区公式のお散歩コースやウォーキングコースから、川沿い・海沿いのコースをピックアップする本記事。前編では、昭和から現代への時代の流れも感じられる、芝浦地区から台場地区へレインボーブリッジを渡るコースを紹介。後編では、下町風情が感じられる、隅田川の橋をめぐる浅草コース、月島・佃をぐるっと回るコースを紹介します。
1.【散歩コース②】隅田川の橋をめぐって浅草へ
(Googleマップ)こちらをご覧ください。
参考:台東区ウォーキングマップより「橋めぐりコース(白髭橋〜吾妻橋)」
東京の東部低地帯の沿川7区(北区、足立区、荒川区、墨田区、台東区、中央区、江東区)を流れ、東京湾へ注ぐ一級河川「隅田川」。その両岸約47kmの内、約32kmの区間で整備された「隅田川テラス」の一部の区間と、隅田川に架かる橋を歩きながら東向島から浅草へ向かいます。
<コース>
東向島駅(東武スカイツリーライン)から徒歩13分でスタート地点「白髭橋」へ。
スタート:①白髭橋→②桜橋→③言問橋→④吾妻橋
<筆者の散歩時のデータ>
約3.5km/1時間20分(16:30-17:50)※撮影や休憩時間込み/約5,400歩
6月中旬晴れ/スタート時29℃
①白髭橋(しらひげはし)
明治通りにある橋で、名前は墨田区の白髭神社に由来。隅田川で最も古い渡し舟と言われる「橋場の渡し」のあった場所で、平安時代の歌人である在原業平(ありはらなりひら)が渡ったと言われています。
橋から見える隅田川とスカイツリー。この広大な風景と波打ち際の音が気持ちを穏やかにさせてくれます。
橋を渡り、2本目の道を左に曲がって直進すると、ブルーの看板の「喫茶クロ」が見えてきます。
すでに営業終了していたので立ち寄れず残念……。クリームソーダ、ナポリタン、オムライス等、「これぞレトロ純喫茶」というラインナップにそそられます。
喫茶クロから大通り(言問大谷田線)に出て右折し直進すると、野球場が見えてきます。
さらに進むと、テニスコートが見えてくるので、野球場とテニスコートの間を、左へ。
再びスカイツリーがお目見え。右にカーブすると「桜橋」が見えてきます。
②桜橋
台東区と墨田区の姉妹提携事業として1985(昭和60)年に完成したX型の橋で、墨田川唯一の歩行者専用橋。春には両側の隅田公園に見事な千本桜が咲き、多くの花見客が訪れるそう。
桜橋を渡ったら、「隅田川テラス」を歩きます。
隅田川テラスは、どの区画もベンチが点在していて、休憩もしやすい。のんびり食事をする人も多く見かけました。
右奥に見える緑色の橋「言問橋」を渡るため、左の階段を上がってテラスを外れます。
③言問橋(ことといはし)
言問通りに接しており、橋名は、在原業平の名歌「名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」に由来するそう。都に残してきた恋人の無事を都鳥に尋ねた歌ということで、意味を知るとなんともドラマチック。橋の上や川沿いは自然と思いを馳せる場所でもありますね。
言問橋を渡り、隅田公園を抜けて、再び隅田川テラスを歩きます。
カフェが2軒、「タリーズコーヒー」と「Café W.E」が並んでいます。隅田川を眺めながらの一杯のコーヒーも良いですね。
一度高架下(東武伊勢崎線)の下をくぐって、再びテラスへ。
スカイツリーとアサヒビール本社ビル隣りの金色のオブジェ(聖火台の炎)の2ショット。ここから右へ真っ直ぐ進むと、ゴールの「吾妻橋」です。
④吾妻橋
雷門通りにあり、江戸時代に隅田川で架橋された最後の橋(1774年/安永3年)。当初、大川橋と呼ばれていましたが、1876(明治9)年の架け替えの際に「吾妻橋」に改名。由来は、江戸から東へ通じる・江戸の東にあるという意味の「東橋」からで、雅な表記「吾妻橋」が好まれたそう。朱色のデザインも雅な雰囲気を醸し出しています。
吾妻橋の上から、渡ってきた橋を眺めて得られる達成感。この後は、浅草観光をするもよし、さらに、駒形橋、厩橋、蔵前橋を渡る「橋めぐりコース(吾妻橋〜左衛門橋)」を歩くもよし、隅田川沿いの風情を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
2.【散歩コース③】“水の都”月島・佃を散策
(Googleマップ)こちらをご覧ください。
参考:中央区ウォーキングマップより「月島コース」
水域の面積が東京23区内で最も大きく、水辺空間に恵まれた都市であることから「水の都」とも称される、中央区。中でも、江戸時代から長い年月を経て埋め立てられ、発展・拡大したといわれる月島・佃エリアでは、下町情緒と近代的な景色、両方を堪能できます。
<コース>
スタート:月島駅(東京メトロ有楽町線/都営大江戸線、6出口)→①佃小橋→②佃天台地蔵尊→③住吉神社→④隅田川・晴海運河→④月島もんじゃストリート→月島駅(2出口)
<筆者の散歩時のデータ>
約2.8km/1時間30分(17:15-18:45)※撮影や休憩時間込み/約6,500歩
6月中旬晴れ/スタート時27℃
①佃小橋
月島駅(6出口)を右手に、横断歩道を渡って直進。
左の佃公園内へ。この佃エリアに入った瞬間、昭和の下町にタイムスリップしたようなのどかな空間が広がります。
朱色の欄干が際立つ佃小橋の奥に見える、林立する高層マンション。新旧が混在する街並みは美しくもあり、異空間にとばされたかのような不思議な感覚をもたらします。
②佃天台地蔵尊
元の道に戻り、「佃天台地蔵尊」と書かれた標識を右へ。家と家の間の細い路地を進むと……。
人ひとりが通れるくらいのスペースに、屋根を突き抜けるほどの立派なイチョウの大木と奥には地蔵菩薩が鎮座。きちんと手入れされた綺麗な空間。それだけで心が洗われます。この地蔵尊は、佃島がかつて川に囲まれていたことから、子どもたちの水難事故が起こらないようにという願いで建てられたそう。そのため、子どもの守護や長寿延命祈願に訪れる人が多いとか。
佃天台地蔵尊を後に、先ほど佃公園から眺めた朱色の欄干の佃小橋を渡って一本目の道を右へ。
なんとも趣のある銭湯「日の出湯」の前を通り過ぎた奥に「住吉神社」があります。
③住吉神社
神社の裏側から入り、正面の鳥居へ。
正面から見た住吉神社。江戸の昔から海上安全、渡航安全の守護神として信仰を集める、月島エリアの氏神様です。
住吉神社の鳥居を背にして進むと、赤い鳥居が見えてきます。
鳥居をくぐって、住吉小橋を渡って左へ。
広大な隅田川が目の前に広がります。
④隅田川・晴海運河
階段を下りて、隅田川テラスをずんずん直進。
スカイツリーが見える先端(都市公園コンクール建設大臣賞の碑)に向かっていき、右にカーブして晴海運河沿いへ。
晴海運河沿いを進んでいきます。※地図では途中で丘の上を歩くコースになっていますが運河沿いを歩きます。
相生橋(あいおいばし)の下をくぐります。※地図では橋の上を歩くコースになっていますが下も通れます。
ひとつ目のスロープを上がり、裏の小道へ移動。
ここも前進。
島崎藤村ら多くの文化人が利用したと言われる、明治38年開業の割烹旅館兼下宿「海水館」の碑の前を通り、スロープを下りたら左へ直進。
途中、公園と高架下の駐輪場を横切ります。※地図では高架下を迂回するルートになっていますが高架下も通れます。
直進した先に月島第一児童公園があるので手前を右に曲がって直進。
清澄通りを渡ります。
⑤もんじゃストリート
ソースの香り漂う、もんじゃストリートに到着。二番街を直進すると、ゴールの月島駅に到着します。「月島もんじゃ振興会」HPによると、昭和30年代に4軒だったもんじゃ焼店が平成に入る頃から急増し、月島の半径500mの商店街(通称:もんじゃストリート)にひしめき合うように増加したそう。加盟店は約50店舗。この日も老若男女で大賑わい。散歩終わりの締めとして立ち寄りたいですね。
おわりに
今回、川沿い・海沿いのコースをピックアップしましたが、都内には街並みや緑を楽しめるコースもたくさん。各区以外にも、東京都保険医療局では区市町村、路線、歩く時間、シーン別に選べる「トーキョーウォーキングマップ」を用意しているので、参考にしてお気に入りコースを探したり、お散歩ライフを満喫しましょう!