投資信託を購入する際に、口数をどのように計算したら良いかわからない方は多いのではないでしょうか。口数の計算には「ブラインド方式」が採用されているため、仕組みを理解しておくことが重要です。
このコラムでは、投資信託の口数を計算する方法について解説します。口数についてこれまで考えたことのなかった方でも簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 投資信託とはプロに資金を預けて運用してもらう商品
- 投資信託の口数は前日の値段をもとにおおよそ計算できる
- 投資信託の分配金はシミュレーションツールを活用すると簡単に計算できる
投資信託の基本概要
まずは投資信託の仕組みや用語の意味について解説します。
投資信託とは?
投資信託とは、投資家から集めたお金を専門家が運用する商品です。集められた資金は株や債券などに投資され、運用利益が投資家に還元されます。
投資家は投資する金額を自由に設定でき、少額からでも始められるのが特徴です。複数の銘柄に投資しているため、個別株に比べて価格変動のリスクを分散できます。2024年からはじまる「新しいNISA」では、つみたて投資枠の投資対象商品に、投資信託が設定されています。
投資信託の基準価額や口数とは?
基準価額とは「投資信託の1口あたりの値段」を指します。口数とは「購入する投資信託の数量」です。例えば基準価額が10,000円の投資信託を3口購入するためには、30,000円が必要になります。
基準価額は、投資信託の資産のうち投資家に帰属する「純資産総額」を「総口数」で割って求められます。
投資信託の分配金について
投資信託の運用の成果が良い場合、保有口数に応じて投資家に分配される収益を「分配金」と呼びます。分配金は信託財産から支払われるため、分配金が支払われると基準価額は下がります。
投資信託の購入方法について
投資信託の購入方法は「口数指定」と「金額指定」の2種類があります。それぞれをコーヒー豆の購入であらわした例は、以下のとおりです。
- 口数指定:100g分のコーヒー豆を購入する
- 金額指定:1,000円分のコーヒー豆を購入する
投資信託によっては購入方法が「口数指定」もしくは「金額指定」のいずれかひとつに決まっている場合があります。
投資信託を購入する際には金額がわからない?!
この章では投資信託を購入・解約する際に口数を計算する方法について解説します。
ブラインド方式を採用
口数指定で購入した場合、購入・解約後に価格が決まるブラインド方式を採用しているため、購入時にはおおよその金額、口数しかわかりません。一方、金額指定で購入した場合は支払う金額はわかるものの、口数はおよその数字しかわからないしくみになっています。
購入前に価格がわからない点を、過度に心配する必要はありません。不安な場合は前日の価格を元に参考値を計算できます。
どうやって口数計算するのか?
おおよその購入口数を計算する式は以下のとおりです。
概算の購入口数:購入金額÷前日の基準価額
仮に購入金額が100,000円、前日の基準価額が10,000円だったとすると、おおよその購入口数は10口となります。実際の買い付けでは買付手数料がかかるため、購入口数はより少なくなります。
評価金額の計算方法について
評価金額とは投資信託の時価評価を指します。基準価額が買値を上回れば評価益、下回れば評価損の状態です。評価金額を計算する式は以下のとおりです。
評価金額=口数×基準価額÷10,000
例えば買値が10,000円で評価額が12,000円のときは、評価益となります。
解約するときの計算方法について
解約の注文方法は購入時と同様に「口数指定」と「金額指定」の2種類です。
- 口数指定:〇口分を解約する
- 金額指定:〇円分を解約する
同じ口数や金額であっても、売却時の基準価額によって解約金額は異なります。また、購入方法と同様に、投資信託によっては解約方法が「口数指定」もしくは「金額指定」のいずれかに固定されている場合があります。
投資信託の分配金の計算方法
投資信託の分配金を計算する際には、税金を考慮する必要があります。この章では、投資信託の分配金の基本的な考え方や具体的な計算方法について解説します。
分配金の考え方
投資信託の分配金は「10,000口あたり」または「1口あたり」と表示されます。誕生したときの
基準価額が「1口=1円」のファンドは「10,000口あたり」で示されます。一方「1口=10,000円」の場合の表示方法は「1口あたり」です。
1口=10,000円で生まれたファンドは、運用開始したのち組み入れた株式の価格変動などの影響を受け、基準価額が上下します。運用開始後の表示は、例えば「10,000口あたり10,500円」や「10,000口あたり8,700円」といった表示になります。
分配金の表示方法は「10,000口(1口)あたり〇〇円」です。仮に「第1期分配金は10,000口あたり50円」と表示された場合は、10,000口のファンドに対して50円の分配金が受け取れます。
税引前の分配金の計算方法
税引前の分配金の計算方法は「単位口数あたりの分配金額×(保有口数÷単位口数)」であらわされます。計算のモデルケースは以下のとおりです。
- 単位口数あたりの分配金額:200円
- 保有口数:400,000口
- 単位口数:10,000口
計算例:200円×(400,000口÷10,000口)=8,000円
ファンドを基準価額9,000円のときに買っていた場合、投資元本は9,000円×400,000口÷10,000口=360,000円です。つまりモデルケースにおいては、360,000円の投資に対して8,000円の分配金を得ています。
税引き後の分配金の計算方法
税引き後の分配金を計算するためには「普通分配金」と「特別分配金」について理解する必要があります。この章では、税引き後の分配金の計算方法について解説します。
基本的な考え方
分配金には20.315%の税金がかかります。しかし、分配金に税金がかかるのは利益(普通分配金)に対してのみで、元本払戻金(特別分配金)は非課税です。課税対象が分配金の全額ではない点に注意しましょう。
普通分配金となるケース
先ほどのモデルケースを使った場合、普通分配金となる例は以下のとおりです。
- ファンド購入時の基準価額:9,000円
- 分配金が出た日の基準価額:9,500円
分配金が出た日の基準価額が9,500円の場合、ファンド購入時の基準価額9,000円を上回り利益が出ています。この場合は、分配金8,000円がすべて普通分配金となります。税金は8,000円×20.315%で1,625円となり、手取りは8,000円−1,625円=6,375円です。
特別分配金となるケース
一方、特別分配金となるケースは、以下の状態です。
- ファンド購入時の基準価額:9,000円
- 分配金が出た日の基準価額:8,500円
分配金が出た日の基準価額(8,500円)に単位口数あたりの分配金額(200円)を加えても、ファンド購入時の基準価額(9,000円)に達しておらず利益が出ていません。この場合は、分配金(8,000円)がすべて特別分配金(非課税)になります。
普通分配金と特別分配金が混合するケース
普通分配金と特別分配金が混合するケースは、以下のとおりです。
- ファンド購入時の基準価額:9,000円
- 分配金が出た日の基準価額:9,100円
購入時の基準価額が9,000円のため、分配金が出た日の基準価額(9,100円)との差で100円分だけ利益が上がった状態です。分配金200円のうち100円が普通分配金、残り100円が特別分配金となります。普通分配金に当たる4,000円(100円×400,000口÷10,000口)に20.315%が課税され、813円が差し引かれます。4,000円−813円=3,187円が税引き後の分配金手取額です。
投資信託の口数や分配金の詳細はどこで確認できる?
投資信託の口数や分配金の詳細を確認する方法は、以下の2つです。
- 販売会社が交付する書類で確認する
- シミュレーションツールで確認する
それぞれ順番に解説します。
販売会社が交付する書類で確認する
販売会社から交付される書類では、以下の項目を確認できます。
- 詳しい購入金額
- 普通分配金
- 特別分配金など
書類は「投資信託分配金(償還金)のお知らせ」といった名称で交付されているケースがあります。
シミュレーションツールで確認する
証券会社や銀行など、さまざまな機関がホームページ上で投資信託口数計算のシミュレーションツールを公開しています。ツールを利用すると、数字を入力するだけで投資信託の口数や分配金を確認できます。
おわりに
投資信託は、前日の基準価額などをもとに算出します。購入時点では正確な口数は把握できないため、多少の前後がある点を理解しておきましょう。分配金の計算はご自身でもできる一方、シミュレーションツールを使うことで簡単に算出可能です。
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