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お正月にまつわる料理と、食べ過ぎにおすすめの一品

お正月にまつわる料理と、食べ過ぎにおすすめの一品
高山 晴代 料理研究家

執筆者
高山 晴代 料理研究家

婦人服デザイナーから転職し、料理研究家として独立して10年。受講生6,000人以上。現在は八ヶ岳を拠点に発酵と野草、フードロスに特化した講座の開催とオンライン化のプロデュースをしている。コンセプトは命の根っこを強くする。著書2冊。メディア:日本経済新聞、にじいろジーン他。レシピ提供:東京ガス、講談社他。

お正月は家族の集まりや、新年会など、目白押し。おいしいものを食べる機会が、一年の中でも一番多い時ではないでしょうか?色とりどりのおせち料理、生薬たっぷりのお屠蘇(おとそ)、お雑煮、それから、初詣の参道の出店での一品も楽しい時期です。今回は、当たり前に食べている、お正月料理の甘い味付けの理由、年の初めにいただくお屠蘇のこと、さらにお正月明けの食べすぎにおすすめの簡単なスープもご紹介します。塩っぱいおせちのレシピもございますので、最後までおつきあいください。

1.お正月をいろどるお料理を楽しむ

1-1. おせちに甘い味が多いのには訳がある

お正月のお料理といえばおせちですが、おせちの起源のそもそもは、歳神様にお供えする、供物でした。歳神様が高い山から降りてくるといわれがあり、歳神様にささげるお料理がおせちの始まりです。おせちは、「御節供(おせちく)」が略されたものです。「御節供(おせちく)」とは、元々は元日だけではなく、節日(季節の変わり目等の祝い事をする日)に神様にお供えした食事のことです。そのお供えした御節供(おせちく)を家族で食べる会が開かれていました。

最近では洋風のおせちも多くなりましたが、和風のおせちは、全体的に甘いものや味が濃いものが多い。そのような印象を、お持ちの方も多いのではないでしょうか?実はこれには意味があります。そもそもは、お正月の三が日くらいは、火を使わないようにかまどの神様を休める風習がありました。現代では、家族でゆっくり過ごすためと、変化していますが、おせちが日持ちのする料理が多いのは、そのような理由です。日持ちのする料理、保存の効く食べ物というと、どうしても甘いものや、塩っぱいものが多くなりますね。伊達巻や、栗きんとん、たづくり、黒豆などが甘い味付けなのは、そのような理由があります。

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1-2.お屠蘇(おとそ)はれっきとした薬酒

1-2.お屠蘇(おとそ)はれっきとした薬酒

元旦のおせちの前に、いただくのがお屠蘇(おとそ)です。健康を願うもので、無病息災を祈る意味が込められています。5〜10種程度の薬草を、お酒やみりんに一晩浸け込みます。身体を温め、風邪を予防し、胃腸を整えます。「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」といわれます。屠蘇散(とそさん)の名前の中にある、「蘇る(よみがえる)」 の字のごとく、「邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせる」(悪鬼を屠り、死者を蘇らせる)という意味があります。歳神様にお祈りして、おせちやお雑煮をいただく前に、お屠蘇を飲むことでその年の邪気を払い、家庭健康で幸福を迎えるという言い伝えがあります。お屠蘇のもとになる屠蘇散は、薬局やオンラインショップで購入することができますし、年末になると、大手のメーカーさんのみりん風調味料に、おまけでついていることも。お祝いの生薬のお酒ですから、ぜひ取り入れてほしい一品です。通常5〜10種の生薬を、数時間、お酒又はみりんに浸し、生薬の成分を抽出します。あまり浸け込みすぎると、味が悪くなるので、時間には注意して浸けるようにしましょう。

1-3. 七草粥は一年で最初の節句

1-3. 七草粥は一年で最初の節句

おせちの名前の由来は、節句からきていることをお伝えしましたが、一年で最初の節句は、1月7日の七草粥です。この日はお正月に食べすぎた胃腸の疲れをとるのに最適で、若草を少量いただくことで、身体に春が来ることを告げてくれます。お節句は、この若草粥の1月7日以外は3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句、7月7日の笹の節句、そして9月9日の菊の節句(重陽)と、奇数の並んだ日になっています。ですが唯一、1月7日の人日(じんじつ)の節句だけは奇数が並んでいません。そのためあまり節句と思われていないことも多いようですが、七草粥は一年で最初の節句です。七草を食べるので、7日が良いとして1月7日になったとされています。七草はせり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな 、すずしろ。本来ですと2月くらいに芽をだす植物。旧暦の暦を参考にした方が、自然の若草が手に入りやすいでしょう。

2.門松やお飾りは神様の依代

2.門松やお飾りは神様の依代

お正月の飾りには、それぞれに意味があります。門松は、年神様をお迎えする目印です。門松に使われる植物の松は、冬でも緑で枯れない常緑の樹で、神の依り代ともされていますし、『祀る(まつる)』の語呂からの意味もあります。ちなみに、二つの門松を飾るのは、雄松と雌松のつがいの意味があります。また、注連縄(しめなわ)には結界の意味があります。家庭における注連縄飾りは、「この場が清められていて、年神様をお迎えする準備ができていますよ」という意味を持ちます。

3.お正月の食べ過ぎにおすすめのホットスープ

3.お正月の食べ過ぎにおすすめのホットスープ

おめでたいお正月ですが、女性は特に、毎年お正月が過ぎると、食べ過ぎを気にすることが多いのではないでしょうか。そんな時には、シンプルな切り干し大根のホットスープが効果的です。このスープはマクロビオティックの食養生の理論に沿ったスープです。マクロビオティックとは、陰陽論をもとにした宇宙的視点からの食養生で主に菜食です。単語が示すようにマクロは「大きな」、 ビオは「生命」、 ティックは「術、学」を意味します。さらに切り干し大根は、酵素も豊富で、身体を温め、脂肪を溶かすデトックス効果が期待できます。作り方は簡単です。鍋に500ccの水を入れて、一掴みの切り干し大根を入れて、火にかけます。沸騰したら、弱火にしてコトコト20分。最後に塩をひとつまみ加えてできあがりです。スープ(煮汁)だけを温かいうちにいただきます。要は切り干し大根をコトコト、煮詰めた煮汁ですが、これが想像以上に甘くておいしく、身体が温まり、頭もスッキリとします。1〜2月にお客様がいらっしゃると、お出しするのですが、みなさん「あま〜〜〜〜〜い!これ本当に切り干しだけですか?」と驚かれます。

4.お酒のアテにもなる、塩っぱいおせち 精進松前漬けのレシピ

お酒のアテにもなる、塩っぱいおせち 精進松前漬けのレシピ

甘いものが多いおせちですが、野菜だけでおいしい、お酒のアテにもなる一品をご紹介します。黒豆を使った松前漬けのレシピです。甘いお味の一般的な黒豆ですが、お醤油の効いたこの味付けは新しく、意外にさまざまなお料理にもアレンジができる、使える一品です。

黒豆は皮が割れるまで、20~30分程度煎ります。切り干し大根は、水で軽く洗い、ざるにあけ数分おきます。調味料の酢、醤油と水を火にかけ、煮立つ寸前に火を止め調合液を作ります。人肌程度の温度に冷めた調合液に唐辛子を加え、全ての材料を混ぜます。できあがるまでに3日程度寝かします。豆が柔らかくなり、味もうまみが増したら食べ頃です。飾り付けに金粉があると、おめでたくて良いですね。白砂糖不使用&無添加でヴィーガン、精進用のレシピでになります。ちなみに、切り干し大根や昆布は、お好みで増やしてくださいね。お酒のアテにもなりますし、食べ応えのある植物性の松前漬け。豆はマメに働くといわれ、邪気祓いにもなり、縁起の良い食べ物。冷蔵庫で二週間程度は日持ちします。

おわりに

最初にいただくおせちは、感謝や祝いの気持ちの詰まったものです。

新年を迎え、最初にいただくおせちは、感謝や祝いの気持ちの詰まったものです。新しい年の始まりは、希望に胸も膨らみ、清々しい気持ちになります。命があることにも、改めて感謝の気持ちがわくでしょう。家族の健康を祈り、いつもお世話になっている方へ年賀状を出すことで、日頃の感謝の気持ちを届けられる機会です。そのようなおめでたい時にいただく祝いの食事、命にもご先祖様にも、感謝していただきたいですね。新しい年が、幸せで豊かなものとなりますように。お祈りいたします。

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