子どもを車に乗せる際には、チャイルドシートを着用しなければならないことは周知されているでしょう。しかし、ジュニアシートとの違いや対象年齢についてわからない方もいるのではないでしょうか。本コラムではジュニアシートはいつからいつまで使用するのが望ましいのか、またジュニアシートを選ぶ際のポイントについて解説します。子どもの安全を守るため、適切なジュニアシート選びの情報をお伝えします。
ジュニアシートの重要性
ジュニアシートは、いつからいつまで使用するのが適切かについて述べる前に、ジュニアシートの重要性についてお伝えしておきましょう。道路交通法では、6歳未満の子どもを車に乗せる場合はチャイルドシートの使用が定められています。2021年に警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行った「チャイルドシート使用状況の全国調査」では、チャイルドシートの使用率は74.5%でした。
年齢別の使用率は、1歳未満が89.9%、1歳~4歳が76.7%であるのに対し、5歳になると使用率が53.5%にまで減少する結果が出ています。ジュニアシートへの移行が想定される学童期前後のチャイルドシートの着用率が低い傾向にあることが、データから見て取れます。
データからは、5歳では半数近くがジュニアシートの着用をしていません。ジュニアシートの着用を怠った場合に想定されるリスクとして「シートベルトからのすり抜け」が挙げられます。衝突や横転などの事故にあった場合、体格の小さい子どもでは事故の衝撃によりシートから飛び出す可能性があるのです。
車での移動の安全性を高めるためにジュニアシートの装着をすることは、大切な家族を守る行動となるでしょう。
参照元:警察庁
ジュニアシートの定義とは?幼児用補助装置の種類を解説
ジュニアシートとチャイルドシート、その他の子ども向けシートについて違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。チャイルドシートの法律上の名称は発育の程度に応じた「幼児用補助装置」です。実は、ジュニアシートなど幼児用補助装置の総称がチャイルドシートなのです。
ジュニアシートを含めた幼児用補助装置をチャイルドシートとしていますが、これらの幼児用補助装置は対象年齢や身長、体重などにより大きく3つに分けられます。詳しく解説していきましょう。
ベビーシート
まずは、ベビーシートです。ベビーシートには持ち手が付いていることが多く、赤ちゃんが眠った場合もそのまま持ち運べることから「キャリータイプ」とも呼びます。ベビーシートの種類によっては、トラベルシステムと呼ばれるベビーカーへの取り付けが可能なタイプもあり重宝されています。
対象年齢は新生児~1歳まで、身長は70cm以下、体重は13kg未満まで使用可能です。進行方向に向かって後ろ向きに装着するタイプと、横向きに装着するベッド型タイプがあります。
チャイルドシート
前述したように幼児用補助装置の総称をチャイルドシートと呼びますが、一般的にチャイルドシートといえば1歳~4歳までの幼児用のシートを指す場合が多いでしょう。対象年齢は1歳~4歳、身長は65cm~100cm、体重は9kg~18kgが推奨されています。また、首が据わっていること、自身で座位が保てることもチャイルドシートの使用条件です。
チャイルドシートはベビーシートと兼用できるタイプもあり、前向きから後ろ向きへ変更も可能です。長く使えるため、ベビーシートを兼ねたチャイルドシートを購入する方も多い傾向にあります。
ジュニアシート
ジュニアシートとは、学童期に使用する幼児用補助装置のことです。車のシートベルトは大人の体格に沿って作られています。そのため、チャイルドシートを卒業した5歳児ぐらいの体格には合わないでしょう。そこで装着が推奨されているのがジュニアシートです。
道路交通法では6歳以上の子どもにはチャイルドシートおよびジュニアシートの着用は義務付けられていません。ただし、事故時のシートベルトからのすり抜けを防止するためにも、ジュニアシートの着用が望ましいと考えられています。ジュニアシートには2種類ありますので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
背もたれ付きタイプ
背もたれ付きタイプのジュニアシートは、背もたれ部分を子どもの成長に合わせて段階的に調整することが可能です。車の移動時は寝てしまう子どもも多いですが、頭や身体をしっかりと支えられるので負担も軽減されます。
また、事故時にも頭や首、背中を守るため、背もたれ付きタイプのジュニアシートは、安全性が高い仕様といえるでしょう。特に、チャイルドシートからジュニアシートに移行するぐらいの小さい子どもには背もたれ付きタイプがおすすめです。
座席シートのみのタイプ
ジュニアシートには、背もたれのない座席シートのみのタイプもあります。背もたれのないタイプのジュニアシートは「ブースターシート」とも呼ばれます。通常の座席に置き、その上に子どもが座ることで座高が高くなり、シートベルトでしっかりと身体を固定できます。
座席シートのみのタイプのメリットは、持ち運びが簡単な点です。例えば、夫婦それぞれに車がある場合、子どもをご自身の車に乗せる度にシートを付け替えるのは大変です。その点、座席シートのみのタイプであれば、運転する車に応じてシートを入れ替えるだけなので、煩わしさがありません。
子どもの体格が小さいうちは背もたれ付きタイプの方が安心できるという方は、背もたれの取り外しが可能なタイプを選ぶ方法もあります。背もたれを外せば座面のみのブースターシート仕様になりますので、検討してみると良いでしょう。
ジュニアシートはいつからいつまでが装着義務?
チャイルドシートの着用が法律で義務付けられたのは、2000年の4月に行われた道路交通法の改正時です。道路交通法では、6歳未満の子どもを車に乗せる場合はチャイルドシート(ベビーシートやジュニアシートを含む)を装着しなければなりません。
では、ジュニアシート自体の使用はいつからが望ましいのでしょうか。また、ジュニアシートは6歳になれば外してしまって良いのでしょうか。ジュニアシートの使い始めの目安と、何歳までの使用が適切なのかについて解説します。
使い始めの目安は?
ジュニアシートの使い始めは、同時にチャイルドシートからの切り替えでもあります。ジュニアシートにいつから切り替えるのかについては、法律による明確な定めはありません。目安となる年齢は3歳~4歳です。子どもをチャイルドシートに座らせると、狭そうで苦しがるようになったら切り替えのサインです。
また、ジュニアシートは製品によって対応年齢や、使用に適した身長と体重が決められています。メーカーによって異なりますが、一般的には3歳~4歳頃から使用できるタイプが多いです。体格でいえば、体重が15kg以上、身長は100cmほどが目安となります。子どもの体格にもよるため、シートベルトで安全な位置に固定ができるかなどをチェックし、子どもや孫が安全に使用できるかどうかを見極めると良いでしょう。
なお、ジュニアシートはチャイルドシートと兼用できるタイプも販売されています。1歳頃から使用でき、11歳頃まで長く使えるタイプです。新生児~1歳頃まではベビーシートを使い、その後はチャイルドシートとジュニアシートの兼用タイプを購入するという方法もあるでしょう。
いつまで使用する?
道路交通法第71条3項では「6歳未満の幼児を乗車させる際は、疾病などの場合を除き、幼児用補助装置を使用しなければならない」という旨が記載されています。法律上は6歳になればチャイルドシートおよびジュニアシートの使用義務はありません。
しかし、シートベルトにも身長基準が設けられているため、注意が必要です。自動車メーカーや団体にもよって基準は異なりますが、140cm前後がシートベルト着用の目安となる身長です。
では、6歳児の平均身長はどれくらいでしょうか。文部科学省が行った「令和2年度学校保健統計調査」によると、6歳男児の平均身長は117.5cm、女児は116.7cmです。6歳の段階では140cmには遠く及ばないことがわかります。
したがって、年齢が6歳に達したからといって、安易にジュニアシートの装着をやめるのは安全面でおすすめできません。個人差はありますが、同調査によると身長が140cmほどに達するのは、男女ともに10歳頃です。万が一のときの子どもの安全を考えると、ジュニアシートは10歳頃まで使用するほうが良いでしょう。
参照元:文部科学省
ジュニアシートの装着義務を破るとどうなる?
前述したように、道路交通法では6歳未満の幼児を乗車させる際には、やむを得ない事情を除きチャイルドシートおよびジュニアシートを使用する義務があります。これは、事故時の安全性を考慮して定められている事項です。
万が一、チャイルドシートなどの使用を怠った場合には「幼児用補助装置使用義務違反」として違反点数が1点取られます。ただし、罰金や罰則は課せられません。罰金や罰則こそありませんが、子どもの安全性を重視してチャイルドシートやジュニアシートの装着を怠らないようにしたいものです。
なお、バスやタクシーに乗車する際は「道路交通法施行令第26条の3の2 第3項」により、チャイルドシートの使用は義務ではありません。ただし、祖父母や知人の車に乗るときはチャイルドシートやジュニアシートが必要となるため、注意しましょう。
参照元:e-Gov
ジュニアシートを選ぶ際のポイント
ジュニアシートは多種多様な製品が販売されているため、購入時には迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、ジュニアシートを選ぶ際のポイントをお伝えしていきます。
製品ごとに異なる対象年齢・身長・体重をチェック
ジュニアシートという括りであっても、製品によって使用可能な条件は変わります。主な条件としては、子どもの年齢・身長・体重が挙げられます。これらの条件は、事故時に製品の安全性が充分に機能するかどうかを、各メーカーが熟慮して決めているものです。
したがって、使用する側が条件にそぐわない使い方をすると、充分に安全性が確保されない懸念があります。製品によって決まっている条件に子どもが合っているのかを良く確かめて選ぶことが重要です。
安全基準を満たしている製品を選ぶ
チャイルドシートやジュニアシートには、国土交通省の安全基準を満たした製品の証として「Eマーク」が貼られています。このEマークは、2006年の10月1日以降の製品が対象となるマークです。改正前の製品に関しては「自マーク」が添付されているケースもあります。Eマークは製品の安全性を認めた国の番号の他、チャイルドシートやジュニアシートの対象となる体重などが記載されています。
さらに、国土交通省が実施する前面衝突試験の結果に基づき、優・良・普という評価にも注目です。また、使用性評価試験により、使用性などの点数付けも行っています。ジュニアシートの購入時には、未承認の製品ではなく、Eマークの付いた製品を購入し、その他の評価にも注目してみましょう。
長く使いたいなら兼用モデルがおすすめ
特に、赤ちゃんから使用できるベビーシートやチャイルドシートは、未発達な身体をホールドするため機能性も高く高額な製品も多くあるでしょう。
ベビーシートかジュニアシート…というように、年齢や体格に伴って買い替えが必要になり、製品の価格や購入頻度によっては費用がかさみます。少しでもコストを抑えたい、置き場に困るので新たに購入するのは避けたいという方には、チャイルドシートとジュニアシートが兼用できるモデルもおすすめです。
兼用モデルの場合、1歳頃から使用できる製品が多く売られています。長く使用したい方は、1歳まではキャリータイプのベビーシートを使い、1歳頃からはチャイルドシートとジュニアシートの兼用タイプに買い替えれば、11歳頃まで使用できるのでコストパフォーマンスも良いでしょう。
素材にも注目
子どもがぐずったりお腹を空かせたりすると、車内でも飲食をする機会が増えるでしょう。子どもの場合は、注意を促していても、つい食べ物や飲み物をこぼしてしまうものです。そのため、ジュニアシートは洗いやすい素材を選ぶと安心です。
食べ物や飲み物に限らず、子どもはよく汗をかくため、洗いやすさに加えて通気性も製品選びのポイントになるでしょう。
取り付けやすい製品を選ぶ
ジュニアシートは、主に2つの方法で車のシートに取り付けができる仕様になっています。取り付け方法について紹介していきましょう。
シートベルトタイプ
シートベルト固定タイプは、シートベルトを締めることで車のシートにジュニアシートを固定します。ジュニアシートを車のシートに深く設置し、子どもを座らせます。このとき、背もたれをリクライニングし過ぎないようにしましょう。子どもが座ったら、シートベルトをジュニアシートのツメの下をくぐらせ、バックルの音がカチッと聞こえるまでしっかりとはめます。通常のようにシートベルトを締める要領です。首が締まっていないか、着用状況を確認することも大切です。
ここで、シートベルトタイプのジュニアシートでおすすめの製品をご紹介します。
- ヘッドレストとアームレストの調整が可能
- 背もたれの取り外しができるため、成長に合わせて座席のみのブースターシートとしても使用できる
- 洗濯できるシートなので汚れても安心
- 3.6kgと比較的軽量のため車から車への移動も簡単
色 | メトロポリタンスコールグレー |
重さ | 3.6kg |
年齢目安 | 3歳頃~11歳頃 |
適応体重 | 15kg以上36kg未満 |
ISOFIX(アイソフィックス)タイプ
ISOFIXに対応している車種であれば、ISOFIX式で取り付けるジュニアシートもおすすめです。シートベルトで固定するタイプは正しく取り付けされていないケースもあります。その点、ISOFIXは取り付け位置にジュニアシートの金具部分をはめ込んで固定するため、より安定して装着が可能です。
ISOFIXに対応しているのは2012年7月以降に発売された車種になるため、ご自身の車が対応しているか確認してから購入をすると良いでしょう。では、ISOFIXタイプのジュニアシートのおすすめ製品をご紹介します。
- シートベルトでの取り付けにも対応しているためISOFIXに対応していない車種でも使え、凡庸性が高い
- ヘッドレストはスライドで調節可能
- 座面に低反発ウレタンとメッシュ生地を採用し、快適な座り心地を実現
- カバーは取り外して洗濯ができる
色 | ネイビーデニム |
重さ | 約4.9kg |
年齢目安 | 3歳頃~11歳頃 |
適応体重 | 15kg以上36kg未満 |
ジュニアシートの取り付け位置
ジュニアシートの取り付け位置については、義務化されたものはありません。そのため、ジュニアシートを助手席に設置しても法律上は問題ありませんが、安全性の観点からいえば後部座席への設置が望ましいといえるでしょう。
理由はエアバッグの設計です。エアバッグは大人の体型を想定して作られているため、事故の際にエアバッグが作動すると子どもに被害が及ぶ場合があります。国土交通省と警察庁は、事故時にエアバッグが膨張すると、座席との間に子どもの身体が挟まり圧迫されるため、チャイルドシートやジュニアシートは後部座席への設置を推奨しています。
とはいえ、同乗者の人数など、やむを得ない事情がある場合もあるでしょう。助手席に子どもを乗せる場合は、助手席のシートをできる限り下げておくなどの対策を講じておきましょう。
おわりに
ジュニアシートは子どもを車に乗せる際の補助装置となるチャイルドシートの一種で、6歳未満の子どもを乗車させる際には必須となる装置です。ジュニアシートの適切な使用開始時期は、製品によるものの、3歳~4歳が目安でしょう。
体重や身長もポイントになりますので、子どもの体格を良く見極めて導入を決めましょう。また、6歳を超えても身長が140cm未満であればジュニアシートの装着をおすすめします。子どもの安全を第一に考え、ジュニアシート選びから使用期間までさまざまな観点で検討してみましょう。
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