うっかり物をぶつけたり、ペットが引っ掻いたりと、剥がれてしまった壁紙が気になるということはありませんか。とはいえ、剥がれた部分が小さいと修繕会社に補修を依頼するのも気が引けてしまいます。
そこでこのコラムでは、ご自身で壁紙の補修をする方法をご紹介します。壁紙の補修に必要なアイテムや補修の手順、壁紙の補修でよくある悩みの対処法などをまとめました。壁紙の補修を検討している方にとって、役立つ情報が満載です。
部分的に剥がれた壁紙は私でも補修できる?
部分的に剥がれてしまった壁紙は、ご自身で補修可能です。壁紙は、ペットが引っ搔いた時や家具がぶつかった時など、思わぬ拍子に剥がれてしまいます。部分的に剥がれてしまった場合は、ご自身で補修して目立たなくすることができるのです。
ご自身で補修できれば、修繕会社に依頼する手間やコストを抑えられるメリットがあります。ただし、材料や道具を準備する手間や、失敗してしまうリスクがあることも頭に入れておきましょう。
壁紙の補修に必要な材料と道具
ご自身で壁紙を補修するために、必要な材料や道具を紹介します。
材料
まずは必要な材料を確認しましょう。
【壁紙補修に必要な材料】
- 壁紙
- ジョイントコーク
補修用に、剥がれてしまった部分と同じ壁紙を準備します。壁一面貼り替えるわけではないので、剥がれた部分より一回り大きいサイズであれば十分です。ただし、壁紙は1m単位で販売されていることがほとんどです。補修後に余ってしまったら、トレーやレンジフードに貼ってアレンジしたり、ブックカバーに再利用したりと、壁紙の補修以外にも活用してみましょう。
ジョイントコークとは、壁紙を貼ることに適した接着剤です。壁紙としっかり密着し、湿度の高い環境でも剥がれにくくしてくれます。壁紙の裏側にあらかじめ糊が付いているタイプを使用する場合は、準備しなくて良いでしょう。
道具
続いて、補修に必要な道具と使い方を簡単に紹介します。
【壁紙の補修に必要な道具】
- ハサミ(壁紙を貼るサイズに切る)
- マスキングテープ(壁に貼って補修場所の目印にする)
- カッターナイフ(壁紙を切り抜く)
- 定規(カッターナイフのガイドにする)※刃を当てるので金属製がおすすめ
- 撫で刷毛(貼った壁紙の空気を抜く)
- ローラー(壁紙を下地に密着させる)
- スポンジ(はみ出した接着剤を拭く)
これらの道具があると、スムーズに補修できます。すべて壁紙補修専用の道具である必要はありません。次に、これらの壁紙補修アイテムを手軽に準備するポイントをお伝えします。
壁紙補修に必要なアイテムを手軽に準備するには
材料や道具は壁紙補修専用のものでなくても、代用できるアイテムがあります。身近な物を使えば手軽に準備でき、コスト削減にもつながります。ではどんなアイテムで代用できるのか、具体的に見ていきましょう。
自宅にある物や100円均一のアイテムを活用する
ジョイントコークは木工用ボンドで代用可能です。お持ちの方も多いのではないでしょうか。また、壁紙の空気を抜く時は、撫で刷毛ではなくても家にある軍手や丸めたタオルでも代用できます。
作業中にすぐなるような消耗品のマスキングテープやスポンジ、木工用ボンドなども100円均一で手に入ります。
壁紙補修セットを購入する
必要な道具を一つひとつそろえるのは大変です。そんなときは、壁紙補修セットが便利です。壁紙補修に必要な、撫で刷毛やローラー、カッターナイフなどがセットになって販売されています。
具体的な商品を紹介しますので、参考にしてみてください。
【アサヒペン】生のりタイプカベ紙貼りセット
セット内容:おさえハケ、ヘラ、おさえローラー、カッターナイフ、ステンレスカット定規
価格:1,860円(税込)
壁紙補修セットは他のメーカーからも販売されており、インターネットショッピングやホームセンターなどで手に入ります。一度に必要な道具が揃うので、買い物に割く時間の短縮になるでしょう。
補修アイテムを選ぶ時の注意点は?
壁紙や接着剤などを購入する際は、ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)などが含まれていないかチェックしましょう。これらの化学物質は、シックハウス症候群の原因となりうるリスクがあります。
ホルムアルデヒドは聞き覚えのある方も多いでしょう。目や鼻など粘膜を刺激する化学物質で、涙や鼻水が出る、のどの痛みや咳といった症状を引き起こします。以前は、壁や天井、建具などに使用されていましたが、2003年7月から建築基準法でホルムアルデヒドの発散等級の表示が必須となりました。補修アイテム購入の際は、ホルムアルデヒドの発散等級を示すマークを確認すると安心です。
私でもできる!壁紙の補修手順
ここからは、ご自身で行う壁紙の補修手順をまとめています。必要なアイテムが揃ったら、以下の手順を参考に壁紙の補修にトライしてみてください。
剥がれた部分の周囲にマスキングテープを貼る
まず補修箇所をマスキングテープで四角く囲います。剥がれている部分ギリギリではなく、1cmほど大きく囲ってください。きっちりとした四角でなくてかまいません。
マスキングテープの大きさに補修用の壁紙を切る
次に、補修用の壁紙をハサミでカットします。サイズは、マスキングテープで囲った内側の大きさにしてください。カットするラインを鉛筆で下書きしても良いでしょう。
切った補修用の壁紙を貼る
切った補修用の壁紙を、マスキングテープの枠に合わせて貼ります。糊付きの壁紙はそのまま貼り、糊付きでない壁紙はジョイントコークや木工用ボンドなどを使用して貼ってください。
補修用の壁紙を貼り付けたら、撫で刷毛を使って空気を抜いていきます。撫で刷毛は、軍手や丸めたタオルで代用可能です。
元の壁紙と上から貼った壁紙を同時に切る
空気が抜けたら、壁紙をカッターナイフで切り抜きます。補修用に貼った壁紙と、下に重なっている元々の壁紙を一緒に切ってください。
カットするラインは、補修用の壁紙より小さく、剥がれた部分より一回り大きくします。目安としては、補修用の壁紙の5mmほど内側あたり、つまり剥がれている部分はカットラインの内側になるように切り抜きましょう。補修用の壁紙と下の剥がれている壁紙を同時にカットすることで、補修用の壁紙のサイズと貼り付ける部分に空いたサイズがピッタリ合います。切り抜く時は、定規を壁紙に当てカッターナイフで真っ直ぐ切ってください。
不要な壁紙を剥がす
続いて、糊が乾いてしまう前にいらない壁紙を剥がします。補修用の壁紙は切りしろ(カットした部分の外側)を取り除きます。このとき、壁に貼っておく部分が一緒に剥がれてしまわないように注意しましょう。
また、補修用の壁紙だけでなく、下に重なっている元々の剥がれた部分がある壁紙(同時にカットした部分の内側)も、取り除く必要があります。補修用に貼った壁紙をめくり、下に残っている剥がれた部分がある壁紙を取り除きます。
下の壁紙を剥がす際、補修用の壁紙は一気にすべてめくるのではなく、少しだけめくってズレないようにするのがポイントです。1ヵ所めくっただけでは剥がしきれないので、めくる部分を変えながら丁寧に剥がしましょう。下の壁紙に切れ込みを入れておくと取り除きやすいです。下の壁紙を取り除いたら、めくった部分を再び貼り付け、元に戻してください。
壁紙をローラーで圧着させる
いらない壁紙を取り除けたら、ローラーを使って境目を圧着させます。しっかり圧着させることで、補修した部分が悪目立ちせずに馴染みます。糊がはみ出てきたら、水で湿らせたスポンジで拭き取りましょう。糊が残っていると光が反射したり汚れの原因となったりするため、目立ってしまいます。
マスキングテープを剥がす
最後に壁紙に貼ったマスキングテープを剥がし、補修完了です。
こんなときどうする?壁紙の補修でよくある悩み
基本的な壁紙の補修方法についてお伝えしましたが、一筋縄ではいかないケースもあります。ここでは、壁紙の補修でよくある悩みと対処法についてまとめました。あらかじめ対処法を把握しておけば、イレギュラーな事態にも対応しやすいでしょう。
壁に穴が空いている
壁紙の剥がれだけでなく壁に穴が空いている場合は、穴を埋める必要があります。穴の周りをやすりで平らにし、壁補修用のパテで埋めていきます。パテが乾いたらやすりで表面を均等にし、壁紙を貼って完成です。ポイントは、丁寧なやすりがけにあります。段差やでこぼこをなくしきれいにならすことで、仕上がりがより良くなるでしょう。
画鋲の穴などごく小さな穴には、クロス専用の穴埋め剤を使用すると簡単に補修できます。壁紙を小さく切って貼る必要もありません。穴に補修材を多めに入れ、はみ出た補修材をヘラで撫でて取り除きます。補修材が乾燥したら完了です。補修材は白やベージュなど、さまざまなカラーが販売されているので、壁紙とマッチする色を選んでください。ただし、穴の大きさによっては本格的な修理が必要です。ご自身での補修が難しいと感じたら、プロに相談しましょう。
角の壁紙が剥がれている
角は物が当たりやすく、壁紙が剥がれてしまうことがあります。平らな面だけでなく角の補修方法も押さえておくと、ご自身で補修できることの幅が広がります。準備する材料や道具、補修の手順は基本的な壁紙補修と同じですが、角の壁紙を補修する際のポイントが2つあります。
1つ目のポイントは、糊を多めに付けること。糊が多い方がスムーズに作業できます。余分な糊は最後に拭き取れば大丈夫です。
2つ目のポイントは、片面ずつ作業すること。角の補修は、角を挟んで2面作業する必要があります。まず、補修用の壁紙は角を包むように貼ります。次の切り抜きや不要な壁紙を剥がす作業は、一気に両面行うのではなく、片面ずつ行ってください。片面の切り抜きと不要な壁紙を剥がし終わったら、もう片面の作業に移ります。切り抜きのラインは角を起点に、両面でつながるようにしましょう。
同じ壁紙がない
壁紙の補修をしようと思っても、壁紙の型番が分からず同じ物が見付からなかったり、廃盤になっていたりと、補修用の壁紙が手に入らないケースがあります。
そんなときは、目立たない場所の壁紙を切り抜き、補修用として使う方法があります。めったに移動しない家具の後ろや、常に隠れている場所の壁紙を切り抜いてもあまり支障はないでしょう。
また、同じ壁紙がメーカーやホームセンターなどで見付からない場合、フリマサイトやオークションなどで探してみても良いかもしれません。個人で使った壁紙の余りやサンプル帳が出品されていることがあります。
壁紙の一部がめくれている
壁紙の一部がめくれているときは、その部分の下地にジョイントコークなどを塗り、壁紙をローラーで圧着させます。めくれた部分をあえて剥がして、新しい壁紙を貼る必要はありません。はみ出た余分な糊は、しっかり拭き取りましょう。
壁紙の補修が難しい
補修範囲が広い、下地が破損しているような場合は、ご自身で壁紙を補修するのは難しいです。無理して補修すると、かえって補修部分が目立ってしまうかもしれません。ご自身での補修が難しい場合は、プロに依頼しましょう。
修繕会社による壁紙補修の相場は、1ヵ所5,000~30,000円ほどです。補修部分の大きさや穴が空いているかなどの要因で金額は前後しますが、大体の金額は上記のとおりです。「セゾンの住まい小修繕」では、壁紙の一部補修や貼り替えなど、その他ちょっとした修繕の依頼が可能です。365日、専門技術を持ったスタッフが対応していますので、壁紙の補修でお困りの際は、一度セゾンの住まい小修繕にご相談ください。
壁紙が剥がれてしまうのを防ぐには
せっかく壁紙を補修したら、再び剥がれてしまうことは防ぎたいですよね。壁紙の剥がれは、何かがぶつかったりペットが引っ掻いたりといった、物理的な接触だけが原因ではありません。以下に紹介するポイントも考慮し、壁紙の剥がれを予防しましょう。
除湿する
壁紙には、湿気を含むと伸び、乾燥すると縮む性質があります。室内で湿度の高低を繰り返すと、それに合わせて壁紙も伸縮し、浮きや剥がれの原因となってしまうのです。
壁紙の剥がれを防ぐには、室内の除湿が重要です。こまめに換気して湿気を溜めないようにしましょう。湿気が溜まりやすい水回りには、除湿器の使用を検討しても良いかもしれません。窓の近くの壁紙は、結露の影響にも注意してください。
また、湿度が高いと、壁紙が剥がれていなくても裏側にカビが発生してしまうケースがあります。除湿を心掛けることで、カビの発生予防にもつながります。
熱風を直に当てない
壁紙は熱にも弱いです。ヒーターやストーブの熱風が直接当たってしまうと、壁紙が剥がれる一因となってしまいます。暖房器具を使用する際は壁から離し、熱風が壁紙に当たらないように気をつけましょう。
おわりに
部分的な壁紙の剥がれはご自身でも補修可能です。補修に必要なアイテムは、100円均一や壁紙補修セットなどをうまく活用すると、低コストで手軽に準備できるでしょう。壁に穴が空いている時は穴を埋めてから、角の補修はたっぷりの糊で片面ずつ、同じ壁紙がない場合は目立たない場所の壁紙を拝借するといった、イレギュラーな事態に備えた知識も頭に入れておくと慌てずに済みそうです。今回紹介した手順を参考に、壁紙の補修にトライしてみてください。
ただ、「DIYに自信がない」「広範囲に剥がれていて補修が難しい」というケースは、プロに補修を依頼するのが安心です。ぜひ一度セゾンの住まい小修繕にご相談ください。