日本犬の代表格である「柴犬」。その忠誠心の強さや愛らしい見た目から、国内外で多くの人々に愛されています。しかし、実は柴犬には5種類の地柴が存在することをご存じでしょうか?それぞれの種類には異なる特徴や性格があり、個性豊かな魅力を持っています。
本記事では、柴犬の基本情報や種類ごとの特徴を解説するとともに、お世話のポイントや健康管理の注意点もご紹介します。さらに、ペット保険の必要性についても解説しているので、これから柴犬を迎えようと考えている方はぜひ参考にしてください。
- 柴犬は縄文犬、信州柴犬、山陰柴犬、美濃柴犬、川上犬という5種類の地柴があり、それぞれ独自の特徴を持っている
- 柴犬の飼育には運動、食事管理、グルーミング、主従関係の構築という4つの重要なポイントがある
- 柴犬は皮膚疾患、膝蓋骨脱臼、外耳炎、乳び胸、認知症などの特定の病気にかかりやすい傾向がある


【基本情報】柴犬の特徴や性格を紹介

まずは柴犬の基本的な特徴を以下の表にまとめました。
体高 | オス:38~41cm メス:35~38cm |
体重 | オス:9~11kg メス:7~9kg |
平均寿命 | 12~15歳 |
被毛 | 短毛のダブルコート |
毛色 | 赤毛、黒毛、胡麻毛、白毛 |
柴犬は日本の在来犬の中で唯一の小型犬種として知られています。昭和11年(1936年)に国の天然記念物に指定され、現在日本で飼育されている日本犬種の約80%を占めています。体格は小柄ながらも引き締まっており、筋肉質な体型をしています。
性格は賢く飼い主に対して忠実で、素直な一面を持っています。一方で、強い自立心と警戒心を併せ持つ犬種でもあります。もともとは鳥や小動物を捕える狩猟犬として飼育されていたため、優れた判断力と機敏な動きを持ち合わせています。
性別による性格の違いも特徴的で、オスは活発で外向的、メスは人間・飼い主の気持ちを敏感に察する傾向があります。このような特徴から、番犬としても優れた素質を持っています。
柴犬には種類がある?5種の地柴と豆柴

日本各地には、その土地固有の特徴を持つ「地柴」と呼ばれる柴犬が存在します。それぞれが独自の歴史と特徴を持ち、現代の柴犬の姿を形作ってきました。
それでは、5種類の地柴と豆柴についてみていきましょう。
【縄文犬】日本犬のルーツ
縄文犬は、日本最古の犬とされ、日本犬の先祖といわれています。すでに絶滅した縄文犬の特徴をよく受け継いでいる柴犬として、「縄文柴犬」と呼ばれるものがいます。長い足と面長の顔立ちが特徴で、くるりと巻いた尾を持っています。日本犬保存会によって命名された縄文柴犬は、直近60年ほどで作出された犬種です。
【信州柴犬】日本で飼育されている柴犬のベース
信州柴犬は、現在の柴犬の基本となった犬種です。長野県や群馬県の山間部で狩猟犬として活躍していた歴史を持ち、現在日本で飼育されている柴犬の99%が信州柴犬の血統を引いているとされています。
額が広く、耳は小さめの三角形をしているのが特徴です。飼い主には従順な一方で、他人に対しては距離を置く傾向があります。
【山陰柴犬】スリムな体型
山陰柴犬は、鳥取県周辺の地柴として知られています。弥生時代に朝鮮半島から渡来した犬が祖先だと考えられており、頭部がやや小さく耳も小さめという特徴があります。また、目の色素が濃くまつ毛がよく見えるのも特徴的です。
無駄吠えが少なく穏やかな性格で、しっぽは「太刀尾」や「差尾」と呼ばれる、背中と平行に沿った形や上向きになるのが特徴です。
【美濃柴犬】鮮やかな赤毛が魅力的
美濃柴犬は、岐阜県で狩猟犬として活躍していた柴犬です。「緋赤(ひあか)」と呼ばれる鮮やかな赤毛が最大の特徴で、一般的な柴犬のように胸やお腹に白い毛が生えておらず、赤一色の被毛を持っています。
古来より狩猟犬としての性質を最も強く受け継いでおり、狩猟犬としても優秀な資質を持っています。現在は絶滅の危機に瀕しており、個体数が減少しています。
【川上犬】運動神経抜群
川上犬は長野県南佐久郡川上村をルーツとする柴犬です。マイナス25度という極寒の環境にも耐えられる強靭な体を持ち、高い運動能力を誇ります。体格は通常の柴犬よりも大きく、毛も長めです。
特徴的な三角形のつり目を持ち、その鋭い眼光は他の柴犬にはみられない独特なものです。長野県の天然記念物に指定されており、全国でもわずか300頭ほどしか存在しない希少な犬種です。
【豆柴・小豆柴】小さくてかわいい
豆柴は、正式な犬種として認定されているものではありません。小さな体格の柴犬同士を掛け合わせて生まれた犬のことを指します。その歴史は浅く、昭和後期から「豆柴」という名称で出回るようになりました。豆柴として迎えても、成長とともに通常の柴犬と同じくらいの大きさになることもあります。
日本犬保存会では豆柴という名称での血統書は発行しておらず、あくまでも一般的な柴犬の小型サイズという位置づけになります。
柴犬の飼育方法は?4つのお世話ポイント

健康に育てるためには、適切な飼育方法が不可欠です。運動量、食事管理、グルーミングケア、そして飼い主との主従関係など、いくつかの重要なポイントがあります。
以下では、柴犬の飼育で特に気をつけたい4つのポイントについて解説します。
たくさん運動させる
柴犬は非常に活動的な犬種で毎日の運動は健康維持のために欠かせません。散歩は1日2回、各30分程度を目安に行うことが推奨されています。運動不足に陥るとストレスが溜まり、無駄吠えなどの問題行動につながることがあります。
特に室内で飼育する場合は、運動不足にならないように注意が必要です。定期的にドッグランで思い切り走らせるなど、ストレス解消の機会を作ってあげることが大切です。
食事管理に気をつける
柴犬はしっかりとした筋肉量のある体型をしていますが、その分食事量が多くなりがちで、肥満にも注意が必要です。肥満は関節や心臓への負担を増やし、さまざまな病気の引き金となる恐れがあります。
近年、犬の栄養学は進歩しており、体重や年齢に応じて適切な食事量の目安が決まっています。フードのパッケージに記載された給餌量を目安に調整しましょう。ごはんを食べてくれないなどの心配ごとがある場合は、獣医師に相談するのもおすすめです。
定期的なシャンプーとブラッシングを欠かさない
柴犬は清潔好きな犬種です。被毛が短いとはいえ換毛期には大量の抜け毛が出るため、月1~2回程度のシャンプーと、こまめなブラッシングを行うことで、皮膚や被毛を健康に保てます。
ただし、洗いすぎると必要以上に皮脂が落ちてしまい、皮膚トラブルを引き起こすこともあるので注意しましょう。
主従関係を適切に築く
柴犬は自立心が強く、信頼関係や主従関係が築けていないと指示に従わない場合があります。しつけが不十分だと、他の人や犬に対して威嚇したり、噛みついたりする恐れもあります。警戒心の強さゆえに、すれ違う犬や来客に対して吠えてしまうケースも少なくありません。
そのため、警戒心がまだ強くない子犬の頃から、多くの人や犬と交流させて社会性を育むことが大切です。適切な社会化が図れれば、警戒心と忠誠心、どちらの特性も上手に発揮できるでしょう。
柴犬がかかりやすい病気も把握しておこう

柴犬は比較的丈夫な犬種として知られていますが、いくつかの病気にかかりやすい傾向があります。
早期発見・早期治療のためにも、それぞれの症状や特徴を理解しておきましょう。
皮膚炎や膿皮症|かゆみや発疹など
柴犬は皮膚が弱く、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。ハウスダストやノミ・ダニ、花粉などのアレルゲンが原因となることが多く、顔や体を頻繁に掻いたり舐めたりする行動が目立つようになります。
また、アレルギー症状が悪化すると膿皮症を併発しやすく、皮膚の赤みやかゆみ、湿疹、水泡、フケ、円形の脱毛などの症状がみられますので、早めの対策が重要です。
外耳炎|耳のかゆみや赤みなど
アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎になりやすい柴犬は、外耳炎も発症しやすい傾向があります。耳を痒がる、耳の皮膚が赤く腫れる、耳から膿が出る、耳を触ると痛がる、頭を振る、耳から悪臭がするなどの症状が見みられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ)|歩行異常
膝のお皿(膝蓋骨)が外れたりズレたりする関節疾患で、小型犬に多くみられます。柴犬も例外ではなく、膝をかばうような歩き方をする、後ろ足を引きずるといった症状がみられることがあります。
軽度の場合はサプリメントや薬の服用、筋肉注射などで様子をみることもありますが、歩けないほど重症になると手術が必要になることもありますので、早めに獣医師へ相談しましょう。
白内障|目の異常
柴犬は白内障を発症しやすい犬種のひとつとされています。遺伝的な要因や加齢によって、水晶体が白く濁っていき、視力の低下や失明につながるケースもあります。早期発見・早期治療が視力を保つうえで重要です。
乳び胸|食欲不振やせきなど
胸腔内に「乳び」と呼ばれるリンパ液が溜まってしまう病気です。肺が圧迫されて呼吸が苦しくなるため、食欲不振や体重の減少、せき、呼吸困難などの症状が現れることがあります。
外傷や腫瘍、心臓病などが原因で発症する場合もありますが、原因が特定できない場合も多く、適切な処置が遅れると重篤化する恐れがあるため、少しでも異変を感じたら獣医師に相談してください。
認知症|トイレの失敗や無駄吠えなど
日本犬は洋犬に比べて認知症になりやすく、柴犬は寿命が比較的長いため、発症リスクが高いとされています。認知症の症状としては、トイレの失敗が増える、無駄吠えが増える、夜鳴きをする、同じ場所をグルグルと歩き回るなどが挙げられます。こうした行動がみられたら、できるだけ早めに獣医師に相談しましょう。
柴犬を飼うときはペット保険に加入しておくと安心!

柴犬は比較的健康な犬種ですが、皮膚のトラブルや関節の問題など、定期的な通院や治療が必要になることがあります。そのような万が一の事態に備えて、ペット保険への加入を検討すると安心です。
ペット保険とは
ペットには人間のような公的保険制度が存在しないため、動物病院での治療費はすべて飼い主の自己負担となります。特に手術や入院が必要な場合は治療費が高額になり、家計への負担が大きくなる傾向にありますが、ペット保険に加入することで、予期せぬ高額な治療費の負担を軽減することができます。例えば、膝蓋骨脱臼の手術費用は15万円から35万円になることもあります。このような事態に備えて、ペット保険への加入を検討することをおすすめします。
また、柴犬は皮膚疾患などで通院回数が多くなる傾向があります。ペット保険があれば、通院費用の一部または全部を補償してもらえるため、安心して治療を受けることができます。
柴犬は度重なる通院費に注意
柴犬用のペット保険を選ぶ際は、通院の補償内容に特に注意を払う必要があります。柴犬はアトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルにかかりやすく、一回あたりの治療費は数千円程度で済むことが多いものの、繰り返し通院することで治療費が積み重なり、年間で10万円以上になることもあります。
さらに、アレルギーやアトピーの症状は生涯続く可能性もあるため、長期的な治療費の負担に備えることが重要です。ペット保険を選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。
- 通院の補償回数や日数の制限
- 年間の補償限度額
- 自己負担の割合
補償内容をよく比較し、自身と愛犬に合ったプランを選ぶことで、安心して治療を受けられる環境を整えましょう。
セゾン保険サービスでペット保険をかんたん比較

最適なペット保険を見つけるなら、セゾン保険サービスの「おすすめペット保険かんたん比較」サイトがおすすめです。愛犬の種類と年齢を選ぶだけで、複数の保険プランを簡単に比較することができます。
同サイトの特徴として、補償内容を重視するか、保険料を抑えるかといった飼い主のニーズに合わせて保険プランを選べる点が挙げられます。例えば、柴犬特有の皮膚トラブルに備え、手厚い補償を希望する場合は、補償割合100%のプランも用意されています。一方、月々の支払いをなるべく抑えたい場合は、補償割合70%のプランなどリーズナブルな選択肢もあります。
また、通院・入院・手術といった各項目の支払限度額や支払限度日数、年間の補償限度額なども一覧でわかりやすく比較・検討できるので、初めてペット保険に加入する方にも安心です。
ぜひ、セゾン保険サービスのペット保険比較サイトを活用して、愛犬に最適な保険プランを見つけてください。


おわりに
柴犬は日本を代表する天然記念物であり、その忠実さや可愛らしい見た目から海外でも高い人気を集めています。5種の地柴それぞれが持つ特徴を知ることで、柴犬という犬種の奥深さをあらためて実感できるでしょう。
適切な運動やしつけ、健康管理などを行いながら、より良いペットライフを送るためには、ペット保険への加入を含めた備えも大切です。本記事が柴犬との暮らしを思い切り楽しむための一助となれば幸いです。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に変更される制度などもありますので、最新情報は各公式サイトなどでご確認ください。