相続が発生して遺品整理の方法について調べている方の中には、特殊清掃という言葉を見かけた方も多いでしょう。遺品整理と特殊清掃は全く異なるものですが、状況によっては特殊清掃が必要になるので違いを理解しておくことが大切です。
この記事では、遺品整理と特殊清掃との違い、特殊清掃が必要なケース、料金相場、依頼する際の注意点などを解説します。遺品整理と特殊清掃について詳しく知りたい方は、是非参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 遺品整理は故人の遺品を整理することがメインで、清掃はサブ的な位置づけになる
- 特殊清掃は故人の部屋を掃除することがメインで、遺品整理は作業に含まれていない
- 特別清掃が必要なケースでは、遺品にもニオイが付着しているので遺品整理も依頼したほうが安心
遺品整理とどう違う?特殊清掃とは
遺品整理とは、亡くなった方が生前に使用していた遺品を片付けて整理することです。特殊清掃とは、遺体の発見に時間がかかったことで部屋に付着した汚れやニオイなどを清掃して原状回復することです。
親世帯と子世帯が別々に暮らすことで死後発見されるまでに時間がかかる孤独死も増えており、特殊清掃の需要も増えているのが現状です。
特殊清掃ではどのような作業が行われるのか、自力で行えるのかを詳しく見ていきましょう。
特殊清掃で行う特別な作業
遺体の腐敗が進行したことで部屋に付着したニオイや汚れは簡単には取り除くことができません。特殊清掃は単純なハウスクリーニングではなく、具体的に以下のような作業を行います。
- 感染症予防のための消毒作業
- ハエやウジの繁殖防止のための害虫駆除
- 体液や血液の清掃のための特殊清掃
- ニオイ除去のためのオゾン消臭
特別な薬剤や清掃道具を使用しているため、除菌・脱臭などの効果が大きいのが特徴です。
特殊清掃を自力で行うのは困難
特殊清掃を依頼するには費用がかかるため、自力で行おうと考えている方も多いでしょう。しかし、一般の方が自力で行う場合、ウイルスに感染するリスクがあるほか、ニオイや汚れを完全に除去することはほぼ不可能です。
リスクを伴いながら清掃しても、清掃の効果が得られず、最終的に特殊清掃を依頼することになれば二度手間です。確実にニオイや汚れを除去するためにも、専門家にお願いすることをおすすめします。
遺品整理と特殊清掃にはつながりがある
遺品整理と特殊清掃は作業内容が大きく異なりますが、両者は人が亡くなった場合に実施される作業という点では同じです。そのため、どちらか一方だけではなく、両方を依頼することもあるため、両者の関連性や特殊清掃が必要なケースで遺品整理を進める流れなどを把握しておくことが大切です。
遺品整理と特殊清掃の関連性、特殊清掃が必要な場合の遺品整理の流れなどを詳しく解説していきます。
遺品整理と特殊清掃の関連性
遺品整理では、故人の遺品を整理する作業が中心です。そのため、部屋が片付いていない場合でも、遺品整理に支障が生じるような状況でない限りは、遺品を整理しながら部屋の掃除を進めることになります。
一方、特殊清掃では、まず部屋に残っているニオイや汚れなどを除去しないと遺品整理に移行できません。そのため、特殊清掃を行ってから遺品整理を進めるといったように作業の優先順位が異なります。
特殊清掃が必要な場合の遺品整理の流れ
特殊清掃が必要なケースでは、一般的な遺品整理とは流れが異なるため、どのような流れで遺品整理を進めるのか把握しておくことも大切です。
特殊清掃が必要な場合の遺品整理の流れを詳しく見ていきましょう。
まずは簡易的に特殊清掃
孤独死で腐敗によるニオイや汚れなどが部屋に付着しているケースでは、まず防護服を着用して消毒、汚物撤去、害虫駆除などの簡易的な特殊清掃を行います。
ウイルス感染のリスク、ニオイなどがほとんどなくなり、防護服なしでも作業を行える状況にします。
遺品整理
簡易的な特殊清掃によって防護服なしで作業を行える状況になった後は、遺品整理に移ります。
遺品の仕分け(不用品と形見分けするもの、可燃物・不燃物・粗大ゴミの分類)を行い、不用品やゴミについては清掃業者が運び出して処分します。
最後に徹底的に特殊清掃
遺品整理で部屋の清掃をしやすい状況になった後は、最後に徹底的な特殊清掃を行います。
部屋に付着した体液や血液などは最後の特殊清掃で取り除きます。特殊な薬品や清掃道具を使用するため、ほぼニオイや汚れなどが残りません。
特殊清掃と遺品整理はセットで対応するのがおすすめ
特殊清掃が必要なケースでは、部屋だけでなく遺品にもニオイが付着していることが多く、遺品整理前の消臭作業が必須といえるでしょう。
特殊清掃と遺品整理はセットだと考えている方も多いと思いますが、清掃会社の中には遺品整理を自分でしたいと希望すれば、対応してくれる場合もあるので一度申し出てみましょう。
遺品整理について専門家に相談したいと考えているものの、料金やサービスなどの違いがわからず、誰に相談すべきか悩んでいる方も多いでしょう。そこでおすすめするのがくらしのセゾンの遺品整理サービスです。
くらしのセゾンの遺品整理・生前整理では、遺品整理士が在籍しており、見積もりが無料なので気軽に相談しやすく丁寧なサポートが期待できるので安心です。
相続発生時の遺品整理の悩みを解決したい方は、是非くらしのセゾンにご相談ください。
遺品整理前に特殊清掃が必要なケース
特殊清掃は必須ではないため、どのようなケースで遺品整理前に特殊清掃が必要なのかを事前に把握しておくことが大切です。
特殊清掃が必要なケースとして、以下の3つが挙げられます。
- 事件性がある
- 孤独死で発見が遅れた
- 汚部屋やゴミ屋敷で手に負えない
それぞれのケースについて詳しく説明していきます。
ケース1|事件性がある
遺体がすぐに発見されたとしても、事件や自殺によって亡くなった場合は、亡くなった方の部屋を遺族が片付けるのは精神的な負担が大きいです。
現場を見たくないという遺族も多いため、特殊清掃を依頼したほうが良いでしょう。
ケース2|孤独死で発見が遅れた
事件性がない孤独死でも、遺体の発見が遅れた場合は腐敗が進行してニオイや汚れが部屋に付着します。夏場は2日、冬場でも1週間程度、発見が遅れると、腐敗が進行するので特殊清掃を依頼したほうが良いでしょう。
特に夏場は腐敗が進行しやすく、ニオイや虫が発生しやすいので注意してください。
ケース3|汚部屋やゴミ屋敷で手に負えない
特殊清掃が必要なのは、部屋で亡くなっているケースだけではありません。故人の住居が汚部屋やゴミ屋敷のような状況の場合、ゴミから出た液体や悪臭などで作業が全然進まない可能性があります。
汚部屋やゴミ屋敷のケースでも特殊清掃に依頼することをおすすめします。大量のゴミを効率良く処分してくれるため、速やかに部屋を片付けられるでしょう。
遺品整理や特殊清掃を依頼する場合の料金相場
遺品整理と特別清掃を依頼した場合にかかる費用の目安は以下のとおりです。
【遺品整理】
間取り | 料金相場 |
1R・1K | 30,000~80,000円 |
1DK | 50,000~120,000円 |
1LDK | 70,000~200,000円 |
2DK | 90,000~250,000円 |
2LDK | 120,000~300,000円 |
3DK | 150,000~400,000円 |
3LDK | 170,000~500,000円 |
4LDK以上 | 220,000~600,000円 |
【特殊清掃】
内容 | 料金相場 |
床上清掃 | 30,000円~ |
浴室清掃 | 30,000円~ |
消臭剤・除菌剤の散布 | 10,000円~ |
汚れた畳の撤去 | 3,000円~/枚 |
オゾン脱臭 | 30,000円~/日 |
汚物撤去 | 20,000円~ |
害虫駆除 | 10,000円~ |
作業員の人件費 | 20,000円~ |
例えば、特殊清掃のみを依頼するケースでは、1Rのユニットバストイレで孤独死して死後4日が経過していた場合、消臭、オゾン清掃、浴室清掃などの作業を行ったとして60,000円程度の費用がかかります。
また、特殊清掃と遺品整理を両方依頼するケースでは、1DKの台所で孤独死して死後2週間経過していた場合、床上清掃、消臭、害虫駆除などの作業に遺品整理を行ったとして120,000円程度の費用がかかります。
遺品整理や特殊清掃は、部屋の広さや遺品の量、作業人員、状況などによって変化するので、各社の料金体系を確認してから依頼しましょう。
専門会社を選ぶコツや依頼する際の注意点
遺品整理会社や特殊清掃会社の中には、悪質な会社もあるため、信頼できる会社を選ぶことが重要です。会社を選ぶ際のコツ・注意点として、以下の4つが挙げられます。
- 現場確認をしてから見積もりを出してくれると安心
- 作業実績や経験が豊富であるかチェック
- あまりにも安価な特殊清掃会社に注意
- 契約前に作業内容をしっかり確認
それぞれのコツや注意点などを詳しく解説していきます。
現場確認をしてから見積もりを出してくれると安心
電話やメールなどでおおよその状況を聞いて見積もりを出す会社の場合には、実際の作業内容と見積もりの内容に誤差が生じて見積もりよりも高い金額を請求されるリスクがあります。
そのような事態を回避するためにも、実際に現場確認をしてから見積もりを出してくれる会社であれば誤差が生じにくく安心して作業を任せられるでしょう。
作業実績や経験が豊富であるかチェック
作業実績が豊富な会社のほうが信頼できる会社と言えます。また、実際の作業状況を掲載している会社の場合、依頼した後の流れを想像しやすいです。
会社のWEBサイトなどで実績や作業状況を確認しておけば、トラブルを回避できる可能性が高まるでしょう。
あまりにも安価な特殊清掃会社に注意
特殊清掃は特別な薬剤や清掃道具などを使用するため、料金が高くなる傾向があります。そのため、他者と比較して安い会社に依頼したいと考える方も多いと思いますが、極端に安い会社は危険です。
見積もりを安く提示していても、最後に追加料金を請求される、最後まで作業を遂行してくれないケースもあります。料金だけでなく、会社の実績、担当者との相性などから総合的に判断しましょう。
契約前に作業内容をしっかり確認
作業内容を確認しないまま作業に取り掛かった場合、必要な作業が行われず、追加で作業を依頼することになって料金が高くなってしまうというケースも少なくありません。
作業内容に自身の希望する内容が盛り込まれているのか作業に取り掛かる前に確認しておきましょう。
おわりに
遺品整理と特殊清掃は作業内容が大きく異なります。遺品整理を依頼したい方は遺品整理会社、部屋の清掃を依頼したい方は清掃会社といったように目的によって依頼先が異なるので注意が必要です。
亡くなった方が孤独死していて腐敗によって部屋にニオイや汚れが付着しているケースでは、特殊清掃に加えて遺品整理の両方を依頼することになります。
会社によって料金体系が大きく異なるため、サービス内容と料金体系などを確認してから依頼しましょう。