トイレは使い方ひとつで、突然、詰まることがあります。トイレが詰まった際に、無理やり水を流したりご自身で直そうとしたりした結果、便器や配管を壊してしまう方が少なくありません。トイレの詰まりは、適切な手順を踏んで直すことが大切です。
この記事では、トイレが詰まった時の症状・原因、トイレの詰まりを直す方法などを紹介します。
トイレが詰まった時の症状
トイレの詰まりとひと口にいっても、症状はさまざまです。トイレが詰まるときは、設備の老朽化・ゴミの詰まりなど、いくつかの原因が考えられます。トイレが詰まったと疑われる場合は、早めに対処することが重要です。早めに対処できれば、トイレの詰まりが悪化することを防げます。
以下では、トイレが詰まった時の主な症状を3つ紹介します。
水が流れない
水が流れないのは、トイレが詰まった際に起こる代表的な症状です。レバーを回しても水がうまく流れず、便器内に水が溜まります。水が流れないときには、タンク内に供給される水が少ないことが考えられます。例えば、水を入れたペットボトルをタンクに入れているなど、節水のために水位をかさ増ししていると、詰まってしまうことがあります。
水を入れたペットボトルをタンクに入れると節水できる反面、汚物を流す際に必要な水量が確保できません。結果、レバーを回してもうまく排水できず、トイレが詰まります。
汚物を流すためには、約5リットルの水が必要です。対して最近のトイレタンクは5リットル弱のタンク容量しかありません。昔のものであれば10リットル以上のものもありましたが、最近のトイレで節水を目的にタンクへ水を入れたペットボトルを入れることは控えましょう。
便器の水位が普段と違う
便器の水位が普段と違うときも、トイレの詰まりが疑われます。水位が下がることは一時的にあるものの、水を流した際に便器に水が多く溜まる症状が見られるときは、トイレが詰まっている可能性が高いといえます。
この症状の場合、上昇した水位は放置しておくと元に戻りますが、戻るまでの時間が長い場合は排水管に異物が詰まっている状況です。そのため、できるだけ早く対処する必要があります。
ただし、何度も水を流して詰まりを直す方法は控えましょう。排水管の奥に異物を追い込んでしまうだけでなく、行き場を失った水が便器から溢れる恐れがあります。便器の水位が増減する場合は、専門会社に点検を依頼するなど、水を流す以外の方法で詰まりを解消することがおすすめです。
便器の奥から異音がする
水を流した際に、「ゴボゴボ」と便器の奥から異音がする場合も、トイレが詰まっている可能性が高いといえます。異音が鳴るのは、詰まっている物が原因で水を流した際に排水管に空気も一緒に流れ込むためです。
便器の奥から異音がする際は、何が詰まっているのかを特定することが大切です。例えば、ポケットから気付かないうちに落ちた硬貨や、子どもが滑らせ落としたおもちゃなど、いくつもの原因が考えられます。水を流して異物を取り除こうとする方もいますが、逆流や故障の原因になるため控えましょう。
詰まっている物によって対処方法が変わるため、まずは何が詰まっているのかを突き止めることから始めましょう。
トイレの詰まりの原因
トイレが詰まるのは、「適切な水量で汚物を流していない」「流してはいけない物を流した」など、さまざまな原因が考えられます。また、トイレの排水管が湾曲している点も、詰まりを引き起こしやすい理由のひとつです。基本的には、利用者の間違った使い方が原因でトイレが詰まります。ここからは、トイレが詰まる代表的な原因を6つ紹介します。
大量のトイレットペーパー
トイレットペーパーは水に溶けやすい性質がありますが、大量に流すと詰まる原因になります。トイレットペーパーの使用量が多いと溶け切らず、排水管の途中で詰まります。
また、トイレットペーパーを使った際に、小洗浄で流すことも詰まりを引き起こす原因のひとつです。小洗浄は、トイレットペーパーを使わずに水を流す際に使います。そのため、トイレットペーパーがある状態で水を流すことには適していません。
他にも、最近の節水トイレでは水量が少なく、水の勢いでトイレットペーパーを流しきれないことがあります。トイレットペーパーの使用量が多い場合は、小分けにして水を流すなど、トイレの詰まりを予防することが大切です。
ティッシュペーパーやトイレに流せないおしり拭き
ティッシュペーパーやおしり拭きをトイレに流した場合も、詰まることがあります。ティッシュペーパーやおしり拭きはトイレットペーパーとは異なり、水に溶けにくくできています。水を流した際に溶けることなく排水管に流れるため、途中で詰まることが珍しくありません。
トイレットペーパーの代用としてティッシュペーパーやおしり拭きを使った際は、ゴミ箱に捨てましょう。最近は、水に溶けるティッシュペーパーやおしり拭きも出ているため、使用上の注意を確認し、トイレに流せるのかを判断する必要があります。
生理用ナプキンやオムツ
生理用ナプキンやオムツは、トイレに流せません。どちらも吸水ポリマーでできており、水を含むと膨張します。生理用ナプキンやオムツをトイレに流すと、吸水ポリマーが原因で排水管の全体が詰まるため、他の物を詰まらせたときよりも修理が困難です。生理用ナプキンやオムツを誤って流した際は、速やかに専門会社へ連絡しましょう。
水に溶けない異物
水に溶けない異物を落とした際は、次のような原因でトイレが詰まります。
- 落下物そのものが排水管を塞いで詰まる
- 落下物にトイレットペーパーなどが絡んで詰まる
落下物として代表的なのは、ハンカチ・スマートフォン・財布など、ポケットの中に収まる小物です。また、硬貨やレシートなどが原因でトイレが詰まるケースもあります。トイレを使う際は、ポケットから落ちそうな物をあらかじめ取り出しておくことをおすすめします。
ペット用トイレ砂(猫砂)
ペット用トイレ砂は、基本的に流すことを控えましょう。ペット用トイレ砂はトイレットペーパーなどに比べて流れにくく、少量であっても詰まる恐れがあります。
動物の排泄物には毛が多く含まれており、毛玉などが排水管を詰まらせる原因になることが珍しくありません。最近は、トイレに流せるタイプのトイレ砂も増えていますが、普通ゴミとして処理することがおすすめです。
残飯や料理で出た生ゴミ
残飯や料理で出た生ゴミを流すことも、トイレが詰まる原因になります。残飯などには油分が多く含まれているため、水を多く流しても排水管の奥に詰まります。残飯がすべて流れたとしても、排水管は残飯の油分で汚れてしまい、トイレットペーパーなどが詰まりやすくなるかもしれません。
また、残飯だけでなく嘔吐物を流すこともトイレの詰まりを招く原因のひとつです。嘔吐した際に、米粒などが原型をとどめている場合は、固形物を取り除いた上でトイレを流しましょう。細かい残飯などであっても詰まりを引き起こす可能性があるため、食品関連のゴミは普通ゴミとして処理することが基本です。
自分で直すか専門会社に頼むかを判断するポイント
トイレの詰まりは、専門会社に修理してもらう、もしくはご自身で直すことになります。ご自身で詰まりを直すのはお金が掛かりませんが、専門的な知識がなければトイレを壊す恐れがあります。
詰まりの原因がわからない場合は、排水管などが経年劣化している可能性がゼロではありません。そのため、ご自身で修理することに不安を覚える方・詰まりの原因がわからない方は、専門会社に依頼することがおすすめです。ここからは、トイレの詰まりをご自身で直すか専門会社に頼むかを判断するポイントを、詰まったシーンに分けて紹介します。
詰まりの原因がトイレットペーパー
詰まりの原因がトイレットペーパーの場合、ラバーカップがあればご自身で対処できます。ラバーカップを排水口に密着させて何度か押し付けたり引っ張ったりすると、詰まりが解消されるでしょう。
一方で、トイレットペーパー以外を詰まらせた場合は、ご自身で直すよりも専門会社に依頼する方がおすすめです。ご自身で異物を取ろうとすると、排水管を傷付けたり異物を押し込んでしまう恐れがあります。
便器の水位が少しずつ引いていく
便器の水位が少しずつ引いていく場合は、落下物などが完全に詰まっている状況ではないため、ご自身で直せる可能性があります。ただし、水を流して詰まりを解消しようとすると詰まりが悪化するため、手作業で詰まっている物を取り除きましょう。
自分でラバーカップを使って直す方法
トイレの詰まりをご自身で直す際は、ラバーカップを使うことが一般的です。しかし、ラバーカップを正しく使わなければ、トイレの詰まりを解消できません。ここからは、トイレの様式別のラバーカップの特徴・使用する際の注意点を紹介します。
和式用と洋式用の違い
ラバーカップは、和式用と洋式用で形状が若干異なります。トイレの様式別におけるラバーカップの特徴は、次のとおりです。
- 和式用:柄の先におわん型のカップが付いている
- 洋式用:おわん型のカップの中にゴムの筒が付いている
また、和式・洋式どちらのタイプでも使用できる、おわん型のカップにツバが付いたラバーカップもあります。
ラバーカップを使うときの注意点
ラバーカップを使う際は、トイレの様式に合ったラバーカップを使うことが大切です。それぞれのトイレに合ったラバーカップを使わなければ、詰まりをうまく解消できません。
例えば、洋式トイレに和式用のラバーカップを使ってもゴムの筒がないため、排水口の中にうまく押し込めないでしょう。反対に、和式トイレで洋式用のラバーカップを使うと、ゴムの筒が邪魔をして排水口にフィットしません。ラバーカップを正しく使うためにも、トイレの様式に合ったラバーカップの形状は覚えておきましょう。
洋式トイレの詰まりの取り方
洋式トイレが詰まった際に慌ててラバーカップを使うと、周囲を水浸しにする可能性があります。周囲を汚さないためには、ラバーカップを正しく使うだけでなく、前もって準備することが大切です。
ここからは、洋式トイレの詰まりの取り方を3つの手順に分けて紹介します。
止水栓を止める
洋式トイレの詰まりを取る際は、まず止水栓を止めましょう。止水栓はトイレの壁や床に付いています。手で止められるタイプもありますが、止水栓の形状によっては、マイナスドライバーなどの工具を使って止める必要があります。詰まりを取る作業に入る前に、止水栓の形状をチェックしておくことがおすすめです。
止水栓を止めずに作業を進めると、水漏れを引き起こす可能性があります。特に、集合住宅で水漏れを引き起こすと、周囲の家にも迷惑を掛けてしまいます。二次被害を防ぐためにも、洋式トイレの詰まりを取り除く作業は、止水栓を止めてから始めてください。
床をビニールシートで覆う
ラバーカップを使用する際は、床をビニールシートで覆うことも忘れずに行いましょう。ラバーカップを使ったときに飛び散る水で、床が濡れることを防げます。ビニールシートがない場合は、新聞紙を床に敷いて代用できます。また、ラバーカップを差し込める切り込みを入れたビニールを便器に被せて作業すると、水の飛び散りをより防ぐことが可能です。
ラバーカップで詰まりを取る
準備が整ったら、ラバーカップでトイレの詰まりを取ります。ラバーカップは、便器に水が溜まっている状態で使いましょう。水位は、ラバーカップのおわん部分が隠れるくらいの深さが目安です。
水が溜まっていない状態では、真空状態にならず詰まりを解消できません。水が少ない場合は、バケツなどで便器に水を足してから作業を始めてください。詰まりを取る際は、ラバーカップを排水口に密着させて、押し込んだり引っ張ったりします。「ゴボゴボ」と音がして水が流れ出したら、詰まりが取れたサインです。
レバーを回して水を流し、正常な水位に戻れば詰まりが取れたと判断できます。もし、水位が正常でない場合は、再びラバーカップを使って詰まりを取り除いてください。
作業終了後は、ラバーカップを適切に手入れします。そのまま放置すると、ラバーカップから悪臭が立ち込めたり虫が湧いたりするため、水洗いをしたのちにきれいに乾燥させることが大切です。
トイレの詰まりを取るのにやってはいけないこと
トイレの詰まりは、適切な方法で直すことが大切です。間違った方法でトイレの詰まりを取ろうとすると、便器を壊したり排水管を痛めたりする恐れがあります。便器や排水管を壊してしまうと、詰まりを直す以外に費用が別途掛かるケースも珍しくありません。
ここからは、トイレの詰まりを取る際にやってはいけないことを3つ紹介します。
熱湯を流す
トイレが詰まった際に、熱湯を流すことはやめましょう。ネット上などには、「トイレットペーパーは熱湯で溶ける性質がある」という情報が流れています。熱湯でトイレットペーパーが溶けやすいことは事実です。しかし、トイレは陶器でできているため、熱湯を流すとヒビが入る可能性があります。
トイレの詰まりを解消できても便器を壊してしまえば、修理費用が膨大に掛かります。熱湯を流す方法は詰まりを取れるといえますが、二次被害を防ぐためにも控えた方が良いでしょう。
便器を外して詰まりを取る
排水管の奥が詰まっている場合は、便器を外して詰まりを解消しようとする方もいるでしょう。しかし、便器を外して詰まりを解消すると、元に戻せない・便器を壊してしまうなどの理由から、取り返しのつかないことになる可能性があります。
また、便器を外すことで床や壁に汚れが飛んだり、トイレや周囲の部屋に悪臭が広がったりすることも否めません。便器を外さなければ詰まりを取れない場合は、専門会社に相談することをおすすめします。
重曹と酢を使う
重曹と酢を使ってトイレの詰まりを解消することも、おすすめできない方法のひとつです。重曹と酢を注ぐと炭酸ガスが発生し、便器から水が溢れる恐れがあります。尿石などを掃除できる効果はありますが、便器や排水管にはガスの逃げ場がないため、トイレの詰まりを解消する方法としては適していません。
なお、重曹と酢を使った方法は、ガスの逃げ道がある台所のシンクの詰まりを解消する方法としては有効です。トイレの詰まりを解消する際は重曹と酢を使わず、ラバーカップを利用しましょう。
おわりに
トイレが詰まった際は、水が流れない・水位が普段と異なる・便器の奥から異音がするなどの症状が見られます。トイレが詰まるのは、大量のトイレットペーパーや流せない異物を流すなど、トイレの使い方に原因がある場合がほとんどです。
トイレの詰まりは、トイレの様式に適したラバーカップを使うとご自身で直せます。ただし、熱湯を流す・重曹と酢を使うなど、ラバーカップ以外を使った詰まりの直し方は、トイレを壊す恐れがあるため控えた方が良いでしょう。
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