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自分年金の作り方を徹底解説!自分で積み立て、リスクを知って老後に備えよう

自分年金の作り方を徹底解説!自分で積み立て、リスクを知って老後に備えよう
セゾンのくらし大研究 編集部

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最近よく耳にするようになった「自分年金」という言葉。自分年金の作り方は何となくわかるけれど、もっと詳しく知りたい!という方は多いのではないでしょうか。今回は、自分年金に興味はあるけれど最初の一歩を踏み出せていないという方のために、自分年金の作り方を分かりやすくご紹介していきます。初心者にぴったりの積立投資で自分年金を作る方法も必見です。

この記事でわかること

自分年金とは老後の資金を自ら準備することを指し、投資信託や保険、株式などさまざまな金融商品を利用して資金を自分で積み立てていくことです。投資信託などで積立投資を始めて、高配当株の投資などで資金を増やしていくのも有効な手段のひとつでしょう。

自分年金を始める時のポイントは、投資リスクなどデメリットを把握しておくこと、運用期間を長くするために早めのスタートをすることなどがあげられます。初心者の方や投資リスクが心配な方には、手軽に始められる少額投資やバランスが取りやすい分散投資がおすすめです。

1.自分年金の基礎知識を知っておこう

自分年金の基礎知識を知っておこう

昨今「老後資金として2,000万円が必要である」といわれている、いわゆる「老後2,000万円問題」が話題になりました。「将来、受け取れる公的年金の額が少ない」という声も聞かれ、多くの方が老後の生活に不安を抱えている現状です。

そんな中、少しでも年金の不安を解消させるため、そして、老後の生活にゆとりを持たせたいという思いから「自分年金」を作り始める方が増えています。

まずは、自分年金とは何かを理解していきましょう。

1-1.自分年金とは

「自分年金」とは、老後のセカンドライフに向けて資金不足を補うために、自ら準備する資金のことです。「年金」とはいっても公的な年金制度ではなく、具体的には預貯金や株式、投資信託、保険、債券などさまざまな金融商品を利用し、資金を自分で積み立てていくのが自分年金です。

では、個人が老後資金として必要な額面は実際にどれくらいなのでしょうか。一般的なサラリーマン世帯のケースで考えると、月額で受け取る公的年金は約22万円といわれています。

しかし、それに対して老後に必要となる生活費は月額で約29万円。これが20年続くと仮定すると、公的年金の他に約1,700万円の資金が必要となる計算になります。これはあくまで平均的なデータですが、もう少し余裕のある老後の生活を過ごしたいと考えるならば、やはり2,000万~3,200万円程度の自己資金が必要になるでしょう。

また、現在とこれからの働き方、パートナーとの関係性、理想とする老後の生活によって、必要となる自己資金の額面は変わってきます。

社会の動向を見てみると、少子高齢化の影響により働く世代が減っていく一方で、年金受給者は増え続けています。そのため、公的年金や企業年金など従来の年金制度のみでは、やはり老後資金が不足する状況が予想されるでしょう。

そのような背景から、公的年金制度に加えて自らが準備する「自分年金作り」が必要な時代となってきているのです。

参照元:株式会社F.L.P|【個人年金保険】老後生活資金はいつから、いくら積み立てればいいの?

1-2.公的年金以外にどのような年金がある?

ここからは自分年金を作るために、公的年金以外にどのような年金制度や貯蓄するための方法があるのかご紹介します。すでに活用している制度があるかもしれませんし、この制度ならご自身も活用できるかもしれないなどと考えながら見ていきましょう。

 ・財形貯蓄制度

財形貯蓄制度

「財形貯蓄制度」とは、勤め先の企業が支払う給料からあらかじめ決めた金額を天引き、積み立てる制度のことです。財形貯蓄制度は企業の福利厚生のひとつであり、給料から貯蓄分を天引きするので計画的に貯めやすいこと、利子に対する非課税措置があること、財形持家融資を利用できるなどの多数のメリットがあります。財形貯蓄制度は、主に下記の3種類に分類できます。

  • 一般財形貯蓄

「一般財形貯蓄」は、勤労者が金融機関と契約を結び、定期的に給料からの天引きにより積み立てていく、使い道など目的を問わない自由な貯蓄のこと。貯蓄開始から1年が経過すると払い出しも可能であり、契約時の年齢制限はありません。複数契約も可能です。

  • 財形年金貯蓄

「財形年金貯蓄」は、勤労者が金融機関などと契約して5年以上の期間にわたり定期的に給料から天引きされて積み立てる貯蓄のこと。契約者が55歳未満であること、1人1契約のみなどの制限があります。60歳以降に年金として5年以上の期間にわたり受け取れる、老後の資金作りのための貯蓄です。財形住宅貯蓄と合わせると元利合計550万円まで(財形年金貯蓄の場合、保険などは払込額385万円まで)非課税となりますが、払い出す目的が年金以外の場合には税金がかかります。

  • 財形住宅貯蓄

「財形住宅貯蓄」は、勤労者が金融機関などと契約して5年以上の期間にわたり定期的に給料から天引きされ、勤め先の企業を通じて積み立てていくマイホームの購入またはリフォームを目的とした貯蓄のこと。財形年金貯蓄と同じく、契約者が55歳未満であること、1人1契約のみなど制限があります。財形年金貯蓄と合わせると元利合計550万円まで非課税となりますが、払い出す目的が住宅以外の場合には税金がかかります。

参照元:厚生労働省|財形貯蓄制度

 ・個人年金

「個人年金」とは、一般的な民間の生命保険会社が取り扱う積立型保険のことです。毎月一定の額を積み立て、60歳満期などで受け取れる場合が多くなっています。運用方法、受取期間もさまざまなタイプの保険があります。

 ・確定拠出年金

「確定拠出年金」とは、毎月一定の額を積み立てて、自らその資金運用をしながら老後に備える公的制度です。受け取り開始年齢(60歳など)になったら、積み立てた資金を受け取れます。確定拠出年金は主に企業型と個人型の2つに分類されます。企業型は、拠出額が企業負担の場合と自己負担の場合があり、この2パターンから選択可能です。また、個人型は、拠出額が自己負担になります。

 ・積立投資

「積立投資」とは、毎月一定の額で投資信託など投資商品を購入し、自らの資産を積み立てていくことです。積立投資は少額からスタートできるなど、初心者でも始めやすいことが特徴。積立投資を上手く活用することで、自分年金を作ることが可能でしょう。

1-3. 積立投資を活用して自分年金を作ろう!

「老後資金を蓄える」と考えた時、「貯金すること」が一番に思いつく方も多いでしょう。しかし、自分で貯金するよりも、積み立ててお金を運用できる積立投資を活用した自分年金作りがおすすめです。

なぜなら、積立投資は誰でも簡単に始められる資産運用方法であり、早めに始めるほど資産形成も効果が高くなっているからです。長期間にわたりタイミングを分散しながら毎月一定の額をコツコツと積み立て、投資リスクを軽減できることも大きなメリットでしょう。

2.積立投資で自分年金を作る方法とは

ここからは具体的に自分年金の作り方を紹介していきます。自分年金を作るためには、まず自分に合った金融商品選びからスタートしましょう。自分年金作りは、事前の準備が肝心です。投資信託の積立方法や投資で資産を増やす方法なども紹介していきます。

2-1.積立金額のシミュレーションをする

積立金額のシミュレーションをする

まずは、将来必要な金額と今後の積み立ての計算をしてみましょう。積立金額を考える場合には、目標金額や運用期間を設定します。そこでおすすめなのが、金融庁の「資金運用シミュレーション」を活用する方法です。計算が簡単にできるのはもちろんのこと、積立金額と運用効果がグラフで見やすく表示されるので分かりやすくて便利です。

投資商品や価格変動などのリスクを考えながら、自分に合った積立金額をシミュレーションしていきましょう。なお、「資産運用シミュレーション」の結果はあくまで将来の運用成果の予測であり、成果を保証するものではないためご注意ください。

参照元:資産運用シミュレーション:金融庁

2-2.ポートフォリオを考える

投資を始めるうえで、初めに悩むのがポートフォリオの組み方です。「ポートフォリオ」とは、分散投資を目的とする金融商品の具体的な組み合わせのことを指します。そして「ポートフォリオを組む」とは、「どのような投資信託や債権を購入し、どの銘柄の株を何株ほど持つか」などを検討することをいいます。

ポートフォリオは、ご自身の資産の状況であるやライフプランなどによってリスク許容度も異なるため、運用の目的にあわせて、慎重に検討することが大切です。

投資を始める時にどのようにポートフォリオを構築していくか、非常に悩むポイントといえるでしょう。そんな時には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオを参考にするのもひとつの手です。

GPIFとは、日本の公的年金のうち厚生年金と国民年金の積立金の運営・管理を行っている法人です。そのため、給料から毎月天引きされている厚生年金保険料の掛金と同じ考え方ができるので、自分でポートフォリオを組む際にはぜひ参考にしてください。

参照元:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)|基本ポートフォリオの考え方

2-3.積立投資を開始する

老後の資金作りのためには、なるべく早い時期から積立を開始して、自分年金を作っていきましょう。ここからは、資金を効率良く貯めたい方におすすめの投資方法「つみたてNISA」と「iDeCo(イデコ)」についてご紹介します。それぞれの概要やメリットなどを比較しながら見ていきましょう。

 ・つみたてNISA

証券会社でNISA口座を開設してスタートする「つみたてNISA」をみていきましょう。

通常、投資信託など金融商品の売却利益や配当には約20%課税されます。NISAはNISA口座で毎年一定の金額の範囲内で購入した金融商品の利益が非課税になる制度です。初めての投資にもぴったりともいわれる、つみたてNISAの概要は下記の通りです。

対象年齢18歳以上
年間投資額100円から可能、年間限度額は40万円
引き出しいつでも可能
メリット・非課税期間が最長20年間
・投資信託の買付け手数料は無料
注意点・選べる商品が投資信託などに限定されている
・投資信託は元本保証ではない

つみたてNISAは引き出し制限がないので、老後資金作りのみならず、さまざまなライフイベントの資金として柔軟に利用できます。少額から投資にチャレンジしてみたい方、長期投資をしたい方、老後資金以外にも資金を貯めたい方が、つみたてNISAに向いているでしょう。

 ・個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)

老後の資金づくりを目的としている個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、節税メリットの大きい積立投資です。毎月の拠出金が働き方によって異なるなど、つみたてNISAと比べて少し複雑な内容もあるので詳しく確認していきましょう。

加入資格20歳以上65歳未満
拠出金5,000円以上(1,000円単位から可能)
年間限度額は働き方などにより異なる
・会社員:月額12,000円、20,000円、23,000円のいずれか
 ※企業の年金制度によって異なる
・公務員:月額12,000円自営業者:月額68,000円まで
 ※iDeCoと国民年金基金を合算した金額
・専業主婦(夫):23,000円まで
引き出し原則60歳まで不可
メリット・運用益が非課税
・掛金が全額所得控除
・引き出し時、一時金での受け取りは退職所得控除、年金方式での受け取りは公的年金等控除が適用される
注意点・口座開設手数料として最低2,829円かかる
・口座管理手数料として最低年間2,052円かかる
 ※金融機関により異なる

資金の引き出しが60歳までできないのはデメリットにも思えますが、資産形成がしっかりとできる点ではメリットともいえるでしょう。節税メリットが高いため、所得があり税金の納付が多い方、途中で引き出しできなくても大丈夫な方、老後資金として着実に蓄えを増やしたいと考えている方が、iDeCoに向いているでしょう。

 ・つみたてNISAとiDeCoの併用

つみたてNISAと一般NISAの併用はできませんが、iDeCoとの併用は可能です。

50代で老後資金の準備が十分でない方、もしくは、資金に余裕がある方などは、ぜひつみたてNISAとiDeCoを併用していきましょう。iDeCoは、50代後半になると積立期間が短くなるので節税メリットも少なくなってしまいます。生活費を確保したうえで、できる限り早めに積立投資をフル活用するのがおすすめです。

2-4.高利回り商品に投資する

高利回り商品に投資する

老後の期間がどのくらいになるのかは人それぞれです。資産を運用し続けながら、安定的に収入を得られるしくみを用意しておくべきでしょう。

例えば、積立投資で増やしたお金を高利回り商品に投資し、配当・分配金をもらって資金を増やしていくのもひとつの手です。ここでは、高配当株投資とJリートについて簡単に解説していきます。

 ・高配当株投資

「高配当株」とは、一般的に配当(企業が得た利益の一部を株主へ還元するお金)利回りの高い株式を指します。高配当株の定義は難しいですが、相対評価で考えて全銘柄の平均を上回っている場合には利回りが高いといえるでしょう。

「高配当株投資」とは、この高配当株の配当を目的として行う投資方法です。通常の投資と比べて多くの配当が入ってくるので、老後資金として足りない生活費を高配当株の配当で補えるのは心強いでしょう。しかし、もちろん配当が高い株式でも何かをきっかけに株価が落ちる場合もありますのでリスクを伴います。高配当株式投資にチャレンジする場合には、企業の財務体質や業績をチェックして、慎重に銘柄を選びましょう。

 ・Jリート

「Jリート」とは、投資家たちから集める資金でオフィスビルやマンション、商業施設など複数の不動産などに投資し、その家賃収入や売買益が投資家たちの分配金となるしくみです。Jリートの「REIT(リート)」と呼ばれるしくみはアメリカ発祥で、日本では頭に「JAPAN」の「J」を付けて「Jリート」と呼ばれています。投資信託のひとつで「不動産投資信託」とも呼ばれています。

Jリートは、高い利回りを狙いながら、分散投資のために他の投資商品と複合してポートフォリオに組み込む方が多くなっています。不動産を対象としている投資なので、企業の株価とは異なる要因で利回りが変化することが特徴です。

不動産投資には、金融商品であるリートと現物不動産への投資という2つのパターンがありますが、リートには分散効果や流動性があるため、比較的リスクは少なめで、少額から投資を始められる点もメリットでしょう。

3.自分年金を始めるためのポイント

自分年金作りを始めるのにおすすめの積立投資。ここからは、積立投資を始める前に知っておきたいポイントを2つご紹介します。

3-1.積立投資のデメリットを把握しておこう

投資の中でも比較的リスクが少なく、貯金するより高い利回りが期待できる積立投資。しかし、それぞれのデメリットも理解してから始めるようにしましょう。

1つ目のポイントは、積立投資などのデメリットを把握しておくことです。

先述したとおり、つみたてNISAやiDeCoは税制優遇の老後資金を蓄える効果的な積立投資方法ですが、その反面、それぞれデメリットもあります。注意したい点としては、iDeCoの場合には60歳になるまで資金をおろせないことや、口座開設や管理のため手数料がかかることです。つみたてNISAの場合は、一度売却した資金は戻せなかったり、元本保証がなかったりします。

もし投資リスクが心配な方は、投資先を分散するなどバランスをとるのも良いでしょう。

3-2.積立開始は早めのスタートがおすすめ

2つ目のポイントは、なるべく早めに積立投資をスタートさせることです。

積立投資は、短期間では大きな利益は期待できません。運用期間は長い方が有利で、少額からでもなるべく早めに始めるのがおすすめです。

おわりに

今回は、自分年金の作りを始める前にチェックしておきたい、年金制度や積立投資の方法についてご紹介しました。それぞれのメリットやデメリットを理解したうえで、老後資金の準備を進めていきましょう。積立投資は少しでも早めのスタートがおすすめです。ぜひ検討してみてください。

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