洗面所やお風呂場、キッチンなどで使用されている水とお湯両方が出る混合水栓。平均的な耐用年数は10年前後といわれているため、使用していくうちに劣化などが原因となって水漏れが起こる可能性が高くなります。そうした場合、ご自身で修理することは可能なのでしょうか。
今回は混合水栓の水漏れの原因と修理方法について解説していきます。水栓のタイプや水漏れの箇所ごとにまとめているので、水漏れでお困りの方はこの記事を参考に修理を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を読んでわかること
混合水栓には3種類のタイプがあります。シングルレバー混合水栓と2ハンドル混合水栓は比較的構造がシンプルなため、ご自身でも修理がしやすいです。一方で、温度調節機能がついたサーモスタット混合水栓は構造がやや複雑なため、水漏れの修理はプロに頼むと良いでしょう。
混合水栓で起こる水漏れの原因は、パッキンやバルブカートリッジといったゴム製パーツの劣化によるものが多いです。平均的な耐用年数は10年ほどといわれていますが、可動部分にあるパーツは摩擦によって劣化しやすくなります。水漏れの原因がわかれば、問題となっているパーツを交換することで水漏れが改善します。メーカーや型番・品番を確認して新しいパーツを用意して交換しましょう。
混合水栓の種類は主に3つ
一般的に蛇口と呼ばれる「水栓」はお湯か水どちらかしか出ない「単水栓」とひとつの蛇口からお湯と水どちらも出すことのできる「混合水栓」とに分けられます。混合水栓はキッチンや浴室、洗面所で使われることが多く、水栓金具内でお湯と水を混ぜ温度を調節して水を出します。混合水栓の種類は大きく分けて3種類です。
シングルレバー混合水栓
シングルレバー混合水栓は文字どおりひとつのレバーで水温と水量を調整できるタイプで、近年多くの住宅で使われている水栓です。一般的にはハンドルを上下して水量を調整し、左右で温度調整ができる構造になっています。
片手でも操作できるほど使い方は比較的シンプルですが、中の構造はやや複雑です。水栓内にあるバルブがレバーと連動して開閉し、お湯や水の量を加減して温度を調整しています。
2ハンドル混合水栓
昔ながらの住宅によく見られるのが2ハンドル混合水栓です。2バルブ混合水栓とも呼ばれるように、お湯と水2つのハンドルがついています。混合水栓のなかでももっともシンプルな構造で、それぞれのハンドルを回してお湯と水の流量を調整することによって温度を調整しています。
サーモスタット混合水栓
サーモスタット混合水栓は、自動温度調節機能つきの水栓です。自動温度調節機能といっても、電子機器で制御しているわけではありません。
サーモスタット混合水栓が温度を保てる仕組みのポイントは、水栓内部の形状記憶合金バネにあります。中に組み込まれた形状記憶合金のバネが、設定された温度の変化によって伸び縮みして湯量を調整することで、水温を一定に保っているのです。水栓内の水温を一定にキープできるため、浴室のシャワーなど水温を保ちたい場所で多く利用されています。
一般的なサーモスタット混合水栓は、温度調節用と水量調整用の2つのハンドルがついたものが主流です。それに加えて、シャワーとの切り替えのためにもうひとつハンドルがついていたり、水量調整用ハンドルにシャワー切り替え機能があったりと、やや複雑なつくりになっています。
シングルレバー混合水栓の水漏れの原因
水栓の平均的な耐用年数は10年前後といわれています。シングルレバーは使い続けるうちに、水栓内部のコマパッキンが劣化したり、見えない部分が錆びついてしまったりして、ポタポタと水漏れしやすくなってしまうのです。
ここからはシングルレバー混合水栓で見られる水漏れのくわしい原因について確認していきましょう。
レバーの下から水漏れしている場合の原因
レバーやハンドルの下から水が漏れている原因のひとつとして、水栓内部のバルブカートリッジの劣化が考えられます。特に取りつけてから10年以上経っている水栓の場合は、バルブカートリッジの劣化が水漏れの原因の可能性が高いです。バルブカートリッジは混合水栓内部で水量や水温の調整を行う重要なパーツであるため、この部分が劣化すると水漏れだけではなく、水温の調整ができないなど、さまざまなトラブルにつながります。
接続部のナットを確認してゆるみが原因でなければ、バルブカートリッジを新しいものへ交換すると、水漏れが改善するかもしれません。同じ製品の部品が手に入りDIYに慣れている方であれば、ご自身でもバルブカートリッジの交換が可能でしょう。
スパウトつけ根から水漏れしている場合の原因
スパウトとは水が出てくる蛇口の先端へとつながるパイプ部分を指します。スパウトのつけ根から水漏れしている場合、間に挟まれているパッキンの劣化が原因の可能性が高いです。
パッキンは水道などパイプのつなぎ目から水漏れを防ぐために使われるゴム製の部品で、シングルレバー混合水栓にはUパッキンやOリングといったパッキンが使われています。可動部に取りつけられていることもあり、摩擦によって比較的劣化しやすいパーツです。
水道で使われているパッキンの寿命は10年といわれていますが、使っている年数に関わらず不具合が出ることもあります。スパウトのつけ根から水漏れしている場合、まずはパッキンの交換を試してみましょう。
吐水口から水漏れしている場合の原因
吐水口とは水が出てくる蛇口の先端部分です。シングルレバーの場合、水を止めてからもしばらくはパイプ内に残っている残留水がポタポタと垂れてくることがあります。
ただし、ハンドルを閉めて少し経ってからも、吐水口からポタポタと水が漏れているのであれば、レバー下からの水漏れと同様に、バルブカートリッジの劣化や故障が原因と考えられます。バルブカートリッジを新しいものに交換して、改善されるか確認しましょう。
2ハンドル混合水栓の水漏れの原因
2ハンドル混合水栓の場合も、パッキンやコマなど使用しているパーツの劣化が原因となって水漏れが起こっている可能性が高いです。ここからは2ハンドル混合水栓で起こる水漏れの原因について、水漏れしているパーツ別に確認していきましょう。
スパウトつけ根から水漏れしている場合の原因
スパウトのつけ根から水漏れしている場合、パッキンの劣化が原因であることがほとんどです。パッキンは劣化しやすいパーツであるため、交換することによって状態が改善する可能性があります。
ただし、パッキンではなくスパウトや本体に傷があるとパッキンを交換しても水漏れは直りません。本体側にある小さな傷であれば、サンドペーパーで磨くことによって改善する場合もありますが、スパウト自体に傷がある場合は、スパウトを新しく交換する必要があります。
吐水口パイプと本体のつなぎ目から水漏れしている場合の原因
吐水口のパイプと本体のつなぎ目から水漏れしている時にも、パッキンが原因となっていることが多いです。
特にキッチンや浴室など、パイプ部分をよく動かす場所に設置されている2ハンドル混合水栓の場合、パッキンの摩擦が激しく劣化したり破損したりしやすくなっています。そのため、パイプのつなぎ目から水漏れしている場合は、パッキンを交換すると改善する可能性が高いです。
吐水口から水漏れしている場合の原因
吐水口からの水漏れが止まらない場合、コマパッキンの劣化や破損が考えられます。コマパッキンとは、ケレップとも呼ばれているハンドル周りのパーツです。
ハンドルをひねるとコマパッキンが持ちあがり、吐水口へ水が流れる仕組みです。コマパッキンもゴム製で劣化しやすいため、吐水口からポタポタと水が止まらなくなったら、まずはコマパッキンを確認しましょう。
サーモスタット混合水栓の水漏れの原因
サーモスタット混合水栓は浴室のシャワーで使われる頻度が高いため、シャワーとつながっているパーツから水漏れしやすい傾向にあります。
ここからはサーモスタット混合水栓で起きる水漏れの原因について、水漏れしているパーツ別に確認していきましょう。
スパウトつけ根から水漏れしている場合の原因
サーモスタット混合水栓のスパウトつけ根から水漏れしている場合、開閉バルブが原因となっている場合が多くあります。開閉バルブとは、サーモスタット混合水栓の水量を調整する開閉ハンドルの内部にあるパーツです。
開閉バルブの交換によって水漏れが改善することも多いですが、10年以上使っているサーモスタット混合水栓であれば、本体が故障してしまっている可能性もあります。開閉バルブを交換しても水漏れが直らなければ、本体の取り替えも検討しましょう。
シャワーホースとシャワーヘッドの接合部から水漏れしている場合の原因
シャワーホースとのつなぎ目から水漏れしている場合は、パッキンが原因の可能性が高いです。基本的にシャワーホースのつなぎ目はひねれば外れるものが多いので、簡単にパッキンを交換できます。
シャワーホースに使われているパッキンは、溝が入っているUパッキンとシンプルな輪になったOリングの2種類があります。取り外したパッキンがUパッキンなのか、Oリングなのか確認してから新しいパッキンを購入するようにしましょう。
エルボ接続部から水漏れしている場合の原因
エルボとはシャワーホースと水栓本体をつないでいるL字パーツです。エルボはパッキンを挟んでシャワーホースや水栓本体とつながっているため、パッキンが劣化すると水漏れの原因になります。また、金属製のエルボ自体も錆びたりひび割れたりして劣化するので注意が必要です。
まず、エルボをつないでいるナットを締め直してみて、改善しないようであれば、パッキンやエルボ自体の劣化が原因かもしれません。エルボを取り外してサビや破損が見られる場合は、エルボを交換するようにしましょう。
シャワーヘッドから水漏れしている場合の原因
シャワーヘッドから水漏れしている場合、しばらく観察して自然と水漏れが止まるようであれば、シャワーヘッド内の残留水の可能性があります。水が出続けるようであれば、原因は2つ考えられます。
ひとつはシャワーヘッドの本体の故障です。シャワーヘッドが破損してしまっていると、ひび割れや穴などから水漏れが起こります。もうひとつは開閉バルブの故障です。スパウトのつけ根からの水漏れの原因と同様に、開閉バルブが劣化したり破損したりしていると、正常に水を止められないために水漏れが起こります。
どちらの原因であっても、問題となっているパーツを交換することで水漏れが改善することが多いので、部品を用意して交換してみると良いでしょう。
水栓機器はセルフ修理できる?
ご説明してきたように、水漏れの原因の多くがナットのゆるみやパッキンなどパーツの劣化によるものです。そのため、原因がわかれば、問題となっているパーツを交換することで水漏れが改善します。水漏れしている混合水栓の種類や水漏れしている部分を確認して原因を突き止め、必要な部品を用意して交換しましょう。
また、修理の際には止水栓や水の元栓を閉めてから作業しましょう。シャワー水栓には止水栓がついていることが多いので、マイナスドライバーを使って止水栓を閉めます。直す箇所によっては必ずしも元栓を閉めなくてもいい場合もありますが、念のために水を止めて作業すると水が噴き出して水浸しになってしまうリスクが避けられます。
水栓機器の修理に必要な道具
混合水栓の修理の際は以下の道具があると便利です。
- プラスドライバー
- マイナスドライバー
- モンキーレンチ
- ウォーターポンププライヤー
水栓機器の修理の際は、ボルトやナットを回してホースやパイプを取り外すことが多いため、モンキーレンチだけではなく、ウォーターポンププライヤーもあると良いでしょう。ウォーターポンププライヤーは水道工事で使われるバルブやナットをつかんで回すための工具です。どれもホームセンターで購入できるので、揃えておくのがおすすめです。
新しく交換する部品の購入方法
修理する前には必ず混合水栓の説明書を確認してください。混合水栓はメーカーや型番で仕様が異なるため、分解する前にあらかじめ説明書に目を通しておくと安心です。
パーツの交換が必要な場合は、説明書やメーカーのホームページで品番や型番を確認してから、ホームセンターやインターネットで購入するようにしましょう。ただし、設置されてから10年以上経っていると、同じ製品が廃盤になっている可能性もあるため、その際はメーカーへ問い合わせてみてください。
大まかな修理の流れ
劣化したパッキンやバルブカートリッジの交換方法は、どの混合水栓でもほぼ同じ手順です。まずは混合水栓の分解方法についてご説明します。
【混合水栓の分解方法】
- ハンドルつけ根にあるねじをゆるめて、レバーやハンドルを上に引き抜き取り外す
- モンキーレンチを使ってナットのカバーを取り外す
- 吐水口のついているスパウトを取り外す
シングルレバー混合水栓はレバーを取り外した後にバルブカートリッジを取り外します。水栓を分解できたら、水漏れの原因となっているパーツを突き止めましょう。劣化しているパッキンやカートリッジを取り外して新しいものと交換し、分解した混合水栓を元どおりに組み立てます。組み立て直したら、止水栓を開けて水漏れが直っているか、水が問題なく出るか確認してください。
心配な場合はプロにお任せ
シングルレバー混合水栓や2ハンドル混合水栓は構造がシンプルなので、DIYに慣れている方であれば比較的簡単に修理ができるでしょう。しかし、慣れていない方にとっては分解しても原因を突き止められなかったり、分解後に元に戻せなくなってしまったりといったトラブルが起こりがちです。ご自身での修理に不安がある方はプロにお願いするのがおすすめです。
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おわりに
パーツの劣化によって水漏れが起こりやすい混合水栓ですが、比較的構造がシンプルなシングルレバー混合水栓や2ハンドル混合水栓であれば、ご自身での修理も可能です。
ただし、構造が複雑なサーモスタット混合水栓や、原因がわからない水漏れであればプロに依頼すると安心でしょう。今回ご紹介した内容を参考に、混合水栓のタイプや水漏れしている場所から原因を特定して、修理方法を検討してみてください。