2024年からスタートする新NISAは配当金を目的とした投資への活用が期待されています。配当金の仕組みやもらうための手順について、詳しく知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
このコラムでは配当金の仕組みについて解説します。株式投資の経験がない方でもわかりやすい内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 配当金とは企業の利益から株主に還元するお金
- 分配金は投資信託の純資産から支払われるため、区別が必要
- 配当金の受け取り方法には4つの種類があり、NISA口座を利用する場合は株式数比例配分方式を選択
配当金とは?概要を詳しくチェック
資産運用で得られる利益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があり、配当金はインカムゲインに属します。まずは配当金の概要や仕組みについて解説します。
配当金とは
配当金とは、企業の利益から株主に還元するお金を指します。配当金を受け取るための条件は「銘柄ごとに定められた権利付最終日の市場が閉まる時点で株を保有していること」です。権利付最終日の翌営業日は「権利落ち日」と呼ばれ、権利落ち日に株を売却しても配当金は受け取れます。
配当金の額
配当金をもらえる額は企業によって異なります。例えば配当金200円の株を200株保有している場合、税引き前の配当金は40,000円(200円×200株)です。証券口座に振り込まれる前に合計20.315%の税金が源泉徴収され、入金額は31,874円(40,000円ー8,126円)となります。
配当金をもらえるタイミング
配当金を実際にもらえるタイミングは、一般的に各企業が定める「権利確定日」の2~3ヵ月後です。日本企業の場合、現金で年間1〜2回支払われるのが一般的となっています。
分配金との違い
株式の配当金は企業の利益を資本にして株主に還元されます。一方、分配金は投資信託の純資産から支払われる仕組みです。支払い後は分配金相当分の基準価額が下がります。
投資信託は「分配金あり」と「分配金なし」の2種類に分類可能です。分配金が出ない投資信託は運用益を再投資しているため、複利的な効果が期待できます。
配当金の受け取り方法
配当金の受け取り方は主に以下の4つです。
- 株式数比例配分方式
- 個別銘柄指定方式
- 配当金領収証方式
- 登録配当金受領口座方式
それぞれ順番に解説します。
株式数比例配分方式
株式数比例配分方式は、証券口座を使って配当金を受け取る方法です。複数の口座で運用している場合は、株式数に応じてそれぞれの口座に振り込まれます。
証券口座に直接振り込まれるため、受け取ったお金はほかの取引へスムーズに利用可能です。NISA口座で得た配当金を非課税で運用するためには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。
個別銘柄指定方式
個別銘柄指定方式は、保有する銘柄ごとに振込口座を指定し配当金を受け取る方法です。任意の口座に直接振り分けたい場合は、手間の少ない方法といえるでしょう。
配当金領収証方式
配当金領収証方式は「配当金領収証」を使って郵便局や銀行で現金に引き換える方法です。その場で現金を受け取れるため、引き出す手間がかかりません。
登録配当金受領口座方式
登録配当金受領口座方式は、保有する株式の配当金を1つの証券口座でまとめて受け取る方式です。「配当金はまとめて別口座で管理したい」といった場合に役立つ方法といえます。
配当金に関する注意ポイント
配当金に関して注意するポイントは以下の4つです。
- 配当金は必ずもらえるわけではない
- 配当金は課税対象
- NISA口座で保管している株式なら配当金も非課税
- 配当控除を受けることも可能
それぞれ順番に解説します。
配当金は必ずもらえるわけではない
配当金は、株式を購入すれば必ずもらえるお金ではありません。企業によっては配当金を出していないケースがあります。また配当金を出している企業でも、業績の悪化を受けて「減配」や「無配」のように配当金を減らす可能性があります。
投資する企業の判断で、運用中に配当金の動向が変わるケースに注意が必要です。
配当金は課税対象
配当金や売却益など、株式投資によって生じた利益は課税対象です。原則として利益に対し合計20.315%の税金が課されます。配当金をすぐに別の投資に回したり現金で使ったりすると、確定申告の際に資金が不足する可能性があります。
なお、NISA口座の配当金を非課税にするためには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。
NISA口座で保管している株式なら配当金も非課税
NISA口座で保管している株式は、原則として運用益に税金がかかりません。配当金を再投資する際にはNISA口座を活用すると良いでしょう。
2024年からは新NISA制度がスタートします。現行NISAと比べて年間投資枠や非課税保有限度額が拡充されたため、配当金を再投資への活用が期待できます。個別株に投資できる「成長投資枠」の非課税保有限度額は1,200万円です。年間投資枠240万円のなかで投資額を調整しながら、活用の方法を探ってみましょう。
配当控除を受けることも可能
総合課税を選択して確定申告すると、配当控除が受けられます。また、確定申告が不要な源泉徴収ありの特定口座に預けている場合も、確定申告をすることで配当控除を適用可能です。
ただし、所得によっては配当控除を申告することで税率が上がり、かえって不利になるケースがあります。配当控除を選択する際は、個々の条件を確認して慎重に判断しましょう。
おわりに
配当金とは、企業の利益から株主に還元するお金を指します。投資信託の純資産から支払われる「分配金」と区別しておきましょう。配当金の受け取り方法には4つの種類があり、NISA口座を利用する場合は株式数比例配分方式を選択する必要があります。