最近では「自分年金」という言葉を耳にする機会が増えてきました。自分年金について何となくイメージは持っているものの、具体的にどのように始めればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。今回は、自分年金に興味はあるものの、まだ最初の一歩を踏み出せていない方に向けて、その作り方をわかりやすくご紹介します。特に初心者におすすめの「積立投資」を活用した方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
自分年金とは、老後の資金を自ら準備することを指します。財形貯蓄や保険、確定拠出年金、金融商品への積立投資などにより資金を自分で積み立てていく方法です。例えば、複数の資産や銘柄に分散投資できる投資信託や、高配当株を積み立てて資金を増やしていくのも有効な手段のひとつです。
自分年金を始める時の注意点は、投資のリスクやデメリットを把握しておくことです。また、初心者の方や投資リスクが心配な方には、少額から手軽に始められる投資や、リスクを抑えやすい分散投資から始めるとよいでしょう
自分年金の基礎知識を知っておこう

近年、老後資金として2,000万円が必要とされる「老後2,000万円問題」が話題になりました。「将来、受け取れる公的年金の額が少なくなる」という声も聞かれ、多くの方が老後の生活に不安を抱えている状況です。
こうした状況の中、少しでも年金に対する不安を解消し、老後の生活にゆとりを持たせたいという思いから「自分年金」を作り始める方が増えています。
まずは、自分年金について理解していきましょう。
自分年金とは
「自分年金」とは、老後の資金不足を補うために、自ら準備する資金のことです。「年金」といっても公的な年金制度ではなく、財形貯蓄や保険、確定拠出年金、金融商品への積立投資などによって資金を積み立てていく方法を指します。
自分年金を始めるメリット
自分年金を始める大きなメリットは、老後の資金不足に備えられる点です。
近年、平均寿命の伸びに伴い、長生きするほど生活費や医療費などの負担が増加し、生活に困窮する可能性がある「長寿リスク」が高まっています。総務省の家計調査によると、65歳以上の無職夫婦世帯における平均的な家計収支は以下のようになっています。
- 実収入:244,580円
(内 社会保障給付:218,441円) - 消費支出:250,959円
- 非消費支出:31,538円
実収入から消費支出および非消費支出を差し引くと、毎月37,917円の赤字です。これが20年間続くと仮定すると、約900万円(≒37,917円×12ヵ月×20年)の資金が不足する計算です。
ただし、これはあくまで平均的なデータであり、実際の家計収支は世帯ごとに差があります。物価の上昇などによる支出の増加や、ライフイベントに応じた出費などを考慮すると、想定より多くの資金が必要となる可能性もあるでしょう。
さらに、老後の働き方やパートナーとの関係性、理想とする老後生活によっても、必要となる金額は大きく変わります。自分年金を始めておくことで、こうした老後資金の不安に備えられる点がメリットです。
また、自分年金を積み立てる方法によっては節税効果を得られる可能性もあるため、次項にてその方法も確認しましょう。
参照元:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
自分年金を作るのにどのような方法がある?
ここからは、自分年金を作るために、公的年金以外で活用できる制度や積立方法についてご紹介します。
財形貯蓄制度

「財形貯蓄制度」は、勤め先の企業が支払う給料からあらかじめ決めた金額を天引きして積み立てる制度です。この制度は企業の福利厚生のひとつとして提供されており、計画的に貯蓄しやすい点が特徴です。さらに、利子に対する非課税措置がある点や、財形持家融資を利用できるなど多くのメリットがあります。財形貯蓄制度は、主に下記の3種類に分類できます。
- 一般財形貯蓄
「一般財形貯蓄」は、用途に制限がなく、自由に引き出せます。契約時の年齢制限はなく、複数契約も可能です。
- 財形年金貯蓄
「財形年金貯蓄」は、55歳未満の方が5年以上の期間にわたって積み立てた後、60歳以降に年金として受け取れる制度です。財形住宅貯蓄と合わせると元利合計550万円まで(財形年金貯蓄の場合、保険などは払込額385万円まで)の利子などが非課税となりますが、払い出す目的が年金以外の場合には税金がかかります。
- 財形住宅貯蓄
「財形住宅貯蓄」は、マイホームの購入またはリフォームを目的とした制度です。財形年金貯蓄と同じく、契約者が55歳未満であること、ひとり1契約のみなど制限があります。財形年金貯蓄と合わせると元利合計550万円までの利子などが非課税となりますが、払い出す目的が住宅以外の場合には税金がかかります。
参照元:厚生労働省|財形貯蓄制度
個人年金保険
「個人年金保険」とは、民間の生命保険会社が提供する積立型保険のことです。一般的に、毎月一定額を積み立て、60歳など満期のタイミングで受け取れる場合が多くなっています。保険の種類によって運用方法や受取期間などが異なるため、自分のライフプランに合わせて選択できます。なお、支払った保険料は「生命保険料控除」の対象となります。
確定拠出年金
「確定拠出年金」とは、毎月一定の額を積み立て、自ら資金運用をしながら老後に備える公的制度です。原則として60歳以降に年金または一時金として積み立てた資金を受け取れます。確定拠出年金は主に「企業型」と「個人型(iDeCo)」に分類されます。
企業型
企業型の場合、掛金は主に企業が拠出しますが、企業によっては従業員が自己負担で追加拠出できる場合もあります。
個人型(iDeCo)
個人型は、個人が任意で加入する年金制度であり、掛金は全額自己負担となります。なお、拠出額のすべてが「所得控除」の対象となり、受取時には「公的年金等控除」または「退職所得控除」が適用されます。
積立投資
「積立投資」とは、毎月一定額ずつ投資信託などの金融商品を購入し、資産を積み立てていく方法です。金融機関によっては月100円から始められるため、初心者でも気軽に取り組める点が特徴です。積立投資を上手く活用することで、将来的に安定した資産を形成し、自分年金を作ることも可能です。
積立投資を活用して自分年金を作ろう!
老後資金の準備を考えたとき、真っ先に「貯金」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、低金利の預貯金では資産を増やすのが難しいため、運用益を狙える積立投資を活用して「自分年金」を作る方法がおすすめです。
積立投資は、少額から誰でも手軽に始められる資産運用方法です。早く始めるほど長期間の運用が可能になり、複利効果を活かして効率的に資産を増やせます。複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、元本だけでなく利益にもさらに利益が上乗せされる仕組みのことです。
また、積立投資では毎月一定の金額をコツコツ積み立てることで、購入価格を平均化する「ドルコスト平均法」の効果も期待できます。ドルコスト平均法により、価格変動リスクを大幅に抑えられる点も積立投資の魅力です。
さらに、複数の金融商品や銘柄に「分散投資」すれば、リスクをさらに軽減しながら安定的な運用を目指せます。自分の投資目的やリスク許容度に合った投資先を選ぶことで、安定した運用成果を得られる可能性があります。
積立投資で自分年金を作る方法とは
ここからは、積立投資を活用した具体的な自分年金の作り方をご紹介します。自分年金作りは、事前の準備が成功のカギです。計画的に資産を形成するためにも、以下のステップを参考にしてみてください。
1.積立金額のシミュレーションをする

自分年金を作るためには、まず将来必要となる金額を明確にし、それを達成するための積立金額を計算してみましょう。将来必要な金額を算出するためには、現在の家計の状況を把握するだけでなく、老後の収入やライフイベントに伴う支出など、将来の収支もできるだけ具体的に想定することが大切です。
積立金額を考える際には、目標金額や運用期間を設定してシミュレーションを行いましょう。金融庁が提供する「つみたてシミュレーター」を活用することで、簡単にシミュレーションを行えます。計算が簡単にできるだけでなく、積立金額と運用成果がグラフで表示されるので、非常にわかりやすいツールです。
シミュレーションを行う際には、価格変動などの投資リスクを考慮し、自分に合った積立金額や想定利回り、積立期間を検討していきましょう。なお、「つみたてシミュレーター」によるシミュレーション結果は、将来の運用成果を予測したものに過ぎず、実際の運用結果を保証するものではありません。
参照元:金融庁「つみたてシミュレーター」
2.投資先やポートフォリオを考える
投資を始める際、最初に悩むことのひとつが投資先とポートフォリオの組み方です。「ポートフォリオ」とは、分散投資を目的とした金融商品の具体的な組み合わせのことを指します。
ポートフォリオは、個人の資産状況やライフプラン、リスク許容度などによって適した形が異なります。そのため、運用目的に応じて慎重に検討することが大切です。例えば、なるべくリスクを抑えて運用したい場合は、株式などと比べて相対的にリスクが低いとされる債券や、債券を中心に組み入れた投資信託を中心に据えるなど、ご自身の目標や許容できるリスクの範囲内でポートフォリオを組みましょう。
とはいえ、投資初心者が自分に合ったポートフォリオを組むのは簡単ではないので、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオを参考にするのもひとつの方法です。
GPIFとは、日本の公的年金である厚生年金と国民年金の積立金を運用・管理している行政法人です。GPIFの基本ポートフォリオには、以下の資産が組み入れられています。
- 国内株式
- 海外株式
- 国内債券
- 海外債券
資産構成割合は25%ずつ(2020年4月1日から5年間)を基本とし、相場状況の変化などに応じてそれぞれ割合を増減させる仕組みです。なお、2001年度から2024年度第2四半期までの運用実績は+4.26%(年率)となっており、リスクを分散しつつ安定した運用成果を得ていることがわかります。
参照元:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)|基本ポートフォリオの考え方
参照元:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「2024年度の運用状況」
3.金融機関で口座を開設する
積立投資を開始するには、銀行や証券会社などの金融機関で口座を開設する必要があります。各金融機関で取り扱う金融商品やサービス内容が異なるため、ご自身の投資方針などに合わせて選択しましょう。どの金融機関で口座を開設するか迷う場合は、株式や投資信託、債券、ETF(上場投資信託)など、さまざまな金融商品を取引でき、手数料も比較的安い「証券会社」の口座を開設するのがおすすめです。
なお、積立投資を行う際に「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を活用すれば非課税で運用できます。それぞれの概要やメリットなどを比較しながら見ていきましょう。
NISA(少額投資非課税制度)
通常、株式や投資信託などの金融商品への投資で得た利益(売却益や配当金など)には20.315%の税金がかかります。しかし、NISA(少額投資非課税制度)を活用すればこれらの利益が非課税となり、効率的な資産形成が可能です。NISAの概要を以下の表にまとめました。
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
非課税保有期間 | 無期限 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額(総枠) | 1,800万円(内 成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資対象商品 | 金融庁の基準を満たす投資信託 | 上場株式、投資信託等 |
投資方法 | 積立 | 一括・積立 |
対象年齢 | 18歳以上 |
非課税保有期間は「無期限」となっているので、長期的な資産形成にも適しています。また、NISAには2つの非課税枠があり、投資信託を購入したい場合は「つみたて投資枠」、投資信託だけではなく株式やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などにも投資したい場合は「成長投資枠」がおすすめです。なお、これら2つの非課税枠は併用可能です。
参照元:金融庁「NISAを知る」
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)
老後に向けた資産形成を目的とする個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、節税メリットの大きい制度です。毎月の拠出限度額が働き方によって異なるなど、NISAと比べて仕組みがやや複雑なので、詳細を確認していきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
加入資格 | 20歳以上65歳未満 |
拠出金 | 5,000円以上(1,000円単位から可能) 年間限度額は働き方などにより異なる ・会社員:月額20,000円、23,000円のいずれか ※企業の年金制度によって異なる ・公務員:月額20,000円 ・自営業者:月額68,000円まで ※iDeCoと国民年金基金を合算した金額 ・専業主婦(夫):23,000円まで ※2024年12月1日より上限額が変更になりました。詳細は以下でご確認ください。 参考:ideco公式サイト|ideco(イデコ)の加入資格・掛け金・受け取り方法 |
引き出し | 原則60歳から受け取り可能、75歳までの間で選択する。 |
メリット | ・運用益が非課税 ・掛金が全額所得控除 ・引き出し時、一時金での受け取りは退職所得控除、年金方式での受け取りは公的年金等控除が適用される |
注意点 | ・加入時手数料として最低2,829円かかる ・運用時の手数料として最低171円かかる ・その他、口座管理手数料などがかかる場合がある ※金融機関により異なる |
原則として60歳まで解約できないのはデメリットに思えるかもしれませんが、資産形成を確実に進められる点ではメリットともいえます。特に、iDeCoは税制面でのメリットが大きいため、所得控除を受けたい方や、受取時にも優遇措置を受けたい方におすすめです。また、途中で引き出せなくても問題がない方、老後資金を着実に蓄えたいと考えている方にとっても、iDeCoは適した制度といえるでしょう。
NISAとiDeCoの併用
NISAとiDeCoは併用が可能です。併用することでそれぞれのメリットを享受できるため、税制優遇を受けつつ、長期的な資産形成が可能となります。
具体的には、iDeCoは掛金が全額所得控除となり節税効果が高い一方、原則60歳まで資金を引き出せません。しかし、NISAは非課税かつ柔軟に資金を引き出せるため、両者を併用することで短期・長期の資産形成がバランス良く行えます。
資金に余裕があればフル活用するのもおすすめですが、2024年から開始した新しいNISA制度では、非課税で投資できる金額が大幅に拡大しています。そのため、各制度を併用する場合も、ご自身の収入や家計の状況に合わせ、無理のない範囲で利用しましょう。
積立投資を開始する
金融機関で口座を開設したら、積み立てる商品を選び、積立設定を行いましょう。最低積立金額や選択可能な積立頻度(毎日、毎月など)は金融機関によって異なり、中には月100円から設定できる場合もあります。そのため、まずは少額から始めてリスクを抑えながら投資経験を積むのもひとつの方法です。ご自身の収入や家計状況に応じて、無理のない範囲で積み立てることを心がけましょう。
投資先に迷った場合は、複数の資産や銘柄に分散投資できる「投資信託」を検討するのがおすすめです。投資信託はNISAやiDeCoでも購入可能なため、税制優遇を受けながら運用できます。
ただし、投資信託には多種多様な商品があるため、選ぶ際は以下のポイントを参考にしましょう。
保有コスト(信託報酬など)が低い商品を選ぶ
投資信託を購入すると、保有期間中に信託報酬が差し引かれます。信託報酬率は商品ごとに異なるため、複数の商品を比較して選ぶことが重要です。例えば、NISAのつみたて投資枠対象商品の場合、投資先を国内外とするインデックスファンドの信託報酬率の平均値は年率0.32%(2024年10月時点)とされています。長期的な運用になるほど信託報酬の負担が大きくなるため、平均程度またはそれ以下の信託報酬率のファンドを候補に入れましょう。
参照元:金融庁「つみたて投資枠対象商品の商品」
長期の実績があるインデックスファンドを選ぶ
インデックスファンドとは、市場全体の動きを示す指数(日経平均株価、TOPIXなど)に連動する運用成果を目指す投資信託のことです。安定した運用ができていることを確認するためにも、10年以上といった長期の運用実績があるファンドを選ぶのがおすすめです。
純資産総額が50億円以上の商品を選ぶ
ファンドが運用している資産の総額を示す「純資産総額」が極端に少ない商品は避けるのが無難です。純資産総額が少ないと安定した運用ができず、場合によっては運用途中で繰上償還(解散)される可能性があります。そのため、最低でも50億円以上、できれば100億円以上の純資産総額を持つファンドを選ぶと安心です。
4.高利回り商品への投資も検討しよう

積立投資などでまとまった資金を作れた場合、老後に安定的な収入を得られる仕組みを考えておくことも重要です。
その方法のひとつとして、高配当株やJ-REIT(不動産投資信託)などの「高利回り商品」を保有し、インカムゲイン(資産収入)を得る方法が挙げられます。配当金や分配金を定期的に受け取ることで、老後の生活費を補える可能性があります。ここでは「高配当株投資」と「J-REIT」について解説します。
高配当株投資
「高配当株」とは、一般的に配当(企業が得た利益の一部を株主へ還元するお金)利回りの高い株式を指します。厳密な定義はありませんが、全銘柄の平均を上回る配当利回りを持つ株式を「高配当株」として捉えるのが一般的です。
「高配当株投資」は、このような高配当株の配当金収入を主な目的として行う投資方法です。通常の投資と比べて多くの配当収入が期待できるので、老後の資金不足を補う手段としても有効です。ただし、高配当株にもリスクが伴います。業績の悪化などによって株価が下落する可能性や、配当金が減少する可能性もあるため、株式投資のリスクを十分に理解しておく必要があります。銘柄を選ぶ際は、企業の財務体質や業績をしっかりと分析し、慎重に選びましょう。
J-REIT
「J-REIT(不動産投資信託)」とは、投資家から集めた資金をもとにオフィスビルやマンション、商業施設など複数の不動産に投資し、その家賃収入や売買益を分配金として還元する仕組みの金融商品です。「REIT(リート)」はアメリカで発祥した仕組みで、日本のREITは「JAPAN」の「J」を付けて「J-REIT」と呼ばれています。
J-REITは利益の大部分を投資家に分配する仕組みのため、相対的に高い利回りが期待できる金融商品です。そのため、多くの投資家が分散投資の一環としてポートフォリオに組み込んでいます。
J-REITは現物不動産への投資に比べて分散効果や流動性が高く、比較的リスクが低いとされています。また、現物不動産を購入するには多くの資金が必要となりますが、J-REITは数万円程度から投資できる点もメリットです。
ただし、不動産市況の変化などに応じて価格や分配金利回りが変動するリスクがある点には注意が必要です。
自分年金を始める際の注意点
自分年金作りの手段をご紹介しましたが、投資にはさまざまなリスクがあり、比較的低リスクとされる積立投資にもデメリットは存在します。ここでは、自分年金を始める際の注意点を2つご紹介します。
投資にはさまざまなリスクがある
元本が保証された預貯金などとは異なり、投資にはさまざまなリスクが伴います。これらのリスクを把握し、投資は自己責任であることを十分に理解することが重要です。投資の主なリスクを以下の表にまとめました。
リスクの種類 | 概要 |
---|---|
価格変動リスク | 株価や債券価格の変動により、元本を下回るケースがあります。例えば、企業業績の悪化や景気状況の悪化などによって株価が下がり、損をする可能性があります。 |
信用リスク | 株式や債券を発行している企業や国が債務不履行(デフォルト)に陥ることで、投資元本の一部または全部が戻らない可能性があります。そのため、発行体の財務状況や信用力などを確認することが重要です。 |
流動性リスク | 流動性が低い資産は、すぐに売却できない場合や、希望の値段で売却できない場合があります。特に、不動産のような資産は買い手が見つかるまでに時間がかかるため、流動性リスクが高いとされています。 |
金利変動リスク | 金利の変動により、保有資産の価値が変動する可能性があります。例えば、金利が上昇すると、債券価格が下落する傾向にあります。 |
為替変動リスク | 外国通貨の為替レートの変動により、資産価値も変動します。例えば、米ドル建ての資産に投資する場合、円高が進むと円換算後の資産価値が減少します。 |
一般的に、債券よりも株式、さらに国内資産よりも海外資産のほうがリスクが高いとされています。株式のほうが価格変動の幅が大きい傾向にあり、海外資産の場合は為替変動リスクが加わるためです。
リスクが高い投資ほど期待できるリターンも大きくなりますが、それに伴い大きな損失が生じる可能性もあります。そのため、投資を行う際はご自身のリスク許容度や投資方針に合った投資先を選ぶことが大切です。
積立投資にはデメリットもある
積立投資は、他の投資方法と比べてリスクが低く、貯金よりも高い利回りが期待できる方法です。しかし、積立投資にはデメリットもあるので、始める前にしっかりと理解しておきましょう。
積立投資の主なデメリットとして、短期的な成果を見込みにくいことが挙げられます。毎月一定額ずつ積み立てていく方法のため、一括投資や集中投資のように大きなリターンを短期間で得るのは難しいといえます。
また、積立投資のメリットである「ドルコスト平均法によるリスク軽減効果」や「複利効果」を得るには、長期的な視点での運用が不可欠です。短期間で売却した場合、市場の変動により思わぬ損失を被る可能性もあるため、コツコツと長期間続けることを前提に投資計画を立てましょう。リスクを低減するためには、長く保有したいと思える金融商品を選び、無理のない範囲で毎月の積立額を設定することが重要です。
おわりに
今回は、自分年金の作り方や注意点についてご紹介しました。投資のメリットやデメリット、リスクを理解したうえで、老後資金の準備を進めていきましょう。積立投資は少しでも早めのスタートがおすすめです。ぜひ検討してみてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。