ゆうちょ銀行は法人の口座開設はできますが、法人への融資業務は行っておりません。また個人向けには3つの融資方法があり、ここでは3つの方法を解説していきます。
ゆうちょ銀行でお金を借りる3つの方法
ゆうちょ銀行でお金を借りる方法には、住宅ローンを除くと、貯金担保自動貸付け、口座貸越サービス、JP BANKカードを利用したキャッシングの3つがあります。いずれの借入方法も、ゆうちょ銀行に貯金の口座をもっていることが利用条件です。
- 貯金担保自動貸付け
- JP BANKカードを利用したキャッシング
- かんぽ生命の契約者貸付
以前はカードローンの取り扱いや国債等担保貸付けの制度もありましたが、それぞれ2018年と2019 年に新規申し込みを終了しています。
貯金担保自動貸付け
貯金担保自動貸付けとは、ゆうちょ銀行の総合口座で管理している「担保定額貯金」や「担保定期貯金」を担保としてお金を借りる仕組みのことです。
総合口座の通常貯金の残高を超える金額を引き出した際に、不足分まで払い出すことによって貸し付けを行います。
「貯金担保自動貸付け」は、総合口座に担保定額貯金や担保定期貯金に残高があれば利用できます。貸付期間は担保の貯金が満期にならない限り2年間とされ、貸付回数に制限はありません。
返済は、通常貯金への預入によって行います。返済回数と1回あたりの返済額に制限はありません。
貯金担保自動貸付けを利用するメリット
貯金担保自動貸付けには、以下のようなメリットがあります。
- 無担保の借入より金利が低い
- お金を借りていることが周囲に知られにくい
- 担保となる貯金があれば審査なしで利用できる
ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付けの金利は、担保定額貯金の場合は返済時の約定金利プラス0.250%、担保定期貯金の場合は預入時の約定金利プラス0.500%と決められています。2024年10月現在、定額貯金と定期貯金の金利は0.110~0.200%ですから、最も高い組み合わせでも年利0.700%となります。無担保の借入と比較すると、利払いの負担は圧倒的に少ないといえるでしょう。
また、お金を借りていることが周囲に知られにくいのもメリットです。まず、申し込み時に郵便物や電話などの連絡がきません。そして、通帳やキャッシュカードといった預金引き出しと同じものを利用して借入できるため、周囲の目が気になりません。ただし、返済期限前になると返済に関する案内のはがきが送付される点には注意しましょう。
その他のメリットとして挙げられるのは、本人名義の担保定期貯金または担保定額貯金を持ってさえいれば審査なしでお金を借りられる点です。したがって、無職など安定した収入がない方であっても借り入れが可能です。
貯金担保自動貸付けを利用する際の注意点
貯金担保自動貸付けを利用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 担保定期貯金また担保定額貯金がないと利用できない
- 返済できなかった場合は預入金から相殺される
- お借り入れの限度額が低い
貯金担保自動貸付けは、担保にできる貯金がないと利用できません。そのため、もともとゆうちょ銀行に貯金がない方には検討の余地がありません。また、貯金担保自動貸付けで借りたお金を期限までに返済しなかった場合には担保の貯金が払い戻され、その払戻金が返済に充てられます。
その他、自動貸付の借入額が担保貯金額の90%を上限とすることを理解しておきましょう。200万円の貯金があれば180万円まで、50万円の貯金であれば45万円までしか借り入れできません。また、どんなに貯金があったとしても借入上限額は300万円とされていますので、その点にも注意が必要です。
口座貸越サービス
口座貸越サービスは、出金や口座引き落としなどによって通常貯金の残高が不足する場合に不足額を自動的に融資するサービスで、2021年にゆうちょ銀行の新規業務として認可されました。
口座貸越サービスの商品内容
口座貸越サービスを利用するには、以下の条件を満たすことが必要です。
- 日本国籍を有する人、または永住許可等を受けている外国人である
- ゆうちょ銀行の通常預金を保有している
- 契約時の年齢が満20歳以上70歳以下である
- 安定した収入があり、ゆうちょ銀行との取引の継続が見込まれる
(無職でも配偶者の収入が安定していれば利用できる) - ゆうちょ銀行所定の保証会社の保証を受けられる
普通貯金残高を超える額を引き出せる点では前述の「貯金担保自動貸付け」と同じであり、担保となる貯金がある場合は、貯金担保自動貸付けが優先的に利用されます。
しかし、口座貸越サービスは、無担保であるという点で貯金担保自動貸付けと異なります。
そのため、口座貸越サービスの利用にあたっては審査があり、利用極度額は審査結果により10万円以上30万円以内の範囲で10万円単位と決められています。申し込みをしても審査結果によっては利用できない可能性もあります。
貸付利率は変動金利のため金融情勢等により変更されることがありますが、2024年10月現在では年14.0%です。優遇金利が適用されるケースもありますが、他の銀行カードローンなどとほぼ同水準とみてよいでしょう。
返済方法には約定返済と随時返済があります。約定返済は、毎月8日(ゆうちょ銀行休業日の場合は翌営業日)に1万円ずつ通常貯金口座から引き落として返済に充てる方法です。それとは別に、ゆうちょATMや窓口、ゆうちょ通帳アプリなどで、いつでも任意の金額を返済することも可能です(随時返済)。
口座貸越サービスの申し込み方法
口座貸越サービスは、WEBでも窓口でも申し込めます。
WEBで申し込む場合は「取引時確認」済みの通常貯金口座と本人確認書類を用意する必要があります。取引時確認は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によって銀行に義務づけられている手続きです。
WEB申し込みの手順は以下のとおりです。
- お手持ちのスマホにゆうちょ認証アプリをインストール、利用登録
- ゆうちょ認証アプリで本人認証
- 申し込み専用サイトで本人確認書類を登録
- 必要事項を入力のうえ送信し、申し込み完了
その後10日ほどで審査結果の連絡がメールで届きます。審査に通った場合は、後日契約内容・取引約款・利用ガイドが郵送されてきます。
窓口で申し込む場合は、以下の書類等を持参してください。
- 貯金通帳またはキャッシュカード
- 届出印
- 本人確認書類
本人確認書類としては、運転免許証、住所の記載されたパスポート、マイナンバーカード、写真付きの住民基本台帳カードなどが推奨されています。これらの書類が用意できない場合は、持参予定の書類が使えるか確認してから窓口へ向かったほうがよいでしょう。
口座貸越サービスを利用するメリット
口座貸越サービスを契約していれば、公共料金等の振替口座に指定している通常貯金の残高が一時的に不足しても、振替不能を免れます。
現金を一時的に用立ててもらう場合も、通帳やキャッシュカードで借入できるため、周囲に借金だと悟られないことも口座貸越サービスのメリットです。
入会金や年会費が無料というのもうれしいポイントです。
口座貸越サービスを利用する際の注意点
口座貸越サービスを利用できるようになるのは、審査を経て、ゆうちょ銀行が申し込みを承諾したときです。審査結果の通知が届くのはWEB申し込みで約10日後、窓口で申し込んだ場合は約2週間後なので、そのくらいの日数がかかることは知っておきましょう。
WEB申し込みをする場合は、マネー・ローンダリング防止などを目的とした口座の取引時確認が済んでいるかチェックしておく必要があります。取引時確認はゆうちょ銀行か郵便局の貯金窓口でのみ行われるためです。
また、返済が遅れた場合は年19.0%の遅延損害金が課せられますので注意が必要です。その後は返済資金が優先的に遅延損害金に充てられるようになるため、約定返済の期日までに口座に入金するよう気をつけましょう。なお、随時返済をしても約定返済の義務はなくなりません。また、提携金融機関のATMでは随時返済ができないことにも注意を要します。
JP BANKカードを利用したキャッシング
JP BANKカードは、ゆうちょ銀行のクレジットカードで、キャッシング枠を設定すればお金を借りられます。ゆうちょ銀行の総合口座を持っていれば申し込み可能です。
JP BANKカードの申し込み方法
JP BANKカードの申し込みは、ゆうちょ銀行のホームページ上で以下の手順に従って行えます。
- メールアドレスを登録する
- 会員規約に同意する
- ワンタイムパスワードを受信して、フォームに入力する
- 申し込み情報を入力する
- 受付完了メールを受信したら、申し込み完了となる
JP BANKカードのキャッシングを利用するメリット
JP BANKカードのキャッシングを利用するメリットは、以下のとおりです。
- キャッシング利用枠があれば誰でも利用できる
- WEBで申し込みができるため、窓口へ行く手間が省ける
ただし、借り入れできるかどうかは審査によって決まるため、すべての方がお金を借りられるわけではありません。また、JP BANKカードには下の表のような種類があり、カードによって申し込みできる年齢やその他の条件が異なります。どのカードにするか迷った場合は、ゆうちょ銀行に相談すればよいでしょう。
名称 | ブランド | 区分 | 申し込み対象者 |
---|---|---|---|
JP BANK VISAカード ALente | VISA | 高校生を除く満18歳以上29歳以下の方 | |
JP BANK VISAカード/マスターカード | VISA/マスター | 一般 | 高校生を除く満18歳以上の方 |
ゴールド | 満25歳以上で安定収入がある方 | ||
JP BANK JCBカードEXTAGE | JCB | 満18歳以上29歳以下で、本人または配偶者に安定収入がある方または、高校生を除く満18歳以上29歳以下で学生の方 | |
JP BANK JCBカード | 一般 | 満18歳以上で本人または配偶者に安定収入がある方 または、高校生を除く満18歳以上の学生の方 | |
ゴールド | 満20歳以上で本人に安定収入がある方 |
出所:ゆうちょ銀行「商品内容」
さらに、JP BANKカードはWEB上で申し込みできるのがメリットです。ただし、JP BANKカードを発行するためには、ゆうちょ銀行の口座が必要です。口座を開設していない方はまず口座開設の手続きを行いましょう。
JP BANKカードのキャッシングを利用する際の注意点
JP BANKカードのキャッシングを利用する際の注意点は、以下のとおりです。
- カードの発行に時間がかかる
- 高額の融資はできない
JP BANKカードの発行には審査が必要なこともあって、家にカードが届くまでに約2週間ほどかかるといわれています。そのため、今すぐお金が必要な場合はほかの方法で準備するのがおすすめです。
また、JP BANKカードのキャッシング枠の上限は、カードの種類によって30万円または50万円です。しかも審査を通ったすべての方が上限額を借りられるわけではなく、個人の信用力に応じて利用限度額は上限を下回ります。ほかにも、JP BANKカードのキャッシングは「貸金業者からの借入残高が年収の1/3を超えてはならない」という総量規制の対象となるため、ゆうちょ銀行以外にも借入がある方は注意が必要です。
かんぽ生命の契約者貸付
ゆうちょ銀行からの借入ではありませんが、ゆうちょ銀行と同様、郵便局に業務を委託しているかんぽ生命の「契約者貸付」についても説明しておきます。
契約者貸付とは解約返戻金からお金を借りられる仕組みのこと
契約者貸付とは、保険契約者の請求により、解約返戻金の一定の範囲内で貸付けを行う制度です。もちろん、かんぽ生命の保険に加入していなければ利用できません。
請求はWEBでもできますが、郵便局の窓口に出向いてかんぽ生命の契約者貸付の手続きをする際は、以下の書類が必要です。
- 保険証券
- 契約者の本人確認書類
- 契約者名義の預貯金通帳またはキャッシュカード
契約者本人が手続きをするのではなく代理人が行う場合は、以下の書類も併せて準備しましょう。代理人による手続きは、窓口で行います。
- 契約者本人の意思確認書類
- 契約者が記載した委任状
- 代理人の本人確認書類
契約者貸付を利用するメリット
- 金利が低い
- 生命保険を解約しなくても借りられる
- 信用情報に影響しない
- WEBから申請すれば最短で当日借りられる
かんぽ生命の契約者貸付のメリットとしてまず挙げられるのは、金利の低さです。、契約者貸付利率は2024年10月1日に改定され、貸付期間中の利率は原則として年2.50%となりました先に紹介したJP BANKカードと比較すると大幅に低い金利で借りられるので、対象となる保険に加入している場合は優先的に利用を検討すべきでしょう。
通常、解約返戻金を受け取るためには保険を解約しなければなりません。資金を調達するために保険を解約すると、それ以後の保障はなくなりますし、解約返戻金の受取額が払い込んだ保険料の総額を下回る元本割れを起こすケースもあります。
保険契約を維持したまま一時的に必要な資金を調達できる点は、この制度の大きなメリットといえるでしょう。
また、契約者貸付の額は自分が契約している保険の返戻金の額を超えないため、借金とはみなされず信用情報に影響しません。
WEBで手続きすると最短で当日中に口座へ資金が振り込まれるため、急にお金が必要になった場合に利用できるという点もメリットです。
契約者貸付を利用する際の注意点
解約返戻金のない保険には貸付の制度がないことに注意しましょう。定期保険、保証期間の設定がない終身年金保険、財形商品および確定拠出年金商品は契約者貸付の対象外です。
また、貸付期間は1年です。返済しないまま1年を経過すると貸付利率が上がり、さらに1年を経過すると、保険金額などが、貸付金と利息の合計より大きく減額されます。ただし、手続きをすれば貸付期間を更新することはできます。
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急な出費には「カードローン」
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限度額内であれば繰り返し借入ができるため、急な出費への備えとして用意しておくと良いでしょう。20歳から80歳までの毎月定期収入のある電話連絡可能な方であれば申し込みできます。
一時的な費用には「フリーローン」
一時的な費用には、セゾンファンデックスのかんたん安心ローンのなかでも、フリーローンがおすすめです。融資額は10万円~300万円となっており、毎月の返済額や返済期間の希望を伝えて相談できるので、計画的にお金を借りられます。60歳以上であれば2ヵ月に1回の返済にも対応できるため、無理のない返済計画を立てられるでしょう。
ゆうちょ銀行でお金を借りる方法を覚えておこう
ゆうちょ銀行でお金を借りる方法は、貯金担保自動貸付け、口座貸越サービス、JP BANKカードを利用したキャッシングの3つです。それぞれでお金の借り方が異なるため、利用する金額や条件などに合わせて、借入しやすいものを選びましょう。また、かんぽ生命で解約返戻金のある保険に加入している場合には、契約者貸付ができることも覚えておくとよいでしょう。
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※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。