相続が発生した場合、被相続人が使用していた家具や電化製品などを処分する遺品整理を行います。家具が大量にある場合、運ぶことが容易ではないため、扱いに悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、遺品整理で出た家具の5つの処分方法、家具処分にかかる費用を抑えるコツ、遺品整理会社などに依頼する際の注意点などを解説します。遺品整理で出た家具の扱いに悩んでいる方は是非参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 家具は自治体の粗大ゴミとして処分するのが一般的だが、処分できないものもあるので注意
- リサイクルショップやフリマアプリなどで処分すればお金に換えることが可能
- 専門会社に依頼する際は悪質業者も多いので注意
遺品整理で出た家具の処分方法5選
遺品整理では、被相続人が使っていたタンスやベッド、ダイニングテーブルや椅子などの家具、電子レンジや扇風機、エアコンなどの電化製品などを片付けます。
家具が少なければ家具の片付けがすぐに済むかもしれませんが、遺品に大型家具が含まれている場合は運べない、小型家具でも大量にある場合は処分方法に困るなどの問題が生じるため、遺品整理に悩む方も少なくありません。遺品整理を速やかに進めるには、どのような処分方法があるのかを把握し、自分に合った処分方法を選択することが大切です。
遺品整理で出た家具の処分方法として、以下の5つが挙げられます。
- 自治体の粗大ゴミ回収に出す
- 遺品整理会社に片付けや改修を依頼する
- 不用品回収会社に引き取ってもらう
- リサイクルショップで買い取ってもらう
- フリマアプリなどに出品する
それぞれの処分方法を詳しく見ていきましょう。
自治体の粗大ゴミ回収に出す
不用品、可燃ゴミと粗大ゴミを自ら分別し、粗大ゴミに該当する分を自治体の粗大ゴミ回収に出すという方法です。可燃ゴミは無料で処分できますが、粗大ゴミの回収には費用がかかります。しかし、運営には税金が充てられており、割安でサービスを利用できます。
自治体の粗大ゴミ回収は、一般的な家庭ゴミの回収のように定期的に回収してくれるわけではありません。自治体に問い合わせて指定された日時に回収してもらいます。
メリット・デメリット
自治体の粗大ゴミ回収に出すメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
処分費用が安い手軽に利用しやすい | 指定された場所や時間に従うため、いつでも自由には出せない 何でも回収してもらえるわけではない |
処分費用が安く、自治体に問い合わせるだけなので手軽に利用しやすい点がメリットです。一方、指定された場所や時間にしか回収してもらえなかったり、回収できるものが制限されていたりするなど、利便性の低さがデメリットといえるでしょう。
費用の目安(例:東京都大田区)
粗大ゴミの回収にかかる費用について東京都大田区を事例に見てみましょう。
粗大ゴミの種類 | 費用 |
ソファ(1人用) | 800円 |
ソファ(2人用) | 2,000円 |
椅子(応接用椅子以外) | 300円 |
テーブル・座卓(最大辺1.5m未満) | 800円 |
テーブル・座卓(最大辺1.5m以上) | 1,200円 |
箱物家具(高さと幅の合計が135cm未満) | 300円 |
箱物家具(高さと幅の合計が180cm未満) | 800円 |
箱物家具(高さと幅の合計が270cm未満) | 1,200円 |
箱物家具(高さと幅の合計が360cm未満) | 2,000円 |
箱物家具(高さと幅の合計が360cm以上) | 2,800円 |
ベッド(シングル) | 1,200円 |
ベッド(セミダブル以上) | 2,000円 |
小さな家具は300円、大きな家具でも2,000円程度支払えば処分してもらえるでしょう。
遺品整理会社に片付けや回収を依頼する
遺品整理には時間と手間がかかります。しかし、遺品整理会社は、遺品整理と処分の両方をおこなってくれるため、手間と時間を省けます。また、その場で査定・買取をしてくれる遺品整理会社も多く、買取代金をサービス利用料の支払いに充てれば費用負担を少しは抑えられるでしょう。
メリット・デメリット
遺品整理会社に片付けや回収を依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
遺品整理と家具を回収・処分が一度済む 家具を買い取ってくれる場合がある | 遺品整理のコストがかかる 悪質な業者も多い |
遺品整理と処分にかかる手間と時間を省ける点が遺品整理会社を利用する大きなメリットです。費用面は自治体の粗大ゴミ回収よりも割高ですが、家具の買取代金を支払いに充てれば費用負担を軽減できるでしょう。
しかし、高額なサービス利用料を請求された、高価な遺品を業者が奪っていったなどのトラブルも発生しやすいです。悪質な業者も多いので注意が必要です。
費用の目安
遺品整理会社に片付けや回収を依頼した場合の費用の目安は以下のとおりです。
部屋の広さ | 費用 |
1R・1K | 30,000~80,000円 |
1LDK | 70,000~200,000円 |
2LDK | 120,000~300,000円 |
3LDK | 170,000~500,000円 |
4LDK以上 | 220,000~600,000円 |
費用は部屋の広さや遺品の量、作業のしやすさ(駐車場が近いか、部屋が片付いているか)などによって違います。
不用品回収会社に引き取ってもらう
不用品の選別は自らおこない、最後に不用品回収会社に依頼して処分してもらいます。搬出用のトラックとスタッフが現地を訪れて家具の運び出しや積み込み、運搬といった一連の作業を行ってくれます。
メリット・デメリット
不用品回収会社に引き取ってもらうメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
処分の手間と時間を省ける 遺品整理会社よりも費用負担を抑えられる | 費用がかかる 悪質な事業者も多い |
自治体の粗大ゴミの場合、自ら指定場所に運ばなくてはなりません。しかし、不用品回収会社の場合は、スタッフが全てを運び出してくれるので手間と時間を省けます。また、選別は自らおこなうため、遺品整理会社に依頼するよりも費用負担を抑えられるでしょう。ただし、自治体の粗大ゴミよりも費用負担は大きくなります。また、遺品整理会社のケースと同様、悪質な事業者も多いので注意が必要です。
費用の目安
不用品回収会社に引き取ってもらう場合の費用の目安は以下のとおりです。
項目 | 費用 |
基本料金 | 2,000~3,000円 |
洗濯機 | 4,700円~ |
ベッド | 9,700円~ |
タンス | 6,500~9,000円 |
上記はあくまでも一例です。基本料金に家具ごとの処分費用が加算されていく仕組みです。運搬費や出張料などが上乗せされるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
リサイクルショップで買い取ってもらう
不用品の選別は自らおこない、買い取ってもらえそうなものがある場合はリサイクルショップに持ち込みます。自治体の粗大ゴミでは、処分費用はかかってもお金はもらえません。しかし、リサイクルショップでは、不用品をお金に換えることが可能です。また、ブランド家具などは高く買い取ってもらえるかもしれません。
メリット・デメリット
リサイクルショップで買い取ってもらうメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
買い取ってもらうことでお金に換えられる 処分費用を軽減できる | 汚れや破損があるものは買い取ってもらえない可能性がある 自分で運搬しなくてはならない |
買い取ってもらえた場合は不用品をお金に換えることができます。また、価格がつかない場合でも引き取ってもらえれば処分費用を軽減できるでしょう。
ただし、リサイクルショップは何でも買い取ってもらえるわけではありません。また、基本的に自分で運搬する必要があり、手間と時間がかかる点に注意が必要です。
フリマアプリなどに出品する
不用品の選別は自らおこない、買い取ってもらえそうなものをヤフオクやメルカリなどのインターネットオークションやフリマアプリなどに出品します。リサイクルショップのケースと同様、不用品をお金に換えることが可能です。
メリット・デメリット
フリマアプリなどに出品するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
高値で販売できるケースがある 処分費用を軽減できる | トラブルが起こるリスクがある 発送の手間や費用がかかる |
リサイクルショップは買い取ったものの転売できないリスクがあり、転売による利益を見込まなくてはならず、買取価格が安いのが一般的です。しかし、フリマアプリなどへの出品は、自身の希望価格で買主を募集できるため、値下げ交渉の可能性はあるものの、リサイクルショップよりも高く売れます。
ただし、フリマアプリなどに出品する際は、売却後に故障や傷などが原因でトラブルに発展するリスクを伴います。また、家具を発送する手間や費用がかかる点にも注意が必要です。
家具処分にかかる費用を抑える3つのコツ
自治体に粗大ゴミとして出すことで、多少は費用を抑えられますがそれでも負担は大きいです。費用負担を少しでも抑えるには、以下の3つのコツを抑えながら家具の処分に取りかかることが大切です。
- 解体できる家具は一般ゴミに出す
- 専門会社に家具の回収・処分を依頼する場合は一部にする
- 複数社から見積もりを取って比較する
それぞれのコツを詳しく見ていきましょう。
コツ1|解体できる家具は一般ゴミに出す
少しでも費用負担を抑えるためには、無料で回収できる方法を組み合わせることが大切です。
例えば、粗大ゴミとして家具を回収してもらうには費用がかかりますが、解体して小さくすることで一般ゴミとして無料で回収してもらうことが可能です。
コツ2|専門会社に家具の回収・処分を依頼する場合は一部にする
不用品回収会社や遺品整理会社を利用する場合は、遺品の量によって費用が大きく異なります。作業時間を短く抑えることができれば、その分だけ費用負担を抑えられます。
専門会社に家具の回収・処分を依頼する際は、自身での処分が困難な一部の家具に絞って依頼しましょう。
コツ3|複数社から見積もりを取って比較する
不用品回収会社や遺品整理会社の料金設定は、各会社によって大きく異なります。そのため、少しでも費用負担を軽減したい方は、複数社の見積もりを比較して依頼先を決めることが大切です。
また、比較する際は別途費用が発生しないかどうかも併せて確認しておきましょう。
遺品整理会社などに依頼する際の注意
専門会社にサポートを依頼する際は、トラブルに発展する可能性があるので注意してください。信頼できる依頼先か見極めるためにも、以下の4つの注意点を押さえておきましょう。
- 家具の回収・処分に必要な許可を得ているか
- 見積書は明確でわかりやすいか
- 実績や評判は確かか
- 遺品整理会社の場合「遺品整理士」が在籍しているか
それぞれの注意点を詳しく説明していきます。
家具の回収・処分に必要な許可を得ているか
家具家電の引き取りや処分は市区町村から一般廃棄物処理業の許可を得ている業者のみ、買取をおこなえるのは古物商許可を得ている業者のみです。
許可を得ていない業者の場合は、後で何らかのトラブルに巻き込まれる可能性がありますので注意してください。
見積書は明確でわかりやすいか
見積もりを依頼した際に料金の内訳や作業内容がわかりやすく提示されているかチェックすることも大切です。
専門会社の中には、一式といった形で何にどのくらいの費用がかかるのか提示しないで、後から追加で費用を請求する悪質な業者もいます。見積書や作業内容を確認するほか、追加で費用が発生しないかを確認しておきましょう。
実績や評判は確かか
実績や評判が良い専門会社は、多くの方に利用されている信頼度の高い業者といえるため、トラブルに巻き込まれるリスクが低いでしょう。
口コミでスタッフの対応の良さやトラブルの有無などを確認しておけば心配不要です。
遺品整理会社の場合「遺品整理士」が在籍しているか
遺品整理士とは、遺族の思い出が込められた遺品を適切に取り扱って整理を進めていく専門家です。相談すれば、高い専門性で適切なアドバイスが期待できるため、遺品整理を速やかに進められるでしょう。
遺品整理士の在籍の有無は必須ではありません。しかし、在籍していると信頼できる業者かどうかを判断できるひとつの指標になるでしょう。
遺品整理に伴う家具の処分はくらしのセゾンへ
相続税の申告手続きは期限が決まっているため、相続の発生後は速やかに遺品整理に着手しなくてはなりません。しかし、遠方に住んでいる、時間を確保できないなどの理由で遺品整理が進まずに悩んでいる方も多いでしょう。
遺品整理を速やかに完了させるためには専門会社のサポートが欠かせません。そこでおすすめするのがくらしのセゾンの遺品整理・生前整理です。
くらしのセゾンの遺品整理・生前整理では、家族に代わって遺品整理をしてくれるほか、残された家族が相続問題や遺品整理で苦労しないように生前整理をサポートしてくれます。相続発生時の遺品整理の悩みを解決したい方は、是非くらしのセゾンの遺品整理・生前整理にご相談ください。
おわりに
遺品整理は時間と手間がかかります。特に一般ゴミではなく家具のような処分に困るような遺品が多い場合、処分に多くの費用がかかるので注意してください。
処分費用は家具を解体して一般ゴミとして処分する、専門会社に依頼する際は一部に絞って依頼することで費用を抑えることが可能です。相続税の申告期限が決まっているので、後回しにせず速やかに遺品整理を行いましょう。