ウォシュレットから急に水が出なくなると「故障かな?」と心配になります。しかし、水が出ない原因は必ずしも故障とは限りません。今回は、ウォシュレットから水が出ないときにできるセルフチェックや対処法、掃除の仕方などをご紹介します。内容を参考に、ご自身でできる範囲の対処を試してみましょう。
※ウォシュレットはTOTOの登録商標です。本コラムでは、温水洗浄便座をウォシュレットとしてご紹介しています。
このコラムのまとめ
ウォシュレットから水が出ない原因は、故障だけではありません。リモコンの電池が切れている・ノズルや給水フィルターの目詰まりといった原因が考えられます。ウォシュレットの状態をよく確かめ、電池交換や掃除を行いましょう。
掃除の際は、使用する洗剤に注意してください。ウォシュレットはプラスチック製のため、アルカリ性や酸性の洗剤では破損の原因となります。また、ウォシュレットの便座を固定し直す・給水フィルターを取り外すといった作業をする場合は、取扱説明書でやり方を確認しましょう。
ご自身でできる限りの対処をしてもウォシュレットから水が出てこないようであれば、故障かもしれません。プロへの修理の依頼やウォシュレットの交換を検討してみましょう。
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簡単なセルフチェックと対処法
ウォシュレットの水が出ない、あるいは水の出方がおかしい場合、故障を疑う前にご自身で状態をチェックしてみましょう。意外と盲点になっている場所に、水が出ない原因があるかもしれません。チェックポイント6つと、それぞれの対処法を紹介します。
ウォシュレットの電源がオンになっているか
まず、ウォシュレットの電源を確認してみましょう。トイレ掃除のときに抜いたコンセントがそのままになっていたり、停電でブレーカーが落ちた状態になっていたりしていませんか。電源が入っていなければ、当然ながらウォシュレットから水は出てきません。
コンセントやブレーカーを元の状態に戻し、ウォシュレットが作動するか確かめてみてください。もし電源が入っているにもかかわらず水が出ない場合、故障の可能性があります。早めにメーカーや専門会社に相談しましょう。
リモコンの電池は切れていないか
ウォシュレットを使う際、壁に備え付けてあるリモコンを操作する方が多いのではないでしょうか。リモコンの電池が切れるとボタンが反応しないため、ウォシュレットが動きません。リモコンの電池切れは見落としやすいので、次の現象がないかチェックしてみましょう。
- 電池切れマークが出ている
- 時計や液晶画面の表示が消えている
- ランプがついていない など
これらの現象が見られたら、電池切れのサインです。新しい乾電池に交換しましょう。なお、ウォシュレットのリモコンの中には、ボタンを押すたびに発電し、電波信号を便座に飛ばしている商品があります。自家発電するタイプのリモコンは電池を使っていないため、電池切れになることはないのでリモコンが反応しないようであれば、他の原因を探ってみてください。
ウォシュレットの便座がしっかりはまっているか
ウォシュレットの便座が便器にしっかりはまっているかどうか、調べてみましょう。便座に座り、揺らすとガタつくようであれば、正しく設置できていない可能性があります。便座が便器からずれていると、着座センサーの反応が悪くなるため、ウォシュレットが作動しづらくなっているのかもしれません。
ちなみに着座センサーとは、ウォシュレットの便座に座っていることを感知する機能です。ウォシュレットは便座に座っていない状態では作動しないようになっているため、着座センサーが感知しないとボタンを押しても反応しません。
ウォシュレットの便座がしっかりはまっていなかったら、緩んでいるネジを締め直したり、便座裏の足ゴムの位置を移動させたりと、取扱説明書の指示に従って調整してみてください。
水勢を低めに設定していないか
ウォシュレットから出る水の勢いが弱いがゆえに「水の出が悪い」と感じるケースがあります。故障ではなく、水勢の設定が低めになっている場合があるので、確認が必要です。
「子どもがリモコンを触って水勢の設定が変わった」「便座の温度を調整したつもりが水勢を変更していた」といったことは起こりがちなものです。調べた結果、水勢が低くなっていたら設定し直しましょう。
止水栓が開いているか
止水栓が開いているかも、チェックポイントです。トイレ内には、トイレ自体の止水栓とウォシュレット用の止水栓の2ヵ所あります。修理や掃除のため止水栓を閉じ、開き忘れているとウォシュレットから水が出てきません。
止水栓を開くには、まずウォシュレットのコンセントを入れてください。次に、マイナスドライバーをくぼみに差し込み、左に回して止水栓を開きます。止水栓が開いたら、ウォシュレットから水が出るか確認して完了です。
水漏れはしていないか
ウォシュレットのノズルや給水管などから水漏れしていないか確認してみましょう。ノズルから水漏れしている場合、水の出方を調整するバルブユニットの故障、またはパッキンが劣化しているのかもしれません。給水管から水漏れしているようであれば、ナットの締め方が甘い可能性があります。
ノズルの水漏れは、原因となっている部品の交換で解決できますが、ウォシュレット本体の分解を伴う場合があるので、無理をしてご自身で修理するのではなく、水漏れが起きていたらプロに任せた方が安心です。
汚れや詰まりが原因の場合の対処法
ウォシュレットから水が出てこない原因のひとつに、汚れや詰まりがあります。ウォシュレットのノズルが詰まると水が出にくいのはイメージしやすいでしょう。ただ、ノズルだけではなく着座センサーの汚れや給水ホースのフィルターの詰まりが、ウォシュレットが正しく作動しにくい要因となっているケースもあります。
それぞれの状況を詳しく見ていくとともに、対処法もチェックしていきましょう。
着座センサーの汚れ
着座センサーに埃がかぶっていたり、汚れていたりするとセンサーが座っている状態を感知しにくくなります。つまり、着座センサーが正しく反応しないことが、ウォシュレットから水が出ない一因となるのです。
着座センサーは、便座のふたのつけ根中央、または便座の横にある操作部分に埋め込まれているケースが多くあります。着座センサーの位置を確認し、汚れが付着していたら柔らかい布で拭き取ってください。
ノズルの詰まり
ウォシュレットのノズルの先端は、目詰まりしやすい部分です。詰まりの原因となるのは、尿が固まってできる尿石や固形化したカビなどです。「ノズルは動くのに水が出ない」「水がチョロチョロとしか出ない」といった場合、ノズルが詰まっているかもしれません。以下の手順で、掃除してみましょう。
【準備するもの】
- 歯ブラシ
- 洗剤
- トイレ用の掃除シート
- ゴム手袋
【ノズル掃除の手順】
- リモコンの掃除ボタンを押してノズルを引き出す
- 洗剤を吹きかける
- 歯ブラシで噴射口の汚れを落とす
- ウォシュレットを試運転してノズルから水が出るか確認する
- 掃除シートでノズルを格納している部分を拭く
ノズルの詳しいお手入れ方法については、ご使用のウォシュレットの取扱説明書でご確認ください。
また、そもそもノズル自体が出てこないケースもあります。その場合は、コンセントを抜いて約10秒後に再び差し込んでみてください。それでもノズルが出ないようなら、故障していると考えられます。
給水フィルター(ストレーナー)の詰まり
ウォシュレットのノズルを掃除しても水が出てこないようであれば、給水フィルター(ストレーナー)が詰まりを起こしている可能性があります。給水フィルターは水道水から出るゴミを取り除く働きをしていますが、詰まってしまうと水の流れが悪くなるため、掃除が必要です。
【準備するもの】
- マイナスドライバー
- モンキーレンチ(開閉工具)
- 歯ブラシ
- 水受け
【フィルター掃除の手順】
- ウォシュレットのコンセントを抜く
- 止水栓の分岐金具の形状を確認する
- マイナスドライバーで止水栓を閉めて水を止める
- フィルター部分の下に受け皿を置き水濡れ対策をする
- マイナスドライバーや開閉工具でフィルターを取り外す
- フィルターを水で流しながら歯ブラシでこすりゴミを落とす
- フィルターを取り付ける
- マイナスドライバーで止水栓を開ける
給水フィルターは、製品によって設置位置が異なります。本体に組み込まれているタイプ、止水栓と一体となっているタイプ、給水ホースに取り付けられているタイプがあるため、取扱説明書で掃除方法を確認してから取りかかりましょう。
故障かなと感じたら修理を依頼しよう
ご紹介した部分をチェックし、対処してもウォシュレットから水が出ないようであれば、修理を検討してみてください。ご自身でウォシュレットを分解したり修理したりすると、故障の度合いがエスカレートしかねません。無理せず、専門会社に修理を依頼しましょう。
ここでは、専門会社の選び方と修理費用の目安をまとめました。
修理を依頼する専門会社の選び方のポイント
修理を依頼する専門会社選びの際は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- すぐに対応してくれるか
- 修理実績が豊富か
- 資格を持つスタッフが在籍しているか
- 補償があるか
- アフターフォローがあるか
- 評判が良いか
- スタッフの対応は丁寧か など
ウォシュレットを含め、水まわりの修理は早く済むに越したことはありません。依頼してからすぐに対応してくれる専門会社がおすすめです。さらに、修理実績が豊富・資格を持ったスタッフが在籍している・作業による故障が起こった場合の補償がある・サービスにアフターフォローが含まれていると、安心して依頼できそうです。
さらに、利用者の口コミもチェックしてみましょう。その際、スタッフの対応の評価もリサーチしてみてください。スタッフの対応が丁寧な会社であれば安心できます。
くらしのセゾンでは「水まわり修理サービス」を承っています。「給水設備工事主任技術者」などの資格を持つスタッフが、365日年中無休で駆けつけ修理を行います。見積もりや修理後1年間のメンテナンスが無料のため、費用面でも安心です。ウォシュレットの故障を疑ったら、ぜひご相談ください。
修理金額はいくらかかる?
ウォシュレットの修理金額の目安は、以下のとおりです。
修理部分・種類 | 金額の目安 |
リモコン | 13,000~30,000円 |
着座センサー | 15,000~40,000円 |
ノズル | 13,000~23,000円 |
本体の制御基板 | 15,000~40,000円 |
給水ホース・ノズルなどからの漏水 | 20,000円~ |
ウォシュレットの交換 | 70,000~140,000円 |
ウォシュレットの修理にかかる費用は、メーカーや故障の度合いによっても異なるため、あくまで目安としてお考えください。専門会社によっては見積もりを無料で行ってくれるので、活用すると費用負担を軽減できるでしょう。
ウォシュレットの寿命は?交換時期の目安について
一般社団法人日本レストルーム工業会の温水洗浄便座に関する安全啓発パンフレットによると、10年以上使用しているウォシュレットは交換が推奨されています。というのも、ウォシュレットは電化製品であるため、徐々に部品が劣化し、長期間使用すると発火や発煙のリスクがあるからです。各メーカーでも約10年での交換を推奨しており、10年を目安にウォシュレットの交換を検討しましょう。
また、販売が終了してから10年以上経つと補修部品の製造も終了している場合があります。修理に必要な部品がないとなると、必然的に交換になるでしょう。
ただし、メンテナンスをきちんとしていれば10年以上使用できる場合があります。反対に、使用状況によっては10年経たないうちに寿命が来てしまうケースもあります。専門会社やメーカーに相談し、交換が必要かご相談ください。
ウォシュレットを長く使うためのコツ
ウォシュレットの寿命を延ばすには、日々の掃除やメンテナンスがカギです。最後に、ウォシュレットを長く使うためにできることを紹介します。
こまめな掃除を心掛ける
ウォシュレットの主な故障原因は、ノズルや給水フィルターなどに溜まる汚れです。尿やカビは時間が経つと除去しにくくなってしまうため、日頃からこまめに掃除し、詰まりが起こらないよう心掛けましょう。
気軽に掃除できるよう、掃除道具をトイレ内のすぐ手に取れる場所に置くのもおすすめです。トイレを済ませるついでに掃除しやすいでしょう。
ウォシュレット本体や給水ホースのお手入れには中性洗剤を使う
ウォシュレットのお手入れには、中性洗剤を使用してください。ウォシュレットは主にプラスチックでできていることから、アルカリ性や酸性の洗剤を使用すると破損の恐れがあります。ここで注意したいのが、トイレ用洗剤です。トイレ用洗剤には中性以外にもアルカリ性や酸性の製品があるため、ウォシュレットを掃除する前に液性を確認するようにしましょう。
また、プラスチックは乾いた布で拭くと傷付く場合があります。そのため、お手入れする際は乾拭きするのではなく、濡らしてよく絞った布やトイレ用のお掃除シートを使用してください。
ウォシュレット本体やノズル、便座に尿がかからないようにする
尿がウォシュレットにかかると故障の原因となり得ます。ウォシュレットを長く使うには、本体やノズルなどに尿がかからないよう気を付けましょう。特に、立って用を足す際は注意が必要です。尿が直接ウォシュレットにかかるだけでなく、便器に跳ね返った尿がノズルなどにかかってしまいやすくなります。そのため、できるだけ座って用を足すことがおすすめです。
おわりに
ウォシュレットから水が出なくなるのは、故障だけではなくリモコンの電池切れやノズルの詰まりなど、さまざまなことが要因になっていると考えられます。まずはご自身で考えられる原因を調査し、対処してみましょう。それでも直らないようであれば、修理や交換をプロに依頼してみてください。
また、ウォシュレットが長持ちするかどうかは日頃の掃除状況やトイレの使い方によって左右されます。思わぬ修理費用の出費を避けるためにも、今回紹介した対処法や長持ちさせるコツを実践してみてください。