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【意識改革】家のなかを「片づける前」のポイント5つ

中里 ひろこ Graceful Life代表

執筆者
中里 ひろこ Graceful Life代表

Graceful Life代表。転勤や子育て中の片付かない日々に悩んだ経験から、思考整理から始める整理術ライフオーガナイズを学ぶ。個人宅のサポートを経て、現在は講師として活動。最近は「片付け」を通して自分を大事にする女性の生き方も伝えている。著書『わたしに合った「片づけ」ができる仕組みづくり』(講談社2021/5)

最近テレビや雑誌の⽣活特集には⽋かせない⼈気テーマになっているのが「⽚づけ」です。書籍のランキングにも⽚づけ本は必ずといって良いほどランクインしており、ブームともいえる社会問題です。特に新型コロナウイルス感染拡⼤を機に家時間が⻑くなったことで、今こそ⽚づけたいと考える方が増えました。誰もが家のなかではストレスなくのびのびと暮らしたいという希望があるでしょう。私たちの⽣活は「家」という空間で「モノ」を頼りに⽣活しているのですから、⽇々「⽚づけ」に向き合わなければいけません。私たちの暮らしのなかで避けては通れない⼤きなテーマにもなっています。

このコラムでは「⽚づかない理由」5つを考えてみましょう

片づける⽬的が明確でない

「あなたはご自身が‟⽚付けられない”タイプだと思いますか?」とのアンケートに、6割ほどの⽅が「片づけが苦⼿」と答えました。「⽚づけなんて、誰でもできるはず!」「専業主婦なのに⽚づけもできない」「コロナ禍で在宅ワークになり、ますます⽚づかなくなった」など、苦⼿意識のある⽅が多いです。「⽚づけ」は躾(しつけ)のように捉えられることが多く、以前は家庭で学ぶことであり、体系的に学べる機会はありませんでした。今は、学校教育で必要ということから家庭科の教科書に「⽚づけ」の項⽬がありますが、実践的とはなかなか結び付かないというのが現状です。

そもそも「⽚づけ」の意味とは「使ったモノを、収納場所に戻す⾏為」です。これだけを聞くと、⽚づける⾏為はシンプルなのですが、⽚づけが苦⼿な⽅の家では「収納場所」が明確でなかったり、⽚づける場所までの距離が⻑かったり、アクション数が多く⾯倒なことから、⽚づかない状態になっています。また、収納場所が決まっていても実際はそこに収まらないほどの物量が多かったりと「⽚づけられない理由」も多岐にわたります。「⽚づけ」を単にモノを捨てることで⼀時的に解決したように感じたり、家にあるもの全てを、つっぱり棒や収納テクニックを駆使して家の中にパズルのように収めたとしても「暮らしやすい」とはいえないでしょう。

まずおすすめしたいのは、⽚づいた家で何をしたいのか考えてみてください。これは「あなた⾃⾝や家族の思考の整理」です。「今、本当はどのような暮らしを実現したいのか?」と考えることで、ご⾃⾝や家族が感じているストレスや不満に気づくことができます。それらを解決するために「⽚づけ」という⼿段を使うのです。年齢やライフスタイルの変化で、望む暮らし⽅も変化します。何のために⽚づけるのかという「⽚づけの⽬的」を明確にしていくと、モノの選び⽅も変わりますし、本当に必要なモノにも気づくことができます。

家のなかの物量が多くて片づかない

我が家の物量は多いのでしょうか?」と、お客様から尋ねられることがあります。個人によって⽣活スタイルも異なるので、正解はありません。単に家の⾯積や収納スペースとのバランスもあるので、何個以上が多い、少ないともいえません。そして、物量のバランスは、ライフスタイルの変化によっても変わります。例えば、⾷器の物量も夫婦2⼈の時代から家族が増え、歳を重ねることで増えていくのが⼀般的ですが、⼦どもが⾃⽴したり家族の⼈数が減っても「物を⼿放す」ことがなければ「⾷器が多い状態」となります。

このように、ライフステージの変化によって、必要な物量も変化します。「物量を⾒直す時のヒント」として、カテゴリー別に何が必要なのか優先順位をつけましょう。また新しいモノを購⼊する際、現状使っているもので代⽤できないかと考えたり、レンタルもおすすめです。引っ越しなど暮らし⽅に変化がある場合もモノを⾒直す機会になります。引っ越し前は和室や押⼊れがあったけれど、新居にはない場合、座布団や客⽤布団を⼿放される⽅が多いです。

またご⾃⾝は、それほど買い物などしないにもかかわらずお付き合いなどで、いただきものが多いご家庭もあるでしょう。年間を通して把握できるお中元やお歳暮の時期は、スペースを確保したり、他の方にお譲りするなど、家に留まらせない⼯夫もできます

家の収納や動線に問題があり片づかない

「収納が少なすぎる」「必要な場所に収納がない」といった不満をお聞きすることも多いですが、収納が多いからといって⽚付けられるとは限らないのも現実です。簡易な置き家具や⼤型家具を設置し、収納術などを活用して⼯夫をしているにもかかわらず、そこに収まりきらず溢れていたり、置き家具の配置により動線が悪くなっているご家庭も多いことがあります。いま⼀度、家のなかを俯瞰する(冷静に見渡す)ことで、「変えられること」「変えられないこと」を整理してみましょう。どこに、何を収納すればモノの出し⼊れがしやすくなるのか、特に「使った後に戻しやすいかどうか」といった動線を⾒直すことで解決できることもあります。

安易な収納グッズに頼ってばかりで片づかない 

スマートフォンの普及により、毎⽇のように新しい情報にふれ、SNS を通じて他の方の暮らし⽅を気軽に⾒ることが増えたのではないでしょうか。情報量の変化は、過去10年と⽐較すると 530 倍以上といわれています。コロナ禍になり在宅時間も増え、インターネット利⽤も格段に増加しました。クリックひとつで⾃宅にモノが届く、インターネットショッピングの便利さの弊害が「⽚づけの悩み」となっているともいえるでしょう。そして、それらを⽚付けるために試した⽚づけ⽅法ランキングがこちらです。

これまでに試したことのある片づけ方法ランキング(複数回答)

第 1 位 収納グッズ、ボックスを買った(74%)

第 2 位 食器棚や箪笥など、大きな収納家具を買った(26%)

第 3 位 片づけや整理整頓に関する本を買った(15%)

第 4 位 家族や友人に手伝ってもらって一斉に掃除をした(14%)

第 5 位 引っ越した(7%)

第 5 位 片づけようと思ったことが無い(7%)

第 7 位 片づけのプロにお願いした(1%)

第 8 位 トランクルームを借りた(1%)

参照元:『HOME’S』を運営するネクスト調査https://www.lisalisa50.com/research20131202_7.html

第1位「収納グッズ、ボックスを買った」が 74%とあるように、いかに多くの⽅がモノをグッズで⽚づけようとしているかわかります。実際、⽚づけの紹介記事やWEBサイトで収納グッズを使用していない家はありません。もちろん、それらをうまく使えれば良いのですが、使用前よりも複雑な収納⽅法になったり、使いこなせずガラクタのように扱われていることがあり残念に思うことがあります。

時間管理が苦⼿で片づかない

⽚づけが苦⼿な⽅の多くが、「⽚づけの時間」を確保できていないのも実情です。学校⽣活のように、授業と授業の合間の時間や、掃除の時間など決まっているとリセットできるのですが、家時間の場合は⾃発的に「⽚付ける時間」を確保する必要があるのです。⽚づけが得意な⽅は、「モノを⽚付ける」までの時間をスケジュールのなかで確保しているのが特徴です。

とはいっても、⽇々忙しくマルチタスクに追われている⽅も多いでしょうから、家事ごとに実際どのくらいの時間がかかっているのか把握するところからスタートしてみましょう。 時間を把握するだけでも、家事⾃体の⾒直しができたり、ご自身が望む⽣活を叶えるために必要な時間もわかってきます。

今は様々な家事の⾃動化が進み、専⽤のマシーン(お掃除ロボット、⾷洗機など)を利⽤することで家事を楽にできたり、苦⼿な家事を⼿放せるようになっています。けれど、「⽚づけ」はまだまだ私たち自身が動く必要があるので、いかに⼿間や時間がかからないようにするかを考え、モノを楽に戻せる仕組みを作っていきましょう。「モノの量が増えることが豊かさ」とされた時代から、「ご自身の暮らしを豊かにしてくれるモノと関わる時間」が⼤切という価値観に変化してきているようです。

おわりに

「⽚づかない理由」を知ることで、今まで試⾏錯誤しても⽚づかなかった理由や今後⾒直すポイントがおわかりいただけたでしょうか。「⽚づけ」を楽にできるようにすることはご自身の暮らしの質が向上します。探しものをする時間やストレスがなくなり、今あるものを⼤切にする気持ちも育まれます。また、⽚づいた空間は安全に暮らす⼟台となりますので、元気で健康なうちに取り組みましょう。

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