家財保険は必要ないのでは?と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。家財保険は火災や自然災害による家財の損害を補償する、多くの方にとって役立つ保険です。
今回は、家財保険の補償内容や保険金額の決め方、加入しないリスクなどを詳しく解説します。この記事を読めば、自分にとって家財保険が必要かどうか、適切な判断ができるようになります。
(本記事は2024年7月18日時点の情報です)
家財保険は必要ない?!加入がおすすめのワケとは
火災保険と家財保険の違いがよくわからないために、家財保険の必要性もわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
火災保険の補償対象は「建物」と「家財」に分かれており、建物のみを補償する火災保険では、家財の損害はカバーされません。家財を補償する火災保険を「家財保険」といい、火災や落雷、風水害のような自然災害、盗難などによって家財が受けた損害を補償してくれます。
家財とは家具や家電、衣類、書籍といった、建物内にあって持ち運びできる動産のことです。世帯全体の家財は意外と高額になるため、もしもの時のために家財保険に加入しておくと安心です。
また、家財保険には、さらに補償範囲を広げるためのさまざまな特約も用意されています。家財保険は決して不要なものではなく、安心して生活を送るための重要な備えといえるでしょう。
知っておきたい家財保険の基本
家財保険は火災保険の一部で、建物内の家電や家具といった家財の損害を補償します。ここでは、家財保険について知っておくべきことを解説します。
補償内容
家財保険の補償内容は、火災や自然災害、盗難といった幅広い事故による損害をカバーしています。ただし、保険会社や契約プランによって補償範囲が異なる場合があるので、加入前に必ず確認しましょう。以下の表は一般的な家財保険の補償内容と具体例をまとめたものです。
損害の種類 | 内容 |
火災、破裂・爆発、落雷 | 失火や延焼による家具の焼失、ガス爆発による家電の破損、落雷によるテレビの故障など |
風災・雹災・雪災 | 台風で窓ガラスが割れて室内の家財が損傷、雪の重みで屋根が壊れ家具が破損など |
水災 | 豪雨による河川氾濫で家財が水没、床上浸水で電化製品が使用不能になるなど |
盗難 | 空き巣被害による家電製品の盗難など |
水濡れ | 給排水設備の事故や上階からの水漏れで家財が水浸しになる場合など |
物体の落下・飛来 | 車両の飛び込みによる家具の破損、隣家の樹木の倒壊による損害など |
騒擾(じょう)・集団行動等に伴う暴力行為 | デモや暴動などによる家財の損壊 |
破損・汚損など | 子どもが室内でボールを投げて家具を破損させた場合など |
これらの補償内容を理解し、自身のニーズに合った保険を選択しましょう。
補償対象
家財保険の補償対象は、基本的に建物内や敷地内にある動かせる財産に限られます。
対象になるもの
以下は、主な家財保険の補償対象となる家財です。
- 家具(テーブル、椅子、ソファーなど)
- 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)
- 衣類
- 寝具
- 食器
- 書籍
- 楽器
- 自転車(敷地内に限る)
- パソコン・タブレット
1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董、その他の美術品は「高額貴金属等」として特別な扱いとなります。一般的には「明記物件」として保険会社に申告しますが、高額貴金属等の補償を追加で付帯する保険会社もあります。
対象にならないもの
以下のようなものは家財保険の補償対象となりません。
- 建物に固定された設備(エアコン、浴槽、キッチン設備など)
- 自動車・オートバイ
- ペット・観賞魚
- 現金・有価証券
- 庭木・植物
- データ・プログラム
家財保険の特約
家財保険には基本的な補償に加えて、さらに補償範囲を広げたり、手厚くしたりするための特約があります。ここでは4つの重要な特約を紹介します。
借家人賠償責任特約
借家人賠償責任特約はアパートやマンションといった賃貸住宅で、入居者の過失によって物件に損害を与えてしまい、オーナーに対して法律上の損害賠償責任を負う場合に補償を受けられます。賃貸住宅の入居者は、必ず付帯すべき特約です。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約は日常生活で起きた偶然の事故により、他人にケガをさせたり、他人の物に損害を与えたりして法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。賃貸物件に住んでいる場合は、借家人賠償責任特約の対象外である、隣人や階下の住人など、他人の物に対する損害賠償リスクに備えられます。自転車での衝突事故や、誤って他人のスマートフォンを落として壊してしまった場合など、幅広い場面で役立つ特約です。
修理費用補償
修理費用補償は、借りている部屋に損害が生じた際、賃貸借契約に基づいて修理した場合の費用を補償します。借家人賠償責任特約と違い、オーナーに対する法律上の損害賠償責任が発生しない場合でも、修理費用を補償する点が特徴です。例えば、空き巣に入られドアのカギを壊された場合などが該当します。賃貸借契約では、契約書に修理義務が定められている場合が多いため、賃貸入居者なら備えたい補償です。
携行品損害特約
携行品損害特約は、外出時に持ち出した家財(携行品)に偶然な事故による損害が生じた場合に、保険金が支払われます。通常、家財保険では家の外に持ち出した家財は補償の対象外ですが、この特約によって外出時にも補償されます。
カメラやノートパソコンのような、比較的高額な家財を外出時に持ち歩く人に適した特約です。ただし、補償限度額や対象となる物品の範囲については、契約内容をよく確認しましょう。
家財の評価方法
家財保険の保険金額を決めるには、所有する家財の評価額を算出する必要があります。家財の評価方法には、主に以下の2種類があります。
保険会社の簡易評価
簡易評価とは世帯主の年齢や家族構成に基づいて、保険会社が算出した家財金額を目安にして評価する方法です。保険会社ごとに基準は異なりますが、あくまで目安であり、契約者の実情に合わせて調整できます。簡易評価はすべての家財を個別に評価する必要がないため、比較的簡単に評価額を求められます。
積算評価
積算評価とは家財すべての価格を個別に判定し、それらを合計する評価方法です。簡易評価より正確な評価が可能ですが、建物内のすべての家財の価格を判定することは事実上困難です。ただし、高額な家財がたくさんある場合などは、積算評価が合理的といえるでしょう。
適切な保険金額の決め方
家財保険の適切な保険金額を決める際は、再調達価額を基準に考える必要があります。再調達価額とは、現在所有している家財を新品で買い直すのにかかる金額です。この方法のメリットは万が一の全損時に、実際に家財を買い替えられる金額を確保できる点です。
ただし、再調達価額を正確に把握するのは難しい場合もあります。その場合、先述した保険会社の簡易評価を利用するのも一つの方法です。
加入するメリットとデメリット
家財保険に加入するメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット:家財の買い替えリスクに対応できる
家財保険の最大のメリットは、火災や自然災害などで家財が損害を受けた際に、その再調達費用が補償される点です。特に全損の場合、家財一式を一度に買い直す必要がありますが、その費用は予想以上に高額になる可能性があります。
メリット:借家人賠償責任特約を付帯できる
賃貸住宅の場合、自分の不注意で部屋を損傷させてしまった場合などに、オーナーに対して損害賠償責任を負う可能性があります。家財保険に付帯する「借家人賠償責任特約」があれば、この賠償責任を補償してくれます。
メリット:補償範囲が幅広い
家財保険のその他のメリットとして、盗難や破損といった日常的なリスクもカバーできる、さまざまな特約によって幅広い補償を得られる点などが挙げられます。
デメリット:保険料負担が発生する
家財保険の主なデメリットは、毎月または毎年の保険料負担です。特に、補償範囲を広げたり保険金額を高く設定したりすると、保険料も高くなります。
家財保険が必要ない人
家財保険は万が一の備えとして加入を検討する価値がありますが、以下のような方は必ずしも加入する必要がないかもしれません。
- 十分な資産を持つ人:家財が全損してもすぐに買い替えられるだけの資産がある人は、保険に加入する必要性が低い
- 家財が少ない人:学生や単身者のように高価な家財をほとんど所有していない場合は、保険の費用対効果が低くなる可能性がある
- 短期滞在者:数ヵ月程度の短期滞在者は、滞在期間中に大きな災害に遭う確率が比較的低い
- 実家暮らしの人:親と同居している場合、親の加入する保険でカバーされているケースが多いため、個別に加入する必要性は低い
ただし、これらの状況でも、個々の生活環境や経済状況によっては家財保険の必要性が高い場合があります。自身の状況を客観的に評価し、必要性を判断するようにしましょう。
賃貸契約と家財保険の関係
多くの賃貸物件では、契約条件として入居者に家財保険への加入を義務づけています。家財保険への加入は法律で定められたものではなく、賃貸人(オーナー)からの要請によるものです。
家財保険への加入が義務づけられている場合、一般的に契約書に契約条件として記載されます。また、家財保険への加入が義務ではない場合でも、多くの賃貸物件で加入が推奨されています。賃貸契約と家財保険の関係を理解し、自分の状況に合わせて適切な判断をしましょう。
家財保険に入らないことによるリスク
家財の損害は、建物の損害に比べて経済的なダメージが少ないと考える方もいるかもしれません。ここでは、家財保険に入らないリスクを、火災が起きたケースを例に解説します。
持ち家の場合
持ち家の場合、建物の火災保険に加入していれば、建物が受けた損害に対して保険金を受け取れます。しかし、その保険金は住宅ローンの返済や新しい家の建築費用に充てられ、手元に残らないケースがほとんどです。
一方、家財は建物の火災保険ではカバーされません。もし家財保険に加入していなければ、家具や家電、衣類など、すべての家財を自己負担で買い直さなければなりません。
たとえば、4人家族の平均的な家財の評価額は1,000万円から1,500万円といわれています。もし家財保険に加入していなければ、この金額を自分で用意しなければならないのです。
火災が起きてから「家財保険に入ればよかった」と後悔しないためにも、加入を検討しましょう。
賃貸の場合
アパートやマンションのような賃貸住宅で火災を起こした場合、家財の損害以外に高額な賠償金を負担しなければならない場合があります。通常、失火責任法により、重大な過失がなければ他の入居者への損害賠償責任は問われません。
しかし、自分が借りている部屋については民法第621条により、オーナーに対して原状回復義務を負います。
つまり、火災で損傷した壁や床、天井などを元の状態に戻す費用を、自己負担で支払わなければならないのです。
ですが家財保険に加入していれば、こうしたリスクを大幅に軽減できます。特に、借家人賠償責任特約が付いていれば、原状回復費用をカバーできます。また、個人賠償責任特約があれば、万が一、重大な過失で他の入居者に損害を与えてしまった場合の賠償にも対応可能です。
このように賃貸住宅に住む方にとって、家財保険はなくてはならないものといえるでしょう。
保険料を抑えたい人におすすめの家財保険
手頃な保険料で所有する家財のリスクに備えたい方には、住友生命グループのアイアル少額短期保険株式会社が提供する「愛ある家財保険」がおすすめです。
2つのタイプと4つの補償プランを組み合わせ
「愛ある家財保険」は、賃貸住宅向けと持ち家向けの2つのタイプがあり、それぞれ「ベーシックタイプ」と「エコノミータイプ」の2種類から選べます。
ベーシックタイプは幅広い補償内容が特徴で、安心して生活を送りたい方におすすめです。一方、エコノミータイプは、補償範囲を絞ることで保険料を抑えられるため、費用を抑えたい方におすすめです。
さらに、どちらのタイプも、家財の保険金額によって4つのプランに分かれています。
- プランA: 保険金額 300万円
- プランB: 保険金額 500万円
- プランC: 保険金額 700万円
- プランD: 保険金額 900万円
自分のライフスタイルや家財の状況に合わせて、最適なタイプとプランを組み合わせることができます。
他の家財保険との違い
「愛ある家財保険」は他の家財保険と異なる、以下のような特徴があります。
- 手頃な保険料:一般的な家財保険の保険料は年間1万円前後だが、「愛ある家財保険」は年間3,600円※から加入できる (※賃貸住宅・エコノミータイプの場合)
- シンプルでわかりやすい補償内容:家財保険の中には補償内容が複雑でわかりにくい商品もあるが、「愛ある家財保険」は補償内容がシンプルで選びやすい
- インターネットで簡単に申し込み可能:インターネットで簡単かつスピーディーに申し込み手続きができる
- 引っ越し先でも継続可能:引っ越しても住所変更の手続きをするだけで継続できる
「愛ある家財保険」は手頃な保険料で必要な補償を受けたい方、補償内容がシンプルでわかりやすい家財保険を探している方、インターネットで簡単に手続きをしたい方におすすめです。
実際の支払い事例
「愛ある家財保険」の支払い事例を紹介します。
事例1|河川の氾濫による損害
ベーシックタイプのAプランに加入している方が、河川が氾濫して家財一式が浸水して使用できなくなったケースで、保険金300万円をお支払いしました。
事例2|不注意による損害
賃貸住宅に住む方が不注意により排水設備を詰まらせ、その結果、漏水による水ぬれを起こしてしまい、オーナーから修理費用79万円を請求されたケースで、借家人賠償保険金をお支払いしました。
家財保険に関するQ&A
ここでは、家財保険に関するよくある疑問に回答します。
地震により損害を受けた場合はどうすれば良いですか?
家財保険は火災や水災、盗難のような、さまざまなリスクから家財を守ってくれますが、地震や津波による損害、地震や津波を原因とする火災などは補償の対象外です。地震や津波による損害に対して補償を受けたい場合は、地震保険に加入する必要があります。
家財保険だけ入りたいけど可能ですか?
賃貸住宅に住んでいる場合、建物の火災保険に加入する必要がないため、家財保険だけの加入が一般的です。一方、持ち家の場合は建物の火災保険とセットでの加入が一般的ですが、家財保険単独での加入も可能です。
保険金額はいくらかけるべきですか?
家財保険では家族の人数が多いほど家財も多くなる傾向があるため、必要な保険金額も高くなります。
目安として、以下の金額を参考にしてみましょう。
- 単身者: 100万円~500万円
- 大人2人暮らし: 500万円~700万円
- 3人以上: 700万円~1,000万円
保険料を抑えたい場合は、無駄な特約などをつけないようにしましょう。
おわりに
家財保険は火災や自然災害、盗難などでの家財への損害を補償するだけでなく、賠償責任のリスクからも加入者を守ってくれる重要な保険です。特に賃貸住宅に住んでいる人や、たくさんの家財を持つ人には、いざというときに頼りになります。また、無駄な補償を省き、過不足ない保険金額を設定することで保険料を抑えることができます。万が一の時に後悔しないよう、この機会に家財保険の加入を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
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