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お国は違っても同じ?!ストレス解消にはショッピングー中国生活体験記(その9)

お国は違っても同じ?!ストレス解消にはショッピングー中国生活体験記(その9)
深谷 百合子 人を動かすコミュニケーター

執筆者

人を動かすコミュニケーター

深谷 百合子

国内及び海外電機メーカーで技術者として20年以上勤務。工場の「案内人」としてメディア対応、講演、環境教育にも携わる。「専門的な内容を分かりやすく伝える」をモットーに、立場の異なる人同士が理解し、協力し合えるための伝え方を工夫した。2020年に独立。「相手を動かす伝え方」をテーマに講師、コーチとして活動している。また、個人へのインタビューや企業への取材記事執筆を通じて、「知られざるストーリー」の発信を行っている。掲載媒体:WEB天狼院書店、天狼院書店WEB READING LIFEブログ

中国人といえば、「爆買い」をイメージする方も多いでしょう。私も研修で来日した中国人を、大手家電量販店、薬局、100円ショップに案内しましたが、布団に電化製品、化粧品や小物類など、抱えきれないほどのお土産を買っているのを見て、驚きました。では、中国国内ではどうなのでしょうか? 今回も、私が実際に経験したエピソードを交えながら、中国での買い物事情についてご紹介します。

1.洋服のショッピングでストレス解消

洋服のショッピングでストレス解消

私が中国で最初に驚いたのは、女性のファッションでした。何の根拠もなく、ただ何となく「地味な服を着ているのではないか」と思い込んでいた私の目に飛び込んできたのは、ノースリーブのワンピースやショートパンツ姿の女性たちでした。しかも、服の色は赤や黄など、カラフルです。デザイン性の高い服を着ている女性も多く、自分が思っていた以上に、中国人の女性たちはオシャレでした。

私の職場の上司は中国人の女性でしたが、彼女もオシャレにはとても気を使っていました。ピシッとしたスーツを着ているかと思えば、花柄で女性らしいデザインのブラウスを着ていたり、休日にはジーンズをカッコよく着こなすなど、センス抜群の女性でした。彼女と私は年齢が近かったこともあり、プライベートでも仲良くしていました。

ある日、仕事をしていると、彼女がニコニコしながら近づいてきて、私にこう言いました。「今日、ショッピングに行こう。バーゲンをやっているの。だから、今日は残業しちゃダメ」

その頃、仕事がとても忙しく、私は毎日のように夜遅くまで残業していたので、彼女は「息抜きに」と誘ってくれたのです。私たちは仕事を終えると、彼女の車で会社から近い場所にあるアウトレットモールに行きました。私の住んでいた街には、数多くのデパートやショッピングモールがありましたが、売られている婦人服は日本と比べて割高でした。でも、アウトレットモールでは、そうした婦人服が手に入れやすい価格で売られているのです。

彼女は自分の行きつけの店に行くと、早速服を選び始めました。そして、「これがいいんじゃない?」「これも似合うと思う」と、次々と私にすすめてきました。「こんなに沢山の服を試着していいの?」と私がためらっていると、彼女は「試着するのはタダなんだから、遠慮しないで」と、急かしてきます。

こうして私たちは、とっかえひっかえ試着しては、鏡の前で見せ合いました。試着室から出てくるたびに、「好看(ハオカン:きれい)」「可愛(クーアイ:かわいい)」などとほめ合う様は、中国でも日本と同じです。試着したら欲しくなるのは自然な流れで、結局私たちは、予算オーバーするくらい服を買い込みました。

買い物を終えると、「買い物するとスッキリするね。でも今日はちょっと買い過ぎたかも」と彼女は陽気に笑いかけてきました。どうやら、お国は違っても、女性にとって買い物は、やはりストレス解消になっているようです。

大きなショッピングモールには、「ユニクロ」や「無印良品」などの日本ブランドのお店もあり、多くの中国人で賑わっていました。私たち日本人にとっては、見慣れたものが多いので、安心感があります。私は「無印良品」で、キッチンの小物や文房具をよく購入していました。ただ、日本で買うよりも価格が割高なので、よほど急いでいない限り、欲しい物は日本へ一時帰国したときに買うようにしていました。

2.年3回やってくる!ネット通販の大型商戦

年3回やってくる!ネット通販の大型商戦

中国で生活を始めてしばらくした頃、「掃除機が欲しいな」と思って、電器店へ出かけました。ところが、日本の家電量販店とは様相が違っていて、メーカーごとに売場が分かれていて、ちょっとしたショールームのようなのです。お客さんも少なく、何となく入りづらい雰囲気です。私は結局、何も買わずに出てきました。中国人の友人に「買い物はどうしているのか」と聞くと、必要なものはほとんど、ネットで買うのだと教えてくれました。

中国では「淘宝(タオバオ)」「京東(ジンドン)」「天猫(テンマオ)」など、数多くのショッピングサイトがあります。中国人の友人たちは、化粧品、洋服、書籍、生活用品、食品はもちろん、観葉植物に至るまで、あらゆるものをネットで購入していました。

ネット通販各社は、年に数回大規模なセールを行います。特に、11月11日の「独身の日」は有名ですね。2019年には1日だけで売上が4兆円を超える規模となり、日本でもよく知られるようになりました。

大規模なセールが行われるのは11月11日だけではありません。

6月18日には、「京東(ジンドン)」がセールを行います。また、「淘宝(タオバオ)」が2012年から始めた12月12日のセールも、大規模なショッピングイベントとして盛り上がっています。

私もロボット掃除機を、6月18日のセールで買ったことがあります。セールの数日前から欲しい物に狙いを定め、セール前日の夜は、そわそわしながら待ちました。そして、セール当日、日付が変わる深夜零時にポチって、無事に購入できたときには、嬉しかったものです。一種のお祭りのような感じでした。

中国の通販では、他にも驚くことがありました。

私の使っていたパソコンが故障してしまったときのことです。日曜日の朝、パソコンの電源を入れても、画面は真っ暗なままで、ウンともスンともいわなくなってしまったのです。仕事用に使っていたパソコンだったので、困りました。とりあえず代わりのパソコンを用意するしかありません。

ネット通販でパソコンを注文すると、その日の夕方に届きました。おかげで、日曜日のうちにセッティングができ、月曜日には通常通り仕事で使うことができたのです。これは本当に助かりました。

一部の商品に限られますが、スマホやパソコンなどは、居住地域にある電器店から配送されるため、在庫があれば、その日のうちに届くようです。

もちろん、その日のうちに届くものばかりではありません。1000キロメートル以上も離れた場所から陸路で運ばれてくる荷物は、なかなか届きません。毎日配送状況を確認しながら、首を長くして荷物の到着を待つこともしばしばありました。

荷物の受け取り方もさまざまです。マンションの敷地内にあるコンビニエンスストア、マンションの敷地近くにある受取所、宅配ボックスなどがあります。荷物が届くと、宅配のドライバーから電話がかかってきたり、ショートメールで連絡がきます。荷物はいつまでも無料で預かってくれるわけではありません。たとえば、宅配ロッカーは、24時間以内に受け取れば無料ですが、24時間を過ぎると手数料をとられました。

基本的に玄関先まで届けてもらうことはないので、大きな荷物が届いたときにはひと苦労です。台車を借りたり、誰かに手伝ってもらったりして運ぶ必要がありました。そんなとき、玄関先まで運んでくれる日本の宅配は、親切でありがたいと思ったものです。一方、日本では再配達によるドライバーの業務量増加が問題になっていますが、その点で、中国の受け取り方式は合理的といえるかもしれません。

3.おしゃれな小物を揃えるなら「均一ショップ」や「インテリアショップ」で

おしゃれな小物を揃えるなら「均一ショップ」や「インテリアショップ」で

ちょっとした小物や日用雑貨が欲しいとき、100円ショップで揃えたりすることもありますよね。安くてかわいいものが揃う100円ショップは中国人にも人気があります。

中国にも、日本の100円ショップに似たお店があります。中でも、私が気になったのは「メイソウ」というお店。江蘇省・南京市内で初めて見たのですが、カタカナの看板がとても気になって入ってみました。小さな店内には、食器や雑貨、下着やアクセサリー、化粧品やスマホのアクセサリーなど、所狭しと商品が並んでいました。明るい色使いのポップな商品が多く、価格も手頃なので、つい欲しくなります。

この「メイソウ」は、日本にも進出していた時期があります。日本企業と勘違いしそうですが、中国企業です。

ちょっとオシャレなインテリアやファブリックは、インテリアショップで揃えることができました。私が住んでいた四川省・成都市には、「IKEA」と「ニトリ」があり、どちらも中国人で賑わっていました。私が初めて「IKEA」に行ったとき、お店の入口には大行列ができていて、入店まで1時間半も待たなければならなかったほどです。

でも、インテリアショップは、ちょっと非日常を感じられる場所でもありました。「こんなカーテンにしたら、素敵な部屋になるだろうな」「こんなソファを置いたら、居心地が良さそうだな」と妄想しながらインテリアショップの店内を歩くと、楽しい気分になったものです。よい息抜きになりました。

おわりに

何を買うわけでもないのに、ブラブラと歩きながら店を見てまわるのは、私にとっては休日の楽しみのひとつでした。私の住んでいた街には、映画館などの娯楽施設を備えた大型の商業施設が複数あり、日系のお店も多く出店していたので、「何か必要になったら、あの店で買おう」と思える安心感がありました。でも、今にして思えば、もっとローカルの市場や個人のお店に行って、どんな物が売られているのかを見たり、お店の中国人と話をする機会をつくればよかったなと思っています。いずれまた、中国へ出かける機会ができたら、ちょっとディープな場所にも行ってみたいなと思います。

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