毎日のお掃除、なんとなく不安に感じることはありませんか?市販の洗剤を使うたび、強い香りが気になったり、小さな子どもやペットへの影響を心配したり…。でも、掃除は毎日のこと。できるだけ安全で、かつしっかりと汚れを落としたいですよね。そんなみなさんにおすすめしたいのが、”ナチュラルクリーニング”という掃除方法です。
本記事では、ナチュラルクリーニング講師の本橋さん監修のもと、ナチュラルクリーニングの基本から、道具の使い分け方まで、初めての方にもわかりやすくご紹介します。毎日の掃除を、もっと安心で快適なものに変えてみませんか?
ナチュラルクリーニングとは

ナチュラルクリーニングとは、化学薬品ではなく、自然由来の成分を使って汚れを落とす掃除方法です。
主に重曹や、クエン酸、セスキ炭酸ソーダ、過炭酸ナトリウム、アルコールといった天然成分を使います。これら5つの成分は、環境への負荷が少なく、人体への刺激も少ないため、使い方を守れば、特に赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心して使うことができます。
従来の洗剤との違い
ナチュラルクリーニングと従来の洗剤の大きな違いは、その成分にあります。
従来の洗剤は、石油由来の合成界面活性剤などの化学物質が多く含まれています。合成界面活性剤などの化学物質は、強力な洗浄力を持つ一方で、環境汚染や人体へ悪影響があるといわれています。
一方、ナチュラルクリーニングで使用する成分は、自然界に存在する物質や食品から抽出されたものであるため、環境への負荷が少なく、肌トラブルを引き起こす可能性も低いといわれています。
ナチュラルクリーニングのメリット:人体や環境に優しい
ナチュラルクリーニングは、自然由来の成分を使うことで、環境汚染の原因となる化学物質を大幅に減らすことができます。肌に優しい成分を使用するため、敏感肌の方や赤ちゃんでも安心して使用できます。
さらに、専用の洗剤を購入する必要がなく、重曹やクエン酸など身近なもので代用できるため、経済的です。
ナチュラルクリーニングのデメリット:手間がかかる
ナチュラルクリーニングのデメリットは、自分で調合が必要ということ。専用洗剤でないため、汚れの種類や場所に合わせて、適切な成分や濃度を調合する必要があります。忙しい合間の洗濯や、調合に慣れるまでは分量計算のひと手間が煩わしく感じるかもしれません。
ナチュラルクリーニングを始めるために必要な5つの定番アイテム
毎日使う水回り。やっぱり清潔にしておきたいですよね。
ここからは、水回りの掃除に大活躍する、ナチュラルクリーニング5つの定番アイテムをご紹介します。何を買えばいいか分からないという方でも、この5つのアイテムを抑えておくと重宝します。
重曹:アルカリ性の万能選手、油汚れに強い基本アイテム
重曹は、キッチン周りのお掃除に欠かせない万能選手。アルカリ性の性質を持つため、油汚れや焦げ付きを強力に落とします。コンロ周りや換気扇の油汚れ、鍋の焦げつきなど、頑固な汚れもスッキリ!研磨効果もあるため、こびりついた汚れもゴシゴシ落とせます。
クエン酸:酸性の水垢取りの達人、除菌効果も
クエン酸は、酸性の性質を持つため、水垢や尿石といったアルカリ性の汚れを中和して落とします。
浴室の鏡のうろこ状の汚れ(水垢)取りや、トイレの黄ばみ取りに効果的です。
石鹸: 肌に優しく、環境にも優しい万能選手
ナチュラルクリーニングのアイテムとして、重曹やクエン酸などとともに欠かせないのが石鹸です。天然の油脂を原料としているため、肌への刺激が少なく、水洗いが辛い乾燥肌の方や敏感肌の方にもおすすめです。
酵素系漂白剤:漂白・除菌のスペシャリスト、特に白物に効果的
酵素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)は、漂白・除菌効果が非常に高いです。
コップの黄ばみや排水口にこびりついたカビ、生乾きの臭いの原因となる雑菌を除菌し、洗い流す効果があります。特に、エプロンなどの白い衣類の漂白やシンクなどの除菌に適しています。
消毒用エタノール:即効性のある除菌剤、仕上げに一吹き
消毒用エタノールは、強力な消毒作用があり、細菌やウイルスを素早く除去することができます。掃除の仕上げに、気になる箇所にスプレーすると、より清潔な状態を保てます。
道具選びと使い方

重曹やクエン酸などを使うナチュラルクリーニングは、いつものお掃除アイテムを活用できる手軽さが魅力。でも、道具選びと使い方にちょっとした工夫を加えることで、その効果はグンとアップします。
乾きにくく嫌なニオイのする雑巾はNG!
掃除道具は、乾きやすく清潔さを保てるものが理想です。
雑巾のように乾きにくいものは、雑菌が繁殖しやすく、不快なニオイの原因にもなります。乾きやすい素材のものを選び、定期的に洗ってしっかり乾燥させ、清潔な状態を保ちましょう。
キッチンスポンジは想像以上に汚い
特に注意が必要なのがキッチンスポンジ。驚くことに、約2週間使用したスポンジからは、なんとトイレブラシ以上の雑菌が検出されるそうです。このデータを聞くと、使い方を見直したくなりますよね。
ベストな方法は週1回の交換です。毎週の交換が難しい場合は、水切れが良い網状のものを用意し、使用後のキッチンスポンジを完全に乾燥させましょう。2つあると交互に使用でき、しっかり乾燥させられるので安心です。朝昼晩と洗い物をする度に、乾ききっていないスポンジを使い回すのはやめましょう。
場所別おすすめの使い方

ここからは、ナチュラルクリーニングの基本のアイテム「石鹸」「重曹」「クエン酸」「過炭酸ナトリウム」「アルコール」を使った、場所別のお掃除方法をご紹介します。
キッチン
油汚れの多いキッチンですが、油汚れには重曹、水垢にはクエン酸が効果的。場所に合わせて、使うアイテムを選びましょう。
シンク | 粉末重曹をふりかけ、メッシュクロス(またはスポンジ)でこすります。 クレンザー代わりに使います。 |
ガスコンロ | 濃度1%の重曹水を吹きかけて掃除します。 頑固な汚れには、重曹水を含ませたキッチンペーパーでパックをし、5分置いてから拭き取ります。 |
レンジ | 重曹水を含ませた布巾をレンジで加熱し、蒸気で汚れをゆるませて、布巾で拭き取ります。 |
床 | バケツに重曹水を作り、マイクロファイバークロスを浸して固く絞り、拭き掃除します。 |
まな板 | まな板に乾いたキッチンペーパーを被せ、60℃のお湯に過炭酸ナトリウムを溶かしたものをかけます。 ぬるま湯ですすぎ、しっかり乾かします。 |
お風呂
湿度が高いお風呂は、カビが発生しやすくお掃除の仕方にも工夫が必要です。まずはこまめな換気を習慣に、ナチュラルクリーニングでカビ対策を心がけましょう。
浴槽 | シンク同様、粉末重曹を使います。 濡らしたクロス(またはスポンジ)に重曹粉末を振りかけ、こすり洗いします。 |
床 | 水で濡らした床に粉末重曹を振りまき、ブラシでこすります。 |
鏡 | キッチンペーパーを1%のクエン酸水に浸し、鏡に貼り付けパックします。 5分後、ペーパーを外し、スポンジでこすり洗いします。 使用後はしっかりシャワーですすぎ、乾拭きで水滴を拭き上げます。 |
排水口 | 給湯器の最高温(60℃くらい)を流した後、封水に過炭酸ナトリウムを大さじ1溶かしておきます。 |
トイレ
ちょっと目を離すとすぐに汚れてしまうトイレ。汚れが蓄積してしまったときや、便器汚れの原因となる尿石やアンモニア臭を根本から断つためのスペシャルケアにはクエン酸が効果的。便座は、アルコールで消毒することで、雑菌の繁殖を抑えることができます。なるべくこまめな清掃を心掛けましょう。
便器 | 普段のブラシでの掃除には、便器内は洗剤は不要です。 尿石や水垢でも、軽度の汚れならメラミンスポンジで剥がすことができます。 |
床・壁 | 床は濃度35%アルコール水をスプレーして、水拭きでふき取りします。 アンモニア臭が気になる際は、1%クエン酸水を壁、床、便器などにスプレーし5分後、水拭きでふき取りします。 尿汚れは高いところまで飛散していることがあるため、天井から下すべてを掃除します。 |
便座 | 濃度35%のアルコールでスプレーし、水拭きする。 (※プラスチック製の便座はアルコール不可) |
洗面所
家族が使う洗面所は、歯磨き粉や整髪剤が飛び散っていたりと、さまざまな汚れが付着しています。一日一回でも水滴を拭き取る習慣をつけるだけで汚れは激減しますが、定期的にナチュラルクリーニングを取り入れることで見た目はもちろん、より清潔度を高めることができます。
洗面台 | 重曹粉末をかけ、スポンジで擦り洗い。蛇口の水垢にはクエン酸水パックをし、ブラシやスポンジでこすり洗いします。 使用後はサビ予防のため、水ですすぎ、乾拭きで拭き上げます。 |
鏡 | アルコール水をスプレーし、マイクロファイバークロスで乾拭きします。 ※コーティングが剥がれる恐れがあるので、注意書きを読んでから使用します。 |
排水口 | 絡まったゴミを取り除き、ブラシでこすります。洗剤は不要です。 |
ナチュラルクリーニングのFAQ

家中を清潔に仕上げることができるナチュラルクリーニング。
最後に、ナチュラルクリーニングに関するよくある質問に回答していただきます。
市販の洗剤と併用しても大丈夫?
市販の洗剤では、特に塩素系漂白剤との併用は非常に危険です。酸性のクエン酸と塩素系漂白剤を混ぜると、有毒な塩素ガスが発生する可能性があります。クエン酸だけでなく、オレンジジュースや酢などの酸性のものでも同様の危険性があります。
しかし、塩素系以外の洗剤であれば、ナチュラルクリーニングのアイテムと併用しても基本的には問題ありません。ただし、酸とアルカリは混ぜると中和され効果がなくなるため、それぞれの製品の表示をよく確認し、不明な点はメーカーに問い合わせることをおすすめします。
ナチュラルクリーニングの アイテム同士を混ぜ合わせてもいい?
ナチュラルクリーニングのアイテム同士を混ぜ合わせても、安全性に大きな問題はありません。
ただし、洗浄力が上がるわけではないことを理解しておきましょう。水で流せる場所であれば、量を気にせず使用できますが、排水管などが詰まる可能性がある場所では、使用量に注意しましょう。頑固な汚れには、重曹よりもアルカリ性の強いセスキ炭酸ソーダなど、より強力なアイテムを使うと効果的です。また、お湯を使うと、汚れ落ちが良くなります。たとえば、40℃のお湯で1%の重曹を溶かした重曹水でペーストを作り、油汚れに塗布してドライヤーの温風で温めると、落ちやすくなります。
保管方法は?
重曹やクエン酸などの粉末のナチュラルクリーニングアイテムは、水分を吸うと固まってしまうことがあります。そのため、密閉できる容器に入れて保管することが大切です。ナチュラルクリーニングアイテムは、時間が経っても品質が劣化することはほとんどありません。湿気がこもらないように、乾燥した場所に保管しましょう。
まとめ:ナチュラルクリーニングで家中スッキリ清潔に

自然の力で、ご自宅を清潔に保つ「ナチュラルクリーニング」。環境にも優しく、子どもやペットがいるご家庭でも安心して使える点が魅力です。正しい知識と使い方をマスターすれば、ナチュラルクリーニングは、あなたの暮らしをより快適で安全なものにしてくれます。ぜひ、ご自宅で実践してみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。