フードロスとは?問題点や日本の現状と社会・家庭でできる取り組みをチェック

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フードロスとは?問題点や日本の現状と社会・家庭でできる取り組みをチェック

地球規模で問題になっているフードロス。言葉は目にすることはあっても、具体的にどのようなことが起こっているのか理解している方は少ないのではないでしょうか。この記事ではフードロスの現状や発生原因、さらにはフードロスを削減するための取り組みについてご紹介します。

家庭でもできることも盛り込んでいるので、「興味はあるけど、何から始めたら良いか分からない」と思っている方はぜひ参考にしてください。

1.社会問題になっているフードロス(食品ロス)について

フードロスについて耳にしたことはあっても、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。「フードロスって何?」という方のために、フードロスとは何かという基本的なことを押さえたうえで、フードロスの発生原因や問題点などを掘り下げていきます。

1-1.フードロスとは?

フードロスは食品ロスとも呼ばれますが、簡単にいうと「まだ食べられるはずの食品を捨ててしまうこと」です。一般家庭だけでなく、スーパーマーケットで販売されている食品の賞味期限が切れたり、飲食店で仕入れていた食品が余ったりした場合にもフードロスは発生します。

食品廃棄と似たような言葉で混同しがちですが、少し意味合いが異なります。例えば、骨付きの鶏肉を食べる場合、骨の部分は食べられないので廃棄されますが、これは食品廃棄に当たりフードロスには含まれません。果物の種も同様にフードロスには含まれませんが、カットフルーツを作る際に見た目の良さを重視して、食べられる果実の部分を種と一緒に廃棄した場合はフードロスになるのです。

フードロスは大きく分けて、「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2種類があります。事業活動に伴って発生するフードロスを事業系食品ロスと呼び、各家庭から発生するフードロスのことを家庭系食品ロスと呼びます。家庭系食品ロスはその名のとおり一般家庭から発生するフードロスです。事業系食品ロスは、先ほどご紹介したスーパーマーケットなどの小売業や飲食店など外食産業の他、食品製造業と食品卸業で発生したフードロスも含まれます。

1-2.フードロスが発生する原因は?

フードロスは、なぜ発生するのでしょうか。主な理由としては、食べ残しや売れ残りによる廃棄が挙げられます。それらの原因を深堀してみると、根底にあるのは消費者側も提供する側も「出来るだけ新鮮な食品を食べたい、提供したい」という考えです。

新鮮なものを食べたいと思うのは悪いことではありませんが、より新鮮なものから消費することで残った食品の鮮度が低下してフードロスの原因となる場合があるのです。

スーパーマーケットで食品を購入するときに、なるべく賞味(消費)期限が先のものを購入することはないでしょうか。何気ない行動ですが、そのことにより期限が短いものが売れ残り廃棄の対象となってしまうこともあります。

また、外食の際につい注文し過ぎてしまうこともフードロスの原因になります。衛生面から食べ残した食品を持ち帰れない飲食店も多いですが、その場合食べ残しを廃棄せざるを得ません。食べ切れる量を注文することが大切ですね。

消費者側の家庭系食品ロスだけでなく、事業系食品ロスの場合はどうでしょうか。食品製造業や食品卸業においてフードロスの原因になっているのは、厳しい品質基準といわれています。形やサイズ重量などの基準を満たしていない規格外品は、店頭に並ぶことなく廃棄の対象になるのです。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業では、見栄え良く多くの種類の商品を陳列しています。その状態を保つために多くの在庫を抱え、賞味(消費)期限内に販売できず廃棄されてしまうことも多いのです。

多種多様なメニューを取り揃えている飲食店では、仕込みのために多くの仕入れをする必要があります。完全予約制の飲食店以外は、想定より注文数が少なかったというケースはあり得るでしょう。それらの食品は注文が入らなければ余ってしまい、期限内に使えなければフードロスになるのです。

このように、消費者側、提供する側双方にフードロスの発生原因があると考えられます。

1-3.フードロスの問題点とは

フードロスに関しては、単に「食品がもったいない」では片付けられない問題を抱えています。ここでは「飢餓問題」「経済問題」「環境問題」について触れておきましょう。

まだ食べられる食品を廃棄してしまうフードロスが起こる一方、世界に目を向けると食べるものがなく飢餓に苦しむ方がいるという現状があります。農林水産省及び環境省「令和元年度推計」によると日本で発生している食品ロスは約570万トンですが、その量は飢餓に苦しむ人への年間食糧援助量420万トン(2020年)の約1.4倍に相当します。世界的に見ると、食の不均衡が起こっているといえます。

食品の廃棄には、コストがかかる面も問題です。焼却や埋め立てにかかる費用や、それに伴う人件費は、本来フードロスがなければ発生しないコストといえるでしょう。また、焼却や埋め立てといった廃棄処分には多くのエネルギーを使い、CO2の排出や土壌・水質汚染といった環境問題も起こっているのです。

参照元:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和元年度)の公表について

2.日本のフードロスの現状は?

ここからは、日本のフードロスについて詳しく説明します。世界と比較してどのような現状なのか、今後のフードロス削減について見ていきましょう。

2-1.世界のフードロスと日本を比較

世界におけるフードロス問題は、先進国と途上国では様子が異なります。先進国では消費段階のフードロスが多く、一方途上国では生産から卸売り・小売りの段階でのフードロスが高い傾向にあるのです。

途上国でのフードロスの原因は、収穫した食糧の貯蔵や輸送にコストがかけられないことから、小売店に渡るまでに鮮度が落ちてしまうことが挙げられます。また、貧困が原因となるケースも。金銭が必要になり収穫時期を迎える前に作物を収穫して出荷した場合など、結果として販売できる商品価値がなく廃棄となることがあるのです。

国連環境計画(UNEP)が発表した、家庭から発生したフードロスの統計「UNEP Food Waste Index Report 2021」によると、最もフードロスの量が多かった国は中国、次いでインド、5位はアメリカ合衆国で、日本は14位という結果でした。

日本の14位という順位は一見高くないように感じるかもしれません。しかし、このランキングは単に量を比較したものであるため、一人当たりのフードロスの量に換算すると日本は第1位の中国と同じくらいのフードロスが発生しています。このことから、日本におけるフードロス問題は世界基準で見ても深刻であるといえるのではないでしょうか。

2-2.日本で発生しているフードロスの量は?

日本におけるフードロスの現状は、統計によると年間570万トン、国民一人当たり約45㎏のフードロスが発生しており、これは年間の米の消費量53㎏に匹敵する量です。1日に換算すると国民一人当たり約124g。これは、ご飯茶碗約1杯に相当します。

この570万トンという量は、家庭からのフードロス家庭系食品ロスだけでなく事業系食品ロスを含んだ数値です。それぞれどのような割合になっているのか、見ていきましょう。

引用:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和元年度)の公表について

日本におけるフードロスの半分近くが家庭系食品ロスであることが分かります。事業系食品ロスでは、食品製造段階で多くのロスが発生しています。

2-3.日本が掲げているフードロス削減の目標

日本は2030年度までに、2000年度比で家庭系食品ロス・事業系食品ロスともに半減させるという目標を掲げています。数値で見ると2000年度の547万トンに対し、2030年度までに273万トンまで削減する見込みです。

このことは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえた取り組みとされ、SDGsの中では主に「2 飢餓をゼロに」「12 つくる責任つかう責任」に該当します。フードロス削減の目標達成のための取り組みとして、法整備をはじめ、毎年10月を食品ロス削減月間と定め、10月30日を食品ロス削減の日として制定してイベントなどを開催しています。

3.日本ではフードロスを削減するための法律がある

日本にはフードロス削減につながる「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」という2つの法律があります。それぞれの特徴を簡単に押さえておきましょう。

3-1.食品リサイクル法

食品リサイクル法(正式名称:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)は、事業系食品ロスの削減・食品廃棄物の再生利用促進を目的として2000年に制定されました。食品リサイクル法の対象となる事業者は食品関連事業者で、具体的には以下のとおりです。

・食品製造業、食品加工業、食品卸売または小売業(食品メーカー・スーパーマーケット・百貨店・八百屋など)

・飲食店業、その他の食事の提供を行っている事業(レストラン・カフェ・食事などの提供を行うホテルや旅館・結婚式場など)

法律では、食品廃棄物の発生抑制を求めており、廃棄物の再生利用について実施率の目標を定めて達成に向けた取り組みをする必要があります。具体的には、食品廃棄物を農業用の肥料や家畜の飼料として再利用することなどが求められています。

3-2.食品ロス削減推進法

食品ロス削減推進法(正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)は、食品関連事業者だけでなく全ての事業者や国・地方自治体、消費者が国を挙げてフードロス削減に取り組むべく制定されました。

国や地方自治体は、フードロス削減に向けた施策の策定をする必要があり、各事業者はその施策に協力してフードロス削減に取り組むものとされています。事業者に対しては流通における納品期限の緩和や賞味期限を年月日ではなく年月までの表示とすることなどを求める案が盛り込まれました。

食品ロス削減推進法では、10月を食品ロス削減推進月間と定め、フードロス削減促進のためのイベントの開催を予定しています。

4.フードロスを削減するための取り組みとは?

フードロスについての理解が深まったところで、「家庭でも何かできないだろうか」と考える方も多いでしょう。最後に、フードロス削減に向けた取り組みや家庭でもできることについてご紹介します。

4-1.さまざまな企業が行っているフードロス削減の事例

企業もフードロス削減に向けてさまざまな取り組みをしています。身近な店舗でも取り組みをしているので、協力してみてはいかがでしょうか。

・セブン-イレブン・ジャパン

大手コンビニチェーンのセブン-イレブン・ジャパンでは、「エシカルプロジェクト」の一環として消費期限が近いおにぎりやパンなどの購入に特典を設けています。対象食品を買うときに電子マネーnanacoを利用すると、税抜価格の5%分のボーナスポイントが付与されます。

エシカルプロジェクト|セブン‐イレブン~近くて便利~

・びっくりドンキー

ハンバーグレストランびっくりドンキーでは、店舗から出る生ゴミを機械で農業肥料にリサイクルしています。また1店舗から1ヵ月に約120㎏排出される食用油は、バイオディーゼル燃料やハンドソープにリサイクルやアップサイクルを行って循環活用しています。

環境への取り組み|びっくりドンキー

4-2.家庭でもフードロスを削減するためにできることがある

家庭でできる取り組みとしては、過剰に食品在庫を持たないようにすること。買い物の際は必要な量を購入することを心掛けましょう。

また、賞味期限・消費期限を正しく理解して購入することも、フードロス削減に繋がります。賞味期限はその食品を美味しく食べることができる期限、消費期限は期限が過ぎたら食べない方が良い期限です。店頭に並んでいる食品でできるだけ先の期限のものを選ぶのではなく、期限内に食べ切ることができそうなものを選んでみてはいかがでしょうか。

調理の際にも、ひと工夫してみましょう。使いきれそうにない食材は、インターネットでレシピや保存方法を探してみてはどうでしょう。長期保存のアイデアを試したり、新しいレシピに挑戦したりして、楽しみながらフードロス削減ができると良いですね。

料理レシピサービス「COOKPAD(クックパッド)」には「消費者庁のキッチン」が開設され、各団体から提供されたフードロス削減レシピが公開されているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

消費者庁の公式キッチン 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが368万品

4-3.フードロス削減に効果的なビジネスも登場

何もしなければ捨てられていた食品を、必要な方とマッチングしてフードロスを削減する「フードシェアリング」という仕組みがあります。フードシェアリングサービスを、いくつかご紹介しましょう。

・「tabeloop(たべるーぷ)」

生産者と飲食店をつなぐフードシェアリングサービス。一次生産者が獲れすぎや規格外の食料が発生したタイミングで、飲食店が購入できる仕組みになっています。

Tabeloopの詳細はこちら

・「TABETE(たべて)」

アプリを使って飲食店や小売店と消費者をつなぐ仕組みのサービスです。売り切るのが難しくなったパンやお総菜、予約がキャンセルになって余った食事などを購入できます。

TABETEの詳細はこちら

・「KURADASHI(くらだし)」

流通業界の、納品・販売期限による賞味期限前に起こるロスを削減するプラットフォーム。企業から協賛価格で提供を受けた商品を格安で販売し、フードロスの削減に一役買っています。また、売上の一部は環境保護や動物保護の団体に寄付をして、社会貢献活動を行っています。

Kuradashiの詳細はこちら

おわりに 

今回の記事では、フードロスについて日本における現状の詳細や削減に向けた取り組みについてご紹介しました。世界規模で考えると莫大な量のフードロスが発生していますが、削減に向けて一人ひとりができることから始めることが大切です。無理なく始められることから取り組んでみてはいかがでしょうか。