空き家の片付けには、家財道具の処分や清掃など、予想以上の費用がかかるものです。しかし、多くの自治体では空き家の有効活用を促進するため、片付けに関する補助金制度を設けています。
この記事では、補助金を利用するための条件や対象となる費用、実際の費用相場、さらに全国の自治体における具体的な補助金制度の例を紹介します。空き家の片付けをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
- 空き家の片付けには補助金を活用できるが、多くの場合は空き家バンクへの登録が条件となる
- 補助金の対象経費には、ごみ処理費用、家電リサイクル料金、専門業者への委託費用、庭木の伐採費用などが含まれる
- 補助金額は自治体によって異なるが、一般的に対象経費の1/2から全額を補助し、上限額は5万円~20万円程度
- 空き家の片付け費用は間取りや荷物量によって数十万円かかる場合もあり、補助金を活用することで大幅な費用削減が可能
空き家の片付けに補助金が活用できる
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、我が国の空き家数は1993年から2023年の30年間で約2倍となっており、2023年時点で約900万2千戸に達しています。空き家率も13.8%と過去最高を記録し、深刻な社会問題となっています。
このような状況を受けて、国や地方自治体では空き家対策を重要施策の一つとして位置づけ、さまざまな支援制度を整備しています。特に空き家率が高い和歌山県や鹿児島県、過疎化が進む島根県や秋田県などでは、空き家の適切な管理や利活用を促進するため、片付けに関する補助金制度が充実しています。
補助金の主な対象者
空き家に関する補助金制度の主な対象者は以下の通りです。
- 空き家を所有している個人(法人は対象外)
- 相続や転居などにより空き家となった物件を所有している方
- 固定資産税等の滞納がないことが条件
- 空き家バンクに所有物件を登録している方
- 自治体が運営する空き家バンクへの登録が必須
- 2年以上の登録継続を求められる場合も
- 空き家を購入または賃借する予定の方
- 3親等以内の親族間の売買・賃借は対象外
- 居住用または店舗として2年以上使用することが条件
- 地域自主組織やNPO法人
- 地域の社会貢献活動の場として活用する場合
- 活動内容が公序良俗に反しないことが条件
なお、これらの要件は自治体によって大きく異なります。また、複数の要件を同時に満たす必要がある場合も多いため、利用を検討する際は必ず該当する自治体に確認しましょう。
補助金額の目安
補助金額は自治体によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 上限額:100,000~200,000円程度
- 補助率:対象費用の2分の1(50%)が一般的
- 支給時期:工事完了後の実績報告に基づく精算払い
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 事前申請が必須
- 年度内に片付けを完了する必要がある
- 予算に限りがあるため、先着順で終了する場合がある
また、自治体によっては片付けと合わせて改修工事なども行う場合、より高額な補助を受けられる場合もありますので、詳細は各自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
空き家の片付け補助金の対象となる費用
空き家の片付けには、さまざまな作業と費用が必要となります。
ここでは、一般的な補助金制度が対象としている費用の種類を解説します。ただし、具体的な対象費用や補助金額、申請方法は自治体によって異なりますので各自治体に確認することが大切です。
ごみ処理費用
ごみ処理費用は、空き家片付けの補助金でもっとも一般的な対象費用の一つです。具体的には以下のような費用が含まれます。
- 一般廃棄物処理施設への搬入手数料
- 処理施設での処分費用
- 自身で処理場へ運搬する際の費用
自治体によっては、以下のような関連費用も補助対象となる場合があります。
- トラックなどの車両レンタル料
- 運搬用具のレンタル費用
- 運搬時の燃料費
専門会社に片付けを依頼した際の費用
専門業者への委託費用も、多くの場合補助金の対象となります。対象となる作業内容は以下の通りです。
- 家財道具の仕分け・整理作業
- 不用品の搬出・運搬作業
- 家屋内の清掃・ハウスクリーニング
- 消臭・消毒作業
ただし、委託先については補助金を利用する場合、必ず自治体から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けている業者に依頼する必要があるため、依頼時は気をつけましょう。
家電のリサイクル費用
家電リサイクル法で指定されている特定家庭用機器の処分費用も、補助金の対象となります。
対象となる主な家電製品は以下の通りです。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
これらの機器は一般のごみとして処分できないため、許可を得ている専門業者への処分委託が必要です。この際の引取運搬料金とリサイクル料金が補助対象となります。
樹木の伐採費用
空き家の外構の整理に関する費用も、多くの場合補助金の対象となります。
- 庭木の伐採・剪定費用
- 雑草の除去費用
- 伐採した樹木や雑草の処分費用
- 運搬費用
長期間放置された空き家の場合、庭木が大きく成長していたり、雑草が繁茂していたりすることが多いため、これらの処分費用も重要な対象項目となっています。
空き家の片付けを専門会社に依頼する場合の費用相場
空き家の片付けは、原則として所有者自身で実施することも可能です。しかし、長期間放置された空き家の場合、大量の家財道具の仕分けや不用品の処分、清掃作業など、多岐にわたる作業が必要となります。特に遠方にお住まいの方にとって、何度も足を運んで片付けを行うのは現実的ではありません。
そこで、多くの方が専門業者への依頼を検討されます。以下に、空き家の片付けを業者に依頼する場合の一般的な費用相場を間取り別にまとめました。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1R・1DK | 30,000~100,000円 |
1DK~1LDK | 50,000~200,000円 |
2DK~2LDK | 90,000~300,000円 |
3DK~3LDK | 150,000~500,000円 |
4LDK以上 | 220,000~600,000円 |
ただし、これらの費用相場は以下の要因によって大きく変動する可能性があります。
- 荷物の量や種類
- 家財道具の量
- 大型家具・家電の有無
- 特殊な処分が必要な物の有無
- 建物の状態と立地条件
- 建物の築年数や劣化状態
- トラックの駐車スペース
- 搬出経路の状況
- 作業の難易度
- 階数や階段の有無
- エレベーターの有無
- 近隣への配慮が必要な環境か
そのため正確な費用は実地調査を行った上で、複数の業者から見積もりを取得し、サービス内容と費用を比較しつつ、検討すると良いでしょう。
空き家の片付けに関する補助金制度の一例
上記で見てきたように、空き家の片付けには数十万円規模の費用がかかる場合があります。こうした費用負担を軽減するため、多くの自治体が補助金制度を設けています。以下では、具体的な補助金制度の内容を見ていきましょう。
(※以下の情報は2024年11月時点のものです。制度の詳細や申請条件は変更される可能性があるため、必ず各自治体の窓口で最新情報をご確認ください)
【群馬県渋川市】空き家家財道具等片付け支援事業補助金
渋川市では、空き家バンクへの登録を条件に、家財道具の処分費用の一部を補助する制度を設けています。空き家の流通促進と地域の活性化を目的としています。
補助対象者 | 空き家バンクに物件登録する者、または空き家バンク登録物件の利用申込者(法人除く) |
補助対象経費 | ・特定家庭用機器の引取運搬料金及びリサイクル料金 ・家財道具の処分費用 ・樹木の剪定伐採及び処分費用 ・一般廃棄物収集運搬業者への委託費用 |
補助率・上限額 | 対象経費の3分の2以内(上限5万円) |
【茨城県大子町】空き家片付け支援補助金
大子町では、空き家バンク登録物件の家財処分を支援することで、空き家の利活用を促進しています。
補助対象者 | 空き家バンク登録者(所有者) |
補助対象経費 | ・家財等の撤去または処分に要する経費 ・清掃または敷地の除草に要する経費 |
補助率・上限額 | 上限10万円 |
【長野県上松町】空き家片付け・改修促進補助金
上松町では、移住・定住の促進や地域の活性化を図るため、空き家バンク登録物件の片付けを支援しています。
補助対象者 | 空き家バンク登録物件の所有者または相続人 |
補助対象経費 | 空き家バンク登録物件の家財道具等の搬出及び処分並びに清掃等に要する経費 |
補助率・上限額 | かかった経費の全額(上限10万円) |
【静岡県掛川市】空き家活用お片付け補助金
掛川市では、空き家の利活用促進のため、昭和56年6月以降に建築された住宅を対象に補助金を交付しています。
補助対象者 | 不動産業者以外で空き家を流通させる意思がある所有者等 |
補助対象経費 | 空き家内の残置物の回収、廃棄その他市長が認める作業費用 |
補助率・上限額 | 対象経費の3分の2以内(上限20万円) |
【兵庫県神戸市】片付け補助(空き家地域利用)
神戸市では、空き家の地域利用を促進するため、家財道具の整理・処分費用を補助しています。
補助対象者 | 空き家の所有者、または空き家の賃貸・売買契約を締結した地域利用バンク登録団体 |
補助対象経費 | ・一般廃棄物収集運搬業者への処分委託費用 ・家電リサイクル料金 ・家財道具の整理・分別費用 |
補助率・上限額 | 上限20万円 |
【岡山県瀬戸内市】空き家家財等処分支援事業補助金
瀬戸内市では、移住・定住施策の一環として、空き家バンク登録物件の家財処分を支援しています。
補助対象者 | 空き家の所有権を有する者、または売却・貸与できる権利を有する者 |
補助対象経費 | 電化製品、家具、食器、寝具、生活雑貨、仏壇等の撤去処分及び清掃費用 |
補助率・上限額 | 対象経費の2分の1(上限20万円、1,000円未満切り捨て) |
なお、ここに紹介したのはあくまで一例であり、すべての自治体で同様の制度を実施しているわけではありません。詳細については、各自治体で最新情報を確認してください。
空き家の片付けはくらしのセゾン「遺品整理・生前整理」におまかせ
ここまでに紹介された国や地方自治体の空き家対策支援の補助金制度ですが、それも万全ではありません。空き家によってはさまざまな条件をクリアしないと、なかなか補助金の適応対象とはならないケースもあります。また、たとえ補助金の対象となっても、満足のいく家財処分ができない場合もあるでしょう。
とはいえ、遠方にある実家の片付けや、施設入居に伴う空き家の整理など、さまざまな事情で空き家の片付けが必要になることがあります。万一、お住まいの自治体で空き家の片付け補助金の対象にならなかった場合は、民間の業者に頼らざるを得ませんが、社会問題になっている不法投棄をしないクリーンな業者を自分で探すのは時間も手間もかかります。こうした状況で力になるのが、くらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスです。
セゾンカードでおなじみのクレディセゾングループの会社であるくらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスは空き家整理にも対応しており、資格を持つスタッフが心を込めて作業を行います。空き家に放置された膨大な家財のなか、重い荷物の搬出や貴重品の仕分けなど、一人では手に負えない作業もプロの技術で丁寧に対応。
もちろん、お住まいの自治体で定められたルールに基づき作業をしますので、依頼した側も罰則が課せられる可能性のある不法投棄(廃棄物処理法違反)は一切いたしません。作業前には必ず無料調査と見積りを実施し、見積もり提出後の追加料金は一切なく、ご予算やご要望に合わせた最適なプランを提案してくれます。
また、単なる片付けだけでなく、床やクロスの張替えなどのリフォームや、特殊清掃、害虫駆除まで幅広く対応可能です。
空き家の片付けでお困りの方は、まずはくらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」に相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
空き家の片付けには、相応の費用負担が必要となります。しかし、多くの自治体が空き家の利活用促進と地域活性化を目的とした補助金制度を設けており、これらを活用することで費用負担を軽減できます。補助金制度は自治体によって対象者や補助額が異なりますが、空き家バンクへの登録を条件に、処分費用の半額から全額を補助するケースが多く見られます。補助金制度を利用することで、空き家の適切な管理と地域の住環境の向上に貢献できます。まずは、お住まいの自治体の窓口に相談し、利用可能な制度を確認してみましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。