借入先を複数の会社から限定した一社に一本化できる仕組みのことを、おまとめローンといいます。月々の返済管理が簡潔化したり、金利が低くなったりするメリットがありますが、注意すべきポイントもいくつかあります。このコラムで複数の借入を整理する手段として、おまとめローンの基礎知識を確認しておきましょう。
1.おまとめローンとは?基礎知識を解説
おまとめローンは、複数の会社からの借り入れを一本化し、借入先を1つの会社に切り替える仕組みです。利用する際には、カードローンかおまとめ専用の商品を選択します。
「借り換え」と混同されることがありますが、「おまとめ」と「借り換え」は異なる特徴をもちます。おまとめローンを利用したいと考えているなら、まずは基礎知識を理解しておくことが大切です。ここでは、仕組みや利用する際の流れなどを解説します。
1-1.複数の借り入れを一括にまとめて返済する仕組み
おまとめローン(おまとめ)とは、金融機関や貸金業者など2社以上の会社からの借り入れを一本化し、1社に対して返済していくことです。例えば、現在の借入状況を以下のように仮定します。
- 【A社】金利18%・借入金30万円
- 【B社】金利15%・借入金30万円
- 【C社】金利18%・借入金40万円
借入金の合計は100万円です。この場合は、例えば新たにD社(金利12%)から100万円を借りてA〜C社に返済します。そして、100万円分の借入をD社に一本化して返済していくというイメージです。
このように、返済先を低金利の金融機関1社のみに絞れば、返済の負担軽減につながる可能性があります。返済先が1つになることで、返済の管理がしやすくなるのも特徴です。
① カードローンを利用する方法
複数の借り入れをまとめる手段の一つが、カードローンを利用する方法です。まずは、複数の借入金を合計した金額を新たに借入します。借り入れができたら、それぞれの会社に返済し、その後は借り入れをした会社にのみ返済を行う形です。
上記の方法に利用できるのは、主に以下3つです。
- 銀行系
- 信販・クレジット系
- 消費者金融系
銀行系は、その名のとおり銀行本体のカードローンや銀行系に属するクレジットカード会社が提供しているサービスを指します。一般的に金利が低い傾向にあるのが特徴です。申し込みをしてから融資を受けるまでのスピードが遅く、数日ほど時間がかかることもあります。また、利用する場合はその銀行の口座を開設しなければいけないことが多いです。
信販・クレジット系の提供元は、信販会社やクレジットカード会社です。おまとめを目的とした商品を取り扱っていることもありますが、一般的なカードローンよりも利便性が高いのが特徴です。
消費者金融が提供するカードローンは消費者金融系と呼ばれます。融資までのスピードが早く、申し込みをしてから融資を受けるまで最短30分で提供している先もあります。
スピーディーな対応に加えて、30日間利息がかからないといった独自のサービスを行っているケースも多いです。ただし、利用しやすさや利便性の高さがある一方で、消費者金融系は金利が高めに設定されているのも特徴です。
その他の選択肢として、銀行での借入やクレジットカードのキャッシング機能を利用する方法があります。それぞれの詳しい情報は以下の記事を参考にしてください。
② おまとめ専用商品を利用する方法
金融機関や貸金業者のおまとめ専用商品も、2社以上の借り入れを一本化できる方法の1つです。なかでもクレジットカード会社や消費者金融のように銀行業を営んでいない貸金業者は、貸金業法という法律に基づいてサービスを提供しています。
貸金業法では個人に対して行う貸付に、「総量規制」というルールが設けられています。総量規制とは、多重債務や過度な借り入れなどを防ぐために作られた規定のことです。総量規制に基づき、貸金業者は年収の3分の1以上の貸付ができません。
ただし、「顧客に一方的に有利になる借り換え」などは総量規制の対象にならず、年収の3分の1を超える貸付も認められています。これを「例外貸付」といい、該当する条件は以下のとおりです。
- 借り換え後の金利が借り換え前の金利を下回る
- 約定に基づく返済により、残高が段階的に減る
- 1ヵ月あたりの負担額が借り換え前の負担額を下回る
- 借り換え後の条件が借り換え前よりも厳しくない など
複数の借り入れを一本化することは、上記の例外貸付に当てはまります。そのため、クレジットカード会社や消費者金融のおまとめ専用商品を利用すると、総量規制の上限を超える額でも借入が可能とされています。
一方で、おまとめを目的として提供されていないキャッシングは例外貸付に当てはまりません。借り入れの一本化を目的としてキャッシングを利用することはできますが、借入の総額がすでに年収の3分の1に達している場合は、総量規制の上限があるため借入できないことに注意しましょう。
1-2.おまとめローンを利用する際の流れ
おまとめローンを利用する際は、主に「申し込み・審査・融資・返済」の流れで進みます。銀行と貸金業者の手続きの流れをそれぞれ見てみましょう。
【銀行】
- 仮審査の申し込み
- 仮審査の結果の通知
- 本審査
- おまとめローンの契約
- 返済用の口座の開設
- 融資の実行
- 各社へ返済
【貸金業者】
- 審査の申し込み
- 審査
- 審査の結果の通知
- おまとめローンの契約
- 融資の実行
- 各社へ返済
銀行も貸金業者も、申し込み・結果の通知はインターネットやメールを利用できるケースが多いです。契約を結ぶ際は、必要書類を窓口に持参するのが基本です。
1-3.おまとめローンと借り換えの違い
おまとめローンと借り換えの違いは、一括にまとめる前に借り入れをしている会社の数です。借り換えはいわば「借入先の乗り換え」で、1社からの借り入れを別の1社から借り入れして返済することを指します。借り換えには総量規制に該当するパターンと、総量規制の例外となるパターンの2種類があります。
借入先を1社から別の1社に変更する借り換えに対し、おまとめは1社以上の借入先を1社のみにすることです。どちらもより金利が低い会社に変更するという点は共通していますが、現在の借入先の数に違いがあると覚えておきましょう。
借り換えについては、以下の記事で詳しく解説しています。現在1社のみから借り入れをしている場合は、ぜひ参考にしてください。
2.おまとめローンを利用するメリット3つ
おまとめローンを利用することで得られるメリットは、主に以下の3つです。
- 最終的な利息が減る可能性がある
- 毎月の返済を1回にまとめられる
- 多重債務者になるリスクを避けられる
返済の管理などに悩む方にとって、おまとめローンは検討すべき選択肢の1つといえるでしょう。ここでは、おまとめローンを利用するメリットについてわかりやすく解説します。
2-1.最終的な利息が減る可能性がある
おまとめローンを利用して借入先を変更すると、最終的に支払う利息が減る可能性があります。貸金業者を対象とした利息制限法では、金利の上限が以下のように定められています。
- 借入金10万円未満……上限金利=年20%
- 借入金10万円〜100万円未満……上限金利=年18%
- 借入金100万円以上……上限金利=年15%
例えば、2社からそれぞれ50万円を借り入れしていた場合、上限金利は年18%です。おまとめローンを利用して合計100万円の返済先を1社に絞ると、上限金利は15%と金利が低くなります。
このように、借入金が大きいほど金利は下がるのが原則です。借入先の金利や現在の借入状況などによって異なるものの、複数の借り入れをまとめることで最終的な利息を減らせる可能性があるのは大きなメリットです。
2-2.毎月の返済を1回にまとめられる
おまとめローンのメリットとして、毎月の返済を1回にまとめられることが挙げられます。複数の会社から借り入れをすると、借入先によって返済日や金利が異なることから、お金の管理が難しくなるでしょう。
返済のために何度もATMに行くのは手間がかかるほか、返済を忘れて遅延を起こす可能性もあります。おまとめローンによって借入先を一本化すると、毎月の返済日は1日だけです。返済するうえで複雑な管理をする必要がなく、計画的に返済を続けることができるでしょう。
2-3.多重債務者になるリスクを避けられる
おまとめローンを利用すると信用情報を整理できるため、多重債務者になるリスクを避けられます。多重債務者とは、複数の会社から借り入れをしていて、返済ができていない方のことです。
個人のお金に関する情報は信用情報機関に登録され、ローンなどの審査の際には借入状況を確認されます。借入状況の確認の際に多重債務者とみなされると、ローンの申し込みに悪影響を与える可能性があります。
その点、おまとめローンを利用すれば借入先を1社に限定できるため、多重債務者になるリスクを抑えることにつながります。
3.おまとめローンを利用する際の注意点3つ
2社以上から借り入れをしている方にとって、おまとめローンは検討すべき選択肢の1つといえるでしょう。ただし、おまとめローンを利用する際には以下3つの注意点があります。
- 必ずしも金利が下がるわけではない
- 最終的な支払い額が多くなる可能性がある
- 審査に通過できないことがある
注意点を知らないまま利用すると、後悔することになる可能性は否定できません。おまとめローンを賢く活用するために、気を付けるべきポイントについても理解しておきましょう。
3-1.必ずしも金利が下がるわけではない
おまとめローンを利用したからといって、必ずしも金利が下がるわけではない点に注意が必要です。借入先をおまとめすることで金利が下がるのは、新しいローンの金利が現在のローンの金利よりも低い場合のみです。
両者の金利の差が小さければ、おまとめをする前よりも金利が下がらないことはあり得ます。特に少額の借り入れに対しておまとめローンを利用すると、金利が下がりにくい傾向にあるため注意しましょう。
3-2.最終的な支払額が多くなる可能性がある
おまとめローンを利用すると毎月の返済額を少なくすることができますが、それによって最終的な支払額が多くなる可能性があります。毎月の返済額の設定が低すぎると、結果として返済回数が増え、返済期間が長期化することがあるためです。
返済期間が長くなるほど利息が多く発生するため、最終的な支払額がおまとめする前よりも多くなる可能性が高まります。支払額を抑えることを目的として利用する場合は、利息と最終的な支払額も考慮して毎月の返済額を決めなければいけません。
3-3.審査に通過できないことがある
おまとめローンを利用する際は、新たな借入先の金融機関の審査を受ける必要があります。金融機関の審査を通過できなければ利用できないことを念頭に置いておきましょう。
4.おまとめローンの審査基準&通過しやすい方の特徴
おまとめローンを利用する際は、金融機関の審査基準を満たして審査に通過する必要があります。おまとめローンの審査基準は、基本的にはカードローンと同様です。属性や信用情報によっては、審査の通過が難しいケースがあるため注意しましょう。
審査を通過しておまとめローンを利用するためには、審査に通過しやすい方の特徴を押さえておくことも大切です。自身の状況と照らし合わせながら、おまとめローンの審査について確認しておきましょう。
4-1.おまとめローンの審査で見られるポイント
おまとめローンの審査では、主に以下のポイントをチェックされます。審査において重視されるのは、収入が安定していてきちんと返済ができるかどうかです。
- 基本情報|氏名・年齢・住所・電話番号など
- 生活情報|既婚未婚・持ち家の有無・子どもの有無など
- 返済能力|勤務先・勤続年数・雇用形態・年収など
- 信用情報|借入件数・借入総額・金融事故(債務整理など)・滞納の有無など
4-2.おまとめローンの審査通過が難しいケース
申し込みをする本人の属性や信用情報によっては、おまとめローンの審査を通過できない可能性があります。具体的には、以下のようなケースに当てはまると審査通過は難しいでしょう。
- 収入や勤続年数に問題がある
- 他社の借入件数が多い
- 過去に滞納や債務整理をしたことがある
おまとめローンの審査では「滞りなく返済できる方かどうか」が見られます。そのため、収入が高い方よりも、収入が少ない方は金融機関からの評価が低くなる傾向があります。勤続年数が短い方や個人事業主、専業主婦といった属性の方も同様に、金属年数が長い会社員と比較すると、収入が安定していないと判断されることが多いです。
他社の借入件数に明確な基準はありませんが、借入先が少ない場合と比較し、借入先が多い場合は、「借入先が多い=計画的に返済できない方」とみなされる可能性もあるかもしれません。
おまとめローンの審査では信用情報の照会が行われ、滞納の有無などを調べられます。その際、過去に滞納や債務整理をした履歴があることが分かると、滞納歴が無い方に比べ、滞納歴が有る方の方がマイナスに捉えられてしまうケースもあるでしょう。なお、金融機関によっては、おまとめするローンの返済履行状況が記載された通帳の提出を求めるケースもあります。
4-3.おまとめローンの審査に通過しやすい方の特徴
おまとめローンの審査に通過しやすい方にはいくつか特徴があります。例えば、勤続年数が短い方に比べて、勤続年数が長い方のほうが収入は安定していると評価されるでしょう。具体的には、同じ会社で長く働いている方のほうが、転職したばかりの方よりも有利になると考えられます。
収入の面では、年収は200万円以上が一つの目安でしょう。年収は無理なく返済できるかどうかを判断するためのポイントです。一般的な基準として、年収が200万円に満たない方よりも、200万円以上の方のほうが返済能力があると評価されるでしょう。
現在の借入状況も大切なポイントです。総量規制の枠を使い切るほどの借り入れを抱えている方と比較して、総量規制の枠に余力がある方のほうが、計画的に返済ができる方と判断されやすいでしょう。返済能力があると思われやすいことも、有利になるといえるでしょう。
5.おまとめローンを利用すべき借入額の目安
おまとめローンを利用すべき借入額の目安は、100万円を基準に考えましょう。これは、カードローンの金利は借入額が大きいほど低くなる傾向があり、特に100万円というボーダーラインを超えると金利が下がることが理由です。
実際に、100万円以上の貸付に対する金利の上限は年15%と法律で決められています。10万円未満の貸付の上限は年20%、10万円以上100万円未満の貸付の上限は年18%のため、100万円を超えるかどうかで金利に大きな差があることが分かるでしょう。
100万円未満の借り入れに対して金利を優遇するケースは少ないものの、100万円以上の借り入れの場合は低金利に設定している金融機関が多くあります。おまとめローンを利用すべきか迷ったら、まずはおまとめする借入総額が100万円を超えるかどうかを確認しましょう。
なお、借入額の目安と併せて、おまとめローンを利用するのがおすすめの方の特徴も知っておくことが大切です。以下に当てはまる場合は、おまとめローンの利用を検討してみましょう。
- 複数の会社から借り入れがあり、毎月返済するのが難しい方
- 債務整理をせずに自力で完済したい方
複数の会社から借り入れをしている場合、それぞれの金利が高く設定されていることが多く、毎月の負担が重くなりがちです。複数の借り入れをおまとめして一本化すれば、金利が低くなって毎月の返済にかかる負担を抑えられる可能性があります。
どうしても返済が難しくなると、債務整理という選択肢も考えなければいけません。ただし、一度債務整理すると信用情報機関に登録され、ローン申し込みやクレジットカードの発行が困難になるなどの制約を長期間受けることとなります。
返済ができなくなる前におまとめローンを利用すれば、債務整理に追い込まれるリスクを軽減できます。結果として、信用情報に傷がつくことも防止できるでしょう。
6.ゆとりのある返済ならセゾンの「おまとめローン」がおすすめ
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融資の利率は10%から15%に設定されているため、現在の借入先よりも金利が低くなる可能性があるでしょう。
返済日が毎月4日に固定され、返済の管理がしやすくなるのもメリットです。また、おまとめの際は現在の借入先への振り込みを代行してもらえるため、複雑な手続きを行う必要もありません。
「セゾンのおまとめローン」を利用するなら、まずは電話相談で現在の状況を伝えます。返済のプランを提案してもらえるため、納得できたら手続きに進みましょう。毎月の返済が苦しく、ゆとりのある返済に切り替えたいなら「セゾンのおまとめローン」を検討してみてください。
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おわりに
おまとめローンとは、複数の会社からの借り入れを一括でまとめて返済し、1社に絞って完済を目指すことです。多数の借入先を1つにまとめられるため、毎月の返済管理が楽になるというメリットがあります。
また、借入状況によっては現在よりも金利が低くなる可能性があります。最終的な支払い額や申し込み時の審査などに注意は必要ですが、複数の借り入れの返済に困っている人にとっては有効な選択肢となるでしょう。
基礎知識やメリット、注意点などをしっかりと押さえ、おまとめローンの利用を検討してみてください。