火災保険と地震保険は補償内容や補償される金額が異なります。火災保険の保険料は保険会社ごとに設定されているのに対し、地震保険は各社同じ保険料となっているのも異なる点です。本コラムでは火災保険と地震保険の違いについて、それぞれの特徴を見ながらご紹介します。
火災保険と地震保険の違いとは?
火災保険とは、火災や落雷、風災、水災などの自然災害や盗難などで建物や家財に損害が生じた場合に保険金が支払われる保険であり、一方で、地震保険は火災保険で補償されない、地震や噴火などによる損害を対象としています。したがって火災保険と地震保険は補償内容が異なるため、当然、保険料の算出方法も異なります。
なお、火災保険は単独で加入できますが、地震保険は必ず火災保険とセットで加入しなければなりません。
ここでは、火災保険と地震保険の違いについてご紹介しましょう。
補償内容や保険料が異なる
火災保険と地震保険は、補償される範囲が異なります。火災保険は保険会社や商品ごとに補償する範囲が設定されており、ニーズや予算に合わせて自由に選べるのが特徴です。基本的に、あらかじめ設定した保険金額を上限に、発生した損害について補償を受けられます。
しかし、地震保険は国と保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり、保険料は所在地や建物の構造によって決まります。そのため、どの保険会社で加入しても補償内容は変わりません。火災保険と異なり、地震保険の保険金では損害額を全額補償することはできない点にも注意しましょう。
年末調整で保険料控除の対象にできるかどうかが異なる
生命保険などは年末調整や確定申告で所得控除ができますが、火災保険は所得控除の対象ではありません。
2006年までは損害保険料控除という制度があり、火災保険も控除の対象でしたが、税制改正によって制度が廃止され、現在は一部の要件を満たす火災保険以外は控除の対象外となっています。
一方、地震保険は所得控除の対象です。廃止された損害保険料控除に代わり、2007年から地震保険を対象とする「地震保険料控除」が新たに設けられています。
払い込んだ年間保険料に対する 、地震保険料控除の限度額は以下のとおりです。
- 所得税:50,000円を超えた場合は一律50,000円、50,000円以下であれば保険料の全額
- 住民税:50,000円を超えた場合は一律25,000円、50,000円以下であれば保険料の1/2
参考:国税庁「地震保険控除」
火災保険の補償内容
火災保険の補償対象になるのは、建物と家財です。どれを対象にするかは自由に選べます。例えば、建物だけを補償対象にした場合、家財の損害を受けても補償は受けられません。補償範囲は火災だけでなく、自然災害や盗難、破損など幅広い損害が含まれるのが特徴です。ここでは、火災保険の補償内容について、詳しく見ていきましょう。
補償対象は建物と家財
お住まいの火災保険の補償対象は、通常、以下の3つから選べます。
- 建物のみ
- 家財のみ
- 建物と家財
建物とは建物本体や門や塀など建物に付属して動かせないもので、家財は建物の中にある家具や家電製品、衣服など動かせるものが対象です。
何を補償対象とするかは、持ち家か賃貸かにより異なります。例えば、賃貸住宅の場合であれば建物の火災保険はオーナーが加入していることがほとんどであり、家財のみの保険に加入し、借家人賠償責任(オーナーに対する損害賠償)等の補償を付帯します。
補償範囲は幅広い
火災保険は火災による損害のみでなく、落雷や風災、水災など火災以外の自然災害もしくは盗難、爆発など、幅広い損害を含みます。ただし、故意や重過失により起こった火災や経年劣化と思われる損害は補償されません。
これから火災保険に加入を検討している方は、セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険(組立式火災保険)」を検討してみてはいかがでしょうか。火災や落雷など基本の補償に、必要な補償を自由に追加できる保険です。ニーズに合った保険を選びたいが、保険料とのバランスもとりたいと考えている方におすすめします。
じぶんでえらべる火災保険(組立式火災保険)のご紹介とお見積りはこちら
地震保険の補償内容
地震保険は火災保険で補償されない地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害を補償する保険です。補償対象は居住用の建物と家財になります。民間の保険会社と国が共同で運営するもので、被災者の生活の安定を目的とした保険です。そのため、損害をすべて補償するものではありません。地震保険の補償内容について、ご紹介します。
損害額のすべては補償されない
地震は発生の予測が困難で、大規模な地震が発生したときの被害は甚大なものになることが想定されます。そのため、地震保険法に基づき、国と保険会社が共同で運営する地震保険が創設されました。
地震保険はあくまで被災者の生活の安定が目的で、火災保険のように建物や家財の損害すべてを補償する保険ではありません。地震保険で受け取った保険金でこれまでと同じ建物の建て替えや家財を購入することは難しく、生活を建て直すための資金と考えるのが良いでしょう。
補償金額は火災保険の30%~50%
地震保険の補償は、建物と家財それぞれについて契約します。どちらも火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で設定し、上限額は建物で5,000万円まで、家財は1,000万円までと決められています。
実際に被害に遭った場合、損害に対して設定した保険金額が全額支払われるとは限りません。建物・家財ごとに調査が行われ、損害の程度に応じて4段階の基準が設定されています。地震保険のお支払金額は以下のとおりです。損害の程度に応じて、地震保険の保険金額の一定割合をお支払いします。
- 全損:保険金額の100%
- 大半損:保険金額の60%
- 小半損:保険金額の30%
- 一部損:保険金額の5%
この損害の認定は、「地震保険損害認定基準」に従って行われます。
火災保険と地震保険の違いを把握しよう
火災保険と地震保険は補償範囲が異なります。保険の目的や保険料の設定も違い、地震保険は必ず火災保険とセットで加入しなければなりません。火災保険は再調達価額を基準に保険金額を設定しますが、地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で設定します。地震保険は、主契約である火災保険の保険期間によって、契約できる保険期間が異なります。地震保険の保険期間は最長で5年です。
火災保険と地震保険の違いを把握し、万が一に備えて自身に合った保険に加入しましょう。
SA2023-1024(2023.5)