感もアップ。「豚骨味のつゆでつけめん風にするのもおすすめです」。

③秋田県『稲庭全粒粉素麺』(後文)

国産原料をまるごと挽いた粉を全量使用。食物繊維が豊富で、一見すると蕎麦と見間違うような色と全粒粉独特の香ばしい風味、歯切れの良さが味わえる。「健康志向として考えると、これが究極の形かもしれません」。

④富山県『氷見糸そうめん』(氷見うどん高岡屋本舗)

能登輪島そうめんをルーツとした技で作られたそうめん。弾力のあるコシの強さとまろやかな舌触り、爽やかな喉越しが格別。「ドレッシングやオリーブオイルをサッとかけてサラダ感覚としても楽しめます」。

⑤長崎県『イカ墨そうめん』(―)

島原のそうめんに特殊製法でイカ墨を練り込んだ健康食品。口のまわりや歯が黒くならないのもポイント。「オリーブオイルとニンニクのソースで和えてパスタ感覚でもいけるし、和洋中でアレンジの幅が広がります」。

⑥沖縄県『龍頭素麺』(沖縄製粉)

ソーメンチャンプルー専用のそうめん。油とのなじみがよく、炒めてもベタベタせず、なおかつ麺がパラパラとほぐれていく優れモノ。「台風で出歩けない時の食事に重宝するので“台風そうめん”とも呼ばれています」。

  • 宮城県『御膳温麺』(はたけなか製麺)

白石城主片倉小十郎公を冠とした高級品。油を使わない昔ながらの製法で作られた白石温麺で、国内産小麦を使用。「白石温麺は地元では温かいあんかけで食べるのもポピュラーで、喫茶店のメニューでもよく見かけます」。

⑧長崎県『ド・ロさま そうめん』(サンフリード)

島原の乱の時代、出津に赴任したフランス人宣教師マルコ・マリー・ド・ロ神父が貧しい村民の生活を向上させるために伝えたとされるそうめん。「強力粉を使った少し太めでコシの強い麺がとても美味しいです」。

⑨三輪にゅうめんマップ

ソーメン二郎さんの地元・奈良県桜井市が発行。奈良が発祥の郷土料理「にゅうめん」の専門店等を22店舗紹介。「各地にこのような情報ツールがあるので、そうめん・にゅうめん巡りをしながら街の魅力を知ってほしいです」。

5.自宅でカンタンご当地レシピ

自宅でカンタンご当地レシピ

――ここまで21種類のご当地そうめんを紹介いただきましたが、そうめんの相棒ともいえる「めんつゆ」もご当地で違いはあるのでしょうか?

もちろんあります。例えば、キッコーマンの北海道限定『めんみ』は、通常のめんつゆが鰹と昆布との出汁に醤油やみりんを加えて作られるのに対し、鰹・昆布・煮干し・鯖・帆立の5種の出汁が使われているので味わい深い。

秋田県の万能つゆ『味どうらくの里』、山梨の濃厚だしつゆ『ビミサン』も地元では定番で、宮崎は霧島山系の地下水を使用した『高千穂峡』は甘みがあり、しいたけ味やあごだし味も格別。広島には、焼きあご入りの『だし道楽』もあります。

――ご当地同士の麺とつゆを組み合わせて食べるのも楽しそうですね。ソーメン二郎さんは様々なメディアや企業のレシピ監修も行っていますが、おすすめのご当地レシピはありますか?

滋賀県長浜市周辺の湖北地方に伝わる郷土料理「鯖そうめん」です。本来は、甘辛い出汁で鯖を煮込み、その煮汁でそうめんを炊き込み、鯖を乗せて食べるという料理ですが、鯖の缶詰のタレでそうめんを和えれば再現できます。

――味が甘辛ではっきりしていて、鯖も肉厚なので食べ応えありそうですね。

山形県の郷土料理「ひっぱりうどん」のそうめんバージョンもおすすめです。めんつゆの中に納豆やネギを入れて、そうめんをつけて食べる。食欲がない時の栄養補給に最適です。

あと、ご当地ではないですが、先日、玉ねぎのすりおろし、オリーブオイル、ハチミツ、追いがつおつゆを組み合わせた「玉ねぎすりおろしそうめん」を作ったのですが、今年一番の出来栄えでした。Twitterに投稿したところ、いいね数も表示回数も多く好評でした。

「玉ねぎすりおろしそうめん」

この他の独自のアレンジメニューもご紹介します。

「中華そうめん」

「中華そうめん」をガパオ風にゆで卵をトッピング。

「大門そうめん」

「大門そうめん」を富山名産ブラックラーメン風にアレンジ。

「イカ墨そうめん」チャンプルー

ニンニクをオリーブオイルで炒めて和えた「イカ墨そうめん」チャンプルー。

定期的に家庭にある食材や調味料で簡単にできるレシピを公開していますので、読者のみなさんもぜひお試しください!