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退職金は何年目から支給される?もらえる条件は?計算方法や相場についても解説

退職金は何年目から支給される?もらえる条件は?計算方法や相場についても解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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退職を検討している方のなかには、退職金がいくらもらえるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。退職金の額は今後の生活に大きな影響を与えるため、いくらもらえるのかを把握しておくことが大切です。

そこでこのコラムでは、退職金の制度や受け取るために必要な勤続年数、計算方法を詳しく解説します。最後まで読んでいただければ退職金のことが分かり、詳細なライフプランも立てられるでしょう。

この記事を読んでわかること

  • 退職金とは、勤め先を退職する際に従業員に支給されるお金です。
  • 企業により退職金の制度や細かな規定は異なりますが、多くの企業では勤続3年目から退職金が支給されています。しかし、退職金の支払いは法律上の義務ではありません。なかには退職金制度そのものがない企業もあるため注意が必要です。
  • 退職金の計算には勤続年数や退職理由が加味される場合が大半で、学歴など条件により相場は異なります。
  • 退職金を受け取る際は税金がかかることや、企業の倒産や社会情勢の変化により退職金を受け取れないリスクがあることをおさえておきましょう。

退職金とは?

退職金とは?

退職金とは、勤め先を退職する際に雇用主(企業など)から従業員に支給されるお金です。退職手当や退職慰労金とも呼ばれます。

在籍中に企業に貢献したことに対する報酬や、退職後の生活補償の意味合いがあり、勤続年数などを加味して算出するのが一般的です。

退職金を支給する制度を退職金制度といい、退職金制度を導入している企業は独自に退職金に関する規定を制定します。規定の細かな内容は企業ごとに異なり、退職金の計算や支払いなどはすべて規定に従って実施されます。

退職金制度について

退職金制度について

退職金制度は、退職金の準備方法や支給方法の違いにより、大きく次の3種類に分けられます。

  • 退職一時金制度
  • 退職年金制度
  • 退職金共済制度

それぞれについて解説します。

退職金一時金制度

退職一時金制度とは、退職時に一度にまとめて退職金が支給される制度です。企業の規定に従い、退職時の勤続年数などを考慮して支給額が決まります。

日本経済団体連合会・東京経営者協会「2021年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」によると、退職一時金制度を採用している企業は82.0%を占めており、多くの方が「退職金」と聞いてイメージする支給方法でしょう。

しかし、万が一企業が倒産した場合などは、受け取れないリスクもあります。

参照元:日本経済団体連合会・東京経営者協会|2021年9月度退職金・年金に関する実態調査結果

退職年金制度

退職年金制度とは、一定の年齢以降に退職金が分割して支給される制度を指します。企業年金とも呼ばれ、老後に安定した収入を得られる点がメリットです。

退職年金制度のみを採用する企業は少なく、多くの場合、退職一時金制度と併用されます。

退職年金制度は、退職金の準備方法により次の2種類に分けられます。

  • 確定給付企業年金制度(DB)
  • 確定拠出年金制度(企業型DC)

以下、詳しく見ていきましょう。

確定給付企業年金制度(DB)

確定給付企業年金制度(DB:Defined Benefit Plan)は、将来給付される退職金の金額があらかじめ確定している制度です。

企業は将来の退職金を準備するため、外部金融機関へ掛け金の運用を委託します。

不足金が発生した場合は企業が補填(ほてん)するよう確定給付企業年金法で定められており、従業員には運用リスクがありません。

景気の悪い局面で企業の負担が大きくなるため、主に資金力のある大企業で採用されています。

確定拠出年金制度(企業型DC)

確定拠出年金制度(企業型DC:Defined Contribution Plan)は、企業が一定の掛け金を負担し、その運用結果により退職金の金額が決まる制度です。

従業員は、株や投資信託など金融商品を自ら選んで運用します。運用結果次第で損失が出る可能性もありますが、利益が出れば退職金を多く受け取れる制度です。

また、確定拠出年金の運用で得た利益はすべて非課税で、所得税や住民税など税制優遇のメリットも受けられます。

退職金共済制度

退職金共済制度は、共済(地域や職域などで組合を構成し、共同で資金を準備して相互に助け合うこと)の仕組みを利用して退職金を準備する制度です。

退職金の準備が難しい中小企業などで導入されており、中小企業退職金共済(通称:中退共)などの外部共済が掛け金の積立と退職金の支払いを行います。

退職金共済制度では、退職金の受け取り方法を一時金と分割払い、併用の3つから選べます。

退職金は何年目からもらえる?

退職金は何年目からもらえる?

退職金制度について紹介しましたが、転職などで定年前に退職する場合は、何年目から退職金を受け取れるのか疑問に感じている方も多いでしょう。

本章では、退職金が受け取れる勤続年数について解説します。

多くの企業は勤続3年目から

退職金の支給条件には、最低勤続年数が定められている場合が大半です。具体的には、多くの企業で勤続3年目以降の従業員を支給対象にしています。

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」では、勤続3年目以降の従業員へ退職金を支給する企業が約6割を占めています。

一方、入社1年未満で退職金を支給する企業もゼロではありません。また、自己都合退職の場合は5年以上の勤続年数を必要とする場合もあり、企業により退職金を受け取れるタイミングには幅があります。

退職金制度を設けていない企業もある

退職金制度は、法律により義務づけられている制度ではありません。そのため、退職金制度そのものを設けていない企業もあり、退職金を受け取れない場合があります。

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、退職金制度を導入している企業は71.5%と大部分を占めていますが、裏を返せば約3割は退職金制度がありません。

退職金制度がない企業で何年働いても退職金はもらえないため、ご自身の勤め先または転職先に退職金制度があるかを、必ず確認しておきましょう。

参照元:東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

退職金の相場はどれくらい?

退職金の相場はどれくらい?

退職金の受取額を予想できると、退職後の計画を立てやすくなります。以下、退職金の相場を詳しく見ていきましょう。

平均相場

厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると、定年退職者の平均退職給付額は以下のとおりです。

勤続年数大卒・大学院卒の場合 (管理・事務・技術職)高卒の場合 (管理・事務・技術職)
20〜24年1,267万円525万円
25〜29年1,395万円745万円
30〜34年1,794万円928万円
35年以上2,173万円1,954万円
全体1,983万円1,618万円

企業に在籍した期間が長い方や大卒以上の方が、定年時に退職金を多く受け取れる傾向があります。

大卒で定年まで勤めた場合、約2,000万円が退職金の相場といえるでしょう。

条件や学歴によっても異なる

定年前に退職する場合は、退職理由や企業規模などの条件、また学歴により受け取れる金額が異なります。自己都合退職の場合と会社都合退職の場合に分けて、退職金の相場を見ていきましょう。

なお、ここでは以下の調査結果のモデル退職金を参考にしています。

モデル退職金とは、新卒で入社し、標準的に昇進した場合を想定した退職金を指します。

自己都合の場合

自己都合退職(結婚、転職、病気療養など従業員の希望による退職)の退職金相場は、以下のとおりです。

【大企業の場合】

勤続年数大卒 (事務・技術労働者)高卒 (事務・技術労働者)
3年32万3,000円31万4,000円
5年59万4,000円52万2,000円
10年179万9,000円137万8,000円
20年726万5,000円557万3,000円
30年1,706万7,000円1,197万円

【中小企業の場合】

勤続年数大卒 (事務・技術労働者)高卒 (事務・技術労働者)
3年23万1,000円18万4,000円
5年42万3,000円34万円
10年113万5,000円89万6,000円
20年353万4,000円278万8,000円
30年705万9,000円543万3,000円

大企業、中小企業ともに、高卒よりも大卒の方が退職金の相場が高い傾向にあります。また、中小企業より大企業の方が退職金の相場は高いです。

3年ちょうどで退職した場合、大企業なら約30万円、中小企業なら約20〜25万円が平均相場です。

会社都合の場合

会社都合退職(倒産、リストラなど会社都合が理由の退職)の退職金相場は、以下のとおりです。

【大企業の場合】

勤続年数大卒 (事務・技術職)高卒 (事務・技術労働者)
3年69万円52万2,000円
5年118万円89万4,000円
10年310万2,000円214万2,000円
20年953万1,000円664万7,000円
30年1,915万4,000円1,367万9,000円

【中小企業の場合】

勤続年数大卒 (事務・技術労働者)高卒 (事務・技術労働者)
3年34万6,000円25万6,000円
5年60万3,000円45万1,000円
10年148万3,000円114万8,000円
20年425万円333万2,000円
30年785万6,000円622万7,000円

大企業、中小企業ともに、自己都合退職の場合よりも会社都合退職の方が退職金の相場が高くなっています。

仮に勤続3年時点で企業が倒産した場合、大企業なら約50〜70万円、中小企業なら約25〜35万円が退職金の平均相場です。

参照元:中央労働委員会|令和3年賃金事情等総合調査(確報)、東京都産業労働局|中小企業の賃金・退職金事情(令和2年度版)

退職金の計算方法

退職金の計算方法

企業により退職金の金額には幅があり、相場だけでは正確に予測できません。シミュレーションするためにも、退職金の計算方法も確認しておきましょう。

主な退職金の計算方法は、以下の4種類です。

  • 基本給連動型
  • ポイント制
  • 定額制
  • 別テーブル型

それぞれ詳しく解説します。

基本給連動型

基本給連動型は、毎月の基本給を基準にした計算方法です。勤続年数と退職理由を考慮し、以下の計算式で退職金を算出します。

  • 退職金=退職時の基本給×支給率(勤続年数により変動)×退職事由係数

一般的に、勤続年数が長いほど退職金が増額し、自己都合退職の場合は低減するように係数が設定されています。

シンプルで計算しやすいものの、基本給を変更すると退職金も大きく変わるため、給与制度を変更しにくい点がデメリットです。

また、従業員の業績や貢献度が反映されないため、近年は別の計算方法に移行する企業が増えています。

ポイント制

ポイント制では、従業員の勤続年数、役職、保有資格、人事評価などの要素を独自の基準でポイント換算し、退職金の金額へ反映します。

  • 退職金=退職金ポイント×ポイント単価×退職事由係数

従業員ごとの多様な条件を明確な基準で評価できるため、近年多くの企業で採用されている計算方法です。在職中の努力次第で退職金を多く受け取れる可能性があり、従業員のモチベーションや満足度が高くなるというメリットもあります。

ポイントの基準や係数は退職金規定に記載されている場合が多いため、実際にシミュレーションしてみましょう。

定額制

定額制とは、勤続年数と退職理由のみを考慮して退職金を計算する制度です。例えば勤続5年で30万円と決まった金額を提示でき、特別な計算式はありません。

給与制度を変更しても退職金の金額は変わらないため、給与制度を変更しやすい点がメリットです。一方、業績などが考慮されないため、従業員のモチベーションがあがらない可能性があります。

別テーブル制

別テーブル制は、基本給とは別に役職や等級などを反映した専用の基準額を設定し、退職金を計算する方法です。

  • 退職金=基準額(役職や等級により変動)×支給率(勤続年数により変動)×退職事由係数

基本給連動型と似ていますが、基本給と退職金を分離して計算できるため、給与制度を変更しやすい点が異なります。

退職金に関して知っておきたいこと

退職金に関して知っておきたいこと

退職金の相場や計算方法を紹介してきましたが、問題なく退職金を受け取るためには注意すべきことがあります。

将来安心して生活するためにも、以下の内容を知っておきましょう。

  • 税金
  • 退職金が支払われない場合の対処法
  • 勤務している企業の退職金制度の有無

それぞれについて解説します。

税金がかかる

退職金には税金がかかるため、支給された金額すべてを自由に使えるわけではありません。特に、一時金でまとまった金額で受け取る場合は、税金の負担額も大きくなることを把握しておきましょう。

ただし、退職金には長年企業に貢献した報酬や退職後の生活を支えるお金としての側面があるため、税制優遇措置が設けられています。

退職金の受け取り方法所得の種類適用できる控除の種類
退職一時金として受け取る退職所得退職所得控除
退職年金として受け取る雑所得公的年金等控除

退職所得(所得税算出の基準になる金額)の計算式は以下のとおりです。

  • 退職所得=(収入額(源泉徴収前の金額)ー退職所得控除額)×1/2

退職所得控除額の計算式は、勤続年数により異なります。

  • 勤続20年以下の場合:退職控除額=40万円×勤続年数 ※最低80万円
  • 勤続20年を超える場合:退職控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

上記計算式を利用し、事前にいくらの税金がかかるかをシミュレーションしておきましょう。

退職金が支払われない場合の対処法

万が一、退職金が支払われない場合のために、対処法を確認しておきましょう。具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 退職金の支給条件を満たしているかを確認する。
  2. 企業に退職金が支払われていない旨を連絡し、支払いを請求する。
  3. 企業が応じない場合は弁護士などに相談する。

まずは、退職金の支給条件を満たしているかを確認します。支給条件を満たしているにもかかわらず入金されない場合は、企業に問い合わせましょう。

問い合わせる際は書面での連絡をおすすめします。必要に応じて内容証明郵便を使うと安心です。

労働基準法第23条1項により、企業には請求から7日以内に退職金を支払う義務がありますので、対応してもらえない場合は弁護士などへ相談し、解決へ向けてサポートを受けましょう。

なお、倒産などが理由で退職金が支払われない場合は、国の未払賃金立替払制度により一部を立て替えてもらえます。具体的な相談は最寄りの労働基準監督署で行えます。

勤務している企業に退職金制度があるか確認を

退職後に困らないためにも、勤務先の企業に退職金制度があるか確認しておきましょう。確認するためには、以下の方法があります。

  • 社内規定を確認する
  • 人事・総務担当に聞く

退職金規定は企業の業績や社会情勢などにより変更される場合があるため、定期的に確認しておくことをおすすめします。

退職金は今後確実にもらえるとは限らない!

退職金は今後確実にもらえるとは限らない!

退職金は企業の業績や社会情勢に大きく影響を受けます。退職金制度のある企業に勤めている方も、今後確実に退職金がもらえるとは限りません。

退職後の生活は、退職金だけに頼らず、別の手段でも備えておきましょう。具体的には、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAを利用した資産形成をおすすめします。

退職後の備えもクレカ積立なら安心

資産形成には、ぜひクレカ積立を活用しましょう。クレカ積立とは、クレジットカード決済で毎月自動的に積立投資ができるサービスです。証券口座への入金の手間がなく、積み立て忘れを防げます。

クレカ積立でつみたてNISAに投資すれば、税制優遇を受けながらクレジットカードのポイントも貯められるため、効率的に資産形成を進められるでしょう。

なお、旧NISAは2023年で終了し、2024年からは新NISAへ移行しています。新NISAは、年間最大360万円まで投資可能、非課税期間は無期限と、さらに税制優遇を拡大した制度です。

資産形成を始めるなら絶好のタイミングといえるでしょう。

おわりに

退職金とは、勤め先を退職する際に従業員に支給されるお金です。企業により退職金の制度や細かな規定は異なりますが、多くの企業で勤続3年目以降の退職者に支給されています。

退職金の計算には勤続年数や学歴、退職理由が加味されるため、勤め先の規定を確認してシミュレーションしておきましょう。

なお、近年は退職金制度を導入している企業が減少傾向にあり、今後確実に退職金が受け取れるとは限りません。退職金だけに頼らず、つみたてNISAなどを活用して将来のための資産形成を始めることをおすすめします。

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