今まで食欲旺盛だった愛犬が急にご飯を食べなくなってしまったら、病気ではないかと心配になってしまうでしょう。確かに病気の可能性もありますが、犬がご飯を食べなくなる理由はそれだけではありません。ここでは、犬がご飯を食べないときの理由や食べないときの対処法、注意するべきポイントを紹介します。犬がご飯を食べなくなってしまったときにご参考にしてみてください。
まずは正しいドッグフードの与え方をおさらい
犬がドッグフードを食べないという悩みがある飼い主は少なくありません。犬がご飯を食べない理由として、さまざまなことが考えられます。ご飯を食べない時は、ドッグフードの与え方が間違っていないか確認しましょう。まずは、ドッグフードの与え方についておさらいします。
1日に必要な摂取カロリーに見合った食事量を
必要な摂取カロリーは体重や年齢などによって異なります。生命を維持して身体を動かすためには、過不足なく栄養を摂取できるようにすることが重要です。必要な栄養が不足すると、便秘や下痢、脱毛など身体のさまざまな場所に影響が出ます。しかし、過剰に栄養を摂り過ぎるのも良くありません。そのため、1日に必要な摂取カロリーに見合った食事を与えることが大切です。
パッケージに記載の推奨量はあくまでも目安
ドッグフードのパッケージに記載されている給与量や推奨量は、あくまでも目安です。年齢や犬種、骨格や体型、去勢の有無、ライフスタイルや日頃の運動量などによっても異なるため、ご自身で計算し与えましょう。計算方法は以下のとおりです。√キーのある電卓を使った計算方法をご紹介します。
【1日に必要な摂取カロリーの求め方】
- 犬の体重を3回かける(3乗する)
- 1で出た値に対し、√キーを2回押す
- 2で出た値に70をかける
この計算方法は、1日安静に過ごした場合のエネルギー要求量です。この数値に以下の表に当てはまる活動係数をかけ合わせると、愛犬に必要な摂取カロリーが算出できます。
愛犬の年齢や状態 | 活動係数 |
---|---|
生後4ヵ月まで | 3.0 |
生後4か月~成犬 | 2.0 |
成犬で避妊や去勢なし | 1.8 |
成犬で避妊や去勢あり | 1.6 |
肥満気味の成犬 | 1.4 |
減量が必要な成犬 | 1.0 |
シニア犬で避妊や去勢なし | 1.4 |
シニア犬で避妊や去勢あり | 1.2 |
ご自身で計算をしたことがない場合は、一度計算をしてみると良いでしょう。
参照元:【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方! | INUNAVI(いぬなび)
食事回数は年齢に合わせる
子犬・成犬・シニア犬・ハイシニア犬では、ドッグフードの与え方が異なります。成犬であれば1日2回(大型犬・超大型犬なら2~3回)で良いですが、成長期にある子犬、消化機能に負担がかかるシニア犬・ハイシニア犬では、食事の回数が異なります。シニア犬は3~4回、ハイシニア犬は4~5回となるので注意しましょう。
また最近では、シニア犬やハイシニア犬用のドッグフードを目にすることが増えましたが、愛犬が高齢期に入ったかどうかは判断しにくいものです。そのため、獣医師に高齢期に入ったか判断をしてもらってから、ドッグフードを切り替えると良いでしょう。
おやつのカロリーも考慮する
ご飯だけで1日の必要摂取カロリーを満たしてしまうと、おやつにもカロリーがあるため肥満の原因になってしまいます。また栄養バランスも偏ってしまうので、おやつのカロリーも考慮することが必要です。おやつを与える際は、1日の必要カロリーの10~20%に留めること、もしくは、おやつのカロリー分を食事全体から減らすことが大切です。
ドッグフードの与え方についての本も多くありますが、環境省のWEBサイトにも「飼い主のためのペットフードガイドライン」が載っているため、目を通すと良いでしょう。
1度開封したドッグフードは1ヵ月以内に与える
ドッグフードの賞味期限は、あくまでも未開封の場合になります。空気に触れると酸化して品質が劣化するため、できるだけ早く消費するようにしましょう。
また、冷蔵庫で保存すると、出し入れすることにより結露が生じてカビが生えてしまう可能性があるため、開封したドッグフードの保存はパッケージのまま密閉容器に入れて、高温多湿の場所を避けてください。
犬がご飯を食べない理由と見られるサイン
ここからは、犬がドッグフードを食べてくれないときに考えられる原因について解説していきます。
ストレス
犬はストレスを感じやすい動物です。引っ越しや新しい家族の存在など、環境の変化によるストレスでご飯を食べないこともあります。他にも、光やにおい、騒音、長時間の留守番をさせることもストレスの原因です。以下で犬が強いストレスを感じた時に起こる症状について見ていきましょう。
【ストレスを感じているときのサイン】
- 嘔吐する
- 下痢をする
- 手足を過度に舐める
- 威嚇をする、異物を食べるなどの異常行動
- 元気がない
このようなサインがあった場合はストレスを感じている可能性があるため、注意しましょう。
老化
老化が進むと、食べ物を上手に噛めなくなったり飲み込みにくくなったりします。また、歯や歯茎が弱くなる、食事のにおいに対して感度が低くなる、関節炎などにより食事の体勢が取りにくくなるなどの特徴も出てきます。以下で老化が原因である場合に起こるサインを見ていきましょう。
【老化によりご飯を食べないときのサイン】
- 日を追うごとに少しずつ食事量が減少する
- なんとなく食べにくそうにしている
- 歯や歯茎が弱っている
- 運動量が減ってきている
老化ではありませんが、生後4~5ヵ月をピークに成長が落ち着いて食事量が少なくなることがあります。それにより食欲が減ったように見える場合は、食欲旺盛な時期を越えたと捉えると良いでしょう。
好き嫌い・わがまま
健康のためにと思い選んだものでも、味や食感が気に入らずに食べないことがあります。また、日頃から飼い主のご飯を与えている場合は、ドッグフードに魅力を感じていないのかもしれません。好き嫌いやわがままでご飯を食べないときのサインを以下で見ていきましょう。
【好き嫌いによりご飯を食べないときのサイン】
- 元気がある
- おやつは食べる
- 目新しいものは喜ぶ
好き嫌いやわがままの場合は、ドッグフード用ふりかけをトッピングしたりドッグフードを切り替えたりするのもひとつの手でしょう。
警戒している
いつもと違うドッグフードを与えた場合や薬を混ぜている場合、いつもと食事環境が違う場合などは、警戒して食べないことがあります。成長に伴って与える食事も変えることがありますが、敏感な犬はそのたびに警戒しているかもしれません。警戒していてご飯を食べないときのサインを見ていきましょう。
【警戒してご飯を食べないときのサイン】
- 食事の時間になって声をかけても来ない
- 食事場所に近寄ろうとしない
- お皿をひっかくような動きをする
- ドッグフードの匂いは嗅ぐけど食べない
他にも、食事の際に大きな音や声などで驚いたことがあると、食事をすること自体が怖くなってしまうケースもあります。まずは、警戒心を取り除くように工夫してあげましょう。
病気により食べない可能性も
病気が原因でご飯を食べないこともあります。以下で病気の際に見られる症状や考えられる病気を見ていきましょう。
【病気によりご飯を食べないときのサイン】
- 水も飲まない
- 元気がない、ぐったりしている
- 下痢や嘔吐をしている
- 呼びかけに応じることなく部屋の隅に隠れている
こういうサインが見られるときは、以下のような病気が考えられます。
【考えられる病気】
- 心疾患・腎不全・肝炎などの内臓疾患
- 肺炎・肺水腫などの呼吸器疾患
- 急性胃腸炎・大腸炎などの消化器疾患
- 歯周病・口内炎などの口腔疾患
- フィラリア症・回虫症などの寄生虫による感染症
犬がご飯を食べないときの対処法
犬がご飯を食べないときの対処法を、原因別に見ていきましょう。
ストレスが原因のとき
まずは、ストレスの原因となるできごとの有無を振り返り、可能であれば原因を改善してあげることが必要です。引っ越しや家族が増えたなど取り除くことができないストレスの場合は、できるだけコミュニケーションを取って普段以上に甘えさせたり、一緒に遊んであげたりすると良いでしょう。日頃から身体を動かしてあげることで、ストレス発散につながります。
ご飯を食べないからといって、無理に食べさせようとするのも余計にストレスを与えてしまいます。ブラッシングしてあげるなど、リラックスして食事が摂れる工夫をしてあげてください。
老化が原因のとき
無理に食事量を増やすのではなく、食事の質を高めることを重視しましょう。まずは、成長により食の好みが変わったことも考えられるので、ドッグフードを変更してみてください。
シニア犬に新しくドッグフードを選ぶ時には、少量で栄養が摂れるものを選ぶのがポイントです。またお肉や魚、チーズや野菜などをトッピングすると食い付きが良くなることがあります。
他にも、ドッグフードをお湯でふやかすと、やわらかくなるため食べやすさがアップします。お湯でふやかすとにおいが強くなるため、嗅覚が鈍って食べないときにもおすすめです。
筋力が低下しているときや関節炎を起こしているときなどは、お皿の位置を変えるなどの工夫をしてあげると良いでしょう。
好き嫌い・わがままが原因のとき
ご飯を食べないため心配だからと代わりにおやつを与えてしまうと、おやつばかりを欲しがるようになってしまいます。おやつはあくまでもおやつなので、与える場合は少量に留めるようにしましょう。前述のとおり、お湯でふやかして食感を変えたり、においを引き立てたりして変化を持たせるのも効果的です。食べられたときはしっかり褒めてあげましょう。
また、食事を出しっぱなしにしていると「いつでも食べられる」と考えて食べなくなってしまう可能性があるため、10~15分程度でフードを片付け、次のご飯まで何も与えないようにすると良いでしょう。ただし、わがままでご飯を食べないからといって、何日も食べずにいると身体に負担がかかるため注意してください。他の対策として、ご飯の種類や内容を定期的に変更するのもおすすめです。
参照元:イオンペット株式会社
警戒心が原因のとき
食べさせ方として、飼い主さんの手でドッグフードをあげると、食べることがあります。食べることができたら褒めてあげるなどのコミュニケーションを取ることが大切です。
また、ドッグフードを新しいものに変える時の注意点として、最初は新しいフードは全体の1割程度にし、いつもあげていたドッグフードと混ぜるようにすると良いでしょう。7~10日ほどかけて、新しいフードを少しずつ増やしていくと移行しやすいです。
病気が原因のとき
ご飯を食べないだけでなく、元気がない、呼吸が荒いなど病気のサインも見られる場合には、できるだけ早めに動物病院へ行きましょう。その際、気になる症状が出始めた日や下痢、嘔吐、食事の量などを問診時に伝えると良いでしょう。
また、ご飯を食べたがらない場合にむやみに食べさせると病気の悪化につながることもあるので、様子を見ながら、無理に食べさせないようにしましょう。
犬がご飯を食べないときに注意するべきポイント
犬がご飯を食べないときに食べるように工夫してあげるのは良いことですが、食べない期間が続くと命に危険が及ぶこともあります。ご飯を食べないときにチェックするべきポイントを以下で見ていきましょう。
水が飲めているかチェック
ご飯だけでなく、水も飲めない場合は、脱水を引き起こす可能性や病気が隠れている可能性があるため、早急に動物病院を受診するようにしましょう。受診までの間の対策として、果汁を水に混ぜたり、スポイトで与えたりする方法も試してみてください。
しかし、症状や原因が分からない場合や不安に感じるときは、獣医師の指示を受けてから、水分を与えるようにすると良いでしょう。
2日間食べない場合は他の症状がなくても受診を
1~2回食べなかったからといって、すぐに健康上のトラブルが生じるわけではありませんが、2日間絶食している場合は、他の症状がなくても受診するようにしましょう。特に水が飲めていないときやシニア犬で体力が落ちているときなどは、より早い対応が必要です。
ペットが快適に過ごせるためにリフォームも検討
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おわりに
犬がご飯を食べなくなる原因として、ストレスや老化、好き嫌いやわがままなどが考えられます。しっかりと様子を観察して原因を探ることで、適切に対処することができます。自宅で対処ができることもありますが、気になる症状がある時は決して自己判断をせず、早めに動物病院を受診しましょう。