海外移住したら税金はどこに支払うの?手続き方法やおすすめの国を紹介

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海外移住したら税金はどこに支払うの?手続き方法やおすすめの国を紹介

リタイア後の人生設計はできていますか?「今までの暮らしと変わらない生活をしたい」という方もいれば、「海外で新しいことを始めたい」や「海外でのんびり暮らしたい」と考えている方もいるかもしれません。 

今回は、海外移住を希望する方に向けて、海外移住者の税金の取り扱いや簡単な手続きの流れに関して解説します。また、海外移住におすすめの国もいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。 

1.海外移住で税金が安くなるって本当? 

海外移住を検討する方の理由の一つに、税制面のメリットが挙げられます。まずは、海外移住で税金が安くなるといわれている仕組みについて見ていきましょう。 

1-1. 日本より税金が低ければそれだけ安くなる 

日本で生活していると、収入に合わせて所得税や法人税などを国に納付しなければなりません。その他にも消費税や住民税、相続税や贈与税など多様な税金が存在しています。 

こういった税金の負担率は国によってさまざまなため、日本よりも税率が低い国に移住すれば、その分節税につながるというわけです。 

こういった所得税などの税金が日本よりも安い国や地域を「タックスヘブン」と呼び、海外移住を考える方々に注目されています。ただ、タックスヘブンへの移住は簡単にできるわけではありません。以下のようなデメリットも考えられるため、ご注意ください。 

  • ビザ取得の難しさ 
  • 生活費のアップ 
  • 日本の財産については日本の税制度を適用 
  • 海外に資産を移すとすぐに分かる 

海外に移住するためには、移住先にとどまることを認めるビザの取得が必須です。国によって取得方法や取得条件などが異なり、ビザを取得するだけで20万円以上の費用がかかることもあります。 

また物価の高騰が進んでいる国も。実際に住んだ場合、どのくらいの生活費が必要になるのかを想定していなければ、日本にいるよりもコストがかかってしまうケースもあるでしょう。 

次に、税制を理由にした海外移住者が増えてしまうと、日本の富裕層が減り日本の税収が減ります。そうなってしまうと日本の制度は立ち行かなくなりかねません。そこで、海外流出を防ぐために、相続税や贈与税の改正などを実施しているのです。 

さらに、海外に資産を移そうとするとすぐに税務署に分かる仕組みも構築されているため、注意しなければなりません。 

1-2. 住民税がない場合も!日本とどのくらい違うの? 

ここでは、日本よりも税率が低い国についてご紹介します。いくつか例を挙げますので、どのくらい違うのか見てみましょう。 

  所得税  住民税  法人税  相続税 
日本  最大45%  10%  最大23.40%  最大55% 
シンガポール  最大22% (2024年から最大23%)  なし  一律17%  なし 
マレーシア  最高30%  なし  最高24%  なし 

シンガポールやマレーシアには、そもそも住民税や相続税がなく、所得税に関しては日本よりも大幅に税率が低いのが特徴です。法人税に関してはマレーシアが最も高くなりますが、利益に対しての税金となるため、金額によっては日本よりも低くなる可能性もあります。 

2.海外に移住しても日本での申告は必要?  

海外に移住しても日本での申告は必要?

海外に移住するということは、日本居住者ではなくなるため、日本の制度において非居住者として扱われます。そもそも非居住者とはどういう存在で、どういった課税方法が取られるのでしょうか。また、日本で確定申告が必要になるケースについてもご紹介します。 

2-1. 非居住者とはどういう存在? 

日本の所得税法では、居住者と非居住者に区分されています。「居住者」は、日本に住所があり生活の中心が日本にあるかどうかが判断基準です。または、1年以上日本に居所がある個人が居住者となります。 

居所の定義とは、その方の生活の本拠地ではないものの、その方が実際に居住している場所のことです。これをふまえて、非居住者とは、居住者以外の個人のことを指します。 

海外移住した人は、住んでいる国に税金を納めるのが一般的です。ただし、日本国内で発生した所得がある国内源泉所得については、課税対象となり、源泉徴収されたり確定申告が必要な場合があったりするため、詳しく見ていきましょう。 

2-2. 非居住者の基本の課税方法は源泉徴収 

非居住者の基本的な課税方法は、源泉分離課税方式による源泉徴収です。源泉徴収とは、あらかじめ支払者が税金を差し引いて納税することをいいます。つまり、何かの所得を受け取る際には税金が引かれているため、改めて申告する必要はありません。 

ただし、非居住者が日本に恒久的施設を持っている場合には、居住者と同じような申告納税方式を取る必要があります。源泉徴収された一定の所得についても、確定申告によって還付金を得ることも可能です。 

2-3. 日本での確定申告が必要になる場合も 

先ほど紹介したように、日本国内で得た所得は基本的には源泉徴収されます。しかし以下の場合は、源泉徴収対象外となるため、確定申告が必要です。 

  • 恒久的施設に帰属する所得、国内にある資産の運用または所有によって生じる所得 
  • 国内にある資産の譲渡で発生した所得 
  • その他の国内源泉所得 

(例えば、国内にて行う業務または国内の資産に対して発生する保険金など) 

対象となる所得によって、源泉徴収か確定申告か異なるため、ご注意ください。 

3.海外移住時に必要な納税管理人とは?  

海外移住すると、確定申告や税金に関わる書類を受け取るためだけに、日本に帰るのは現実的ではありません。そのため、海外移住時には納税管理人の設定を求められます。納税管理人とはどういう人を指すのでしょうか。納税管理人の届出手続きについてもご紹介します。 

3-1. 納税管理人とは? 

納税管理人とは、非居住者の代わりに申告書の提出、税務関連の書類の受領、国税の納付や還付金の受領などを行う人のことです。非居住者が海外移住前に納税管理人を決め、所定の手続きをしなければなりません。 

納税管理人は、日本に住所があれば基本的には誰でもよく、家族や親戚などでかまいません。しかし、確定申告の申告書を本人に代わって作成することができるのは、税理士だけですのでご注意ください。 

万が一、納税管理人を設定しないまま海外へ移住すると、2021年の税制改正によって、税務当局が納税管理人の届出を求め、指定できるようになりました。 

3-2. 納税管理人の届出手続きの方法 

納税管理人の届出手続きの方法について紹介します。必要な手続きは「納税管理人の届出書」の提出です。基本的な提出先は、海外移住者が日本に住んでいた際の納税地を管轄する税務署や市区町村となります。 

海外移住者が日本国内に不動産を所有しており、賃貸収入がある場合は、その不動産のある所轄税務署に提出することが必要です。 

納税管理人というと、「さまざまなことを管理しなければならない」と感じ、万一海外移住者が税金を滞納した場合に、「納税管理人が連帯しなければならないのでは」と思っている人もいるかもしれません。 

しかし、納税管理人には連帯して税金を納付する義務はないため、ご安心ください。 

4.海外移住における税金の疑問  

海外移住における税金の疑問

海外移住者にとって、税金に関わる疑問はたくさんあるでしょう。ここでは、多くの方が疑問に思うポイントをご紹介します。 

4-1. 青色申告は可能? 

非居住者でも青色申告は可能です。 

日本の確定申告では、青色申告と白色申告があります。青色申告では、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができ、赤字を3年間繰り越すことも可能。複式簿記を使った記帳や貸借対照表と損益計算書を提出しなければなりませんが、節税効果は大きいでしょう。 

白色申告は控除がない代わりに、簡易簿記にて申告できる方法です。e-Tax(電子申告)は、非居住者は利用できませんので、ご注意ください。 

4-2. 所得控除はある? 

非居住者に対しての所得控除は範囲が限られており、以下のとおりです。 

  • 雑損控除 
  • 寄附金控除 
  • 基礎控除 

雑損控除は、海外移住者が日本で持っている資産に損害が発生した場合に、所得から控除できる制度のことを言います。寄附金控除は、その名のとおり、一定の寄附金を支払うことで所得から控除を受けられる制度です。 

基礎控除は最大48万円で、すべての納税者に付与される控除制度です。合計所得金額によって控除額は減り、2,500万円を超えると控除額が0円になります。 

4-3. 年の途中から海外移住となった場合の注意点は? 

年の途中で海外移住となった場合、所得税などの申告期限に注意しなければなりません。万一申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティ対象となる可能性もあります。基本的な申告期限は、申告対象年の翌年2月16日から3月15日までです。 

それでは、海外移住者は、何に注意しなければならないのでしょうか。それは、申告期限です。期限は出国までに納税管理人の届出をするかしないかで異なります。 

出国までに納税管理人を届出た場合は、基本的な申告期限と同じです。一方、出国までに納税管理人の届出をしなかった場合は、出国日には出国するまでの所得の準確定申告、翌年の申告期限内に年間の所得の申告を行って、出国時の分と合わせて清算する仕組みです。 

4-4. 日本で収入を得た場合はどうなる? 

海外移住者で非居住者に該当する方の所得税は、国内源泉所得にのみかかり、基本的には源泉徴収されます。ただし、条件によっては総合課税となり、確定申告の必要なケースがあるため、税理士に確認するようにしてください。 

4-5. 二重課税されることはないの? 

非居住者の場合、日本と現在の居住地での二重課税が心配されます。この二重課税を防止するために外国税額控除という制度があり、日本の納税証明書を居住地の税務署に申告することで控除してもらえる可能性があるでしょう。 

5.節税目的で資産を海外に移そうとしてもすぐに分かる! 

海外移住で節税を考えている方にとっては、できるだけ日本に資産を残しておきたくないはずです。そこで資産を海外へ移動させようと考える方も少なくありません。しかしその行動はすべて税務署に把握されています。なぜなら、CRSや国外財産調書があるからです。 

5-1.CRSとは?  

CRSとは、Common Reporting Standardの略で、「共通報告基準」という意味があります。これは経済協力開発機構(OECD)が設けた制度で、金融口座情報を自動で交換する制度のこと。日本の資産を海外の金融機関に移すなど、租税回避を目的とした取引を防ぐために設けられました。 

日本以外にも100以上の国や地域が加盟しており、管理する金融口座から非居住者を特定し自国の税務当局に報告しなければならないというものです。これによって各国間で相互に情報共有できるため、資産を移動するとすぐに税務署に分かる仕組みになっています。 

5-2.国外財産調書とは? 

国外財産調書も課税逃れを防ぐために設けられた制度で、主に富裕層向けのものです。海外に所有する資産の合計額が5,000万円を超える居住者は税務署に「国外財産調書」を提出しなければなりません。12月31日時点の資産で、翌年の3月15日までに書類を提出する必要があります。 

これは現在日本に居住していて、今後海外移住を検討している方は、知っておく必要があるでしょう。この国外財産調書があることで、税務署に海外の資産が把握されてしまうからです。 

ただし、国外財産調書を提出することで、万一相続が発生した際に、相続税の申告もれが起きても過小申告加算税などの軽減措置を受けることが可能です。反対に、国外財産調書の提出がなく、相続税の申告を忘れていた場合、過小申告加算税などの加重措置を受ける可能性があります。 

6.税金面でメリットの大きいおすすめの国は?  

最後に、税金面でメリットが大きいといわれている海外移住におすすめの国をご紹介します。 

6-1. シンガポール 

冒頭で紹介したように、シンガポールは日本と比べて所得税や法人税が安く、住民税や相続税はありません。永住権を取得しなくても就労ビザでビジネスと居住が可能です。 

またシンガポールは、中国やマレーシア、インドなどの他民族で形成されている国のため、人種差別が比較的少ないといわれています。気候は高温多湿で、年間を通して暖かいです。 

シンガポールではさまざまな言語が使われていますが、公用語は英語のため、海外移住を検討している方なら言葉の壁もさほど高くないといえるでしょう。 

6-2. マレーシア 

マレーシアもシンガポールと同じように、日本と比べて所得税率が低く、住民税や相続税がありません。また、一般財団法人ロングステイ財団が毎年調査している「ロングステイ希望国・地域2019」では、2006年から2019年までのあいだ14年連続1位に輝いている人気の国です。 

マレーシアは年間を通じて温暖な気候で、生活コストも日本の3分の1ほど。日本で得た退職金や年金をマレーシアに送金して生活費に充当する場合は、マレーシアへ納める税金がないというメリットもあります。 

6-3. カナダ 

カナダは世界でも有数の移民国家といわれており、海外移住しやすいことで有名です。さらに、2021年2023年にかけて毎年40万人以上の新規永住者を受け入れると公式に発表しました。 

カナダが海外移住先として人気の理由は、相続税がないこと、社会保障制度が充実していること、生活に必要なものには消費税がかからない点です。社会保障制度では、保険料を払うことで医療費が無料になる制度があります。 

少々物価が高く冬の寒さがデメリットとなりますが、自然豊かな国でのんびり過ごしたい方にはおすすめです。 

おわりに 

日本における税制度でもなかなか難しい点が多いため、海外移住を検討する人にとって税金の壁は最重要課題となるでしょう。移住先の国と日本との関係や移住先の移住者に対する税制度などをしっかり確認しておかなければなりません。移住先の雰囲気や気候、目先の税制優遇制度などに注目するだけでなく、さまざまな面からメリットとデメリットを考え、総合的に移住先を決めることをおすすめします。 

海外移住に関する税金でお悩みの方は、東京メトロポリタン税理士にぜひご相談ください。 

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