個人事業主は国民健康保険や国民年金に加入しますが、従業員がいる場合には、従業員に適用される社会保険にも加入する必要性が生じることがあります。健康保険や年金保険、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入の必要性について見ていきましょう。
1.従業員がいる場合の社会保険について
社会保険とは、健康保険や介護保険、年金保険、労働保険(労災保険・雇用保険)のことです。いずれも年齢や勤務先などによって加入が義務付けられています。
個人事業主が一人で働くときは、自分自身の社会保険だけに加入すれば良いです。しかし、従業員がいるときは、従業員のために社会保険に加入する必要性が生じることがあります。従業員のために社会保険に加入する場合は、保険料の一部あるいはすべてを雇用者側が負担しなくてはいけません。社会保険の種類別に、加入基準や保険料の負担割合について見ていきましょう。
1-1.健康保険・介護保険
5人以上の従業員を常時雇用している士業の個人事業所(対象は以下記載)において、2022年10月以降は健康保険の適用事業所になるため、加入が必要です。従業員の健康保険に加入し、雇用者として保険料の半額を負担する必要があります。常時雇用している従業員数が5人未満の場合であっても、従業員の半分以上の同意があれば、任意で従業員の健康保険に加入可能です。
ここでいう従業員とは、正社員と、1週間の所定労働時間と1ヵ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の方を指します。家族従業者については、従業員に含みません。
なお、介護保険は健康保険に加入している40歳以上64歳以下の方に対しては無条件で適用されます。そのため、雇用者側も従業員側も、介護保険に加入するための手続きは必要ありません。
適用対象となる士業:弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、弁理士
1-2.厚生年金保険
5人以上の従業員を常時雇用している個人事業主は、2022年10月以降は厚生年金保険の適用事業所になるため、加入が必要です。従業員の厚生年金保険に加入し、雇用者として保険料の半額を負担することが必要になります。また、常時雇用している従業員数が5人未満の場合であっても、従業員の半分以上の同意があれば、任意で従業員の厚生年金保険に加入可能です。
従業員の基準は、健康保険・介護保険と同じです。
参照元:厚生労働省・日本年金機構「厚生労働省から法律改正のお知らせ」
1-3.労働保険(労災保険、雇用保険)
1人以上の従業員を雇っている個人事業主は、労働保険の加入義務があります。雇用しているのが正社員でなく、パートやアルバイトでも同じく雇用保険の被保険者にしなくてはいけません。
ただし、31日以上継続しての雇用が見込まれない方や、1週間の労働時間が20時間未満のパートやアルバイトは除きます。厚生労働省令で定められる大学や専修学校の学生も除外します。
雇用保険に関しては保険料の一部を雇用側が負担し、残りを従業員の給与から天引きします。労災保険は全額を雇用側が負担することが必要です。
2.個人事業主が知っておきたい社会保険のルール
社会保険にはさまざまなルールがあります。その中でも個人事業主が知っておきたいルールとしては、次の3つが挙げられるでしょう。
- 個人事業主自身は国民健康保険・国民年金に加入する
- 個人事業主は労働保険に加入できない
- 従業員の保険料は経費にできる
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
2-1.個人事業主自身は国民健康保険・国民年金に加入する
常時5人以上の従業員を雇用している場合や従業員の半数以上が同意した場合は、健康保険組合や厚生年金に加入します。しかし、これらは従業員のために加入するものであって、個人事業主自身は健康保険組合や厚生年金保険に加入できません。個人事業主自身は国民健康保険・国民年金に加入します。
専従者として働く家族は従業員とはカウントされないため、個人事業主と同じく国民健康保険・国民年金に加入します。ただし、家族が他の従業員と同条件で働く場合は、家族も健康保険組合や厚生年金に加入することが可能です。
参照元:日本年金機構「個人事業所の場合、事業主およびその家族は被保険者となるのでしょうか。」
2-2.個人事業主は労働保険に加入できない
労働保険(労災保険・雇用保険)は従業員のための保険制度です。従業員を1人以上雇用している個人事業主は従業員を被保険者として労働保険に加入し、労災保険料の全額と雇用保険料の一部を負担します。しかし、個人事業主自身は労働保険の被保険者となることはできません。
以下の業種に該当する一人親方や個人事業主は、特別加入団体を通して労災保険に特別加入することができます。
- 個人タクシーなどの自動車を使って旅客や貨物を運送する方
- 土木や建築、解体などの事業を営む方
- 漁船による採捕事業を営む方
- 林業に携わる方
- 医薬品を配置販売する事業に携わる方
- 再生利用を目的とする廃棄物などを収集・運搬などを行う方
- 船員法第1条で規定されている船員が携わる事業を行う方
- 柔道整復師法第2条で規定されている柔道整復師が携わる事業を行う方
- 改正高齢者雇用安定法に基づいて実施される事業に携わる方
参照元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労災保険 特別加入制度のしおり」
2-3.従業員の保険料は経費にできる
従業員の保険料を支払った分については、福利厚生費の勘定科目で経費として計上できます。ただし、従業員の給与から天引きした社会保険料に関しては、従業員自身の社会保険料控除として扱います。
2-3-1.個人事業主自身の保険料は経費にできない
個人事業主が支払う自分自身の社会保険料については、経費として扱うことはできません。社会保険料控除として確定申告できるため、保険料全額が所得控除となり、課税所得額が減ります。課税所得額が減ると所得税額や住民税額も減るため、節税につながるでしょう。
国民年金保険料は早めに払うことや、6ヵ月分、1年分、2年分とまとめて前納することで割引が適用されます。一部の国際ブランドに対応したクレジットカードでも納付可能です。クレジットカード払いにおいても、1ヵ月分ずつの納付や6ヵ月分、1年分、2年分の前納にも対応し、前納の場合には割引が適用されます。
もっとも割引率が高いのは、2年分の前納です。1ヵ月分を納付するときは保険料は1万6,590円(令和4年度)ですが、2年分まとめると38万2,780円となり、約1ヵ月分(1万4,540円)安くなります。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、国民年金保険料の支払いに対応したクレジットカードです。また、支払い額に応じたポイントも付与されるため、さらにお得になります。
国民健康保険料もクレジットカード払いにすれば、さらに付与されるポイントが増えるだけでなく、納め忘れも避けられます。ぜひセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードでの社会保険料納付もご検討ください。
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参照元:日本年金機構「国民年金保険料」
参照元:日本年金機構「国民年金保険料の納付に利用できるクレジットカード」
参照元:日本年金機構「国民年金前納割引制度(現金払い 前納)」
3.ルールを守り働きやすい環境を構築しよう
2022年10月以降は従業員が5人以上の個人事業主には、従業員の社会保険に加入する義務が生じます。従業員が5人未満の場合も従業員の過半数の同意があれば、社会保険に加入することが可能です。厚生年金保険や健康保険組合に加入して社会保険制度を充実させることで、従業員によってより働きやすい環境を目指しましょう。
個人事業主自身は国民健康保険と国民年金に加入します。クレジットカード払いにすれば納付のし忘を回避できるでしょう。まとめて前納することで保険料を抑えたり、納付額に応じてポイントが付与されるのもクレジットカード払いの特徴です。社会のルールを守るためにも、社会保険制度や納付方法などについての知識を深めていきましょう。