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リンゴの剪定方法は?剪定以外のお手入れについても解説

リンゴの剪定方法は?剪定以外のお手入れについても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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リンゴはそのまま食べることはもちろん、アップルパイやジャムなど調理をしても楽しめる果実です。そんなリンゴをご自身で栽培したいと考えても「栽培するにはどんな品種が良い?」「どんな作業があるの?」「剪定は?時期は?」など、疑問に思うこともあるでしょう。

この記事では、リンゴの基礎知識をはじめ、剪定方法や時期について解説していきます。リンゴの栽培に興味のある方、剪定方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること

リンゴの剪定には樹形を小さくすることや、一定の大きさを保つことを目的に行う「切り戻し剪定」と、不要な枝を取り除くことが目的の「透かし剪定」があります。
切り戻し剪定は7~8月頃に行い、透かし剪定は1~2月頃に行います。さらに、おいしいリンゴの実を収穫するためには、捻枝(ねんし)、摘蕾(てきらい)、摘果(てきか)、袋かけといった作業も必要です。
また、リンゴの木は病害虫の被害にも遭いやすいため、対策をして注意する必要があります。ご自身での剪定や管理が難しい場合は、プロに依頼することも検討しつつ、上手にリンゴの木を育てていきましょう。

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リンゴの基礎知識や品種

ンゴの基礎知識や品種

リンゴの剪定について解説する前に、まずはリンゴの基礎知識や品種について紹介していきましょう。

リンゴの基礎知識

リンゴの木は生長すると高さ数メートルにもなる落葉性高木で、リンゴはバラ科の果物になります。リンゴが中国から日本に持ち込まれたのは平安時代の中頃です。「和リンゴ」や「地リンゴ」と呼ばれ、小さい粒の野生種で最初は観賞用でした。

現在私たちがよく口にしている馴染みのあるリンゴは、まだ歴史も浅く「西洋リンゴ」と呼ばれているものです。明治時代にアメリカから輸入したリンゴを栽培し定着させたもので、品種改良を重ねた結果、現在日本には約2000種類のリンゴがあります。主に青森県内で栽培されているリンゴは約50種類、今市場に出ている主なリンゴは約40種類ほどです。

リンゴの品種

現在、日本で栽培されている西洋リンゴは、さまざまな品種が流通しています。以下では、なかでも代表的な品種について紹介していきましょう。

つがる

「つがる」は青森県発祥のリンゴで、「青森県産業技術センター りんご研究所(当時:りんご試験場)」と呼ばれる場所で1930年に生まれ、1975年に品種登録されました。

つがるは太陽をたくさん浴びる無袋栽培といわれる方法で栽培されているのが特徴です。そのため、したたるほどの果汁の多さと優しい甘さ、そして酸味がほとんどないのが特徴のリンゴです。

ふじ

「ふじ」は、日本での生産量が一番多く、品種別の生産量で世界一になったこともあるリンゴです。

青森県藤崎町にあった農林省園芸試験場東北支場で1939年に誕生しました。品種登録されたのは、それから23年経った1962年で、現在まで長く愛され続けている品種になります。また、突然変異によって、形や色合い、収穫時期など性質の違う系統が多くあるのも、このリンゴの特徴です。

ふじは、ひとつひとつ丁寧に農家が袋をかけて栽培します。そういった手間のかかる作業により、なめらかな果皮・鮮やかな紅色のリンゴができあがるのです。果汁が多く、酸味・甘味・食感のバランスが良い品種です。

王林

「王林」も日本での生産量が多い品種のひとつです。王林は福島県で作られたリンゴで、「リンゴの王様」という意味から王林と名付けられました。

青りんごというと、王林を思い浮かべる方も多いでしょう。それくらい根強いファンが昔から多い品種のリンゴです。王林の果肉はきめが細かく硬め、果汁がたっぷりで甘く酸味はほとんどありません。また、王林独特の良い香りがするのもこのリンゴの特徴といえるでしょう。

アルプス乙女

アルプス乙女

「アルプス乙女」は長野生まれの品種で、果実が40g前後と、その小さな見た目が最大の特徴でしょう。全体が濃紅色に着色しているかわいらしい見た目のミニリンゴです。

発見当初は、「ふじ」と「紅玉」とのかけあわせにより誕生したとされていました。しかし、DNA分析によると「ふじ」と「姫リンゴ」という小さいリンゴとの掛け合わせではないかと推定されています。

スーパーなどで見かけることは少ないですが、お祭りなどの屋台でリンゴ飴に使用されることが多いリンゴです。小さい見た目ながらも甘味が強く、酸味が少ないのが特徴的な品種です。

ジョナゴールド

「ジョナゴールド」は、ニューヨーク生まれの品種で、日本には1970年に持ち込まれました。青森県での生産量は、ふじ・つがる・王林に次いで多い品種です。

このリンゴは、酸味と甘みのバランスがとれているので、そのまま食べることはもちろん調理用としても最適です。ジュースなどの加工用にするリンゴとしても人気があります。ジョナゴールドを使うと味が引き締まるので、甘みの強い果物とミックスしたスムージーの材料にするのがおすすめです。

紅玉

「紅玉」は、アメリカ原産のリンゴで日本へは1871年にやってきました。アルプス乙女ほど小さくはありませんが、ふじや王林と比べるとひとまわり小さいサイズのリンゴです。

紅玉はさわやかな香りと甘酸っぱい味が魅力的で人気があります。酸味の強い紅玉は、ジャムやアップルパイ、タルトといったスイーツ作りで大活躍する品種で、キュッとしまりのある果肉が煮崩れしにくいことから、加熱調理にも適しています。

リンゴの剪定時期

リンゴの剪定時期

おいしいリンゴを収穫するためには、正しい剪定をする必要があります。リンゴは夏と冬に剪定を行うのが基本です。以下では、リンゴの夏剪定と冬剪定について解説します。

リンゴの夏剪定

リンゴの夏剪定は、7~8月頃に行います。この時期の剪定は、切り戻し(切り返し)といって、新しく伸びた枝の生長を抑えるためのもので樹形を整える作業です。

夏に生育期を迎えるリンゴは、この時期になると枝がたくさん生えてきて、放っておくと葉や枝が密集してしまいます。葉や枝が重なり合うと光合成ができなくなり、栄養が実まで届きにくくなるほか、風通しが悪くなることで病害虫の発生にもつながるでしょう。

それらを回避するために、余分な枝を切っておく必要があります。

リンゴの冬剪定

リンゴの冬剪定は、1~2月頃に行います。冬剪定は、枯れた枝・他の枝と交差している枝・メインで育てられない細い枝など、明らかに必要のない枝とわかるものを選んで剪定していきます。

夏剪定と違い、枝を整理するくらいの軽めの剪定で済ませましょう。

リンゴの剪定方法

リンゴの剪定方法

ここでは、リンゴの剪定に必要な道具と、切り戻し剪定・透かし剪定のやり方について解説していきます。

剪定に必要な道具

リンゴの剪定を行うのに必要な道具は以下の2つです。

  • 剪定バサミ
  • 剪定ノコギリ

剪定バサミは、細かい葉や枝を剪定するのに使います。その際、リンゴの木の高い場所を剪定できる高枝切りバサミがあれば、さらに効率良く作業を行えるでしょう。そして、剪定バサミでは切れない太めの枝を切るのに便利なのが剪定ノコギリです。

切り戻し剪定のやり方

切り戻し剪定は、樹形を小さくしたり一定の大きさで保つ目的で行う剪定です。手順としては、まず切り落とす不要な枝をチェックしていきましょう。

そして、不要な枝の半分から1/3の場所で切り落としていきます。枝の途中で切り落とすことが、新しい枝の生長を促進させることにつながります。多くの花を咲かせたい時は、新芽を残して、すぐ上を切り取るようにします。どの程度の花を咲かせたいか考えて剪定していく必要があるでしょう。

透かし剪定のやり方

透かし剪定は、不要な枝を取り除くことが目的の剪定です。また、透かし剪定によって木の内側の日当たりや風通しが良くなることで、病害虫の被害予防にも効果が期待できます。

まず、細かったり曲がっていたりする不要な枝をチェックします。そして、不要な枝の付け根から切り落としていきます。その際、病気予防のため枝の切り口に薬を塗っておくのが良いでしょう。剪定終了後は、木から離れた位置で樹形を確認して完了です。

リンゴの剪定は1年目から大切!

リンゴの剪定は1年目から大切!

リンゴを含めほとんどの果樹は、おいしい実を付けるために1年目からしっかり剪定を行う必要があります。1年目のリンゴの枝は先端に花芽が付きやすいのですが、そのまま結実させるのではなく切り取ります。

枝を切り取って生長を促し、2年目3年目の枝から伸びる1年生の枝に結実させるようにしていきましょう。1~3年目の透かし剪定は、これから育っていく樹形をつくるためにも重要といえます。

リンゴの木の剪定以外で必要なお手入れ

リンゴの木の剪定以外で必要なお手入れ

ここからは、日頃から心がけると良いお手入れ方法やリンゴの実のお手入れについて解説します。

日当たりの良い場所を選ぶ

リンゴは日光を好む植物であるため、庭植えであっても鉢植えであっても日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。ただし、直射日光に長く当たってしまうと、果実や葉が日焼けする可能性もあるので、日当たりが良く夕方には直射日光が避けられる場所での栽培がおすすめです。

土が乾いたら水やりをする

庭植えは基本的に雨水で足りるため水やりをする必要はありません。しかし、土が乾燥しやすい夏の時期や鉢植えの場合は、土の表面が乾いた時に水を与えるようにします。特に開花してから果実がなるまでの期間は、乾燥に気をつける必要があるので、水をたくさん与えましょう。

追肥を年に2回行う

リンゴの木の生長促進のため追肥は適した時期に行います。大きな実を付けるリンゴの木は、年に2回追肥を行い養分の補給をしましょう。

なお、リンゴの木は、庭植えと鉢植えで肥料を与えるタイミングが違い、庭植えは11~2月と9月、鉢植えは2月・5月・9月になります。リンゴにはゆっくりと成分が溶けていく緩効性肥料がおすすめです。肥料効果がおよそ1~2ヵ月持続してくれます。

捻枝(ねんし)をする

捻枝はリンゴの実に栄養を集中させるために必要なお手入れで、捻枝に適した時期は5月上旬です。

新しく伸びた枝の根元を手で固定しながら下向きに捻って曲げます。そうすることで、葉や枝への栄養の流れが止まりリンゴの実に栄養が集中します。

摘蕾(てきらい)をする

摘蕾は余計な蕾を摘み取る作業のことです。リンゴの実を立派にするために必要な作業で、開花から3週間後くらいを目安に行いましょう。ひとつの房にいくつか咲いている花の中から状態の良い大きめのものを選び、それ以外を全て摘み取ります。

摘果(てきか)をする

摘果はリンゴの実がそれなりに生長したタイミングで、状態の良い大きな実だけを残して他のリンゴを切り落としていく作業です。ひとつのリンゴに栄養を集中させおいしいリンゴを育てるために行います。摘果は5月下旬~6月中旬頃に行います。

袋かけをする

袋かけをする

摘果が終了した後は袋かけをしていきましょう。袋かけは害虫予防やリンゴの実を色鮮やかにする目的で、6~7月頃に行います。袋かけを行うタイミングや使用する袋との相性が品種によって違うため、事前に調べておくのが良いでしょう。

薬剤散布をする

リンゴは病害虫の被害に遭いやすい果樹であるため、薬剤散布をする必要があります。病害虫予防のために月に一度は行い、その際は殺菌剤と殺虫剤を合わせたものを使用するのがおすすめです。

薬剤散布をせず病害虫の被害を放置すると、リンゴの木や実がダメになってしまい、収穫どころではなくなる場合もあるため注意しましょう。

人工授粉させる

アルプス乙女など自家受粉できる品種もありますが、リンゴは基本的に自分の花粉だけでは受粉できません。マメコバチや風などにより自然に受粉することもありますが、しっかりと受粉させ実を付けるためには人工授粉を行いましょう。

花粉は人工授粉用のものが通販サイトなどで売られていますが、リンゴは相性の良い悪いがあるので事前に育てているリンゴとの相性を確認してから購入しましょう。花粉は咲いた花の雌しべに確実に塗っていくため、綿棒などの道具を使用するのがおすすめです。

リンゴの木に多い病害虫     

リンゴの木に多い病害虫   

ここでは、リンゴの木に発生しやすい病害虫について対処法とともに解説します。

リンゴの木に発生しやすい病気

リンゴに発生しやすい病気には以下のものが挙げられます。

  • 斑点落葉病:小さい斑点ができて葉が落ちる
  • うどんこ病:葉や枝に粉のような白カビがつく
  • 黒星病:小さい黒い斑点が葉や実にできる
  • 炭疽病:灰褐色の斑点ができる

上記以外にも褐斑病や輪紋病、腐らん病、モニリア病などがリンゴに発生しやすい病気として挙げられます。基本的にリンゴは一度病気にかかると、病気になった部分の回復は見込めません。

対策としては被害を受けている部分の見た目が、色の変色や変形など分かりやすいため、見つけ次第すぐに取り除き農薬を散布しましょう。

リンゴの木に発生しやすい害虫

リンゴに発生しやすい害虫には以下のものが挙げられます。

  • シンクイムシ:リンゴの実に入って食害する
  • カイガラムシ:リンゴの木の養分を吸汁する
  • ハマキムシ:蕾を食べる

上記以外にも養分を吸汁する害虫にはハダニやアブラムシもいます。どの害虫もリンゴの生長に影響を与えるため、早めに対処する必要があります。袋かけや殺虫剤の使用、水で洗い流す、風通しを良くするといった作業を行って害虫予防をしましょう。

リンゴの木の剪定はプロの力を借りよう!

リンゴの木の剪定はプロの力を借りよう!

おいしいリンゴを収穫するために、リンゴの剪定はとても大切な作業です。しかし、剪定に慣れていない方や初心者の方にとっては、難しいと感じるかもしれません。そういった時は、剪定のプロの力を借りるのもおすすめです。

くらしのセゾンが提供するサービス「庭木のお手入れ」では、専門の知識と資格を持つ職人に剪定を任せることができます。見積もりは無料でしてくれるので相談してみるのも良いでしょう。

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おわりに 

リンゴの剪定は、樹形のバランスや大きさ、実の収穫にも影響を与える重要な作業です。リンゴの木は病害虫の被害に遭いやすい果樹でもあるため、ケアや手入れを念入りにする必要があります。

ご自身での剪定に自信がない場合は、プロの手を借りるのもおいしくて立派なリンゴを収穫するためには必要でしょう。今回紹介した内容を参考に、適切なリンゴの剪定を行い、おいしいリンゴを実らせてください。

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