身体の一部がかゆく、赤くポツッと膨らんだ跡があると「ダニに刺されたのかもしれない」と考えるかもしれません。しかし見た目だけでは判断が難しく、そのままかゆみが引くまで放置してしまう方も多いでしょう。
このコラムでは、ダニに刺されたときの症状や刺されてしまったときの治し方、ダニの駆除方法などについて紹介していきます。ぜひ参考にしていただき、ご自身やご家族、ペットをダニから守りましょう。
ダニってどんな生き物?
まずは、ダニの特徴や種類について紹介していきます。
ダニの特徴
ダニは、昆虫ではなく蜘蛛やサソリの仲間です。頭から腹までが胴体部となり、胴体の前方部分には口器である顎体部が付いています。大きさは1mm以下の小型のものが多く、大きくても1cm程度です。
髪の毛やフケ、食べ物のカスやホコリなどを食べて生息し、高温多湿の環境を好みます。ダニは人を刺すイメージがあるかもしれませんが、実際に人を刺すなど直接被害を与えるダニは少なく、人を刺さないダニがほとんどです。
ダニの種類
ここでは、人を刺すダニについて紹介します。
イエダニ
イエダニは、大きさが0.6〜1.0mm程度であり、色は薄茶色、吸血すると赤褐色になります。ネズミや鳥類に寄生し吸血するのが特徴です。ダニに寄生されたねずみが家に忍んでいると、ねずみが死んだあとに新たな寄生先として人を選んで吸血する場合があります。
暗いところに潜み、吸血は夜間に行われる傾向があり、お腹や太もも、二の腕など皮膚の柔らかい箇所を好んで吸血します。イエダニが発生しやすい時期は、6~9月頃です。
ツメダニ
ツメダニは、大きさが0.3~1.0mm程度の小さなダニであり、体色は淡黄色や淡褐色をしているのが特徴です。口まわりのひげの先端に、大きな爪を持っていることからツメダニと呼ばれています。基本的に吸血はしませんが、誤って人を刺し、体液を吸う可能性もあります。
高温多湿の場所を好み、家の中では布団や畳、カーペットなどに生息しています。ツメダニは4月頃から増えてきて、8~10月に被害が多くなっていくのが特徴です。
マダニ
マダニは、3~10mmと比較的大きく、野外に生息しているダニです。基本的に野生動物に寄生するダニですが、人を吸血する場合もあります。太ももからわき腹にかけて移動し、時間を掛けて吸血していくのが特徴です。
1週間程度吸血し、風船のように膨らんで自然に落ちていきます。マダニが膨らんだ状態はいぼやホクロのように見え、気付かない方もいるようです。
気付いたとしても、無理に払うとマダニの口器が皮膚に残って異物反応による炎症を起こす可能性があるので、刺されていることに気付いたら病院で処置を受けましょう。マダニによる被害は、5~9月頃に増える傾向があります。
ダニが発生しやすい条件
ここからは、ダニの発生しやすい条件を解説していきます。
ダニが好む環境
ダニが好むのは、室温が20~30度、湿度が60%以上の高温多湿な環境です。また、エサとなるフケやアカ、髪の毛や食べ物のカスなどがある場所に棲みつきます。
加湿器を使っている部屋や風通しが悪い部屋、掃除が行き届いていない部屋はダニが発生しやすくなるので、湿気対策や掃除は必須です。特に寝具は髪の毛やフケなどが落ちており、湿気もあるため、ダニにとって最高の住処になってしまいます。
ダニの発生時期
一般的にダニは4~5月頃から発生し10月頃まで活動しますが、湿度が高くなる梅雨の時期から9月頃は特に発生しやすく、行動も活発になります。しかし、冬の寒い時期でも暖房や加湿器を使う場合、季節に関係なく発生する場合があります。
ダニに刺されやすい方は?
ここでは、ダニに刺されやすい方の特徴を見ていきましょう。
肌が柔らかい方
ダニはお腹や腕の内側など身体の柔らかい場所を選んで刺すため、肌が柔らかい方はダニに刺されやすいといえます。特に肌の柔らかい赤ちゃんや子ども、女性は刺されやすいので注意しましょう。
体温が高く汗をかきやすい方
ダニは高温多湿を好むため、体温が高く汗をかきやすい方はダニに刺されやすい傾向にあります。いつもは汗をかきにくい方でも、運動をした後は汗ばんで体温が高くなっており、ダニに狙われやすいので注意が必要です。
アルコールを好んでよく飲む方
アルコールをよく飲む人もダニに刺されやすくなります。ダニは二酸化炭素を感知して近寄ってくる特徴があります。飲酒によりアルコールが体内で分解されるときに発生する二酸化炭素が呼吸により吐き出されるため、二酸化炭素を感知したダニによって刺されやすくなるのです。
ダニに刺されたらどうなるの?
ここでは、ダニに刺されたらどうなるのか解説していきます。
イエダニ・ツメダニに刺された場合
イエダニやツメダニに刺された場合、すぐに症状が現れるわけではなく、刺された翌日以降に赤みやかゆみの症状が出てきます。肌に赤いポツポツとした発疹が出始め、かゆみは3日~1週間程度続きます。
イエダニの場合、太ももやお腹周りなど比較的柔らかい部分を刺しますが、ツメダニはそれ以外の場所も刺すのが特徴です。イエダニもツメダニも刺された跡は似ていますが、イエダニに刺された場合は、水ぶくれのように水疱ができます。
マダニに刺された場合
マダニは、人に寄生すると1週間程度掛けて吸血しますが、吸血する際、麻酔用物質が含まれた唾液を注入するため、刺されている間はかゆみを感じにくく、刺されていることに気付かない方もいます。
マダニに刺されると、かゆみや痛み、灼熱感などの症状が出ることがあり、マダニの種類によっては「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」「日本紅斑熱」「ライム病」などの感染症を引き起こすこともあります。
特に、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は死亡例もあるので、マダニに刺されているのを見つけたら無理やり取ろうとせず、医療機関を受診して適切な処置を受けましょう。
ダニに刺されたときの治し方は?
ダニに刺された場合、きれいに治すためには充分な強さのあるステロイドの塗り薬が有効です。ダニに刺されるとかゆみを伴う場合が多く、ケアをしないと掻きむしって湿疹になることや、色素沈着を起こすことが考えられます。
ステロイド成分は、かゆみや腫れの元である炎症を抑制する働きがあり、ダニに刺されたときに有効です。ただし、腫れがひどく痛みを伴う場合や、広範囲に症状が出ているときは、医療機関を受診するようにしましょう。
また、マダニなどの屋外のダニに刺されたときは重い感染症を引き起こす可能性があるため、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。
ダニ刺されをキレイに治すには?
ここでは、ダニ刺されをキレイに治すコツを3つ紹介します。
刺激を与えない
ダニに刺された箇所に刺激を与えると、シミの原因となるメラニン排出量が高まりシミが残りやすくなってしまいます。また、かゆみや赤みを再発してしまうため、適切な薬を塗り、ダニに刺された箇所を触らないようにしましょう。
日光に当てない
ダニに刺された箇所は日差しに当てないようにしましょう。患部に紫外線が当たると、身体の防御反応としてメラニン色素が多く排出され、シミとなってしまうからです。ダニに刺されたときは外出する際に日傘や羽織物をするなど、患部に日差しを当てないようにしましょう。
生活習慣を整える
栄養の整った食事、適度な運動など生活習慣を整え、皮膚の回復を促しましょう。皮膚の再生を促すには、タンパク質やビタミンCを摂取するのが有効です。タンパク質は、肉や魚、大豆製品に、ビタミンCはイチゴやキウイフルーツ、ブロッコリーなどに含まれています。
家の中で発生したダニの駆除方法は?
ここからは、家の中でダニが発生したときの駆除方法について紹介していきます。
燻煙剤を使用する
室内でダニが発生したら、燻煙剤を使用すると良いでしょう。殺虫成分を含んだ煙が、室内の隅々にまで行き渡り、隠れたダニも駆除できます。ただし、火災報知器が反応する場合があるので、火災報知器にカバーをしてから使用するようにしましょう。
食器棚に扉がなく、食器が剥き出しになっている場合は燻煙剤がかからないよう新聞紙やビニールなどをかけることも忘れないようにしましょう。ペットを飼っている場合は屋外に出し、部屋からなるべく離すようにしてください。
使用上の注意点がいくつかあるため、必ず確認してから使用するようにしましょう。使用後は窓やドアを開けてしっかり換気を行うのがポイントです。
布団乾燥機を活用する
布団乾燥機を使ってダニを退治するのもおすすめです。ダニは50度以上の温度が20分継続すると死滅するといわれており、60~70度まで温められる布団乾燥機は、ダニを退治するのに有効です。
毎日布団を天日干ししているから大丈夫、と思われる方もいるかもしれませんが、天日干しでは死滅するほど高温にならないためダニを退治することはできません。ダニを死滅させたいのであれば、布団乾燥機を活用するようにしましょう。
掃除機をかける
掃除機をかけましょう。掃除機をかけることで、ダニの死骸やフンを除去できるため、人間が吸い込まないようにすることができます。しかし生きているダニは繊維に張り付いているので、なかなか吸い込めません。そのため、掃除機をかけるときは、燻煙剤や布団乾燥機を使ってダニを死滅させた後に使用するのがおすすめです。
布団クリーニングを活用する
布団クリーニングを活用するのもおすすめです。布団はなかなか自宅で洗うのは難しく、クリーニング店に持っていくにも重くて大きく一苦労という方も多いでしょう。そんなときは、自宅まで布団を取りに来てくれる宅配クリーニングを活用すると良いでしょう。
くらしのセゾンの宅配クリーニングなら、会費や月額固定費はかからず全国送料無料です。衣類だけでなく掛け布団のクリーニングが可能で、無料でダニよけ加工や圧縮仕上げを施してくれるのも嬉しいポイントです。詳しい内容やお申し込みは、以下よりお問い合わせください。
ダニに刺されないための予防方法は?
ここでは、ダニに刺されないための予防法を、屋内と屋外に分けて紹介します。
家の中での予防方法
まずは、家の中での予防方法を6つ紹介します。
部屋の中で洗濯物を干さない
部屋の中ではなるべく洗濯物を干さないようにしましょう。いくら換気をしていても、部屋の中で洗濯物を干すと湿度が上がってしまいます。
雨の日や花粉の時期など室内干しをせざるを得ない場合は、カーペットや和室の部屋を避け、浴室やフローリングなど湿気を吸収しにくい部屋に干すようにしましょう。
こまめに換気する
天気の良い日はこまめに換気をするようにしましょう。エアコンや断熱材の普及により、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるようになりましたが、その分室内の湿度も60~70%に保たれており、ダニが発生しやすい環境を作り出しています。晴れた日は季節に関係なく、窓を開けて換気をするようにしましょう。
畳にカーペットを敷かない
畳の上にカーペットを敷くのはやめましょう。敷いてしまうと、どちらも吸水性があるため湿気やすくなってしまいます。さらにダニが隠れやすいため最適な住処となってしまうのです。
ループタイプのカーペットを選ぶ
カーペットを選ぶときは、毛先が輪状になっているループタイプのカーペットを選ぶようにしましょう。毛先がカットされたカットタイプのカーペットは見た目や肌触りが良いのですが、毛が寝てしまい湿気が溜まりやすくなります。ループタイプのカーペットは、カットタイプよりは通気性があるのでおすすめです。
湿度を下げる
湿度が55%以下になると多くのダニは活動できなくなるため、部屋の湿度を下げるようにしましょう。湿度を下げるには、窓やドアを開けるなどこまめな換気が大切です。
他にも除湿器やエアコンの除湿機能を使ったり、扇風機やサーキュレーターにより空気を循環させたりすると湿度が下がりやすくなります。
こまめに掃除機をかける
ダニは布団やカーペットの繊維に付着し、掃除機をかけてもなかなか吸い込めません。掃除機でダニ対策をするのであれば、布団やカーペットに掃除機を長い時間当ててゆっくりと動かすようにしましょう。
また、ダニは部屋が暗くなると外に出てくる性質があるため、日中掃除機をかける場合は1時間前からカーテンを閉めて部屋を暗くしておき、表面におびき出してから掃除機をかけると良いでしょう。
屋外での予防方法
次に、屋外でのダニの予防方法を4つ見ていきましょう。
長袖・長ズボンを着用する
マダニは山や公園、河川敷などさまざまなところに潜んでいます。マダニに刺されないためには、長袖・長ズボンを着用し、できるだけ肌を見せないようにしましょう。
夏に楽しむことの多いキャンプやバーベキューなどでは薄着になりがちですが、なるべく長袖・長ズボンを着用し、サンダルではなく靴を履くのがマダニ対策には効果的です。
虫除けスプレーを使用する
屋外ではダニに効く虫除けスプレーを使用するようにしましょう。虫除けに含まれるディートと呼ばれる有効成分がマダニに忌避効果があります。真夏で長袖・長ズボンでは辛い場合、虫除けスプレーを使うようにしましょう。
ナイロン素材や明るい色の服を着る
洋服の素材や色を選ぶのもダニ予防には有効です。表面がサラッとしている、マダニが付着しにくいナイロン素材の洋服や、マダニが付着したことが分かりやすい明るい色の洋服を選ぶのがおすすめです。
帰宅時にダニが付いていないかチェックする
外から帰ったら、ダニが付いていないかチェックします。ペットの散歩であれば、ペットにもダニが付いていないか確認してから家の中に入りましょう。
おわりに
ダニに刺されるとかゆみや赤みなどを発症し、種類によっては重大な感染症を引き起こす恐れがあります。ダニ刺されを安易に考えず、症状がひどい場合や、屋外で刺された場合は医療機関を受診するようにしましょう。屋内でダニに刺されないようにするためには、こまめに換気や掃除をして、ダニが棲みつかない環境作りをすることが大切です。