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エコキュートの寿命は何年?交換のサインや長持ちさせる方法を知っておこう

セゾンのくらし大研究 編集部

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エコキュートは、わずかな電気でお湯を沸かせるため、ガス給湯器よりも維持費が安くなる人気の給湯システムです。しかし、劣化などにより交換が必要になるとコストが高い機器のため、できるだけ長持ちさせたいとお考えの方は多いことでしょう。

そこで今回は、エコキュートの寿命について徹底解説しました。寿命を延ばすコツや、生じやすい故障についても触れています。エコキュートの寿命を延ばしたいという方はぜひ参考にしてください。

この記事のまとめ

エコキュートとは家庭で使うお湯を沸かす給湯システムのことです。導入コストは約600,000円前後と高額ですが、少ない電力でお湯を沸かせるため、トータル的にガス給湯器より安くなる点が特徴です。エコキュートの寿命は約10〜15年といわれていますが、使い方によって短くなってしまうケースもあります。
さらに部位で寿命が異なる(一般的にヒートポンプ、貯湯タンクともに5〜10年)ため、各メーカーの有償保証も視野に入れながら導入を検討していきましょう。寿命を長持ちさせるためには、寿命が近づいたときのサインやメンテナンス方法、取り扱い方、起こりやすい故障を知っておくことが大切です。

まずはエコキュートの概要をおさらい

エコキュートとは、家庭で使うお湯を沸かす給湯システムのことです。エコキュートは愛称で、本来は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」と呼びます。電気温水器の一種ですが、従来の電気温水器とは違う仕組みでお湯を沸かす点が特徴です。

エコキュートの初期費用は約600,000円前後と高額ですが、少ない電力でお湯を作ることができるため、トータル的にはガス給湯器よりコストが安いといわれており、オール電化住宅の光熱費が安いといわれる理由もこのためです。

エコキュートの仕組み

エコキュートは大きく分けると「ヒートポンプ」と「貯湯タンク」の2つでできています。ヒートポンプはエアコンの室外機に似ており熱を作り出す役割をし、貯湯タンクはその名のとおり沸かしたお湯を貯めて保管しておくタンクです。

エコキュートは空気の中にある熱と電気を利用してお湯を作ります。ファンを回して空気をヒートポンプ内に取り込み、ユニット内で温めたCO2(冷媒)を圧縮して水を高温にします。作られたお湯は、貯湯タンクへ運ばれ、お風呂やシャワーに利用できるようになります。

エコキュートを販売しているメーカー

現在、エコキュートを販売しているメーカーは以下のとおりです。各メーカーごとに特徴が異なります。導入を考えている方はご自身で調べてみましょう。

  • コロナ
  • パナソニック
  • 日立
  • 東芝
  • ダイキン
  • 三菱電機

エコキュートの寿命はおよそ10~15年

エコキュートの寿命(耐用年数)はおよそ10〜15年といわれています。しかし、エコキュートに使用されている部品やメンテナンス状況によっては、もっと早く交換が必要になるケースも。では、エコキュートを構成する部位ごとの寿命をチェックしていきましょう。

ヒートポンプの寿命

エコキュートに使用されているヒートポンプの寿命は5〜10年です。ヒートポンプは大気中の熱を変換する役割を担うため、エコキュートの心臓部といっても過言ではありません。そんなヒートポンプの修理費用は高額になりやすいので、設置から10年が経過したら、そろそろ交換時期だと認識しておきしょう。

貯湯タンクの寿命

貯湯タンクは10〜15年が寿命といわれています。ヒートポンプよりは耐用年数が少し長いと覚えておきましょう。ただし、貯湯タンクも定期的なメンテナンスを怠ると寿命が短くなってしまいます。主なメンテナンス方法は後に解説するので、参考にしてください。

各メーカーの保証期間

以下の表は、各メーカーのエコキュートに付帯している保証期間をまとめました。保証期間内に起こった不具合は修理してもらえる可能性があるので、確認しておきましょう。

メーカー保証期間
コロナ買い上げ日から2年間
コンプレッサー・熱交換器:3年間
貯湯タンク:5年間
5年・8年・10年の延長修理保証契約あり(有償)
パナソニック本体・リモコン:1年間
ヒートポンプユニット内の冷媒系統:3年間
貯湯タンク:5年間
※水漏れ現象地下水(井戸水)利用認定制度:3年間
日立本体:1年間(冷媒回路、貯湯タンク以外の機器)
冷媒回路:3年間(圧縮機、熱交換器、配管など)
貯湯タンク:5年間
ナイアガラタフネス搭載機種:すべて5年間
7年・10年の日立TWGオール電化延長保証あり(有償)
東芝貯湯ユニット・ヒートポンプユニット:5年間
消耗部品(減圧弁やミキシングバルブなど):2年間
8年・10年の延長保証サービスあり(有償)
ダイキン本体:1年間冷媒系統:3年間
貯湯タンク:5年間
10年間の延長保証サービスあり(有償)
三菱本体:2年間
熱交換器・コンプレッサー:3年間
貯湯タンク:5年間
5年・8年・10年の延長保証制度あり(有償)

一般的に本体は1〜2年、ヒートポンプユニットは3年、貯湯タンクは5年の保証が付帯している場合が多いです。故障かなと思ったときは、どのようなエラーが生じているのかを把握して、各メーカーのお問い合わせ窓口に相談しましょう。保証期間内であれば無料で対応してくれるケースもあるので、修理費用についても詳しく聞いてみてください。

エコキュートが寿命に近づいたときのサイン

では、どのような症状が現れたら寿命が近づいているといえるのでしょうか。いちはやく異常を察知できるよう、エコキュートから発生するサインを把握しておきましょう。

  • エラーコードが表示される
  • エラーコードごとの対処法を試すも再び表示される
  • お湯が設定温度まで達しない、もしくは設定温度になるまで時間がかかる
  • 急に水が出てくる
  • お湯が止まらない
  • 自動お湯はりができない
  • シャワーの勢いが弱まった
  • お湯にゴミやサビが混ざっている
  • 変な音がするなど

これらのサインが出てきたら、各メーカーの修理窓口に問い合わせをし、必要なら交換も考えましょう。

エコキュートの寿命を長持ちさせる5つのコツ

ここからは、エコキュートを長く使うための方法を解説します。耐用年数まで安全にエコキュートを長持ちさせたい方は要チェックです。

点検する

早期に異常を察知するためには、日常的な点検が大切です。点検時のチェックポイントを以下にまとめたので参考にしてください。

  • 漏電遮断器が作動しているか
  • 逃し弁・減圧弁が作動しているか
  • (冬が始まるころ)凍結防止ヒーターが作動しているか
  • 水漏れがないか
  • 保温材を確認する

各点検部位がどこにあるかは、取り扱い説明書で確認しましょう。年に2〜3年を目安に点検すると安心です。ご自身で点検できる項目ばかりですが、メーカーに点検をお願いするのもおすすめです。

メンテナンスする

エコキュートは水垢や汚れが溜まりやすい機器のため、使用状況によっては早期の故障につながります。では、具体的にどのようなメンテナンスを行えば良いのか解説していきます。

配管の洗浄

最近は自動で洗浄されることも多い追い焚き配管ですが、落としきれない汚れが溜まっています。したがって、定期的な配管洗浄が必要です。配管用専用洗剤は、ドラッグストアなどで簡単に手に入りますが、1年に1回を目安に、プロに洗浄をお願いしてみるのも良いでしょう。

追い焚き配管クリーニングの詳細はこちら

貯湯タンクの水抜き

エコキュートのメンテナンスで大切なのが、貯湯タンクの水抜きです。貯湯タンク内はステンレス製のため錆びることはありませんが、水に含まれるミネラルや塩素の蓄積が原因で故障することがあります。このメンテナンスも半年に1回の頻度で実施するのが理想的です。

ヒートポンプの水抜き

貯湯タンクよりも故障が発生しやすいといわれているヒートポンプも、貯湯タンクと一緒にメンテナンスするようにしましょう。ヒートポンプも水抜きをすることで、内部の汚れを排出できます。

浴槽フィルターの掃除

浴槽の循環口にある浴槽フィルターの掃除も、エコキュートの寿命を延ばすために必要なメンテナンスのひとつです。とくに入浴剤をよく使う場合は、浴槽フィルターが目詰まりしやすいので要注意です。浴槽フィルターは想像以上に水垢や髪の毛など汚れが溜まりやすい場所なので、週に1回を目安に掃除をしておきましょう。

メーカーが推奨している入浴剤以外を使用しない

毎日のお風呂を楽しむアイテムとして、入浴剤を使用する方も多いと思いますが、入浴剤に含まれる成分によってはエコキュートを故障させる場合があります。とくに、酸や塩分、硫黄、アルカリなど配管にダメージを与えやすい成分には要注意です。メーカーが推奨している入浴剤があるので、必ず調べてから利用するようにしてください。

エコキュートの設置環境を整える

エコキュートは屋外に設置する機器のため、設置環境に配慮することも重要です。エコキュート周辺は少し暖かいため、虫などが侵入して故障の原因になることがあります。

また、空気の流れが悪い環境は、ヒートポンプの性能に影響を与えるため風通しを良くしておくことも大切です。エコキュート周辺は、物を置かない、雑草などが生えたままにならないよう心がけておくと安心です。

長期間留守にする場合は水抜きをする

1ヵ月以上不在にするときは、貯湯タンク内の水を抜き、エコキュートの電源を切っておくこともエコキュートの寿命を延ばすコツのひとつです。不在中もエコキュートを通常稼働したままにすると、貯湯タンクにあるお湯は1ヵ月間、何度も沸騰を繰り返しながら保管されることになります。

さらに、循環されていないお湯を保管すると、水垢などの不純物が蓄積されやすく、水質はどんどん悪くなる一方です。特に冬場は凍結しやすいため、貯湯タンクにお湯を残したまま電源だけを切るという行動はNG。長期不在時は、水抜きをして電源を切っておくことを念頭に置いておきましょう。

エコキュートに起こりやすい故障例と原因

最後にエコキュートに起こりやすい故障例をご紹介します。エコキュートが寿命を迎え交換工事が必要になってしまう前に、起こりやすい故障についても把握しておきましょう。

部品の不具合による「初期故障」

多くの部品で製造されているエコキュートは、ひとつの部品に不具合が生じただけでも故障することがあります。どのメーカーも万全を尽くして商品を出荷していますが、稀に初期不良を起こす製品があるのも事実です。ほとんどのケースでは、部品を交換するだけで故障は改善されますが、ご自宅のエコキュートも万が一の初期故障があるかもと認識しておきましょう。

設置時のわずかな欠陥が発端となる「偶発故障」

偶発故障とはエコキュートの製造過程や、設置するときに生じた何らかの不具合が原因で、月日が経ってから故障として現れることが特徴です。

例えば、エコキュートを設置した際、配管にわずかな歪みが生じたとします。しばらくは問題なく使えていたとしても、何らかをきっかけに歪みが大きくなり、しまいには配管が大きくずれて水漏れを起こしてしまうといったケースが偶発故障です。

非常に稀な故障ですが、リモコンが突然エラーを表示するようになったら、できるだけ早くメーカーの点検を受けるようにしましょう。ただし、偶発故障は製造工程や設置による不具合と証明することが難しいため、有償修理になりやすいことも把握しておいてください。

繰り返し使うことによる「摩耗故障」

パッキンや弁など、さまざまな消耗部品を起因とする故障を摩耗故障といいます。エコキュートの故障の中では最も起こりがちな故障です。

主な消耗部品は、逃がし弁や逆圧弁といった弁類、ポンプ、パッキン類、水量センサーや水流スイッチなどのセンサー類などが挙げられます。経年劣化や摩耗による故障のため、エコキュートの性能とは関係なく発生することが特徴です。

摩耗故障を防ぐためには、劣化してしまう前に交換しておくことが大切です。費用はかかりますが、メーカーなどで定期点検を受けて事前に交換しておくと安心でしょう。

入浴剤や水質などの原因による「その他の故障」

その他、前項で解説したように、使用できない入浴剤による故障や、エコキュート内への虫の侵入、井戸水(水質)があっていないなどが原因で故障することがあります。事前に知っておくことで防ぐことができる故障もあるので、エコキュートを導入した際は、取り扱い説明書をしっかりと読み、エコキュートの正しい使い方を心がけることが大切です。 

おわりに

エコキュートの寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。これまで一度もお手入れをしていなかった…という方は、今すぐにでもメンテナンスすることをおすすめします。これから導入をお考えの方は、エコキュートといえどメーカーごとの特徴があります。保証内容も異なるので、安心して利用できるメーカーはどこか、有償の延長保証への加入も検討しつつ選ぶようにしましょう。

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