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IPO株の買い方とは?魅力やリスクを知って購入までの流れをマスター

IPO株の買い方とは?魅力やリスクを知って購入までの流れをマスター
セゾンのくらし大研究 編集部

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IPO株は上場後価格が上昇する可能性があるとして、投資家から人気を集めています。ただし、株式である以上価格変動リスクはあるため、市況によっては価格が下落するかもしれません。また、購入にあたっては抽選がありますが、方法によっては当選する確率を上げることも可能です。この記事では、IPOの概要と魅力、リスク、IPO株の買い方や購入の際に知っておきたいポイントについて詳しく解説します。

(本記事は2024年1月26日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • IPOとは新規株式公開、または新規に公開した株式自体のこと
  • IPO投資の魅力は、買付時の手数料が無料、上場後の値上がりが期待できる、公募価格が割安なこと
  • IPO株の購入手順は、証券口座開設、目論見書のチェック、ブックビルディングへの申し込み、当選後購入申し込みの4ステップ

IPOとはどういうものなのか?

IPOとはどういうものなのか?

IPOとは、新規に株式を公開すること、または新規に公開した株式自体のことを指します。投資家からの人気も高く、特に有名な企業がIPOを行った場合、その銘柄の購入を希望する人が非常に多いです。ここでは、IPOについて、魅力やリスクも合わせて解説します。

IPOとは?

IPOは「Initial Public Offering」の頭文字を取った言葉で、新規株式公開を指しますが、株取引では新規公開株自体を指すことも多いです。

株式会社は株式を発行して事業を運営しますが、すべての株式会社の株式が自由に売買されているわけではありません。株式会社で売買されているのは、上場企業の株式だけです。IPOとは、株式会社が株式を上場し、一般投資家から資金を集める行為です。そして、新規に公開される株式を「新規公開株」といい、これをIPOというケースも多いです。

株式が新規公開されることが決まると、上場前に公募という形で株式が売りに出されます。その株式を入手し、上場後初値が付いた瞬間に売却するのがいわゆる「IPO投資」です。

IPOの魅力とリスク

新規公開株に投資することをIPO投資といいますが、魅力がある一方でリスクもある点に注意が必要です。ここでは、IPO投資の魅力とリスクについて詳しく知っておきましょう。

IPOの魅力

IPO投資の主な魅力は、以下の通りです。

  • 買付時の手数料が無料
  • 上場後の値上がりが期待できる
  • 公募価格が割安に設定されている

一般的に、証券会社などを通して株式を購入する際には取引手数料が必要ですが、IPOの場合は買付時の手数料が無料です。ただし、新規公開後の購入あるいは売却の際は、通常通りの手数料がかかる点に注意してください。

IPO投資が人気を集める理由の一つに、上場後に株価が値上がりする可能性が高い点が挙げられます。特に人気の高い銘柄の場合、大きく値上がりすることも多く、値上がりのタイミングで売却すると大きな売却益を得ることが可能です。投資初心者でも利益を上げられる可能性が高いことも魅力だといえるでしょう。

さらに、IPOの公募価格は、投資家が購入してくれるであろう価格を想定して決定されます。そのため、適正株価から割引した価格が設定されるのが一般的です。公募価格が割安な点も投資を有利に進める上で魅力となります。

IPOのリスク

一方、IPO投資には以下のようなリスクがあります。

  • 人気銘柄は当選確率が低い
  • 上場後に株価が下落する可能性がある
  • 抽選結果が出るまで資金を動かせない

一般的な上場株式は、証券取引所などを通して誰でも取引できます。しかし、IPOの場合、株式を購入する場合は抽選に応募し、当選しなければなりません。抽選方法は証券会社によって異なりますが、人気の高い銘柄だと当選確率が低くなり、購入したくてもできないケースも多いです。

また、IPOは上場後に価格が上がる可能性が高い点が魅力ですが、必ず上がるとは限りません。逆に上場直後に株価が下落する可能性がある点はリスクです。IPOを購入する人の多くは株価が上がった時点で売却することを考えていますが、考えることは誰でも同じなので、売却する人が多ければ当然ながら株価は下落します。売却時期の選択次第で損失を被る可能性もある点に注意してください。

さらに、証券会社によっては抽選参加時、あるいは抽選時に資金が拘束されるケースが多いです。そうすると、他のIPO投資に資金を回したり別の用途に資金を使ったりできなくなります。なお、抽選に外れれば資金の拘束はなくなります。

IPO株が株式市場に上場するまでの一連の流れ

IPO株が株式市場に上場するまでの一連の流れ

企業がIPO株を上場するためには、証券取引所に上場を申請し、承認されなければ始まりません。IPO株が株式市場に上場するまでの流れは、以下の通りです。

  • 上場承認を受ける
  • 仮条件+ブックビルディング
  • 公開価格の決定
  • 抽選+購入申し込み後に上場

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

上場承認を受ける

IPO株を上場するためにまず必要なのが、証券取引所の上場承認を受けることです。一定の基準をクリアしないと上場自体できません。

上場承認のプロセスでは、新規上場申請のために提出された有価証券報告書の記載内容などに基づき、証券取引所が企業に対して書面で質問、あるいは直接ヒアリングを行います。回答やヒアリングの結果、上場しても問題ないと判断されれば、上場承認がなされます。

IPO株が上場承認されたかどうかは、上場予定の証券取引所のホームページ上で確認できます。

仮条件+ブックビルディング

IPO株が上場承認を受けると、仮条件が公表されます。

仮条件とは、証券会社が機関投資家や他の金融機関にヒアリングした結果、価格変動リスク、類似会社との比較など様々な点を考慮した上で決定される公開価格帯のことです。

仮条件の公表に続いて、仮条件の範囲内で投資家が需要を申告する「ブックビルディング」に入ります。価格設定に用いる発行条件を決定するための需要予測と考えてください。ただし、対象となるIPOの主幹事や幹事を務める証券会社に口座がなければブックビルディングには参加できないので注意してください。

公開価格の決定

ブックビルディングで投資家が提示した申込株式数や希望株価などを参考に、上場予定企業と証券会社が最終的な公開価格を決定します。公開価格とは、新規公開される株式の発行価格のことです。

なお、上場後最初に取引が成立した値段、つまり初値が公開価格より高ければ含み益が出ている状態、反対に低ければ含み損を抱える状態になります。

抽選+購入申し込み後に上場

IPO株の購入を希望する投資家が多い場合は、抽選が行われます。抽選方法は、主に以下の3種類です。

  • 完全平等抽選:1人1票の抽選権を持つ
  • 優遇抽選:一定条件を満たす投資かを優先する
  • 店頭配分:各証券会社が最良により大口顧客や得意先に配分する

抽選の結果、当選した投資家のみが購入申し込みできます。

抽選と購入申し込みの受付を経たのち、最終的にIPO株の上場に至ります。

なお、東京証券取引所のプライム市場の場合、一般的に上場日は上場承認発表後おおむね1ヶ月程度です。

IPO株の買い方とは?

IPO株の買い方とは?

IPO株が上場されるまでの流れを把握したところで、具体的にどのように購入すれば良いのか、買い方の手順を確認しておきましょう。

証券会社で口座開設

IPO株は、証券会社を通じて購入しますが、対象となるIPO株の幹事会社(主幹事、引受幹事、委託幹事)で証券口座を作っておかなければなりません。IPO株の配分がない証券会社では、そもそも抽選に参加できないので注意してください。

なお、主幹事会社はIPOのスケジュール管理や作業・運営などで中心的な役割を果たす証券会社のことです。売れ残りが出た場合には自社で引き受けたり一般投資家に販売したりします。

引受幹事会社はIPOの引き受け・販売を行う証券会社のこと、委託幹事会社とは各幹事からIPOの販売を委託された証券会社のことです。

証券口座がない場合は、あらかじめ口座を開設しておきましょう。証券会社によって必要書類や口座開設までの時間は異なるため、余裕を持って申し込むことをおすすめします。

目論見書をチェック

企業は上場にあたって、対象となるIPO株の内容を投資家に説明するために「目論見書」(もくろみしょ)を作成します。株式の価値は常に変動するため、投資家は正しい情報を収集しなければなりません。目論見書は、投資家にとって企業やIPO株の詳しい情報を収集するために欠かせない書類です。

例えば、企業の業種や業務内容、既存株主の構成、想定発行価格、発行株数、今後のスケジュール、主幹事証券会社など幹事会社、業績や財務データなどは最低限チェックしておきたい項目です。

ブックビルディングに申し込む

続いて、ブックビルディングに申し込みます。ブックビルディングとは、購入希望者から購入する株式数と価格の申請を受ける制度です。具体的には、いくらで何株希望するか証券会社に提示して行います。

仮条件の範囲内であればいくらで提示しても構いませんが、申込金額が公開価格を下回るとその後の申し込み抽選に参加できません。そのため、仮条件の上限金額を提示しておくのが賢明です。

なお、公募価格はブックビルディングを基に決定されますが、適正価格よりも低く設定されるのが一般的です。

当選したら購入申し込み

ブックビルディングの期間が終了したら、応募者の中から購入者の抽選が行われ、当選すると購入するか辞退するかの意思表示を求められます。

購入する場合は、購入申し込みを行います。手続きは各幹事証券会社を通じて行うことが可能です。なお、証券会社によっては当選したにもかかわらずキャンセルするとペナルティを課しているケースがあるため注意してください。

すべての手続きが完了したら、購入意思表示の期限後に保有株として反映され、上場後いつでも売却できる状態になります。

IPO株購入で知っておきたいポイント

IPO株購入で知っておきたいポイント

IPO株を購入する際には、できるだけ当選確率を上げ、お得に購入したいところです。ここでは、IPO株購入で知っておきたいポイントをご紹介します。

当選確率をアップする方法

IPO株は、ブックビルディング後に抽選に当選しないと購入できません。IPO株は幹事会社ごとに割り当てがあるので、複数の証券口座を保有して多くの証券会社から申し込むと抽選に参加できる回数が増えるため、当選確率を上げるのに有効です。

証券会社の特典を利用する

証券会社によっては、特定の条件を満たすことで優遇特典やチャンス抽選を用意しているケースも多いです。中には、新規口座開設だけで優遇特典を受けられる証券会社もあります。

例えば、大和コネクト証券では、信用口座やNISA口座を開設するだけで抽選の優遇が受けられます。IPO株の購入は初めてという方でも抽選に当選する可能性が高まるでしょう。

IPOは集中することもあるので、その前に口座を開設しておき、特典を上手く活用してみてはいかがでしょうか。

抽選の時間差を活用する

抽選の時間差を活用するのも当選確率を上げるための方法の一つです。

中には、一般的なスケジュール通りに抽選を行わない証券会社もあります。購入申し込み後に抽選を行う(後期型と呼びます)証券会社であれば、一般の抽選が終わった後でも抽選に間に合う可能性があるので、トライしてみると良いでしょう。抽選のタイミングの差を活用し、抽選会数を増やすことが可能です。

NISAを活用してお得に取引

NISAを活用してお得に取引

NISA口座を活用することで、お得に取引することが可能です。新NISAでは、一つのNISAで「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が設定されており、成長投資枠では個別株も購入できます。IPO株の購入も可能です。NISAなら売却益を非課税にできるので、上手く活用してみてください。

おわりに

IPO株は投資家から高い人気を集めていますが、購入するためには証券会社での口座開設、目論見書確認、ブックビルディング申し込み、抽選に当選後に購入申し込みとステップを踏まなければなりません。また、上場後に価格が上昇しやすいと言われていますが、株式市場を取り巻く状況によっては価格が下落するリスクもあります。IPO株の購入にあたっては、メリットとリスク、買い方の注意点なども考慮した上で検討しましょう。

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