「芝生に元気がない」と感じたことはありませんか。そのような時には、エアレーションがおすすめです。エアレーションには芝生の健康管理や成長を促す効果があり、芝生のお手入れの中で定期的に行いたい作業のひとつです。このコラムでは、エアレーションに関して、使用する道具や基本的なやり方、効果的に行うコツなどを紹介していきます。ぜひこのコラムを芝生の健康管理や成長促進に役立ててください。
芝生のエアレーションとは?
芝生のエアレーションとは、ガーデンスパイクやローンスパイクなどの専用の道具用いて、芝生が張ってある土に穴を開ける作業です。「そんなことをして芝生が傷まないの?」と思われる方もいるでしょう。しかし、芝生の健康管理や成長促進のためにはとても重要なメンテナンスといえます。
芝生のエアレーションにおける効果
エアレーションは、芝生の健康管理・成長促進に効果的です。以下で詳しく解説していきましょう。
芝生の健康管理
芝生を張って月日が経つと、何度も踏まれて土が固くなり、芝生の根の呼吸を妨げてしまいます。
さらに、雨が降った後は水はけが悪く根が蒸れた状態になり、病気にかかりやすくなってしまいます。そのような状態を改善するために、芝生を張ってある土に穴を開けて通気性・通水性を良くするエアレーションを行うのです。
芝生の成長促進
エアレーションには芝生の成長促進効果もあります。土に穴を開けるエアレーションをすると、見栄えが悪くなってしまうため、芝生にとっても悪影響があるのではと思う方もいるでしょう。
しかし、エアレーションによって芝生の古くなった根を切ることで、新しい根の成長を促すことができるのです。
エアレーションに使用される道具
エアレーションは専用の道具を用いて行います。以下ではそれぞれの道具について、使い方・値段の相場・特徴などを紹介していきましょう。エアレーションに使う道具の購入を検討している方は必見です。
ローンスパイク
ローンスパイクは先端に付いた複数の刃を、体重をかけて土に押し込み使用する道具です。穴を開けたい部分にピンポイントで力を込められるというメリットがあります。
ただし、芝生の1ヵ所ずつに力を込めて刃を押し込む作業になるため、芝生の面積や作業時間によっては相当な労力が必要になる場合もあるでしょう。長く使用していると刃が削れてくるため、効果的なエアレーションを行うためには定期的に刃の様子を観察するのがおすすめです。
ローンスパイクは1,500~3,000円ほどで、比較的安く購入できます。
ガーデンスパイク
エアレーション作業で、使い方が1番簡単だとされているのがガーデンスパイクを用いた方法です。ガーデンスパイクとは樹脂製の板に刃が付いた道具で、靴に装着し芝生の上を歩くだけで簡単にエアレーションができます。
しかし、ローンスパイクと比べると奥深くまで刃を押し込めない・ほぐす効果が低いという点がデメリットでしょう。価格は1,500~3,000円ほどで、ホームセンターなどで気軽に手に入れることができます。
ローンパンチ
ローンパンチはローンスパイクのような見た目をしていますが、刃の部分が異なります。ローンスパイクのように鋭い刃は付いておらず、丸い筒状になっており、穴を開けるのはもちろん土をかき出すこともできる道具です。
また、かき出した土がポリポッド(器)に溜まる商品もあるため、そのような商品を使うとエアレーション後の掃除が楽になるでしょう。
ローンスパイクやガーデンスパイクよりも高いエアレーション効果を得られますが、広い面積の芝生で大量に土をかき出すとなると多くの労力が必要になります。ローンパンチは2,000~3,000円ほどで購入可能です。
タインエアレーター
タインエアレーターはローンパンチと同じように、体重をかけ踏み込んで使用する道具です。形状は似ていますが、先端部分には業務用のタインと呼ばれる刃が付いています。
強度があるのでおすすめのアイテムです。価格は他の道具と比べてやや高価で、25,000円ほどで購入できます。
鎮圧ローラー
鎮圧ローラーは複数の刃が付いたローラーで、転がすだけでエアレーションと鎮圧ができます。ローラーの中に水を入れて重さを出せることがメリットです。デメリットは、鎮圧ローラーは他の道具よりも大きいため保管する際に他よりも広いスペースが必要なことでしょう。
価格は11,000~26,000円ほどのため手頃な価格ではありませんが、効率的なエアレーションを実現するにはおすすめです。
エアレーションの基本的なやり方
エアレーションの効果や使用する専用の道具が分かったところで、ここからは基本的なやり方をご紹介していきます。
芝刈り
エアレーションをする前にまずは芝刈りを行います。芝刈りを行うことで穴を開ける土が見やすくなるからです。
芝生が伸びているとエアレーションの道具を土に挿す軌道を妨害し、通常以上の力を要するでしょう。そのため、エアレーション前は必ず芝刈りをして、スッキリとした状態から始めるのがおすすめです。
穴を開ける
草刈りをしたら早速穴を開けていきます。穴と穴との間隔は5cm程度で、均一に開けていくのがおすすめです。穴同士の間隔は狭いほど効果的ですが、穴が重ならないように気を付けましょう。加えて、穴の間隔が狭いほど時間や労力が必要になるため、芝生の面積やご自身の体力と相談しながら行ってください。
また、穴の深さは深いほどエアレーションの効果が得られやすくなります。深い穴を開けることで古くなった根を奥から刺激し、土壌環境を改善できるからです。家庭用の道具では10cm未満の穴が開くのが平均ですが、本格的にエアレーションしたい場合は15cmほど穴が開く道具を選ぶと良いでしょう。
抜いた土を集める
エアレーションをすると地面からかき出した土が散乱します。その土をホウキやトンボなどを使用してきれいに集めましょう。
目土(目砂)する
穴開けが終わり土をきれいに排除したら、直射日光によって土が乾燥するのを防ぐために2~3mmほど目土をします。もし、普段から水はけが悪い状態の場合は、目土よりも軽く通気性の良い目砂を撒いておくと、その後の手入れや管理が楽になるでしょう。
目土(目砂)を穴や土壌に定着させる
目土を撒いたら穴や土壌に定着させる作業を行います。目土を穴や土壌に定着させるには、芝生を傷めにくい刷り込みブラシを使うのがおすすめです。また、芝生の密度が高い場合は、送風機のブロワーを利用して穴に砂を落とし込むのも良いでしょう。
水やり
エアレーションによって開いた穴に目土が埋まりやすいように、最後にたっぷりと水やりを行いましょう。エアレーションをすると芝生が枯れたように見えることがありますが、水やりをしっかりと行って芝生が生育すれば、開いた穴も次第にわかりづらくなっていきます。
芝生をエアレーションする時の注意点
芝生をエアレーションする基本的なやり方が分かったところで、ここでは注意点をご紹介していきます。
木の近くはエアレーションしない
エアレーションする時は、木の近くを避けましょう。木の根は思ったよりも浅いところにある場合があります。そこをエアレーションすると木の根を傷付けてしまう恐れがあるため、木が生えている場所の半径2m以内では踏み込まないようにしましょう。
スパイクの刃をしっかり押し込む
前述したように、一般的なスパイクの刃の長さは10cm未満が平均値です。土壌の表面に植物の葉や茎が枯れて固まったサッチがある場合、スパイクの刃を奥までしっかり挿し込まないと刃が土壌に届かない可能性があります。
そのためエアレーションをする時は、充分な効果を得るためにスパイクの刃をしっかりと奥深くまで押し込むようにしましょう。
芝生のエアレーションを効果的に行うコツ
芝生のエアレーションを効果的に行うにはコツが必要です。以下でエアレーションのコツをご紹介していきます。
エアレーションに最適な時期を選んで行う
エアレーションは最適な時期を選んで実施するようにしましょう。エアレーションに最適な時期は春と秋で、暖地型芝生は3~6月・9月、寒地型芝生は3~5月・9~10月がおすすめです。中でも暖地型芝生は梅雨入り前の5月に行い、土の通気性を改善しておくと良いでしょう。
一方で、エアレーションに適さない時期は夏と冬です。夏にエアレーションを行うと、強い紫外線によって芝生の根がダメージを受けてしまいます。反対に冬は芝生の休眠時期であるため、エアレーションをしても本来の土壌改善効果は期待できないでしょう。
年に1度はエアレーションを行う
芝生のエアレーションを効果的に行うには「年に1度はエアレーションする」のが適切です。エアレーションをやり過ぎると芝生を傷めてしまい、作業する前よりも土壌環境が悪化する可能性があるからです。
さらに、エアレーションを頑張り過ぎてしまうと芝生の手入れが嫌になってしまうこともあります。そうなっては本末転倒のため、年に1度程度に留めておきましょう。ただし、芝生を張ってから2~3年以内であればエアレーションは不要です。
工具をメンテナンスする
ガーデンスパイクやローンスパイクは、使っているうちに刃がすり減っていきます。刃がすり減った状態でエアレーションすると、充分な作業効果を得られない可能性があるのです。
そのため、定期的にエアレーションで使う工具の観察やメンテナンスをしておきましょう。使用頻度にもよりますが、約2年を目安に新しいものと交換するのがおすすめです。
枯れたように見えても心配し過ぎない
エアレーションすると芝生が枯れたように見える場合があります。しかし、それは一時的な現象で、2~3週間ほど経つと芝生が活性化します。芝生が活性化すると密度が高く美しい芝生を見ることができるため、枯れたように見えても心配し過ぎないようにしましょう。
土が固い場合は雨あがりに行う
土が固くて効果的にエアレーションできない場合は、土が柔らかくなっている雨あがりに行うのがおすすめです。もしくは、エアレーションをする前に水やりをすると土が柔らかくなり、やりやすくなるでしょう。
プロに依頼する
健康的な芝生を維持するには、定期的なエアレーションが必要です。とはいえ初心者はエアレーションの手順を1から調べ、道具を購入し、時間と体力を要さなければなりません。
もし作業に不安を感じたら、プロに依頼するのもおすすめです。より効果的にエアレーションを行うには、芝生に関する知識や技術が必要になります。プロに依頼すれば豊富な知識と技術を活かし、芝生を健康的に維持できる効果的なエアレーションを行ってくれるでしょう。
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芝生のエアレーションに関するQ&A
最後に、芝生のエアレーションに関するQ&Aをご紹介していきます。
エアレーションは専用の道具がなくてもできる?
エアレーションは専用の道具がなくても可能です。100円ショップなどに売られているドライバーやスコップ、熊手、フォークなどが利用できるでしょう。ただし、専用の道具に比べると多大な時間や労力が掛かる恐れがあるため、効率性を求める場合は専用の道具を用いるのがおすすめです。
エアレーションのやり過ぎはどうなる?
エアレーションのやり過ぎは、芝生を傷めてしまう恐れがあります。エアレーションは芝生の健康的な生育を目指して行っているのに、かえって傷めるようなことがあれば本末転倒です。芝生のエアレーションは適切な回数を守って行いましょう。
疲れないためのポイントとは?
エアレーションは多大な労力を要する作業です。できるだけ疲れないように行いたいのであれば、穴と穴との間隔を広くしましょう。ただし、穴同士の間隔が広くなると得られるエアレーションの効果は小さくなります。ご自身の体力と相談しながらエアレーションするようにしましょう。
おわりに
エアレーションは健康的で美しい芝生を維持するために必要不可欠な作業です。最低でも年に1回はエアレーションを行い、青々と茂る芝生を目指しましょう。どうしても作業が不安・大変だと感じる方はプロに依頼するのもひとつの方法です。ぜひこの記事を参考に、芝生のエアレーションを行ってみてください。