タイで生活していくにあたり、住む場所を決める事はもちろんですが車を購入すべきかどうかも気になるのではないでしょうか。今回はタイでの車の購入の必要性について考えると共に、車の購入方法やタイの運転免許の取得方法などをまとめてご紹介します。
1.タイでの生活に車の購入は必要か?
まず車の購入の必要性についてですが、結論から言うとバンコクのスクンビットエリア(バンコクの日本人居住エリア)に住むのであればさほど必要性は高くありません。
しかし、パタヤやチェンマイなど地方都市に住むのであれば購入したほうが快適な暮らしを送ることができるでしょう。
まずはタイで車の購入をする事に関するメリットとデメリットについてお話しします。
1-1.車を購入するメリット
まず車を購入するメリットについては以下のとおりです。
- 電車の通っていない場所へも気軽に行ける。
- 長距離移動時に必要な移動手段の手配などを考える必要が無い。
- 電車が通っている場所に住む必要が無いので、郊外で安い家賃の部屋を探す事ができる。
- 帰国時に売る際、日本ほど値が下がらない。
バンコクに住んでいても中心地を離れるとBTSやMRTなどの電車が走っていないエリアは多いです。少し遠くへ行きたい時や、近くでも電車が走っていないエリアを訪れたい場合は自身の車があると大変便利です。
また、車という移動手段がある事で駅近くに住む必要性がなくなりますので、低予算でも借りられる部屋の選択肢が増えるでしょう。
そして、タイに移住し数年後に日本へ帰国をする際には車を売却する事を考えると思いますが、車種によってはあまり値が下がらないのもタイの中古車マーケットの特徴です。
1-2.車を購入するデメリット
では車を購入するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。考えられる点は以下のとおりです。
- 運転マナーが悪いため、事故に巻き込まれる確率が上がる。
- バンコク中心地は慢性的な渋滞の為、電車移動の方が効率的。
- 維持費がかかる。
タイは、日本に比べ、車の運転マナーが悪いです。事故率は日本と比べても非常に高いです。自分がルールを守って運転していても、事故に巻き込まれるケースはあります。その際に相手方や保険会社とタイ語か英語でやり取りをしなければならないのがデメリットの一つと言えるでしょう。
また、バンコクの中心部は慢性的に渋滞しているため、電車を使って移動したほうが時間も読めて効率的です。
維持費については日本よりははるかに安く、日本でいう「車検」というものはなく、年一回の自動車税の納付ぐらいとなります。お住まいがコンドミニアムであれば、駐車場は無料で使うことができるところがほとんどです。
ただ、事故のときのことを考えて、任意保険にはしっかりとしたものに入りましょう。自動車税納付の際に、自動的に強制保険にも加入をしますが、保障額も非常に低く、安心とは言えない保険内容となっています。車の車種、保険内容によって当然異なりますが、任意保険と自動車税をあわせて年間2万バーツ(約7万円ぐらい。1バーツ=3.5円)の費用が発生します。
安全面と費用面を考え、ゴルフの時や旅行の時だけ車を利用したいと考えている場合はドライバー付きのレンタカーを借りたほうが、年間コストが安くつくかもしれません。
2.タイでの車の購入方法
では、車の購入方法はどのような流れなのでしょうか。車を購入する際のプロセスとしては、販売しているお店へ行って試乗して購入、そして納車を待つという流れは、日本とあまり変わりません。
2-1.購入時に必要な書類
購入の際に必要な書類は以下のとおりです。
- パスポート
- 在籍証明またはワークパーミット(労働許可証)
こちらの2点は最低限必要な書類で、あとはメーカーによって追加で必要な書類があるかもしれませんので、来店前に電話等で確認をするのが良いでしょう。最近では日本人経営で日本語が通じる自動車販売店もいくつかあるので、言葉が不安な方は、日本語対応可能なお店で相談するのが良いでしょう。
車の名義変更にあたり、ワークパーミット(労働許可証)を求められるのが一般的です。リタイアメントビザ等で滞在されている方は、購入前に、ご自身の名義に変更することができるかどうか必ず確認しましょう。
2-2.新車と中古車、選ぶならどっち?
タイに移住しても、5年もすれば日本へ帰るだろうと考えている方は、新車と中古車どちらを購入すべきか迷うでしょう。結論から言うと、購入するなら多少高くても新車を購入すべきです。
理由としては、以下のとおりです。
- 売却時にあまり値が下がらない。
- 中古車は水没車などの不良が紛れている可能性がある。
タイでの車は走行距離でなく年式で価格が変わってくるので、沢山走っていたとしても年式が浅ければそこまで値下がりしません。ですので、安いからと言って中古の古い年式の車を買うくらいなら、売却することを見越して新車を購入する事をおすすめします。
また、日本のように車検があるわけでなく、どのようなメンテナンスをされてきた中古車なのかも分かりません。雨の多いタイでは道路の冠水が日常茶飯事です。そんな冠水した道路を走って水没した車なんかが中古車には紛れています。あらゆるリスクを避けるなら、絶対に新車を買うべきです。
3.タイで運転するための免許証の取得方法
次にタイで自動車を運転する際に必要な免許証についてです。
日本で取得した国際免許証でも運転することが可能ですが、タイに来たらタイの運転免許証に切り替えることをおすすめします。
切り替えの際は、必要な書類を揃えて陸運局へ行きましょう。簡単な適性検査を受ければ終わりです。半日もあれば終了し、早い場合だと1時間程度でできる簡単な手続きです。
国際免許証でなく日本の免許証からの切り替えも同じ手順で行えます。タイに来て、すぐにタイの免許証を取得しようと考えている方は、移住前にわざわざ国際免許証を取得する必要もありません。
免許証取得の際に必要な書類については在タイ日本大使館のホームページで確認できます。
領事関連情報(運転免許証について)|在タイ日本大使館
4.タイの自動車保険はどういうものがある?
最後にタイの自動車保険についてです。
車を購入した際に必ず加入しなければならない強制保険と、任意で加入する任意保険がありますが、事故の多いタイではいつ、被害者、加害者になってしまってもおかしくありません。車を購入する場合は必ず任意保険の加入も検討しましょう。
4-1.強制保険
強制保険とは、日本でいう自賠責保険のようなものです。車を購入した際に必ず加入しなければなりません。保険料は車種と乗員数によって異なりますが、普通乗用車の場合は年間645バーツで約2,250円(1バーツ=3.5円)です。安いですね。
補償内容は、以下のとおりです。
<運転者に非がない場合>
- ケガ:1人最大8万バーツ(=約28万円)
- 死亡:1人最大30万バーツ(=約105万円)
<運転者に非がある場合>
- ケガ:1人最大3万バーツ(=約10.5万円)
- 死亡:1人最大3万5,000バーツ(=約12.3万円)
その他通院費や後遺障害の補償もありますが、年間最大30万4,000バーツ(=約106.4万円)と上限額が決まっています。
4-2.任意保険
任意保険は選ぶプランや保険会社によって保険料は変わってきますが、相場は5,000〜20,000バーツ(=約17,500円〜約70,000円)までとなります。
強制保険ではカバーできない部分をカバーしつつ、さらに手厚い補償が受けられるようにするには年間15,000バーツ前後(=約5.25万円)は保険料として必要と考えておくのが良いでしょう。
車を購入する場合に、恐らく自賠責保険以外にも任意保険をおすすめしてくれるはずですので、調べるのが面倒な方は購入時に全て手続きを済ましてしまうのが簡単です。
おわりに
今回はタイでの車の購入に関わるさまざまなことを解説しました。
タイは新規の免許証取得も2週間ほどで可能で、免許証自体も点数制ではなく、交通ルール違反も罰金で全て解決してしまいます。そのため、十分な知識が無くマナーの悪いドライバーが増え、事故の多発に繋がっているといわれています。
確かに車があると何かと便利ですが、事故に遭う可能性や、帰国する際にどうするかなど様々なケースを視野に入れ、購入するかどうかを検討するのが良いでしょう。