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相続放棄を考えたら安易な遺品整理はNG!賃貸物件や孤独死の場合はどうする?

相続放棄を考えたら安易な遺品整理はNG!賃貸物件や孤独死の場合はどうする?
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続放棄とは、被相続人の権利・義務をすべて受け継がないことです。相続開始後3ヵ月という短い期間内に家庭裁判所にて手続きを行わなければなりません。相続放棄を検討しているのに安易に遺品整理を行ってしまうと財産の処分行為とみなされて単純承認が成立しかねないため、注意が必要です。

この記事では、相続放棄の概要や相続放棄を検討中にしてはいけない行為、例外的にできる遺品整理などについて解説しますので、相続放棄を視野に入れている方はぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年2月27日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 相続放棄とは家庭裁判所にて手続きを行い、相続する予定だったプラスの財産・マイナスの財産すべてを放棄すること
  • 熟慮期間の3カ月が過ぎた場合、遺産分割協議書に署名・捺印した場合、単純承認が成立した場合は相続放棄はできない
  • 相続放棄を検討する場合、資産価値のある遺品の処分や被相続人の預貯金の引き出し・借金や医療費の支払い、賃貸物件や携帯電話の解約はNG行為
  • 相続放棄を検討していても遺品整理が必要なのは、賃貸物件の連帯保証人になっている場合、遺品の管理義務がある場合、被相続人が孤独死した場合
遺品整理・生前整理

相続放棄の基礎知識

相続放棄の基礎知識

相続が開始すると、相続人は単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選択することになります。特に相続放棄に関しては期限も設けられており、家庭裁判所での手続きも必要であるため、慎重かつ迅速に判断していかなければなりません。

ここでは、遺品処分の前に知っておきたい、相続放棄の基礎知識について解説します。

相続放棄は選択肢のうちのひとつ

相続が開始した際に、相続人がとり得る選択肢は、以下の3種類です。

  • 単純承認:相続人が被相続人の権利・義務をすべて受け継ぐこと
  • 限定承認:相続財産から被相続人の債務を清算し、財産が残っていればその分を相続すること
  • 相続放棄:被相続人の権利・義務をすべて受け継がないこと

相続放棄とは、家庭裁判所にて手続きを行い、相続する予定だったプラスの財産とマイナスの財産すべてを放棄することをいいます。相続放棄の手続きにより、最初から相続人ではないと扱われるのが大きな特徴です。

相続放棄には、借金などの負債を相続せずに済むこと、他の相続人に伝えなくても単独で手続きできるなどのメリットがあります。ただし、祭祀財産(家系図や仏壇、十字架、墓石など)は相続放棄できません。

相続放棄の期限は3ヵ月

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所にて手続きを行わなければなりません。

具体的には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続放棄の申述書と添付書類(被相続人の住民票除票など)を提出して申し立て、受理してもらう必要があります。

相続放棄ができなくなるケース

相続放棄をしたいと思っても、以下のケースに該当する場合には手続きを行うことはできません。

【相続放棄ができなくなるケース】

  • 熟慮期間の3カ月が過ぎた
  • 遺品分割協議書に署名・捺印した
  • 単純承認が成立した

それぞれのケースについて解説します。

熟慮期間の3ヵ月が過ぎた

前述の通り、相続放棄は、相続人が相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に行わなければなりません。この期間を「熟慮期間」と呼び、これを過ぎると相続放棄ができなくなるので注意してください。

期限内に書類を提出していた場合でも、書類に不備があり、期限内に書類を揃えられない場合も相続放棄はできません。

ただし、正当な理由があれば熟慮期間延長の申し立てが可能です。例えば、相続財産がまったくないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるときなどが挙げられます。どのような場合に正当な理由に該当するかは、法律の専門家である弁護士などに確認してください。

遺産分割協議書に署名・捺印した

すでに遺産分割協議書に署名・捺印していると、遺産分割が成立していることになります。相続放棄は被相続人の権利・義務をすべて受け継がないことですから、遺産分割協議が成立し、相続財産がある場合は原則として相続放棄はできません。

単純承認が成立した

相続が開始してから3ヵ月の熟慮期間が経過した場合や、熟慮期間内であっても相続人が相続財産の全部または一部を処分(売却や消費など)した場合は、単純承認が成立します(民法第921条1号)。単純承認が成立すると、相続放棄はできません。また、相続人が遺産を隠した場合も単純承認が成立します(同条3号)。

相続財産の処分については、意図せず行ってしまうケースもありますが、法律を知らずに処分行為を行った場合でも単純承認が成立し、相続放棄ができなくなるため注意してください。

ただし、葬儀費用や仏具、墓石のように一定の処分が許されている財産もあるので、迷った場合は法律の専門家に相談しましょう。

相続放棄と遺品整理の関係性

相続放棄をするなら、遺品の処分はできません。遺品を処分すると相続放棄しないとみなされ、単純承認が成立するからです。そのため、遺品整理には十分注意しなければなりません。

テレビや冷蔵庫、パソコン、貴金属や宝石などの遺品を整理すると、相続財産を処分したとして単純承認したとみなされてしまう可能性があります。また、実家の解体や売却も行ってはいけません。

相続放棄を考えるのであれば、遺品整理を行わないのが賢明です。被相続人が住んでいたのが賃貸マンションやアパートだった場合、遺品に手を付けないと貸主や管理会社に迷惑をかける事態になるかもしれませんが、事情を説明して慎重に対応してください。

相続放棄を検討中にしてはいけない行為

相続放棄を検討中にしてはいけない行為

相続放棄を検討する際に遺品整理をしてはいけないと前述しましたが、具体的にしてはいけない行為にはどのようなものがあるのでしょうか。

【相続放棄を検討中にしてはいけない行為】

  • 資産価値のあるものを処分する
  • 故人の預貯金を引き出す
  • 相続財産から個人の借金や医療費を支払う
  • 賃貸住宅や携帯電話を解約する

資産価値のあるものを処分する

相続放棄を検討しているなら、家具や家電など資産価値のあるものを売却など処分してはいけません。相続財産の処分行為だとみなされ、単純承認が成立してしまう可能性があるからです。また、車も相続財産に該当するため、処分すべきではありません。

故人の預貯金を引き出す

非相続人名義の預金の引き出し、口座の解約や名義変更を行うと、相続財産の処分行為とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。そのため、預貯金があることが分かっている場合でも手を付けないのが無難です。

預金を引き出してその現金をまだ利用していない場合は、処分行為にあたらないと考えられる可能性もあります。再度被相続人の口座に入金する、あるいはすでに口座が凍結されて入金できない場合は自分自身の現金とは分けて管理し、被相続人の預貯金には手を付けないようにしましょう。

相続財産から故人の借金や医療費を支払う

被相続人が借金を抱えていて、すでに支払期限が到来している場合、相続財産の中から支払ってしまうと処分行為だと判断され、単純承認が成立する可能性があります。また、滞納している税金を相続財産の中から支払った場合も、マイナスの財産も含めて相続する単純承認に該当するため、相続放棄を検討するなら支払ってはいけません。

また、被相続人の死亡後、病院から入院費などの医療費の請求書が来ることがありますが、この場合も相続財産から支払うと単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

ただし、被相続人の入院費について保証人となっていたような場合は相続放棄をしても支払わなければならない可能性はあります。

賃貸住宅や携帯電話を解約する

被相続人が賃貸住宅に住んでいた場合、貸主や管理会社から部屋を引き払うように求められるかもしれません。しかし、賃貸借契約を解除してしまうと、被相続人の賃借権という財産権を処分したとして単純承認が成立する可能性があります。そうすると、相続放棄はできません。

ただし、貸主や管理会社から家賃の滞納により一方的に解約してもらえる場合は、相続人が自らの意思で処分行為をしたとはいえず、単純承認には当たらないと考えられます。

また、被相続人の携帯電話をそのままの状態にしておくと使用していなくても基本料金の請求が来てしまうため、解約したくなるかもしれません。ムダな支出を抑え、相続財産の減少を防ぐための保存行為とも考えられますが、処分行為とみなされて単純承認が成立する可能性も十分あります。

そのため、相続手続きがすべて終わるまで、携帯電話の解約は避けた方が無難です。

【例外】相続放棄を考えていてもできる遺品整理

【例外】相続放棄を考えていてもできる遺品整理

相続放棄を考えているときに遺品整理を軽はずみに行うと、単純承認が成立して相続放棄ができなくなる可能性があります。ただし、例外的にできる遺品整理もあります。

【相続放棄を考えていてもできる遺品整理】

  • 資産価値がないものの形見分け
  • 日持ちしないものの処分
  • 相続財産から葬儀費用の支払い

それぞれについて解説します。

資産価値がないものの形見分け

被相続人の所有物の形見分けには注意が必要です。写真や手紙など明らかに資産価値がないものの形見分けは、処分行為に該当しないので可能です。しかし、貴金属や骨とう品、家電、家具、車など金銭的価値があるものを形見分けすると単純承認とみなされるので注意してください。

金銭的価値があるかどうかの判断は難しいので、法律の専門家に相談するのが望ましいです。また、複数の業者から査定書を取得するなどして資産価値がないことを示す客観的な証拠を保管しておきましょう。

日持ちしないものの処分

相続放棄を検討している場合、金銭的な価値があるものは処分できませんが、肉や魚、野菜などの生鮮食品や日持ちしない食べ物などは処分しても構いません。また、資産価値がまったくない、あるいは財産的価値がわずかなのに保管に多額の費用や場所が必要な場合は処分が認められる可能性もあります。

相続財産から葬儀費用の支払い

お通夜や告別式など葬儀を執り行うことは日本の慣習として定着しており、裁判例においても通常考えられる常識の範囲内であれば、相続財産から相続費用の支払いを行っても相続財産の処分行為に当たらず、単純承認に該当しないと判断される傾向があります。

また、墓石や仏具などの購入代についても同様の傾向がありますが、社会的常識に照らして不当に高額でないかの判断は難しいため、あらかじめ法律の専門家に確認しておくことをおすすめします。

相続放棄したい場合でも遺品整理が必要なケース

相続放棄したい場合でも遺品整理が必要なケース

相続放棄を検討するなら、金銭的価値のある遺品整理は行わないのが賢明です。しかし、相続放棄を検討している場合でも遺品整理が必要なケースがあります。

【相続放棄したい場合でも遺品整理が必要なケース】

  • 賃貸物件の連帯保証人になっている場合
  • 遺品の管理義務がある場合
  • 孤独死の場合

それぞれについて解説します。

賃貸物件の連帯保証人になっている場合

被相続人が賃貸物件に住んでいて連帯保証人になっていた場合は、賃貸物件における責任を負わなければなりません。賃貸物件の原状回復にかかる費用や明け渡しのために必要な遺品整理などは連帯保証人が行う必要があるため、注意が必要です。

遺品の管理義務がある場合

遺品の管理義務が生じている場合も、遺品整理を行う必要があります。

相続放棄を行ったとしても、財産相続管理人がおらず、新たな相続人もいない場合、財産を管理する義務は相続放棄した人が負うことになります。この場合、被相続人の自宅の清掃などを行わなければなりません。

財産の管理が行き届いていないと、後々トラブルに巻き込まれる可能性も高まります。相続放棄をしても誰が遺産を相続するか決まっていない場合、相続人が決まるまで遺品を管理し続けなければなりません。相続放棄してもすべての責任がなくなるとは限らない点に注意し、財産相続管理人が新しく選任されるまで遺品を管理しておきましょう。

孤独死の場合

被相続人が孤独死した場合も、遺品整理が必要になる可能性が高いです。被相続人が自宅でひとりで亡くなり、遺体の発見が遅れると遺体の腐敗が進んでいるかもしれません。

このような場合、早急に清掃を始めないと周辺住民にも迷惑がかかり、トラブルに発展してしまいかねません。相続放棄を検討していても、孤独死の場合に必要な特殊清掃や遺品整理を行わなければならなくなる可能性がある点は念頭に置いておいてください。

相続放棄を確実にするには遺品整理のプロに相談を

相続放棄を確実にするには遺品整理のプロに相談を

相続放棄を検討する場合、安易に遺品整理を行ってしまうと金銭的価値のある財産を処分したとして単純承認が成立してしまう事態に陥りかねません。また、金銭的価値があるかどうかの判断は難しいことも多く、自己判断だけで行うのはリスクがあります。

そのため、相続放棄を考えるのであれば、遺品整理を行って構わない財産かどうか、弁護士などの法律の専門家や遺品整理会社に相談するのが確実です。相続放棄の手続きには期限もあり、一度認められれば撤回はできないので、慎重に行うべきでしょう。

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おわりに

相続放棄とは、家庭裁判所にて手続きを行い、相続する予定だったプラスの財産とマイナスの財産すべてを放棄することです。相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければならないため、迅速な判断が求められます。しかし、安易に遺品整理を行ってしまうと財産の処分行為とみなされて単純承認が成立しかねないため、注意しなければなりません。

ただし、相続放棄を検討していても遺品整理を行わなければならないケースもあります。相続放棄に支障が出ないか、弁護士や「くらしのセゾン 遺品整理・生前整理」などの専門家への相談も検討してみてください。

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