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老後の備えを5つのテーマで学べる『東京フィフティ・アップBOOK』で50代以降の人生をデザインしよう

老後の備えを5つのテーマで学べる『東京フィフティ・アップBOOK』で50代以降の人生をデザインしよう
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

「人生100年時代」といわれる昨今では、50歳でやっと人生の折り返し地点を迎えます。しかし、残り50年生きられるといわれても、体力が衰えて身体が思うように動かなくなってくる中で、どんなライフプランを描けば良いのか不安に感じている方も多いでしょう。 

そんな方に役立つのが、東京都福祉保健局が無料公開している電子ブック『東京フィフティ・アップBOOK』です。今回のコラムでは、『東京フィフティ・アップBOOK』の概要とぜひ読んでほしい方の特徴について解説します。 

なお、『東京フィフティ・アップBOOK』は下記、東京都福祉保健局のHPから無料ダウンロードできますので、お気軽にご利用ください。 

参考サイト:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyo50upbook/ 

1.『東京フィフティ・アップBOOK』とはどんな本? 

書名にもある「フィフティ・アップ」とは、50〜64歳でこれからの人生を考える時期に差し掛かった世代のことを指します。シニア世代やシルバー世代と呼ばれる少し前、プレシニア・ミドルシニア世代の方々に向けた書籍といえるでしょう。 

『東京フィフティ・アップBOOK』で紹介されているのは、学びや趣味、社会貢献、健康長寿のヒントになる5つのテーマです。この世代が直面することになる親・パートナーの介護や、ご自身の認知症の不安、収入面の不安に対する対処法についてもQ&A形式でまとめられています。

『東京フィフティ・アップBOOK』とはどんな本?

全218ページとボリュームがありますが、困った時にいつでも参照できる「セカンドライフの教科書」として活用することをおすすめします。なお、紙冊子版の一般配布は令和2年度で終了しておりますが、東京都福祉保健局のHPでは、PDF版、電子ブック版が無料公開されています。電子ブックを読みながら、気になったページや直接書き込みをしたいページはプリンターでコピーを取る、といった読み方がおすすめです。 

ちなみに巻末には、これからの人生を考える上で役に立つ「ライフプランニングノート」も付属しています。こちらのノートを記入することで、ご自身のことを客観的に見つめ直し、第二の人生を充実させるヒントになるでしょう。簡易的なエンディングノートとしても使える内容となっているので、記入したものはぜひ手元に残しておきましょう。 

2.『東京フィフティ・アップBOOK』で扱う5つのテーマ 

『東京フィフティ・アップBOOK』の中で扱っているのは、主に次の5つのテーマです。 

  1. これからライフどうしたい? 
  2. 夢を実現するために50⤴からできること 
  3. 未来のわたしたちはどうなる? 
  4. 健康長寿のために 
  5. 安心&元気に暮らしたい 

※『東京フィフティ・アップBOOK』目次より引用 

各パートで紹介されている内容をまとめましたので、本書を読む際の参考にしてみてください。 

2-1.50代からの「これからライフ」 

「人生残り半分あるといわれても、何をしたら良いのか分からない」そんな方のために、50代からの「これからライフ」を考えるヒントになる診断チャートが掲載されています。 

  1. 社交派 
  2. のんびり派 
  3. アクティブ派 
  4. 独立独歩派 

いくつかの質問に答えることでご自身が上記4タイプのどれに当てはまるかが分かり、それぞれのタイプでどんな「これからライフ」がおすすめなのかを解説しています。ご自身では「のんびり派かな」と思っていても、診断チャートを利用してみて、実はアクティブ派であることが判明するかもしれません。 

タイプごとに向いている仕事・趣味も変化しますから、これからの人生の歩み方に迷っている方は、ぜひ参照してみてください。 

50代からの「これからライフ」

2-2.50代からの仕事・学び・趣味・社会貢献 

第2パートでは、仕事編・学び編・趣味編・社会貢献編に分かれ、4つの視点からこの先の過ごし方を提案しています。 

各テーマでは60〜70代の先輩世代の体験談が紹介されており、保護猫カフェを開業した方や、通信制大学に入学して日本画を学び始めた方の例も取り上げられています。タイ人が教える料理教室に通いながら語学の勉強をしている方や、障害者スポーツの指導に携わる方など、リアルな体験談が載っているので、軽く目を通すだけでも興味がそそられます。 

仕事を定年退職すると、これまで仕事に充てていた時間が自由に使えるため、1日約10時間も余暇に使えるというデータもあるとのことです。そんな時間を有効活用して夢を叶えるためには、『安・近・深』の3つがキーワード。それぞれどんなことを心掛けたら良いのか、本書の85ページで紹介されています。。 

50代からの仕事・学び・趣味・社会貢献

2-3.人生100年時代を生き抜く5つのキーワード 

こちらのパートでは、これからの私たちが歩むことになる未来について紹介されています。具体的には、次の5つのキーワードがポイントです。 

  1. 少子高齢化 
  2. 一人暮らし 
  3. 認知症 
  4. 健康寿命 
  5. 仕事年齢 

団塊の世代が75歳に達して少子高齢化が一段と進む2025年問題、子どもが自立していずれは迎えることになるシニアの一人暮らし、高齢になるほどリスクが高まる認知症については、特に気になるトピックでしょう。人生100年時代を楽しむために欠かせない健康寿命や、シニアを迎えても生きがいを持って働くための「仕事年齢」について考えることは、この先の人生をより豊かにしてくれるのではないでしょうか。 

人生100年時代を生き抜く5つのキーワード

2-4.健康寿命を延ばす「フレイル予防」 

あなたは「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか? 

フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態の間のことを指す言葉です。私たちは加齢によって体力の低下や機能の低下が進み、フレイル状態を経て、要介護状態へと進む可能性が高まっていきます。 

フレイルを予防することで健康寿命を延ばしましょうというコンセプトで、各年代で気を付けたい健康上のポイントが解説されているのがこのパートです。 

具体的には、50〜64歳までは生活習慣病予防に力を入れつつ、食べ過ぎや働き過ぎを避けることが大切になるといいます。65歳以降はフレイル予防に切り替え、筋力トレーニングに取り組むことや栄養不足を避けることがポイントとして挙げられています。 

フレイル予防のための「栄養」「体力」「社会参加」のヒントについても紹介されています。詳しくは本書の118ページ以降をご参照ください。 

2-5.50代以降の困りごとと解決のヒント 

これから先の人生の中で、具体的にどんな困りごとに直面するのかイメージできない方も多いでしょう。物忘れが激しくなったり、体力が低下したり、病気の治療が長引いたりと、これまでの人生では経験しなかったような困りごとも多く発生します。 

そんな困りごとに対して、どう解決したら良いのかが紹介されているのがこのパートです。 

たとえば地域包括支援センターや区市町村の窓口に足を運び、困ったときに相談することで、さまざまな支援を受けることができることも紹介されています。社会福祉協議会、シルバー人材センター、NPO団体など、何か困ったときに頼りになるサービスは意外と多くあります。 

具体的にどんな種類のサービス・団体があるのかは、本書の153ページ以降で紹介されているのでぜひチェックしてみてください。 

3.『東京フィフティ・アップBOOK』をぜひ読んで欲しいのはこんな方 

人生の折り返し地点を迎え、第二の人生を歩み始めようとする世代の方にとっては、『東京フィフティ・アップBOOK』は必読の書といえます。中でも特に目を通していただきたいのは、次のような方です。 

  1. 子ども・孫世代に迷惑をかけたくない方 
  2. 単なる長生きではなく健康寿命を延ばしたい方 
  3. 現役のうちに老後の不安に備えておきたい方 
  4. 生涯現役でいたい方 

それぞれの特徴を紹介しますので、ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみてください。 

3-1.子ども・孫世代に迷惑をかけたくない方 

「自身の老後は自分自身で面倒を見る」 

「子どもや孫の手を煩わせたくはない」 

そう考えている方は、『東京フィフティ・アップBOOK』も活用して「フレイル予防」について重点的に学んでみることをおすすめします。今後歳を重ねることで、身の回りのちょっとした怪我のリスクが寝たきりを招く可能性もあります。そうならないために、今のうちからフレイル予防に取り組んで健康な老後に備えましょう。 

3-2.単なる長生きではなく健康寿命を延ばしたい方 

たとえ長生きできるとしても、最後の数年はずっと病院で寝たきり…という事態は避けたいところです。元気で活発に活動できる健康寿命を延ばすための秘訣も、『東京フィフティ・アップBOOK』では解説されています。ぜひチェックしてみることをおすすめします。 

3-3.現役のうちに老後の不安に備えておきたい方 

身の回りに老後を経験している方が少ないと、ご自身の老後の生活がイメージしづらいかもしれません。お金のこと、健康のこと、家族のことなど、考え始めればキリがないほど老後の不安が浮かんできます。そんな老後への不安に少しでも対処したい方こそ、『東京フィフティ・アップBOOK』を読んでいただきたいです。 

3-4.生涯現役でいたい方 

仕事を完全にリタイアしたり、趣味のない老後を過ごしたりするのではなく、生涯現役として働き続けたいという方にも『東京フィフティ・アップBOOK』はおすすめです。ハローワークやシルバー人材センターで仕事を見つけるだけではなく、ボランティアや大学に通い直すことでいつまでも社会で活躍し続けることが可能です。ご自身に合った「生涯現役」の形を見つけるためにも、ぜひ本書を参照してみてください。 

4.巻末の「ライフプランニングノート」を活用しよう 

巻末の「ライフプランニングノート」を活用しよう

『東京フィフティ・アップBOOK』の大きな特徴の1つが、巻末の「ライフプランニングノート」です。 

子ども時代や若い頃にやってみたかったこと、将来の1週間のスケジュール、運動量や身長・体重など、ノートに記録しておくことでこれからのライフプランを描く材料となります。エンディングノートの代わりになるページも用意されていますので、ぜひ印刷してご自身の手で記入してみることをおすすめします。 

本編の各パートで記入例も紹介されていますから、迷ったときにはそれぞれのページの書き方を参考にしてみてください。 

巻末の「ライフプランニングノート」を活用しよう

5.東京都福祉保健局から電子ブックを無料DL|パソコンやタブレット端末で読むのがおすすめ 

『東京フィフティ・アップBOOK』は電子ブックの形で公開されているため、スマホの小さな画面では少し読みづらいかもしれません。できればパソコンやタブレット端末を用意して、東京都福祉保健局のHPからPDFをダウンロードしてご覧いただくことをおすすめします。 

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyo50upbook/ 

なお、ページ数が200ページ以上に及ぶため、全ページを印刷するのは難しいかもしれません。そのため直接書き込みをしたたいページや手元に残しておきたいページのみ、プリントアウトすることをおすすめします。巻末にある「ライフプランニングノート」も、ぜひ印刷して記入してみてください。 

おわりに 

『東京フィフティ・アップBOOK』は令和2年(2020年)に東京都福祉保健局から発行された冊子ですが、東京以外の地域に住む方にとっても、そしてどんな時期に読んだとしても、きっと大きな発見があるはずです。 

先行きの見えないこれからの社会を歩む私たちにとって、本書で紹介されている「これからライフ」のヒントは、人生という広い海を航海するための羅針盤となってくれます。今回のコラムで紹介したテーマについて少しでも興味を持たれた方は、東京都福祉保健局のHPからチェックしてみてください。 

東京都福祉保健局:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyo50upbook/ 

なお、すでに何かお困りごとを抱えている方は、地域包括支援センターやお住まいの自治体の窓口にもご相談ください。今回紹介した『東京フィフティ・アップBOOK』の153ページにも頼れる相談先が載っていますので、困ったときには遠慮せずに利用してみましょう。 

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