投資を始めたいけれど、どのようにすればいいのか迷っている方も少なくないのではないでしょうか。市場の動きに合わせて売買するのは難しそうだし、一括で買うのもリスクが高いと感じるかもしれません。そんなときにおすすめなのが、ドルコスト平均法という投資手法です。この記事では、ドルコスト平均法とはどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、どのように活用できるのかを、わかりやすく解説します。ドルコスト平均法を使えば、価格の変動に左右されずに、安定的に資産を増やすことができます。投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- ドルコスト平均法は、価格が変動する金融商品を定期的に定額で積み立てる手法であり、市場の高値や安値を気にせずに投資できる
- ドルコスト平均法は、投資信託だけでなく、株やFXなど多くの金融商品に活用できる
- ドルコスト平均法のメリットには、市場の変動におけるリスクの分散や高値での購入リスクの軽減などさまざまなメリットがある
【基本】ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を定期的に定額で積み立てる手法のことです。例えば、毎月1万円分の投資信託を購入するとします。このとき、口数でなく金額を一定にすることがポイントです。なぜなら、価格が低いときには購入量(口数)が多く、価格が高いときには購入量(口数)が少なくなるからです。
これにより、平均購入単価の平準化が期待できます。つまり、高値で買いすぎることや、安値で買い逃すことを防ぐことができるのです。ドルコスト平均法は、長期的に投資を続けることで、効果が期待できます。
ドルコスト平均法=一定金額で定期購入すること
ドルコスト平均法の効果を理解するために、一定金額を購入した場合(ドルコスト平均法)と一定口数購入した場合の比較を以下の表に示します。
この表は、ドルコスト平均法で毎月1万円投資した場合と、一定口数購入で毎月1万口を購入した場合のシミュレーションです。投資期間は5か月間とし、投資信託の価格は月ごとに変動すると仮定します。
ドルコスト平均法 | 一定口数購入 | |||
月 | 基準価格(円) | 投資金額 | 一定金額購入(口数) | 一定口数購入(口数) |
1 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 |
2 | 8,000 | 10,000 | 12,500 | 10,000 |
3 | 12,500 | 10,000 | 8,000 | 10,000 |
4 | 9,000 | 10,000 | 11,111 | 10,000 |
5 | 10,510 | 10,000 | 9,524 | 10,000 |
合計 | – | – | 51,135 | 50,000 |
平均単価 | – | – | 9,778 | 10,002 |
表からわかるように、一定金額購入の場合は、価格が下がったときには多くの口数を購入でき、価格が上がったときには少ない口数を購入できます。これにより、平均購入単価は9,778円となります。一方、一定口数購入の場合は、価格が変動しても同じ口数を購入します。これにより、平均購入単価は10,002円となります。つまり、ドルコスト平均法なら、価格が下がったとしても、たくさん買うことができ、1口あたりの平均投資額も安定するということです。
ドルコスト平均法は多くの金融商品に活用できる
ドルコスト平均法は、投資信託だけでなく、株やFXなどあらゆる金融商品で活用できます。価格が変動するものなら、どんなものでもドルコスト平均法を適用できるということです。
また、ドルコスト平均法は金融商品以外にも、ガソリンの給油時にも有効です。ガソリンの価格は日々変動しますが、毎月一定の金額で給油することで、平均給油単価を安定させることができます。ドルコスト平均法は、価格の変動に対応するための便利な手法です。ぜひ、投資や生活に活かしてみてください。
ドルコスト平均法のメリットは?
ドルコスト平均法の最大のメリットは、市場の変動リスクを分散しやすい点にあります。この戦略を用いることで、高い価格での購入リスクを軽減し、安定した投資を目指すことが可能です。さらに、定期的な投資によって、市場の短期的な変動に左右されずに、長期的な視点での資産形成を目指すことができます。
主なメリットとして、以下があげられます。
- 始めどきを選ばない
- 高値掴みを回避しやすい
- 少額からでも始められる
- 最初に設定すればその後は手間がかからない
- 精神的な負担が軽減される
以降では、それぞれについて解説します。
始めどきを選ばない
投資を始めるとき、一括購入するなら底値で購入することで利益が大きくなります。しかし、相場動向をよく見てタイミングを見極めるのは難しいですし、価格が下がり続けると損失が拡大するリスクもあります。
そこで、ドルコスト平均法なら一括購入に比べてタイミングに悩まなくて良いというメリットがあります。ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を定期的に定額で積み立てる手法のため、毎月同じ金額で購入することで価格の上下に関係なく、長期的に資産を増やすことができます。そのため、ドルコスト平均法なら、始めどきを選ばずに、気軽に投資を始めることができるのです。
高値掴みを回避しやすい
高値掴みとは、価格が高騰しているときに購入してしまい、その後価格が下落することで損失を被ることです。高値掴みは、投資における最大の失敗と言われるほど、避けたいことです。
一括購入する場合は、価格が高いときに購入してしまう可能性があります。しかし、ドルコスト平均法なら、定期的に積み立てることで、購入単価が平準化されて高値掴みのリスクが抑えられます。
例えば、毎月1万円分の株を購入するとします。価格が高いときには少ない株数を、価格が低いときには多くの株数を購入できます。これにより、平均購入単価は価格の変動に影響されにくくなります。
少額からでも始められる
投資を始めるには、まず資金が必要です。しかし、一括購入するには大きな金額が必要になりますし、リスクも高くなります。そこで、ドルコスト平均法なら、少額からでも始められるというメリットがあります。
価格が変動する金融商品を定期的に定額で積み立てる手法のため、無理のない金額で始められ、少額でもコツコツと積み重ねることで、長期的に資産を増やすことができます。ドルコスト平均法なら、資金が少なくても、投資の世界に足を踏み入れることができます。
最初に設定すればその後は手間がかからない
投資をするには、価格の変動や市場の動向を常にチェックする必要があります。しかし、ドルコスト平均法なら、最初に設定すればその後は手間がかからないというメリットがあります。
ドルコスト平均法を実践するには、定期的に自動購入できる金融商品を選ぶことが必要です。例えば、投資信託や株式などです。最初の1回だけ手続きをすれば、その後は自動的に毎月同じ金額で購入できます。これにより、価格の変動に気を取られることなく、安心して投資を続けることができます。ドルコスト平均法は、忙しい方や面倒くさがりな方でも、簡単に投資を始められる投資方法です。
精神的な負担が軽減される
投資をするとき、一括購入すると「あの時買っておけば」と後悔することがあります。価格が上がったときには、もっと買っておけばよかったと思いますし、価格が下がったときには、もっと安く買えたのにと思います。このように、一括購入は精神的な負担が大きいです。
しかし、ドルコスト平均法なら、精神的な負担が軽減されるというメリットがあります。ドルコスト平均法は、価格が下がったとしても多く買えるため、損失を埋め合わせることができます。また、価格が上がったとしても、安く買った分で利益を得ることができます。これにより、価格の変動にあまり一喜一憂することなく、心に余裕を持って投資を楽しむことができます。
ドルコスト平均法のデメリットは?
ドルコスト平均法は、さまざまなメリットもある一方、次のようなデメリットもあります。
- 大きな利益は狙いにくい
- 手数料がかかる
- 短期では利益が出にくい
- 資産がマイナスになる可能性もある
大きな利益は狙いにくい
一括購入であれば、価格が安いときに多く買って価格が上がったタイミングで売ることで大きな利益が得られます。しかし、ドルコスト平均法は安いからといって多く買うことはなく、高くなっても運用期間中は基本的には売却しないため、時間をかけて安定した利益を生む方法です。
そのため、短期的に大きな利益は狙いにくいというデメリットがあります。ドルコスト平均法は、長期的に資産を増やすことを目的とした手法であることを忘れないでください。
手数料がかかる
ドルコスト平均法を実践するには、毎月同じ金額で購入することが必要です。しかし、購入のたびに手数料がかかる場合があります。例えば、FXの場合はスプレッドと呼ばれる売値と買値の差が手数料になります。
また、株式の場合は売買手数料がかかります。これらの手数料は、毎月の購入金額に対してどのくらいの割合になるかを確認する必要があります。手数料が高いと、ドルコスト平均法の効果が減少する可能性があります。
短期では利益が出にくい
ドルコスト平均法は、時間をかけて定期的に積み立てていくことで利益を生む投資手法です。しかし、期間が短ければその効果が得られない可能性があります。ドルコスト平均法のメリットは、価格の変動に左右されずに、平均購入単価を安定させることです。しかし、価格が下がり続ける場合は、平均購入単価も下がります。
また、価格が上がり続ける場合は、平均購入単価も上がります。このように、短期では価格の変動によって、ドルコスト平均法の効果が出にくいというデメリットがあります。ドルコスト平均法は、長期的に価格の上下を平準化することを目的とした手法であることを忘れないでください。
資産がマイナスになる可能性もある
ドルコスト平均法であっても、投資のリスクを必ず回避できるわけではありません。ドルコスト平均法は、価格が下がったときに多く買えるため、損失を埋め合わせることができます。しかし、価格が下がり続けると、資産がマイナスになる可能性もあります。
また、運用期間中は基本的には売却しないため、必要なときに資金を引き出すことができない場合もあります。このように、ドルコスト平均法にもリスクがあります。
ドルコスト平均法はどんな人に向いている?
以下のような方は、ドルコスト平均法を用いての投資に向いているでしょう。
- 投資期間を長くとれる人
- コツコツ気長にできる人
- まとまった余裕資金が用意できない人
それぞれを解説します。
投資期間を長くとれる人
ドルコスト平均法は、投資期間を長く取れる人に最適です。この方法の最大のメリットは、長期間にわたって市場の平均的な価格で資産を購入できることにあります。
市場が上昇傾向にある時も、下降傾向にある時も、一定の金額で定期的に購入を続けることにより、長期的には市場価格の変動リスクを減少させることができます。
特に、長期にわたって投資が可能な方にとって、安定した資産形成を実現する強力投資方法だといえます。
コツコツ気長にできる人
ドルコスト平均法は、即効性や短期間での高リターンを求める投資方法ではありません。むしろ、この方法はコツコツと長期間にわたって投資を続けることが重要です。
投資を始めてすぐに大きな成果を期待するのではなく、市場の波に乗りながらゆっくりと資産を増やしていくことが求められます。そのため、気長に投資を行うことができる方にとって、この方法は適しています。
まとまった余裕資金が用意できない人
ドルコスト平均法は、大きな一時的な投資ではなく、小さな金額を定期的に投資する方法です。そのため、一度に大きな資金を用意することが難しい方や、少額から投資を始めたい方にとって、非常に魅力的な戦略と言えます。
この方法では、少額でも定期的に投資することにより、長期的には大きな資産形成が期待できます。特に、余裕資金が限られている方にとって、ドルコスト平均法は理想的な投資方法となるでしょう。
ドルコスト平均法のおすすめの活用法
ドルコスト平均法は特に、長期的な資産形成を目指す初心者投資家におすすめです。市場の予測が難しい中、一定額を定期的に投資することで、高値での購入リスクを減らすことができます。
また、価格の変動を気にせず、コンスタントに投資を続けられるのも大きなメリットです。
以降では、この方法をさらに効果的にするための分散投資とおすすめの投資方法について解説します。
分散投資する
ドルコスト平均法の大きな利点の一つは、購入時期の分散が可能であることです。この手法を活用しつつ、さらに投資先を分散することで、リスクをより抑えることができます。
例えば、国内株式だけでなく、国外株式や債券など、異なる資産クラスに投資することで、市場の変動に強いポートフォリオを構築することが可能です。
運用状況の定期的な確認は必須
ドルコスト平均法は日々の市場の価格変動を細かく追う必要はありませんが、それでも定期的な運用状況の確認は重要です。市場環境や経済状況の変化により、長期的な見通しや投資戦略の見直しが必要になる場合もあります。
特に分散投資を行っている場合、一部の投資商品が長期的に見てもパフォーマンスが良くない場合は、商品の変更も検討するべきです。
おわりに
本記事では、ドルコスト平均法の基本とそのメリット、デメリットを解説しました。この戦略は、長期的な資産形成に向けて、特に投資初心者に適した方法です。投資の世界は常に変動し続けますが、ドルコスト平均法を活用することで、リスクを抑えつつ、着実な資産増加を目指すことができるでしょう。
投資は常にリスクを伴いますが、適切な戦略と知識を持つことで、そのリスクを軽減し長期的な視点で資産を増やすことが可能です。特に市場の変動が大きい時期において、投資リスクを分散し安定した資産の増加を目指すのに役立ちます。特に初心者の方や、大きなリスクを避けたい方にとって有効になるでしょう。