かわいらしいしぐさや性格で、飼い主に癒しを与えてくれる猫。猫を飼うにはどのような準備が必要なのか、知っていますか。ここでは、猫を迎えるに当たって必要な心構えやアイテム、猫を飼うメリットやデメリットなどをご紹介していきます。小型猫・中型猫・大型猫にかかる生涯費用についてもわかりやすくまとめていますので、猫を飼いたい人はぜひお読みください。
猫を飼いたい人が知っておくべき「心構え」
猫を飼う前には、終生飼養を全うする覚悟があるのか、猫にかかる全ての費用を負担できる余裕があるのかなどについて、考えておく必要があります。ここでは、猫を飼う前に知っておきたい心構えをご紹介します。
家族の同意は得ているか
猫を家に迎える前にまず必要なのは、家族全員の同意です。猫と生活をともにする間には、生活環境や家族構成の変化が起こる可能性もあります。どのようなことが起こっても猫を大切にしてあげられるように、しっかりと同意を得ておきましょう。
また、アレルギー体質の人は、猫アレルギーの検査を病院で受けておくのがおすすめです。そして、猫アレルギーを発症する可能性がある場合には、本当に飼えるのか、飼うとしたらどのような対策をするのか、などをしっかり話し合っておくことが重要です。
終生飼養を全うできるか
2021年に発表された一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査の結果によると、室内飼いしている猫の平均寿命は15.66歳。猫種によっても違いがありますが、猫がその命を終えるまで、10年以上は飼養する心づもりが必要です。
その期間のなかで、ご自身で世話してあげられなくなるケースが出てくることもあるかもしれません。万が一のときのために、代わりに猫の世話をお願いできる人を見つけておきましょう。
飼養している期間は、ただエサをあげれば良いというわけではありません。健康管理を行うことや、遊んであげることなども大切です。
室内飼いできる環境か
家の外には、寄生虫・ウイルスなどによる感染症や、交通事故などによるケガといった多くの危険があります。そのため、猫を守ってあげるためには、室内飼いをすることが大切です。また、猫を飼うのに適切な環境があるのかということも考えてみましょう。猫が隠れられるスペースや遊ぶスペース、トイレの位置などを具体的にイメージしておくのがおすすめです。賃貸にお住まいの場合は、ペット不可の物件もあるため事前に確認しましょう。
ライフスタイルにマッチしているか
猫は、飼い主がいなくてもマイペースに過ごせることが多いため、普段仕事をしている人でも飼いやすいでしょう。しかし、バーミーズのように、スキンシップが大好きで長時間の留守番が苦手な猫種もいますので、ライフスタイルに合っているのかを考えながら慎重に選びましょう。
仕事でほとんど家にいない人、数日間不在となる人は、猫のニーズを充分に満たしてあげられません。猫を飼うことがご自身のライフスタイルにマッチしているのか、じっくり考えておきたいですね。
時間と体力、費用はあるか
食事、排泄物の掃除、部屋の清掃、遊び、健康管理などを気に掛けてあげる時間と体力があるのか、考えてみましょう。また、猫を飼うには費用もかかります。10年以上分の食費・設備費・ワクチン代などの他に、病気やケガにより想定外の治療費が発生する場合もあります。
「面倒な世話はやりたくない」「ペットにお金をかけたくない」という人は、猫を飼うのを避けた方が良いでしょう。
猫を飼うために必要なもの
次に、猫を飼うのに必要なものを見ていきましょう。
トイレ・トイレ砂
猫は、砂がある場所をトイレだと本能的に認識します。そのため、家に迎え入れる前にトイレ容器と砂を用意しておくと、排泄の失敗を防げるでしょう。トイレ容器は、自動で掃除するものや屋根つきのものなど、さまざまな機能を持ったものがあります。多くのサイズや形がありますので、設置場所や猫の大きさに合わせて選びましょう。
トイレ砂は、主にシリカゲル・紙・鉱物・木材・おからなどからできています。すぐに水分を吸収するシリカゲルは、毎回お掃除する必要がなくお手入れが簡単です。紙製のトイレ砂は、トイレに流せるものも多いので、ゴミを減らせるでしょう。
また、天然の砂に近い鉱物は、猫が好む傾向にあります。トイレ砂にはそれぞれ特徴があるため、ご自身にとって使いやすいものを選んでくださいね。
猫用食器
水飲み用とエサ用の食器が必要です。ステンレス・陶器・プラスチックなどの素材でできており、猫が使いやすいよう深さや形を工夫されたものもあります。ある程度の重さ・安定感があるものを選んであげると、食事中に動きにくく食べやすいですよ。
子猫のうちは、深皿だとうまく食べられないことも。猫用食器のなかでも浅いものを準備するか、普段使っている小皿などで代用すると、食べやすいかもしれません。
キャットフード
猫用のドライフード、またはウェットフードを用意してあげましょう。購入する際に気を付けたいのが、パッケージに記載されているフードの種類。総合栄養食とは、それと水だけで健康維持ができるほど栄養バランスが整っているフードのことです。
一方、一般食は、総合栄養食に混ぜて与えるもので、おかずのような役割があります。気付かないうちに一般食を主食として与えてしまっているケースもあるため、注意が必要です。
また、おやつを用意しておくのも、猫の楽しみが増えるので良いですね。おやつを与える際は、カロリー過多とならないよう、1日に必要なカロリー量の20%以内に抑えましょう。
爪とぎ
猫にとって爪とぎは、身を守るための鋭い爪を維持したり、マーキングしたりといった役割があります。また、ストレスを感じている、かまってほしい、気分を切り替えたいなどのときに、爪をとぐことも。壁や家具などで爪をとぐのを防ぐためには、お気に入りの爪とぎをつくっておくことが必要です。
壁や家具を守るためにも、といで良い場所で爪をとがせるしつけのためにも、爪とぎを準備しておきましょう。
爪とぎの素材としては、ダンボールや木、布などがあります。種類は、地面でとぐタイプや立ってとぐタイプなどさまざまです。爪とぎをしているとボロボロになってきますので、定期的に新しいものに交換してあげてくださいね。
キャリーバッグ
動物病院に連れていく際などに必要です。キャリーバッグは、掃除がしやすいもの、扉が壊れにくいものを選びましょう。
猫は、暗くて狭い場所を好む傾向にあります。そのため外出時には、脱走防止になるだけでなく、安心できる場所をつくってあげることもできるでしょう。また、猫は、母猫を連想できる、ふわふわとした柔らかい素材も大好きです。
猫が前足を交互に動かす愛らしい行動「ふみふみ」を見せるのも、タオルや毛布などがあり、リラックスした状態のとき。そのため、キャリーバッグのなかにいつも使っているタオルや毛布を敷いてあげると、外出先での不安を減らしてあげられるかもしれません。
猫用ベッド・ケージ
猫用ベッドには、すっぽり入り込めるドーム型、頭上が覆われていないオープン型、広々と使えるソファー型、高い場所にも設置できるハンモック型があります。
猫用ベッドは、普段から使っていると自分のにおいがつくため、猫にとって大切な居場所になります。このような居場所があると、来客時など不安定になりやすい場面でパニックになるのを防止してあげられるでしょう。
また、ケージも用意しておくと、いざというときの避難場所にもなりますよ。
キャットタワー・おもちゃ
猫の遊び場におすすめなのが、高いところに上り下りできるキャットタワー。主に、据え置きタイプと、突っ張りタイプがあります。おもちゃや爪とぎがついたもの、階段やスロープがあるものなど、猫にとって楽しい工夫を凝らしたものもたくさんあります。おしゃれな見た目のキャットタワーもありますので、インテリアと合わせて選ぶのも良いですね。
また、遊びで運動不足を解消できるよう、猫じゃらしやボールなども準備しておきましょう。
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愛猫を守るためにペット保険加入も検討しておこう
猫を飼っていると、予想外のケガや病気によりお金がかかることがあります。特に5歳以降になると病気の発症率が上昇し、入院が必要になるケースも。万が一の際の急な出費に備えるためには、ペット保険への加入を検討してみましょう。
アニコム損保の「どうぶつ健保」は、入院・手術に特化したタイプや、入院・手術に加え、日々の通院までしっかりと補償される総合タイプなどから選べます。ペット保険に加入しておくと、急な診療費が発生したとしても安心ですよ。
猫を飼うために必要な生涯費用は?
猫を迎える方法としては、ペットショップやブリーダー、里親などがあります。猫の購入費用は、どこから迎えるかによって変わってきます。猫種にもよりますが、目安はペットショップだと200,000~300,000円前後、ブリーダーだと250,000~350,000円前後です。小型猫・中型猫の場合は、これよりも安い費用で購入できることもあります。それに対して、里親になる場合は、保護主により譲渡費用が変わります。場合によっては、無償で譲ってくれることもあるようです。
それでは、小型・中型・大型の猫、それぞれに必要な費用を見ていきましょう。
小型猫の場合
小型猫の購入価格は、マンチカン100,000円程度、シャムネコ140,000円程度、シンガプーラ200,000円程度です。また、エサ代やワクチン・ダニ対策などの医療費、トイレ砂などの日用品で年間80,000円程度かかります。前述の全国犬猫飼育実態調査結果を参考に寿命を15年として計算すると、120万円程度。これに購入費用を合わせると、小型猫の生涯費用は130万〜140万円程度になります。
中型猫の場合
オリエンタル・バーミーズ・スフィンクスなどが、中型猫に当たります。購入価格は、オリエンタル200,000円程度、バーミーズやスフィンクスは珍しい猫種ですので250,000円程度です。中型猫の年間費用は90,000円程度ですので、15年間では135万円程度の費用がかかります。このことから、中型猫の生涯費用は155万〜160万円程度ということになります。
大型猫の場合
大型猫は、メインクーン・ノルウェージャンフォレストキャット・ラグドールなどが代表的です。購入価格は、それぞれ130,000円程度、170,000円程度、180,000円程度です。大型猫の年間費用は110,000円程度といわれています。小型猫や中型猫と同じように計算すると、大型猫では178万〜183万円程度の生涯費用がかかります。
猫を飼うメリット・デメリットは
猫を飼うメリット・デメリットをご紹介します。
猫を飼うメリット
猫を飼うと、どんな良いことがあるのかご存じですか。一緒に暮らすことで感じられる猫の魅力について、ご説明します。
・癒される・孤独感が減る
特徴的な目や柔らかな被毛など、猫の見た目のかわいさはいうまでもありません。また、しぐさや性格がかわいらしいことも、猫の魅力です。渦を巻くように全身を丸めて眠る「アンモニャイト」や、心を開いた人の前だけでお腹を見せてくれる「へそ天」など、さまざまなしぐさで癒しを与えてくれます。自由気ままな性格や、時々見せる甘えん坊な性格も、忙しい毎日を過ごす人にとって大きな癒しとなるでしょう。
猫が孤独感を紛らわせてくれるというような話も、よく耳にします。つまり猫は、家族同然の存在になり得るペットであるといえます。
・散歩が不要なので飼いやすい
猫は散歩が不要なため、仕事をしている人でも比較的飼いやすいペットであるといえるでしょう。しかし、散歩が不要とはいっても、運動させることは必要です。キャットタワーなどを設置して、家の中でも運動量を確保できる環境をつくってあげましょう。
猫を飼うデメリット
猫を飼うことによるデメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
・旅行に行きにくい・場所が限定される
比較的手がかからないといわれている猫ですが、それでもエサやりやトイレの掃除は必要です。猫は綺麗好きなため、トイレが汚れていると嫌がって他の場所で排泄したり、我慢してしまったりすることもあります。エサやトイレの問題は、1泊の旅行であれば自動の給餌機やトイレでしのげるかもしれません。しかし、やはり限界がありますし、猫に寂しい思いをさせることにもなってしまうため、長期間の旅行は難しいでしょう。
旅行中の世話をペットホテルにお願いすることもできますので、猫の性格なども考慮して検討してみるのも良いですね。
猫を旅行に連れていく場合は、車・バス・電車・飛行機などで移動して、猫が宿泊できるホテルに宿泊します。移動中は、猫の安全・安心のために必ずキャリーバッグに入れましょう。電車や飛行機に猫を乗せる際の注意点を、以下にまとめました。
【電車】
・各社の乗車規定に従う
・予約不要
JRの場合は、キャリーバッグの縦・横・高さの合計が120㎝以内、猫とキャリーバッグの重さの合計が10㎏以内です。手回り品料金がかかるので確認しましょう。
【飛行機】
・機内持ち込み不可
・国内線では貨物室、国際線では受託手荷物として預ける
・国内線は予約が不要だが搭乗30分前までに申し込みが必要
・国際線は事前予約が必要
国際線を利用する前には、狂犬病に関する係留検査(一定期間施設に隔離して受ける検査)が必要になります。詳しい規定については、航空会社に確認が必要です。
・費用がかかる
猫を飼うには、費用がかかります。猫にかかる生涯費用は、前述のとおり。病気やケガによる受診など、想定外の出費も出てくるでしょう。それらの費用を払い続けられるか、事前の検討が必要です。
・家の中をイタズラされる
イタズラが好きな猫は、わざと物を落としたり、インテリアにじゃれたりすることも。また、壁紙やソファーで爪をといでしまうことも充分あり得ます。イタズラを防止するためには、物をしまっておく、爪とぎを設置するなどの工夫が必要です。
おわりに
「猫が好き」「癒されたい」という思いだけでは、猫を飼うことができません。猫を飼いたい人は、デメリットも承知のうえで飼い始めることが大切です。
また、生活環境や家族構成が変わったとしても、猫をこの先15年大切に飼育してあげられるか、ということも考えてみてください。
費用面が心配な場合は、ペット保険に入っておくと病気やケガなどの際に安心です。猫が安心できる環境をつくって、家族の一員として大切にしてあげてくださいね。